強姦罪から強制性交等罪へ。違いとは?【弁護士が解説】

強姦罪が強制性交等罪に変わったそうですが、具体的にどのように変わったのですか?
厳罰化されたほか、肛門性交、口腔性交も処罰対象となったため、男性の被害者も想定されることとなりました。
目次
対象となる「性交」範囲の拡大
旧強姦罪は、「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。」という規定でした。
現在の強姦罪(法改正により、正式には「強制性交等罪」。以下省略)は、
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下『性交等』という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」
という規定となっています。
旧強姦罪は、「姦淫」すなわち性交のみが処罰対象でしたが、現在の強姦罪は、性交のほか、肛門性交、口腔性交も処罰対象として含んでいます。
これまで、肛門性交や口腔性交は、強制わいせつ罪として処罰されてきましたが、法改正により今後は、強姦罪として厳重に処罰されることになります。
性交と肛門性交・口腔性交とで、法定刑に大きな格差を生じさせる合理性はあるのかと問題視されるようになり、全てまとめて強姦罪で処罰されるように法改正がなされました。
厳罰化
上記条文から分かるとおり、旧強姦罪は、3年以上(20年以下)の有期懲役でしたが、法改正により、5年以上(20年以下)の有期懲役となりました。
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改正前
- 強姦罪:3年以上の有期懲役
- 準強姦罪:3年以上の有期懲役
- 強姦致死傷罪:無期/5年以上の有期懲役
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改正後
- 強制性交等罪:5年以上の有期懲役
- 準強制性交等罪:5年以上の有期懲役
- 強制性交等致死傷罪:無期/6年以上の懲役
執行猶予が付されうるのは、懲役3年以下の場合ですから、強姦罪で執行猶予を獲得することは、これまで以上に困難となりました(未遂減軽、心神耗弱減軽、酌量減軽等で減軽されることによって、執行猶予の可能性は残ります)。
強姦罪の悪質性に鑑みて、3年以上という法定刑は軽すぎるのでないかとの議論が高まり、厳罰化に繋がっています。
親告罪から非親告罪へ
これまでは、親告罪、すなわち被害者からの告訴がなければ起訴できないことになっていましたが、非親告罪となり、被害者の告訴なしに起訴できるようになりました。
被害者に告訴という行為を求めることは被害者に過度な負担となっているのではないかとの声が高まり、非親告罪化しました。
しかしながら、被害者の告訴や被害届が起訴・不起訴の決定に大きな影響を与えるであろうことは今後も変わりません。
早期の示談交渉の重要性
強姦罪は、重大な犯罪ですので、何もしなければ起訴されて有罪になる可能性が高いと思われます。
また、上記のとおり、法定刑も重く、執行猶予を獲得することも簡単には行かないでしょう。
そのため、特に早期の示談による解決が重要な犯罪といえます。
示談解決のメリットは以下のとおりです。
メリット①不起訴や執行猶予の可能性
検察官は起訴・不起訴の判断に被害者の処罰意思を重視します。
示談が成立し、被害者が被害届を取り下げ、処罰を望まない場合、起訴する必要性が低くなります。
もっとも、強姦罪は重大な犯罪であることには変わりなく、示談が成立しても、絶対に不起訴となるわけではありません。
しかし、仮に起訴されても、量刑には大きな影響を及ぼすでしょう。
状況によっては執行猶予となる可能性も高いと考えます。
メリット②民事上の問題を解決できる
被害者は、加害者に対して、民事上、不法行為に基づく損害賠償請求権を有しています。
すなわち、加害者は刑事責任とは別に、民事上の慰謝料の支払い義務があるのです。
示談は、一定の金銭での解決を合意内容とするものなので、示談が成立するということは、この民事上の損害賠償責任の問題も同時に解決できることとなります。
メリット③被害者の救済に資する
起こってしまった事件自体は取り消しようがありません。
示談が成立しても、被害者の心の傷は完全には癒えないでしょう。
しかし、示談は、被害者にとっても、過去と決別し、前を向いて生きるためのきっかけとなり得ます。
したがって、示談成立は、加害者だけでなく、被害者の救済にも資することができます。
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