銃刀法違反になる行為とは?刑罰や逮捕された場合の流れ

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
  

銃刀法違反とは何か

銃刀法とは、銃砲刀剣類所持等取締法の略称です。

銃刀法違反は、銃砲・クロスボウ・刀剣類を権限なく違法に所持することなどの場合に問題となります。

銃砲・クロスボウ・刀剣類に該当するものは下表のとおりです。

銃刀法違反に該当するもの

銃砲 けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(注1)をいう(2条1項)。
クロスボウ(注2) 引いた弦を固定し、これを解放することによって矢を発射する機構を有する弓(注3)をいう(3条1項)。
刀剣類 刃渡り15cm以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(注4)をいう(2条2項)。

(注1)人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいいます。

(注2)令和4年3月15日に改正銃刀法が施行され、銃刀法の規制対象に追加されました。令和4年9月15日以降、権限なくクロスボウを所持すると、罰則の対象となります。

(注3)内閣府令で定められた方法によって測定した矢の運動エネルギーの値が6.0ジュール以上となるものをいいます。市販されているクロスボウは基本的に規制対象となるとされています。

(注4)刃渡り5.5センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であってみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で1cmの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除きます。

引用元:銃刀法|e−GOV法令検索

 

 

銃刀法違反の刑罰について

違法に所持した場合の刑罰は対象となる銃砲刀剣類によって異なります。

まとめると下表のとおりです。

所持した物 刑罰
けん銃 1年以上10年以下の懲役
猟銃 1月以上5年以下の懲役または100万円以下の罰金
クロスボウ 1月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金
刃渡り15センチメートル以上の刀
刃渡り5.5センチメートル以上の飛び出しナイフ
1月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金
刃体の長さが6センチメートルを超える刃物 1月以上2年以下の懲役または30万円以下の罰金

(注)銃砲・クロスボウ・刀剣類は、許可などの権限がなければ所持そのものが禁止されますが、包丁やはさみなどの刃物は、正当な理由がある場合には携帯することが許されます。

初犯の場合の刑罰は?

これまでに起訴されて有罪判決を受けたことがないという初犯の場合には、十分に反省し、家族等による監督を約束すれば、不起訴処分や罰金刑となることが多く、初犯でいきなり懲役刑を受ける(刑務所に入る)ことは考えづらいといえます。

しかし、次のようなケースでは、初犯であっても懲役刑を受ける可能性がありますので、起訴されてしまった場合には、執行猶予付きの判決の獲得を目指すことも視野に入れて弁護活動を行わなければなりません。

  • トラブルの際に銃砲や刀剣を見せつけるなど、被害者が存在するケース(示談をできるかどうかが重要になります)
  • 所持(携帯)していた銃砲や刃物の数が多かったり、殺傷能力がとても高く危険性が大きいケース
  • 売り渡して利益を得る営利目的や、何らかの犯罪に用いるために所持(携帯)していたケース
  • 強盗の際に刃物で脅迫したなど、実際に犯罪を犯したときに所持(携帯)していたケース(このように、別の犯罪と同時に銃刀法違反で検挙されるケースも一定数見受けられます)

 

 

銃刀法違反はどこまで規制される?

銃刀法違反となる・ならないかは、銃砲・クロスボウ・刀剣類と、刃物とで区別して考える必要があります。

所持(携帯)が認められないケース

①銃砲・クロスボウ・刀剣類

公安委員会の許可を受けていなければ、所持は認められません。

許可を受けることができないケースには次のものがあり、銃刀法に定められています。

<許可を受けることができないケース>
  • 一定の年齢に達していない者
    • ※猟銃:原則20歳(日本スポーツ協会等から推薦を受けた場合18歳)
    • ※空気銃・クロスボウ:18歳(空気銃で日本スポーツ協会から推薦を受けた場合14歳)
  • 精神障がい又は発作による意識障がいをもたらし、その他銃砲又は刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにかかっている者
    • ※政令で定める病気:統合失調症、そううつ病、てんかん等又は認知症
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • いわゆる暴力団関係者
  • 他人の生命・財産又は公共の安全を害するおそれがあると認められる者
  • 銃又はクロスボウの構造・機能が基準に適合しない場合
  • その他法令で定める事項に該当する者

