セクストーションとは?被害状況と対処法を解説

セクストーションとは、性を意味する「セックス(Sex)」と、脅迫を意味する「エクストーション(Extortion)」を組み合わせた造語で、性的な画像や動画を使って相手を脅迫し、金銭などを要求する行為を指します。
このような手口の脅迫が、SNSの普及とともに近年急増しており、被害者に深刻な精神的・経済的ダメージを与えています。
特に、若年層をターゲットにしたケースも多く、一度被害に遭うと、長期にわたって被害を受け続けることにもなりかねません。
セクストーションの実態や対処法について正確な知識を持つことで、被害を未然に防いだり、適切な対応をとったりすることが可能になります。
この記事では、セクストーションについて、その意味や手口、法的責任、被害者の対応法、加害者となってしまった場合の対処法などを弁護士が解説します。
目次
セクストーションとは?

セクストーションとは、性を意味する「セックス(Sex)」と、脅迫を意味する「エクストーション(Extortion)」を組み合わせた造語で、性的な画像や動画を使って相手を脅迫し、金銭などを要求する行為を指します。
デジタル時代の新たな犯罪形態のひとつとして、セクストーションが近年社会問題となっています。
たとえば、最初は一般的なメッセージのやり取りから始まり、信頼関係を構築した後に性的な画像や動画の送信を求めます。
次に、それらの入手に成功すると、脅迫のために使用するというのが、セクストーションの典型的な流れです。
日本でも、セクストーションの被害が増えつつあり、警察も注意を呼びかけています。
セクストーションの意味
セクストーションは、「性的脅迫」を意味する造語です。
性的な材料による脅迫行為という意味で、「セックス(性)」と「エクストーション(脅迫)」を掛け合わせて、「セクストーション」という表現が生まれました。
セクストーションは、性的な画像や動画を利用した恐喝行為を意味します。
たとえば、被害者の性的な画像や動画を入手した加害者が、それを家族や友人、またはインターネット上に広く公開すると脅して金銭などを要求する行為が、これに当たります。
法律的には、セクストーションという犯罪が定められているわけではありませんが、脅迫罪や恐喝罪などに該当する違法な行為です。
また、性的画像を無断で公開した場合は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)違反となる可能性もあります。
セクストーションの特徴として、羞恥心から被害申告をためらいがちであることや、一度ネット上に拡散されると完全な削除が困難である点などがあります。
セクストーションの加害者は、このような被害者の心理につけ込み、金銭等の利益を不当に要求します。
セクストーションの手口
セクストーションの手口には、さまざまなパターンがあります。
セクストーションの大枠の流れは、相手の性的な画像や動画を利用して脅迫するというものです。
つまり、セクストーションには、まず脅迫の材料にするために相手の性的な画像や動画を入手し、続いて実際の脅迫に移るという2つの段階があるといえます。
近年、SNSの普及により、見知らぬ相手と気軽にコミュニケーションを取ることができるようになりました。
InstagramやTwitter(現X)、TikTokなどのプラットフォームでは、年齢や居住地等を問わず、さまざまな人と簡単につながることができます。
この「手軽さ」が、セクストーションの入り口となるケースが増えています。
たとえば、SNS上で知り合った相手と親しくなり、やりとりを重ねるうちに、信頼関係が生まれたと感じて相手の要求に応じてしまうことがあります。
特に、プロフィールや投稿内容などから相手のことを知ったかのように錯覚することで、警戒心が薄れてしまうことがあります。
SNSは匿名性が高く、偽の情報や写真を使って相手を信用させることも可能です。
こうした環境が整ったことに伴い、セクストーションの被害が拡大していると見られます。
SNSを通じたセクストーション
SNSを通じたセクストーションは、近年急増しているセクストーションの主要な手口のひとつです。
まず、加害者は被害者に対してSNSのダイレクトメッセージなどによって接触し、やりとりを重ねることで信頼関係を構築します。
次に、会話が進むうちに徐々に性的な話題へと誘導し、最終的に自分の性的画像や動画を送るよう要求します。
見知らぬ相手に自分の性的な画像などを送ることがあり得るのか、という疑問があるかもしれません。
その段階では、メッセージのやり取りによって、すでに一定の関係が構築されている点がポイントとなります。
また、女性を自称するアカウントが、男性に対して、「あなたが送ってくれたら、私も自分の画像を送る」などと誘惑するのも、よくある手口です。
このような流れで相手の性的な画像や動画を入手すると、それを元に脅迫行為に移ります。
たとえば、「この画像をインターネット上に拡散されたくなければ、金を払え」と脅して、被害者に金銭を要求するケースがあります。
また、被害者が女性である場合には、金銭ではなく別の画像を送るように脅迫するケースもあります。
インスタ等SNSによる拡散
SNSを利用したセクストーションでは、Instagram(インスタグラム)やTwitter(現X)、TikTokなどのプラットフォームが悪用されています。
これらのSNSは多くのユーザーを抱えており、情報拡散力が非常に強いため、被害者にとっては大きな脅威となります。
