在宅事件で起訴される可能性は?弁護士が解説!

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士

 

在宅事件についての質問です

犯行を認めたら家に帰してもらえるのでしょうか?

また、家に帰してもらったら、今後逮捕される可能性はないと考えていいですか?

 

 

弁護士の回答

在宅事件とは、身柄拘束をしないまま捜査を行う事件のことをいいます。

以下、在宅事件の特徴やポイントについて、詳しく解説します。

 

在宅事件とは?

警察はすべての犯罪者を逮捕するわけではなく、犯罪の重さや逃亡や罪証隠滅のおそれ等を考慮した結果、逮捕の必要性が低いという判断された場合には、身柄拘束をしないまま事件が進行していくことになります。

このように、身柄拘束をしないまま捜査を行う事件のことを、在宅事件といいます。

なお、在宅事件の捜査のことを在宅捜査といいます。

 

 

在宅事件の起訴率

日本の刑事裁判は、99.9パーセントが有罪となります。

このように起訴されるとほとんどが有罪となるため、容疑者の方にとって起訴されるか否かは極めて重大のポイントとなります。

それでは、どの程度の確率で起訴されるのでしょうか。

公表されている2019年の統計データによると、検察庁既済事件(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。)の全33万9618件のうち、起訴されたのは11万0568件でした。

すなわち、全体の約33パーセントが起訴されたこととなります。

参考:検察統計|政府統計の総合窓口

犯罪には、殺人や強盗のような重大事件から条例違反のような軽微な事件まで様々なものがあり、軽微な事件の場合、起訴される可能性は低くなる傾向です。

在宅事件は比較的軽微な事件が多いため、起訴される確率はもう少し低くなることが推定されます。

 

 

在宅事件で実刑の可能性はある?

2018年の裁判確定人員の状況を見ると全27万5901件のうち、有期自由刑(懲役など自由を剥奪する刑罰)で執行猶予がつかなったものに、無期懲役、死刑の件数を加えると1万7296件となっています。

また、刑罰としては罰金刑が一番多く、22万2841件でした。

参考:法務省|犯罪白書

このような刑事裁判の状況からすると、在宅事件の場合に懲役刑等になる可能性は、一般的にはそれほど高いとはいえないと考えられます。

もちろん、在宅事件の中にも重大事件もあります。

したがって、状況しだいでは懲役等の可能性も十分あると考えるべきです。

また、罰金刑の場合であっても、前科がつくことには代わりがありません。

前科がつくことで様々な不利益が想定されるため、在宅事件であっても、不起訴を獲得することが最重要となります。

 

 

在宅事件の流れ

①警察の取り調べ

在宅事件の場合、普段と変わりない生活を送りながら、捜査機関の捜査に対応することになります。

事件が発覚した後、まずは警察から取り調べに出頭してほしいという旨の連絡があります。

この連絡は電話の場合もありますし、家などに直接警察官が来て任意同行を求めてくる場合もあります。

取り調べの回数は事件の内容にもよりますが、犯行を認めている事件であっても2〜3回程度は行われる傾向があるように思われます。

事実や認識と異なる内容が記載されている供述調書に署名押印をしてしまうと、後から取り返しがつかないことになりかねませんので、十分にご注意ください。

 

②検察庁への送致

警察での取り調べがすべて終了した後は、事件の証拠一式が検察庁に送られます(報道用語では書類送検などといわれます。)。

検察庁への送致は事務的なものですので、被疑者の状況として何かが変化するわけではありません。

警察での取り調べの後に「次は検察庁から呼び出しがあると思う」などといわれた場合は、送致が近いと考えてよいでしょう。

 

③検察官の取り調べ

検察官が証拠を検討した後、処分を決定するにあたって必要であると判断されれば、検察官からも呼び出しの連絡が来ます。

実際にはほとんどの事件で呼び出しがあるでしょう。

犯行を認めている事件の場合、検察官の取り調べは1回のみで終了することがほとんどです。

取り調べの内容も警察での取り調べの要点をまとめるような内容となることが多いですが、裁判になった場合に証拠能力が認められやすいのは検察官の面前で作成した供述調書の方です。