②刃物

正当な理由なく携帯していれば、銃刀法違反になります。

どのようなケースが正当な理由な理由に当たるのかは、銃刀法には「業務その他正当な理由による場合」との定めがあるだけですので、個別具体的に判断する必要があります。

正当な理由がないとされ得るケースは、次のとおりです。

<正当な理由がないとされ得るケース>
  • 護身用に携帯していた場合
  • 防犯目的で携帯していた場合
  • アクセサリー感覚で身に付けていた場合
  • 特に理由はないけれども、何かあったときに便利だからという理由で、車に載せたままにしていた場合

所持(携帯)が認められるケース

①銃砲・クロスボウ・刀剣類

許可を受けることができるケースには次のものがあり、これも銃刀法に定められています。

<許可を受けることができるケース>
  • 狩猟目的の場合
  • 有害鳥獣駆除目的の場合
  • 標的射撃目的の場合
  • 動物麻酔目的の場合

ただし、許可を受けている場合でも、銃と弾薬はなるべく別の場所に保管しておくべきであるなど、所持の態様(仕方)に一定の制限がある点には注意が必要です。

②刃物

刃物を携帯する正当な理由があるとされ得るケースは、次のとおりです。

<正当な理由があるとされ得るケース>
  • 店で購入して家に持ち帰る途中の場合
  • キャンプや釣りなどのアウトドアで使うために持ち運んでいた場合
  • 料理人が家から職場まで持ち運ぶケース

銃刀法で規制される刃物は、刃体の長さが6センチメートルを超えるものですが、刃体の長さが6センチメートルを超えていなくても、「正当な理由がなく…隠して携帯していた」場合には、軽犯罪法1条2号違反となり、拘留(1日以上30日未満)又は科料(1000円以上1万円未満)が科せられますので、注意が必要です。

引用元:軽犯罪法|e−GOV法令検索

軽犯罪法の「隠して携帯」するとは、自宅又は居室以外の場所で、手に持ったり身に付けるなど、直ちに使用できる状態で、人目につかないように隠して身辺に置くことをいいます。

たとえば、次のようなケースがこれに該当します。

<隠して携帯するに該当するケース>
  • ポケットの中に入れたりするなど、人目に触れにくくして持ち歩いていた場合
  • 車のトランクに入れておくなど、車内に隠し持ったりしていた場合

 

 

銃刀法違反で逮捕された場合の流れ

ここでは、銃刀法違反で逮捕された場合の流れを、手続の段階ごとにお伝えします。

銃刀法違反で逮捕された場合の流れ

逮捕

銃刀法違反は、職務質問の際に所持品検査を受けて、現行犯逮捕されるケースが多いです。

逮捕されれば、警察署の留置場に連行され、最大で72時間身柄を拘束される可能性があります。

この間、被疑者は、弁護士以外の外部(家族・友人・会社など)との面会や連絡は禁止されます。


送検

逮捕されてから48時間以内に、身柄と事件が検察官に送られます。これを送検といいます。

ここでは、逮捕に引き続いて勾留を請求する必要があるか、必要がある場合には、検察官による弁解録取と、裁判官による勾留質問が行われます。

勾留

約94%の事案で、逮捕に引き続いて勾留を請求されます。

参考:犯罪白書|令和3年

勾留されれば、最大で20日間身柄を拘束される可能性があります。

勾留段階では、逮捕段階と異なり、家族・友人・会社などの弁護士以外の外部との面会や連絡が可能となることが多いのですが、それでも、弁護士以外との面会には、平日の日中のみ・1日1回まで・1回15分まで・警察官の同席ありなど、様々な制限があります。

起訴

日本の裁判の有罪率は99.9%ですから、起訴されると、ほぼ必ず前科が付くことを意味します。

参考:犯罪白書|令和3年

身柄を拘束されたまま起訴されれば、保釈を請求して身柄拘束から解放する必要がありますし、保釈が認められたとしても、裁判は平日の日中に行われますので、裁判を受けるために仕事や学校を休む必要があります(争いがなく認めている事件でも、起訴されてから約1か月で1回目の裁判があり、そこから約2週間で判決のための裁判があるため、少なくとも2回裁判を受けることになります)。

仮に執行猶予付きの判決を得られたとしても前科が付くこと、平日の日中に裁判を受ける必要があることなどの負担を考えれば、不起訴処分を狙う弁護活動が極めて重要になります。

 

 

銃刀法違反で逮捕されたら?刑事弁護のポイント!