中でも、インスタグラムやTwitter(現X)は、ダイレクトメッセージを利用して相手とやり取りすることができたり、画像や動画を公開する機能が備わっていたりします。
そのため、セクストーションに利用されやすいプラットフォームといえるでしょう。
このようなSNSを通じて性的画像のやり取りを持ちかけ、相手がこれに応じると、それを元に脅迫行為を行います。
騙されて自ら性的な画像を送ってしまう場合のほか、ビデオチャットでやり取りしている様を勝手に録画されることもあります。
そのようなケースでは、自覚のないままに性的な映像を保存されてしまうこともあります。
脅迫の主な内容は、その画像や動画をSNSに公開することを示して、金銭を要求するというものです。
SNS上に画像が投稿されるということは、全世界に対して公開されることを意味します。
特に、SNSでは、ネット上のつながりだけでなく、現実世界の友人や知り合いと相互にフォローしあっているケースも多くあります。
そのため、万が一自分の性的な画像や動画が拡散されてしまうと、家族や学校、職場の関係者など、実際の知り合いにも見られてしまう可能性があります。
そのようなことは、想像するのも辛いことで、セクストーションは被害者に対して強い恐怖を与えます。
このような強い恐怖に駆られて、相手のいうままに金銭などを脅し取られることが多いのが、セクストーションの怖いところです。
セクストーション詐欺
以上のような典型的な手口のほかに、セクストーション詐欺という手口もあります。
セクストーション詐欺は、実際には性的画像や動画を持っていないにもかかわらず、持っていると偽って金銭を要求する手口です。
典型的なセクストーションでは、相手を言葉巧みに誘って、性的な画像を送るようそそのかします。
これに対し、セクストーション詐欺では、相手の性的画像を入手したと偽る点が特徴です。
たとえば、「コンピューターをハッキングしてウェブカメラで撮影した」といったスパムメールを手当たり次第に送信し、仮想通貨などによる送金を求める手口があります。
実際は、そのような映像は持っておらず、大量のターゲットに同じ内容の脅迫を送っているだけにすぎません。
ネットリテラシーが高ければ、このようなメールは詐欺であり、相手にする必要がないことは判別がつきます。
しかし、高齢者や若年層などのインターネットに疎い世代では、本当であると思い込んでしまい、詐欺に引っかかることがあります。
このような詐欺は、被害者の恐怖心や羞恥心につけ込むものであり、冷静な判断を妨げます。
慌てて送金してしまって、後から詐欺に気づくことも少なくありません。
セクストーションの被害の状況
セクストーションは、SNS等の機能を利用して犯行を行うものです。
このため、SNSやスマートフォンなどの発達に伴って、セクストーションの被害は年々増加傾向にあります。
セクストーションは、法的には脅迫罪や恐喝罪などの犯罪に該当するものです。
このため、公的な統計からセクストーションのみの発生状況を把握することは、現状では困難です。
ただし、セクストーションに関する相談の状況から、被害の発生状況をうかがい知ることはできます。
性暴力の被害者を支援するNPO法人によると、同法人への被害相談の状況は、次のとおりとのことです。
- 相談件数は、2023年度が約640人、24年度が約1800人だったが、25年度は6月末時点で約900人に上る。
- 総相談件数の68%が男性。
- 18歳未満からの相談が多く、25年6月は相談者の44%が高校生、7%が中学生だった。
このことから、次のようなことがわかります。
まず、同法人への相談件数は2023年度から24年度にかけて倍以上に増加しており、25年度も高止まりが予想されます。
これは、セクストーションの被害が急速に拡大していることを示しています。
さらに、これらの数字は、あくまで同法人に寄せられた相談件数に過ぎず、実際には相談に至らない被害者も多く存在すると考えられます。
したがって、上記の数値はいわば「氷山の一角」であり、実際の被害件数はこの数字よりもはるかに多いことが推測されます。
また、未成年の被害が多いことも特徴です。
これは、未成年がSNSを頻繁に利用していることや、社会経験が乏しいために、怪しい誘いを見抜く力が不十分であるという背景があると考えられます。
特に、高校生や中学生といった、スマホを使い始めて間もない若年層がターゲットになりやすい状況が浮き彫りになっています。
さらに、性的な誘惑というセクストーションの性質上、男性の被害が多い傾向にありますが、女性の被害も相当数発生しているであろう点にも注意が必要です。
SNSの利用が当たり前になった現代では、性別や年齢を問わず、誰もが被害に遭う可能性があることを認識し、十分な注意と対策が求められます。
セクストーションで成立する犯罪

セクストーションの行為は、ケースによって、さまざまな犯罪に該当する可能性があります。
「セクストーション罪」という犯罪は存在しませんが、性的画像でゆすって金銭を脅し取る行為が、刑法上の犯罪に該当することが考えられます。
具体的な状況によって適用される罪名は異なりますが、主に以下のような犯罪が成立する可能性があります。
脅迫罪
セクストーションで成立する犯罪として、まず脅迫罪が挙げられます(刑法222条1項)。
参考:刑法|電子政府の総合窓口
脅迫罪とは、相手の生命や名誉などに対し害を加える旨を告げて、人を脅迫する犯罪です。