仮に警察の面前で作成した供述調書に事実と異なる点がある場合には、検察官の面前で作成する供述調書もその通りの内容にならないよう、注意してください。

 

④刑事処分の決定

検察官が処分を決定するために必要な捜査・検討を全て終えた後、起訴不起訴が決定されます。

略式手続きによる罰金刑となる場合は、検察官の取り調べが終了した直後に処分を言い渡されることが一般的ですが、後日改めて呼び出されることも稀にあります。

他方、不起訴とされる場合、ほとんどのケースで検察官からは何の告知もされません。

弁護人がいる場合は、検察官に処分結果の確認をしてもらうとよいでしょう。

 

※在宅事件に要する期間について

取り調べに要する期間は、事件自体の複雑性や証拠収集の難易度にもよりますが、当該捜査機関がどれだけ身柄事件を抱えているかによっても大きく左右されます。

被疑者の身体拘束期間が決まっている以上、捜査機関は身柄事件を優先的に取り扱う必要があるため、在宅事件の捜査まで手が回らないという状況になる場合があるからです。

犯行を認めている事件の場合、一つの目安として、検察官への送致までに1か月弱、検察官が処分を決定するまでに更に1か月弱程度を要すると考えておくとよいかもしれません。

 

 

在宅事件の取り調べの4つの注意点

在宅事件の場合、スムーズに取り調べが進むと考えておられる方が多いのではないでしょうか。

実際には在宅事件であっても、取り調べで気をつけなければならないことは残っているのです。

ここでは、在宅事件の場合の注意点について確説します。

 

注意点①供述調書作成の注意点

警察から疑われている犯罪に身に覚えがある場合、犯行を認めることは賢明な判断といえます。

しかし、自分としては正直に記憶している事実を伝えているのに、取り調べで警察官から別の可能性を提示されて、「本当はこうだったんじゃないのか?」「このことを認めないと反省したことにはならないぞ。」といったことを言われることがあります。

取り調べを行う警察官に自分の反省を分かってもらわないと、逮捕されるのではないか、刑罰が軽くならないのではないかという不安感から、このような警察官の見立てに沿った供述に変更してしまうケースもあることでしょう。

しかし、このように自分の認識と違うと思いながら供述を変えてしまった場合、完成した供述調書は往々にして警察官の都合がいいように仕上がっています。

供述調書のその後

捜査機関にとって都合がいい供述調書とは、犯罪の立証がより簡単にできる証拠となり、後々裁判で使われてしまいます。

具体例をあげてみましょう。

具体例 確信がなかった場合の例

ひき逃げの事案で、本当はぶつかったかどうか確信がなかったという状況。

警察官から無理矢理「ぶつかったと認識したのに、その場を去った」という供述調書を書かされると、上記の場合、救護義務等に違反した故意の認定の証拠になってしまいます。

 

ポイント

警察官は取り調べを行いますが、最終的に起訴不起訴の決定権限を有しているのは検察官です(刑事訴訟法247条、248条)。

刑事事件における「嘘」とは、自分の認識と異なる事実を供述することであり、客観的事実と異なる供述をすること自体は「嘘」ではありませんから、きちんと説明をすれば、検察官は分かってくれるはずです。

そのため、自分の認識と異なる場合に警察官の言いなりになって供述をしたり、自分の認識と異なる記載となっている調書に署名押印したりする必要はないのです。

ただし、勘違いしてほしくないのは、最初にした供述を絶対に変更しないことが正しいといっているわけではありません。

仮に警察官の発言を聞いたり証拠を見せられたりして、自分の認識が間違っていたと考えた場合には、供述を変更して何も問題はないのです。

重要なのは、自分が記憶している事実や、当時の認識を正確に伝えることです。

反省するということは、決して警察官の言いなりになることではなく、自分が行ってしまった犯罪に向き合うことです。

 

