無理やり口淫させた。何罪が成立?【弁護士が解説】
強制性交等罪(旧強姦罪)が成立する可能性があります。
目次
強制性交等罪について
2017年7月、刑法が改正され、強姦罪が強制性交等罪となりました。
従来、無理やりの口淫は、強制わいせつ罪で処罰されていましたが、法改正により、同行為は、強制性交等罪で処罰されることになりました。
なお、口淫は、強制性交等罪においては、「口腔性交」と表現されています。
法定刑は、強制わいせつ罪が6月以上10年以下、強姦罪が5年以上20年以下ですから、量刑は格段に重くなりました。
根拠条文 刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

口淫とは、口腔で男性器を刺激する行為のことをいいますが、無理やり口淫をさせた場合、犯罪が成立することがあります。

口腔性交とは、行為者が、被害者の口腔内に自己又は第三者の陰茎を入れることや、自己又は第三者の口腔内に陰茎を入れる行為も含まれると解されています。
このように、改正後は男性だけでなく、女性であっても加害者に該当する場合があることとなりました。
強制性交等罪について、詳しくはこちらのページで解説しています。
弁護活動について
強制性交等罪は実刑の可能性が高い重大犯罪です。
早期に弁護活動を開始する必要があります。
弁護活動としては、示談交渉が中心となります(自白事件の場合)。
示談を成立させ、被害届を取り下げてもらうことができれば、不起訴の可能性、執行猶予の可能性を高めることができます。
否認事件は示談すべきでない?
否認事件であったとしても、示談交渉をすべき場合があります。
口淫をさせたこと自体は争わないが、故意(合意の存在)や暴行・脅迫を争うようなケースです。
相手に不快な思いをさせたことが事実であり、あなたに落ち度が認められるのであれば、犯罪が成立する・しないにかかわりなく、被害者に謝罪をするべきですし、示談を成立させ、被害届の提出を防ぐことによって、安心して生活を送ることができます。
示談交渉のポイント
強制性交等罪などの性犯罪の場合、示談交渉は難航することがあります。
まず、被害者は、加害者に対して恐怖心を抱いており、交渉しようとしても警察は連絡先すら教えてくれない可能性が高いからです。
また、仮に連絡先がわかったとしても、加害者と直接の交渉は拒否することがほとんどです。
そのため、性犯罪については以下の対応がポイントとなります。
POINT①弁護士が連絡先情報を取得する
まず、刑事弁護人である弁護士が警察を通じて被害者の連絡先情報、すなわち携帯電話の番号などを取得します。
多くの被害者は、加害者本人には連絡先を教えませんが、弁護士には教えて良いといいます。
もちろん、弁護士は加害者本人には連絡先は伝えず、代理人として交渉を行います。
POINT②早期に示談交渉を行う
強制性交等罪は、重大な犯罪であり、示談が成立しないと起訴される可能性が高いと考えられます。
そして、起訴されると、99.9%が有罪となり、執行猶予がつかないケースが多いでしょう。
そのため、できるだけ早く、示談交渉を開始する必要があります。
POINT③示談が成立したら示談書を作成する
示談において、重要なのは、口頭の約束ではなく、きちんと書面を作成するということです。
また、示談書には、紛争の蒸し返しを防止するための条項(清算条項といいます。)や被害届の取り下げ、宥恕文言などを記載することがポイントとなります。
法的に有効で、かつ、不起訴や民事上の問題も解決できる内容となっていないと示談をする意味がなくなってしまいます。
示談書については、サンプルをこちらからダウンロード可能です。
もっとも、素人の方は参考程度にとどめ、示談書の作成は専門家にご依頼されることをお勧めいたします。
まとめ
強制性交等罪事件は、重大事件として捜査機関から厳しく捜査を受け、刑罰も重いものとなりがちです。
可能な限り早期から、充実した弁護活動を展開することが、不当に重い処罰を受けないためにも重要です。
また、示談が成立した場合、示談書については、適切なものを作成するために弁護士に相談の上、進めていかれることをおすすめいたします。
当事務所には、刑事事件に注力する弁護士が在籍しており、性犯罪の弁護活動を強力にサポートしています。
性犯罪でお困りの方は、まずはお気軽にご連絡ください。
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