セクストーションでは、入手した相手の性的画像を材料に、これを拡散するなどといって脅しを加えます。
このような、脅して相手に恐怖を与える行為は、脅迫行為として刑法上の脅迫罪に該当します。
脅迫罪についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
恐喝罪
単に脅迫を加えるだけでなく、金銭の支払い等を要求する場合には、恐喝罪(刑法249条)が成立します。
恐喝罪は、「人を恐喝して財物を交付させた」場合に成立します。
性的画像の拡散を止めるのと引き換えに、金銭の振込みや仮想通貨の送金を要求するケースは、この恐喝罪に該当します。
強要罪
セクストーションは、恐喝罪ではなく強要罪にあたることもあります。
強要罪は、相手を脅迫してなんらかの行為を行わせるという犯罪です(刑法223条1項)。
セクストーションでは、被害者に対して金銭の支払いを求めるのではなく、性的な画像や動画を送るように要求するケースもあります。
このように、脅迫によって金銭等の支払い以外を要求するケースでは、恐喝罪ではなく強要罪に該当します。
強要罪や恐喝罪についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
リベンジポルノ防止法違反
実際に性的画像を無断でインターネット上に公開した場合には、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)違反となります。
参考:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律|電子政府の総合窓口
同法では、私事性的画像記録、すなわち公開を予定していない性的な画像等を、第三者に提供する行為を禁止しています。
セクストーションは、目的はあくまで金銭を支払わせることであり、相手の性的画像等を公開することは脅しの手段にすぎません。
とはいえ、相手に対する脅しを強める意味や、支払いを拒否された腹いせとして、実際に相手の性的画像を公開することも考えられます。
そのようなケースでは、リベンジポルノ防止法違反に該当します。
児童ポルノ禁止法違反
さらに、未成年者の性的画像を扱う場合には、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)違反となる可能性があります。
参考:h児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|電子政府の総合窓口
同法では児童ポルノの製造、所持、提供などを禁止しています。
未成年を相手にセクストーションを働きかけると、性的な画像等を送信させた時点で、児童ポルノ禁止法違反に該当する可能性があります。
児童ポルノについての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
セクストーションの刑罰
セクストーションは、手口によってさまざまな犯罪に該当する可能性があります。
セクストーションに対する刑罰は、適用される罪名によって異なります。
セクストーションに対して適用される可能性のある主な罰則は、次のとおりです。
脅迫罪
脅迫罪が適用される場合、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科せられます。
恐喝罪
恐喝罪が適用される場合は、10年以下の拘禁刑という刑罰が科せられます。
セクストーションでは金銭を要求するケースが多く、そのような事案ではこの恐喝罪が適用されることが一般的です。
強要罪
強要罪が適用される場合は、3年以下の拘禁刑が科せられます。
セクストーションにおいて、追加の性的な画像を求めるなど、脅迫して金銭の支払い以外のことを強制するケースでは、この強要罪が適用されます。
リベンジポルノ防止法
リベンジポルノ防止法違反の場合、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。
入手した性的画像等を被害者の意思に反してインターネットなどで公開した場合、リベンジポルノ防止法違反が成立します。
児童ポルノ関連
未成年者の画像を扱ったケースでは、児童ポルノ禁止法違反となります。
この場合、どの程度の刑罰が科せられるかは、児童ポルノ禁止法違反の中のどれに当たるかによって変わってきます。
相手に性的な画像を送らせたケースでは、児童ポルノを「製造」した罪が適用される可能性があります(児童ポルノ禁止法7条4項)。
参考:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|電子政府の総合窓口
その場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科せられます。
また、実際に不特定多数に性的画像を公開した場合や、製造の時点でその目的があった場合は、「不特定多数への提供」又は「提供目的製造」となります(同条6項、7項)。
この場合の罰則は、さらに重く5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金となります。
セクストーションの注意点
セクストーションは、一度被害に遭うと、さまざまな影響が長期的に及ぶ可能性があります。
そのため、被害を未然に防ぐための注意点を理解しておくことが重要です。
ここでは、セクストーションに関する重要な注意点について解説します。
セクストーションを無視したらどうなる?
