雇用調整助成金を不正受給したら逮捕される?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

雇用調整助成金とは

緊急事態宣言の期間が再延長されるなど、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見えず、事業主の方々にとって苦しい日々が続いています。

そうした窮状を少しでも緩和すべく、一定の条件を満たした事業主に対し、政府から「雇用調整助成金」が支給されています。

雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整、すなわち休業を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

時短営業要請が長引いている中で、雇用の維持が困難になる事業主にとっては、多少なりとも一助になりうる助成金の一つであるといえるでしょう。

 

 

雇用調整助成金の不正受給をめぐる報道

近時、雇用調整助成金の不正受給が発覚し、事業主が逮捕されてしまったという報道が度々なされています。

令和2年度に支給されていた持続化給付金に関しても詐欺行為は横行していましたが、雇用調整助成金についても同様、虚偽の申請を行い、本来は受給できないはずの助成金を受給してしまうケースが後を絶たないようです。

持続化給付金に関しては、企業や個人事業主の生活を守るという目的を優先した結果、審査が非常に甘いものになってしまい、不正な申請が相次いでしまいました。

その結果、逮捕者が続出し、1万人を超える受給者から返金の申し出がなされる事態になりました。

こうした反省を受けてか、雇用調整助成金の審査に関しては、持続化給付金に比べてより厳格な審査を行うことで、不正受給の数を減らしています。

しかし、そうした審査の網をかいくぐり、不正受給をしてしまったケースも存在します。

厚生労働省の調査によれば、雇用調整助成金の不正受給は、これまでに確認できただけで40件を超えており、その金額は3億円に迫るようです。

さらに、審査の段階で不正受給が疑われ、支給されなかったケースも40件近く確認されており、金額にして4億円を超える金額が不正に支払われる可能性があったのです。

引用元:厚生労働省・山口労働局・ハローワーク

 

 

雇用調整助成金の不正受給・詐欺が発覚するまで

雇用調整助成金の不正受給は、申請時点のみならず、支給後の事後的なチェックにより発覚する可能性があります。

具体的には、雇用調整助成金の支給を受けた企業に対し、事前連絡なく行政機関による立ち入り検査が行われることがあります。

その際に、本来の勤務実態が明らかになることで、不正な申請がなされていたことが発覚してしまうのです。

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発覚した場合、どのようなリスクがあるか

雇用調整助成金の不正受給が発覚した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

金銭的な負担の増大

まず、不正が発覚した場合、最初の判定基礎期間以降に支給された助成金の全額の返還を求められることになります。

加えて、不正受給の日の翌日から、返還すべき金額を納付する日までの期間につき、年5%の割合で算定した延滞金、さらに不正受給により返還を求められた額の20%相当額を上乗せして支払わなければならなくなってしまいます。

そして、不支給とされた日、または支給を取り消された日から5年の間、雇用保険料を財源としたすべての助成金の受給が禁止されてしまいます。

 

重大な社会的制裁

以上が、通常の不正受給の事案におけるペナルティになります。

しかし、不正受給の金額が高額であるなど、結果が重大であったり、悪質であると認められるような場合は、以下の内容について報道されることになってしまいます。

  • 不正受給を行なった事業主の名称・代表者の氏名
  • 不正受給を行なった事業所の名称・所在地・事業の概要
  • 不正に受給した助成金の支給決定が取り消された日と不正受給の金額、及び不正の内容
  • 社会保険労務士等が不正に関与していた場合、それらの者の名称・所在地

これらが公表されてしまった場合、事業所の社会的評価は大きく傷ついてしまうことになります。

 

刑事告訴の恐れ

さらに、事業主に対して助成金申請の代行を申し出て、多額の不正受給に関与したなど、悪質性が極めて高い事案においては、刑事告訴がなされ、裁判にかけられるケースも十分に想定されます。

場合によっては、今後の営業を継続していくことも困難になりうるほどのダメージを負ってしまうかもしれません。

目先の助成金に目が眩んで、将来的に回復不可能な損害を負ってしまうようでは、本末転倒と言わざるを得ませんので、絶対に不正受給はしないようにしなければなりません。

 

 

デイライト法律事務所のサポート

万一、不正受給をしてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。

このような場合は、速やかに刑事事件に注力する弁護士に相談の上、弁護士を同行させて最寄りの警察署に自首をするべきであるといえます。

不正受給が発覚した場合、悪質性によっては警察に通報される可能性も十分にあります。

捜査機関に不正受給の事実が伝わるよりも先に自首をすることにより、深く反省していることを伝えることができ、逮捕のリスクを下げることができます。

加えて、早期に弁護士を通した示談交渉を行い、被害弁償を行うことができれば、最終的な処分にも大きく影響を及ぼすことができます。

また、自首をして自ら返金を申し出たような場合、場合によっては上述した延滞金等の返済を免除され、受給額のみを返還すれば良いとされる可能性もあります。

つまり、少しでも早く動き出せば、その分最終的な結果も軽く済ませられる可能性があるのです。

逆に、発覚しないことに賭け、毎日怯えながら生活をしていたとしても、いずれ発覚する可能性はありますし、心情的にも落ち着かない日々が続き、精神的に疲弊してきてしまいます。

ご自身が行ってしまったこととしっかりと向き合い、自らの意思で自首を行うことにより、精神的にも楽になりつつ、その後の処分も軽減が見込まれます。

他方、行政機関は事後的にでもチェックを緻密に行い、不正受給の事実を詳細に調査しますので、発覚しないまま逃げ切れる可能性は高いとはいえません。

そのため、不正受給の自首に関してはメリットの方が大きいといえます。

デイライト法律事務所では、自首同行サービスをご提供しております。

自首に関しては、こちらをご覧ください。

お一人での自首が不安であることは当然です。

刑事事件に注力する弁護士が同席することで、心理的な安心感を得つつ、不当な取り調べも未然に防ぐなど、様々な効果が期待できます。

お困りの際は、是非一度、弊所にご相談ください。

 

 

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