注意点②後から逮捕されることもある

在宅事件とされたから、もうこの事件で逮捕されることはないと楽観視できるかというと、そうではないのです。

逮捕は、要件さえ満たせばいつでも出来るものであり、在宅事件として扱われることになったとしても、その後に逮捕の必要性が高くなったと考えられた場合には、逮捕される可能性があるのです。

合わせて読みたい
逮捕の要件について

在宅事件となった後に逮捕される可能性が生じてくるのは、例えば警察からの連絡があっても無視する等、任意の取り調べに応じなくなった場合や、証拠隠滅を疑われるような行動をした場合です。

ここで注意するべきなのは、顔見知りの人が被害者である場合に、加害者が直接示談を行おうとすることです。

直接謝罪したいという気持ちからの行動だとしても、警察や被害者からすれば、被疑者が直接被害者に接触することで、被害届を取り下げたり証言を変えたりするよう圧力をかけるのではないか、と考えられてしまいます。

このような行動をとってしまうと、罪証隠滅のおそれがあるのではないかと捜査機関に疑われ、逮捕の必要性が高まったと判断される可能性があります。

 

注意点③連絡が来ない場合

在宅事件の場合、起訴されるか否かがはっきりするまでに、時間がかかることがあります。

特に、それほど重大な事件ではない場合、捜査機関が他の事件を優先するため後回しにされてしまい、連絡が来ないという状況が見られます。

このような状況が続くと、容疑者の方は今後どうなるのか、ご不安でたまらないでしょう。

このような場合、弁護士を通じて捜査の状況を確認してもらったり、今後の見通しについて助言を求めるとよいでしょう。

 

注意点④取り調べの回数

在宅事件の場合、取り調べの都度、警察から呼び出しがあります。

何回くらい呼び出しがあるのか、いつまで続くのか、ご心配されている方も多いでしょう。

ケース・バイ・ケースとなりますが、軽微な事案で犯行を認めている場合は、1〜2回程度の取り調べが多い傾向です。

反対に、証拠が不十分な場合や重大な事案の場合、取り調べの回数が多くなる傾向です。

 

 

不起訴を獲得するポイント

POINT①捜査への協力

犯行自体が間違いないのであれば、容疑を認めて捜査に協力することがポイントとなります。

比較的軽微な犯罪の場合、反省の態度を示すことで不起訴処分としてくれる可能性が出てきます。

また、重大事件の場合、起訴されても、情状がよくなり、執行猶予や減軽の可能性があります。

 

POINT②示談を成功させる

被害者がいる犯罪の場合、示談の成否が起訴に大きく影響します。

被害者との示談が成立し、被害届が取り下げられれば、検察官としても起訴をする必要性が乏しくなるからです。

示談交渉は起訴を獲得するために重要ですが、弁護士に依頼した上で行うことをお勧めいたします。

また、在宅事件には逮捕や勾留を行なったときのような時間制限(最大23日間)がないことから、最終的な処分が決まるまでに時間がかかることがあり、不安な気持ちのまま過ごさなければならないというデメリットがありますが、迅速に示談交渉を行うことで、早期に不起訴の判断を受けられる可能性も高くなり、在宅事件のデメリットを軽減することも出来ます。

 

 

 

まとめ

以上、在宅事件について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。

在宅事件では、一般的には服役する可能性はそれほど高くありません。

しかし、罰金刑であっても前科がつくことになってしまうため、刑事弁護においては不起訴の獲得が重要となります。

不起訴を獲得するためには示談交渉の成功が大きなポイントとなります。

示談交渉を成功させるために、できるだけ刑事事件を専門とし、示談交渉の経験が豊富な弁護士にご相談されるようにしてください。

この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 


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