セクストーションの脅迫を受けた場合、無視するという選択肢も考えられます。
セクストーションは、不当な要求をする脅迫行為ですので、要求に応じないという意味では、無視は適切な対応といえます。
その後どのような展開となるかは、ケースバイケースです。
まず、無視していればそのまま終わるケースが一定数あると思われます。
相手に無視された場合、金にならない報復をしている暇があれば、次のターゲットに移った方が合理的だからです。
ただし、さらに脅迫を強める意味で、いったん画像を投稿した上で、「消してほしければ支払いをしろ」という形の脅迫に移る可能性もあります。
また、金銭目的ではなく、ストーカーや個人的な怨恨などが背景にある場合なども、無視しても解決しない可能性があります。
もっとも、それでは無視せずに対応する方がいいのかというと、そういうわけでもありません。
相手のいうとおりに支払いをしたとしても、それで約束通りに画像を消してもらえるかというと、そんな保証はありません。
そもそも、相手は脅迫犯なのです。
脅しに応じて支払うと、さらに追加の金銭を求められるなど、要求がエスカレートすることも考えられます。
そうなると、何も解決しないままに、支払いだけがどんどん増えていくということにもなりかねません。
結局のところ、性的画像が相手の手にわたってしまったら、要求に応じようと無視しようと、消してもらえる保証はないということです。
いずれにしてもそのリスクが残る以上、相手にせずに無視するのが基本的な方針となります。
その場合でも、単に無視するだけでなく、これ以上の情報を探られないために相手をブロックする、証拠保全のために脅迫メッセージのスクリーンショットを保存する、といった対策が効果的です。
また、無視した上で、一人で抱え込むのではなく、信頼できる機関や専門家に相談することが重要です。
インターネット上に出回った画像を完全に削除するのは困難
セクストーションの被害で最も懸念されるのは、一度インターネット上に公開された画像や動画は、完全に削除することが困難であるという点です。
インターネット上のコンテンツは、公開された瞬間に、ダウンロードして保存される可能性があります。
また、画像を見た別の第三者によって、複数のサイトやプラットフォームに転載されることもあります。
たとえ元の投稿を削除できたとしても、閲覧者がコピーしたデータは残り続け、別の場所で再び公開される可能性が常に残ります。
インターネット上の画像は、コピーがコピーを生むという状態になり得るため、大元の投稿を消せばよいというわけではありません。
また、検索エンジンのキャッシュやアーカイブサイトなどにも情報が残る場合があり、これらからの完全削除も簡単ではありません。
このような理由から、セクストーションの被害を防ぐためには、そもそも自分の性的な画像や動画を他人に送らないことが、最も確実な予防策となります。
特に、顔や個人を特定できる情報が含まれる画像は、絶対に送信すべきではありません。
セクストーションの被害者の対応法

セクストーションの被害に遭った場合、パニックに陥らず冷静に対応することが重要です。
ここでは、セクストーションの被害者がとるべき具体的な対応策について、解説します。
安易に脅しに応じない
セクストーションの脅迫に対して、最も重要なのは、「安易に要求に応じない」ということです。
加害者の要求に従うことは、一時的には問題解決に思えるかもしれませんが、長期的には状況を悪化させる可能性が高いです。
加害者の要求に一度応じてしまうと、追加の支払いを求めて脅迫がエスカレートすることが考えられます。
セクストーションでは、被害者に無視されて支払いを受けられないことも多いです。
このため、支払い要求に応じる相手だと判断されてしまうと、際限なく支払いを求められることになり得ます。
特に、SNS上だけでのつながりの場合、一度支払った金銭を取り戻すことは難しいことが多いです。
また、支払いを受けたら画像を削除するといった、当初の約束が守られる保証はありません。
セクストーションの脅迫を受けたときは、慌てて支払いをするのではなく、まずは冷静に考えましょう。
情報拡散時の対応
万が一、セクストーションにより性的な画像や動画が実際にインターネット上に拡散されてしまった場合、被害拡大を防ぐための対応が必要となります。
性的画像がインターネットに掲載された場合、まずその画像等を掲載しているプラットフォームに削除依頼を出すことが考えられます。
多くのSNSでは、同意なく投稿された性的画像は、不適切なコンテンツとして通報することが可能です。
