任意捜査とは?|弁護士が注意点や強制捜査との違いを解説

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー


任意捜査とは

任意捜査とは、強制に至らない捜査手法をいいます。

すなわち、相手方の承諾や同意を前提する場合(事件関係者の取調べなど)や、人の権利義務に影響を及ぼすことなく行う場合(公道上での実況見聞など)がその典型です。

任意捜査としては、以下のものがあげられます。

刑訴法に規定があるもの

  • 被疑者の出頭要求、取調べ及び調書の作成(刑訴法198条)
  • 参考人の出頭要求、取調べ及び調書の作成(刑訴法223条)
  • 領置(刑訴法221条)※
  • 鑑定、通訳及び翻訳の嘱託(刑訴法223条)
  • 公務所等への照会(刑訴法197条2項)

※領置とは、被疑者その他の者が遺留した物、又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物について、捜査機関がその専有を取得する処分をいいます。

引用元:刑事訴訟法|電子政府の総合窓口

 

刑訴法に規定がないもの

  • 実況見分 ※1
  • 被害届等の受理
  • 承諾による捜索、留置
  • 承諾による身体検査、指紋の採取等
  • 写真撮影
  • 録音 ※2
  • おとり捜査 ※3

※1 実況見分とは、五官の作用によって物や場所の性質、状態を認識することを目的とする任意処分です。これに対して、検証は強制処分として行うものです。
※2 公開の場での演説や現に行われている犯行現場での音声等の録音は任意捜査として許されると感がえまれます。これに対して、令状なく人の住居に入り込んだり、外部から特殊装置を用いるなどしてその言動を盗聴することは許されません。
※3 おとり捜査は無制限ではありませんが、一定の要件のもとに適法となります(最決平16.7.12)。

引用元:最高裁|裁判例結果詳細

引用元:刑事訴訟法|電子政府の総合窓口

 

 

任意捜査の原則について

刑事訴訟法197条1項によれば、強制捜査を行いうるのは、刑事訴訟法に「特別の定のある場合」のみであり、捜査を行うにあたっては、任意捜査によることが原則とされています。

任意捜査については、無制限に認められるわけではありません。

過去の判例において、任意捜査については「必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される」とされています(最判昭和51年3月16日)。

引用元:最高裁|裁判例結果詳細

 

 

強制捜査とは

強制捜査とは、直接物理的な力を加え、あるいは、法的義務を負わせるなどの強制手段(強制処分)を用いて行う捜査をいいます。

強制捜査は刑事訴訟法に特別の定めがある場合に限って行うことができます(刑訴法197条1項但書)。

強制処分をまとめると次表のとおりとなります。

 

 

任意捜査の対象となった場合の注意点

被疑者として、任意に取り調べに応じても、長時間にわたって、執拗な取調べがなされて、事実と異なる供述調書を取られたりする危険もあります。

これらの供述調書等は証拠として裁判所に提出されることがあり、そうなると、冤罪のおそれや、悪質な犯罪とされて罪が重くなってしまうことも考えられます。

したがって、捜査段階だからと言って安心せずに注意することが必要です。

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任意捜査を拒否できる?

任意捜査に関しては、「任意」という言葉どおり、必ず受けないといけないわけではありません。

そのため、令状の発付を受けていない警察官から捜査への協力を求められたとしても、拒否することは可能です。

しかし、任意捜査を受けないと、逮捕されるなどの心理的な背景をもとにした、事実上強制的な捜査手法が行われることが考えられます。

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任意捜査で起訴される場合の流れ

捜査機関から証拠物を任意提出するよう要求される

任意捜査により犯罪の証拠が出てきた場合、捜査機関は当該証拠物を任意提出するよう求めてきます。

これを拒否したとしても、いずれ捜索差押許可状の発付を受け、強制的に差し押さえられる可能性が高いといえますので、この時点ではもはや拒否する実効性は低いと考えられます。

捜査機関にて証拠物の確保・裏付けをとる

そして、証拠物の確保に加え、任意捜査の対象者から話を聞き、裏付けをとります

事件が検察庁に送致される・起訴

その後、事件が検察庁に送致され、犯罪の立証のために必要な証拠が十分に揃ったと判断されれば、起訴されることになります。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

任意捜査を受ける場合、捜査機関が任意捜査の限界を超えないよう、注意しておく必要があります。

任意捜査の中で捜査機関のやり方に疑問を持つことがありましたら、一度刑事事件に注力する弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

 


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