銃刀法違反を認める場合

逮捕と勾留を回避するには?

銃刀法違反は、基本的に現行犯逮捕されます。

そして逮捕に伴って、けん銃やナイフを差し押さえられます。

逮捕の後は、勾留に移行することがあります。

すでにお伝えしたとおり、逮捕は最大でも3日間の身体拘束ですが、勾留は最大20日の身体拘束となります。

勾留されると、会社を長期間休まざるを得なくなり、会社に銃刀法違反の事実が知れ渡るリスクや、会社を解雇されるリスクが大幅に高まってしまいます。

そのため、勾留されないように働きかけることが重要な弁護士の活動になります。

合わせて読みたい
逮捕されないために

不起訴を獲得するために

また、起訴されると、懲役刑や罰金刑を科され、前科がついてしまいますから、職業によってはそれだけで解雇処分を受けてしまいます。

不起訴処分を得られるように努めることも重要な弁護活動になります。

 

執行猶予を獲得するために

さらにいえば、仮に起訴された場合であっても、執行猶予付きの判決が出れば、刑務所に入る必要がなくなりますから、執行猶予の獲得も重要な目標になります。

早期の釈放や不起訴処分の獲得、執行猶予の獲得のために必要なのは、銃刀法違反行為を行った理由を警察官や検察官に正直に話し、今後同様の行為に及ばないための更生プロセスを検察官に説得的な形で提示することです。

例えば、人から襲われるという恐怖心からナイフを持ち歩いていたという場合であれば、その恐怖心の原因を突き止め、その原因を取り払うことによって、今後は銃刀法違反に及ぶおそれがないことを検察官に示します。

先輩等からけん銃を預かるように言われ、断れずに所持していたような場合であれば、その先輩等との関係を絶ち切ることによって、今後は銃刀法違反行為に及ぶおそれがないことを検察官や裁判官に示します。

また、ナイフを他人に示したケースであれば、その他人が事実上の被害者として扱われますから、その被害者に謝罪し、許しを得ることも重要になります。

弁護士の熱意と技量が、早期釈放、不起訴処分、執行猶予付き判決獲得のために重要です。

刑事事件に注力する弁護士を選任することが重要となります。

無実を争う場合

けん銃やナイフを所持していたのが自分ではなく一緒にいた友人である場合や、所持していたという事実が全く無い場合などは、けん銃やナイフの所持を認めず、無罪を主張していくことになります。

友人が勝手に被疑者のカバンなどにけん銃やナイフを忍ばせたような場合にも、故意がないとして銃刀法違反を認めず、無罪を主張することになります。

銃刀法違反の場合も、起訴されてしまうと、かなり高い確率で有罪となってしまいますから、その前に不起訴処分を獲得することが重要です。

そこで、被疑者から選任された弁護士は、起訴される前に積極的に検察官と接触を持ち、無罪の証拠を提出し、有罪と断定することができないことを主張していく必要があります。

無実を主張すると同時に、早期釈放を求めていきます。

これらの活動は、弁護士の技量と熱意が必要不可欠です。刑事事件に注力する弁護士を選任することが重要となります。

 

 

まとめ

銃刀法違反は、銃砲・クロスボウ・刀剣類を許可なく所持するケースや、正当な理由なく刃物を携帯するケースが該当します。

また、銃刀法に該当しない刃物でも、隠して携帯していれば軽犯罪法違反になる可能性があります。

初犯であれば、起訴猶予による不起訴処分や罰金刑となることが多いですが、トラブルの相手に見せつけて被害者が存在するケースや、営利目的が認められるケースでは、実兄の可能性があるので執行猶予付きの判決を目指す必要もあります。

銃刀法違反で逮捕された場合、勾留を阻止などの早期釈放、不起訴処分、執行猶予付きの判決を実現する必要がありますので、刑事事件に精通した弁護士への相談・依頼をお勧めします。

 

 



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