たしかに、一度インターネット上に公開された画像を完全に消去することは、技術的に困難です。
しかし、主要なプラットフォームから削除できれば、一般の人の目に触れる可能性は大幅に低下します。
つまり、完全に削除できないからといって諦めるのではなく、目立つ場所から削除することで、被害を最小限に抑えるという考え方が重要です。
警察に通報して逮捕してもらう
セクストーションの被害に遭った場合、警察への通報は最も効果的な対応策の一つです。
インターネットの向こう側にいる匿名の相手であっても、警察であれば、特別な捜査によって相手を特定することができます。
刑事事件の容疑者として摘発してもらえれば、画像の拡散を防ぐことができ、消去させることも可能です。
警察に通報する際は、加害者とのやり取りの記録や、送金した場合はその記録、加害者から得られた情報(名前、アカウント名、連絡先など)を、できる限り提供しましょう。
また、警察への通報は、被害発生後できるだけ早く行うことが望ましいです。
時間が経過すると、証拠が失われたり、被害が深刻化したりするおそれがあります。
犯罪被害者専門の弁護士に相談する
セクストーションの被害に遭った場合、犯罪被害者支援に詳しい弁護士に相談することも効果的な対応策です。
弁護士は、法的な観点から助言を行い、被害回復のための具体的な手続きをサポートしてくれます。
弁護士に相談するメリットは、多岐にわたります。
今まさに加害者から脅迫を受けているという段階であれば、対応についての助言を受けられるため、不適切な対応を避けることができます。
また、警察への被害申告や、プラットフォーム運営者への削除要請などの法的手続きも、弁護士のサポートがあれば円滑に進めることができます。
他にも、民事上の損害賠償請求についても、弁護士のアドバイスは不可欠です。
精神的苦痛に対する慰謝料請求や、支払ってしまった金銭の返還請求など、被害回復のための法的措置を検討する際には、専門的な知識が必要となります。
弁護士に相談する際は、犯罪被害者支援や性犯罪に詳しい弁護士を選ぶことをお勧めします。
セクストーションの被害者は、精神的にもダメージを受けているため、専門性が高く、メンタル面にも配慮できる弁護士であれば、安心して相談することができるでしょう。
セクストーションを犯してしまったら?

もし自分がセクストーションの加害者になってしまった場合、状況を悪化させないために適切な対応を取ることが重要です。
法的責任は生じますが、誠実な対応によって、処分が軽減される可能性もあります。
セクストーションは重大な犯罪行為であり、加害行為を続けることで状況は確実に悪化します。
被害者へのダメージが大きくなるだけでなく、自身の刑事責任も重くなっていきます。
セクストーションの加害者は、すぐに加害行為を停止し、適切な対応を取ることが必要です。
自首を検討する
セクストーションを行ってしまった場合、自首を検討することは一つの選択肢です。
自首とは、捜査機関に対して自らの犯罪行為を申告することです。
自首することには、いくつかの法的メリットがあります。
まず、自首をしたという事実が、刑の減軽要素として考慮される可能性があります。
特に、初犯の場合や、被害が比較的軽微な段階で自首した場合は、執行猶予が付く可能性も高まります。
また、自首することで、被害者との示談交渉がスムーズに進む可能性もあります。
被害者にとっては、加害者が反省して自首したという事実は、和解への大きな一歩となり得ます。
さらに、精神的な面でも、自らの過ちを認めて責任を取ることは、長期的な更生への重要なステップとなります。
自ら進んで罪を申告したという事実は、今後の更生を目指す上でも、精神的な支えとなります。
ただし、自首をする前に、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
自首は、犯罪を自ら明るみに出すものであり、リスクもあるためです。
弁護士は、依頼者の状況に応じた最適なアドバイスを提供し、自首の方法や今後の法的手続きについてサポートしてくれます。
自首を弁護士に依頼することのメリットについては、以下のページをご覧ください。
被害者と示談交渉する
セクストーションの加害者となってしまった場合、被害者と示談交渉することが重要です。
示談とは、被害者と加害者が話し合いによって和解することです。
示談では、加害者は被害の賠償を行い、被害者は刑事告訴を取り下げたり、寛大な処分を求めたりすることが一般的です。
示談が成立していると、検察官の起訴の判断や、裁判所の量刑判断において有利に働く可能性があります。
特に、初犯の場合や、被害が軽微な場合は、示談成立により不起訴処分となったり、執行猶予付き判決を受けたりする可能性が高まります。
示談交渉を行う際は、まず被害者に対して誠実に謝罪し、自分の行為の責任を認めることが大切です。
その上で、被害者が受けた精神的・経済的損害に対する適切な賠償額を提示することになります。
ただし、示談交渉は、被害者の心情に配慮しながら慎重に進める必要があります。
セクストーションの被害者は、深い心の傷を負っていることが多く、加害者からの直接的なアプローチが、かえって状況を悪化させる可能性もあります。
そのため、弁護士などの第三者を通じて交渉を行うことが望ましいでしょう。
弁護士が交渉役として関与することで、示談交渉を円滑に進めることができます。
示談交渉における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。
刑事事件に強い弁護士に相談する
セクストーションの加害者となってしまった場合、刑事事件に強い弁護士に相談することは最も重要です。
弁護士は、法的な専門知識を駆使し、依頼者の状況に応じた最適なアドバイスとサポートを提供します。
セクストーションは、厳しい刑事責任を問われる犯罪であり、刑事事件に強い弁護士のサポートが効果を発揮します。
弁護士に相談することで、依頼者の行為がどのような罪に該当するか、想定される刑罰はどの程度かなど、法的な見通しが明確になります。
これにより、今後の対応を適切に判断することができます。
また、弁護士は、警察の取り調べに関しても、依頼者が不利にならないよう、どのように答えるべきかをアドバイスできます。
弁護士のサポートがあれば、不用意な発言や行動によって状況を悪化させるリスクを減らすことができます。
特に、初期段階での弁護士の助言は非常に重要です。
捜査が始まる前や、捜査の初期の段階で適切な対応をとることで、その後の展開が大きく左右されます。
たとえ逮捕や起訴が避けられない状況でも、弁護士のサポートにより、その後の不利益の最小化を目指すことができます。
刑事事件における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。
セクストーションについての知恵袋的Q&A
![]()
クストーションで晒される確率は?
実態としては、脅迫が実際に実行されることは、さほど多くないと思われます。
金銭を恐喝する目的の犯行であれば、要求に応じない相手にいちいち報復することには、関心がないと思われるためです。
ただし、個人的な恨みや執着がある場合は、実際に画像等を晒されるリスクもあるでしょう。
![]()
セクストーションで拡散されないようにするには?
すでに脅迫を受けている場合は、加害者とのコミュニケーションは最小限に抑え、要求に応じないことが基本です。
速やかに警察や専門機関に相談するとともに、SNSのプライバシー設定を強化して、知らない人からのメッセージをブロックしましょう。
専門家のサポートを受けながら対応することが、拡散リスクを最小化する鍵となります。
まとめ
この記事では、セクストーションについて、その意味や手口、法的責任、被害者の対応法、加害者となってしまった場合の対処法などを解説しました。
記事の要点は、次のとおりです。
- セクストーションとは、性を意味する「セックス(Sex)」と、脅迫を意味する「エクストーション(Extortion)」を組み合わせた造語で、性的な画像や動画を使って相手を脅迫し、金銭などを要求する行為である。
- セクストーションの典型的な手口は、SNS上での信頼関係構築から始まり、性的画像の入手後に脅迫へと展開する。
- セクストーションは、脅迫罪や恐喝罪、リベンジポルノ防止法違反など、複数の犯罪に該当する可能性がある重大な違法行為である。
- 被害者は、安易に要求に応じず、証拠を保全した上で警察や弁護士など専門機関に相談することが重要である。
- 加害者となってしまった場合は、脅迫行為を直ちに中止し、刑事事件に強い弁護士に相談すべきである。
当事務所は、刑事事件のご相談の予約に24時間対応しており、LINEなどのオンライン相談を活用することで、全国対応も可能となっています。
まずは、お気軽に当事務所までご相談ください。
ご相談の流れは以下をご覧ください。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか












