私選弁護士とは?国選弁護人との違い・費用相場・メリット

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

私選弁護士とは?

私選弁護士(しせんべんごし)とは、逮捕された本人やそのご家族が、自分の意思で自由に選んで依頼する弁護士のことです。

国選弁護人との大きな違いは、「必要なタイミングで依頼できる」「自分の意思で弁護士を決めることができる」という点で、私選弁護士のメリットでもあります。

国選弁護人は「自分で弁護士を選べない・変更できない」「取り調べ・逮捕段階では選任できない」という特徴があるのです。

刑事事件は、起訴されると99.9%は有罪となってしまうため、逮捕される前に適切な弁護活動を行うことが重要です。

そのため、必要なタイミングで、信頼できる弁護士を選びたい場合は、私選弁護士を探すことになります。

「国選と私選、結局どちらがいいの?」「高い費用を払う価値はある?」とご不安な方のために、この記事では私選弁護士と国選弁護士との違い、私選弁護士のメリットや費用相場を分かりやすく解説します。

私選弁護士とは?

 私選弁護士とは

私選弁護士の読み方は「しせんべんごし」

私選弁護士は、「しせんべんごし」と読みます。

意味合いは同じですが、別の呼び方として、国選弁護人と対比して「私選弁護人(しせんべんごにん)」と呼ばれることも多いです。

 

被疑者・被告人や家族が自分で選ぶ弁護士のこと

私選弁護士とは、被疑者・被告人本人や、その家族が自分で刑事弁護に関する委任契約を交わして選んだ弁護士を指します。

国選弁護人は国(地方自治体)が選任するものですから、その対比として、私人(一般の人)が自分で選任する弁護士という意味合いで使われる用語になります。

 

私選弁護士を依頼(選任)できる人の範囲

私選弁護士を選任できる人は、刑事訴訟法において決められています(刑事訴訟法第30条2項)。

本人の他、その法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹が、私選弁護士を選ぶことができます。

参照:刑事訴訟法|e-Gov法令検索

つまり、自分の親や子供の事件では弁護人を選ぶ権利がありますが、叔父などが被疑者となっている場合には弁護人は選べないということになります。

 

国選弁護人とは?

国選弁護人とは、刑事事件の容疑者が経済的事情により弁護士に依頼できない場合に、国によって選任される弁護人です。

被疑者段階では、勾留されている間だけ、どのような事件でも国選弁護人が選任されることになっています。

起訴された後は、一定の資力要件を満たす場合や、必要的弁護事件のみで選任されます。

 

 

【比較表】私選弁護士と国選弁護人の主な違い

私選弁護士 国選弁護人
選任する方法 自分で弁護士を探して契約する 国が選任する
費用 有料 原則無料
依頼できる時期 制限無し 起訴前:勾留決定(逮捕から約3日後)以降
起訴後:起訴されてから数週間程度
対象となる事件 制限無し 起訴前:勾留された事件のみ
起訴後:必要的弁護事件または被告人に資力がない場合
専門性 専門特化している弁護士を選ぶことも可能 選任された弁護士が専門性を有していない場合もある
弁護士の変更 いつでも可能 原則不可

 

弁護士の選任のタイミング

私選弁護士は、自分が弁護を依頼したいと思ったタイミングで、いつでも選任することができます。

もちろん依頼した時期によって弁護士ができることは変わってきますが、選任のタイミングは自由といえます。

これに対し、国選弁護人は、勾留という手続きが取られて初めて選任されます。

勾留という手続きは、逮捕に引き続いて一定の期間身体拘束を行う手続きです。

したがって、逮捕されていない事件では、起訴前に国選弁護人は選任されません。

また、逮捕された場合でも、逮捕から約3日が経たないと勾留に移行しませんので、若干のタイムラグが生じます。

 

弁護士を自分で選べるかどうか

私選弁護士は、契約する弁護士を自分が自由に選ぶことができます。

社会一般で行われる契約と何も変わるところはありません。

例えば、どこの携帯会社と契約するかを自分で自由に選べることと同じです。

他方、国選弁護人は、その名のとおり、国が誰を選任するかを決定します。

したがって、「国選弁護人をこの弁護士にしてほしい」というような希望は一切通りません。

 

弁護士に専門性があるかどうか

弁護士にはそれぞれ得意分野があります。

刑事事件を普段からたくさん取り扱っているような弁護士もいれば、年に数件やるかどうかという弁護士もいます。

私選弁護士を選ぶ場合は、刑事事件をたくさん取り扱っている弁護士を自分で探すことができます。

したがって、専門性を有している弁護士に依頼することも十分に可能でしょう。

他方、国選弁護人は、国が登録名簿の中から独断で選任します。

国選弁護人の登録は、弁護士であれば誰でも行うことができますから、普段は刑事事件を取り扱っていない弁護士も当然含まれています。

そのため、刑事事件に熱心な弁護士が担当してくれるとは限りません。

弁護士の専門性に少しでも不安があるようであれば、自分で納得できる弁護士を探した方が後悔は少ないでしょう。

 

弁護士費用の発生有無と負担者

私選弁護士の場合、当然契約に基づいた着手金等を自分で支払う必要があります。

他方、国選弁護人の場合、基本的には弁護士費用を国が負担してくれます。

現預金が50万円未満であれば国選弁護人の費用はかからないと考えて差し支えありません。

 

 

私選弁護士を選ぶ6つのメリット|高い費用を払う価値はある?

私選弁護士を選ぶ7つのメリット

逮捕直後(72時間以内)の迅速な接見と早期釈放の実現

私選弁護士と契約する場合、すぐに活動を開始できるケースが大半です。

逮捕直後に依頼をしたとして、すぐに接見に向かってもらい、早期釈放のための活動に移行することが可能になります。

国選弁護人は勾留後からしか利用ができませんので、私選弁護士の方が迅速な釈放を実現できる可能性があるといえます。

 

刑事事件の実績がある「強い弁護士」を指名できる

私選弁護士であれば、契約者が納得のいく弁護士と契約することができます。

そのため、刑事事件の実績がある弁護士を探して指名することが可能です。

刑事事件の結果に後悔を残さないためにも、実績のある弁護士に弁護を依頼する価値はあるのではないでしょうか。

 

不当なプレッシャーから守り、不利な供述を防ぐ

私選弁護士であれば、接見の希望に比較的応じてもらえるでしょう。

捜査機関から何か不当なプレッシャーをかけられた場合には、すぐに接見を要請して相談し、適切な対応をしてもらうことができます。

取り調べへの対応方法について詳細に打ち合わせをしておくことで、不利な供述を防ぐことも可能になるでしょう。

 

被害者との示談交渉を有利に進め、前科を回避できる

犯罪を行ってしまった場合、前科を回避する方法として、被害者との示談が有効となるケースが多く存在します。

しかし、被疑者本人では被害者と示談交渉を行えないケースが大半です。

刑事事件に注力している弁護士を私選弁護士として契約していれば、被害者との示談交渉をうまく進めてもらえる可能性があります。

その結果、犯罪を行っていても起訴猶予(不起訴)処分となり、前科を回避できる可能性があります。

もちろん国選弁護人も示談交渉は行いますが、熱量によって結果に違いが出る可能性は十分にあるでしょう。

 

ご家族への密な連絡と精神的なトータルサポート

私選弁護士の場合、被疑者本人だけでなく、ご家族とも連絡を密にとってサポートを行うケースが大半です。

刑事事件の結果だけでなく、少しでも安心して事件を進めていくためには、家族のサポートまで対応してくれる私選弁護士の方が適していることが多いです。

 

相性の合う弁護士を信頼してパートナーにできる

私選弁護士は、自由に契約できるだけでなく、いつでも解任することが可能です。

依頼をする前に相性が合いそうな弁護士を見極めたり、合わないと思ったタイミングで解任して別の弁護士を探したりすることもできます。

原則として変更が効かない国選弁護人とは大きく異なるといえるでしょう。

 

 

私選弁護士のデメリット

私選弁護士のデメリットは、費用がかかるという一点に尽きます。

国選弁護人は国が弁護士費用を負担するのが原則ですが、私選弁護士は自分で費用を支払わなければなりません。

被害者との示談金なども考えると、事件の解決に要する資金が100万円を超えるケースも珍しくありません。

しかし、上記のように、費用のデメリットを上回るだけのメリットは十分存在します。

また、国選弁護人は選任されるタイミングや対象事件などの兼ね合いで利用できないこともあります。

早期に、良質な弁護活動を受けたいと望むのであれば、私選弁護士を検討するべきでしょう。

 

 

国選弁護人のメリット・デメリット

国選弁護人のメリット

私選弁護士との対比になりますが、国選弁護人を利用する場合、原則として費用を負担する必要がありません。

資力がなくとも最低限の弁護活動を受けられるという点では、費用がかからないというのは大きなメリットといえます。

 

デメリット①弁護士を選べない

国選弁護制度の最大のデメリットは、自分で弁護士を選ぶことができないという点にあります。

国選弁護は名簿に登載されている順番にしたがって機械的に割り当てられるため、誰が選任されるかはそのときの成り行きに任せるほかないのです。

また、先述のとおり、一度選ばれた国選弁護人は簡単に解任できません。

刑事事件において、弁護士選びは極めて重要です。

国選弁護人を選任するということは、弁護士を選ぶ権利を放棄するということを意味するため、この点は大きなマイナスといえるでしょう。

 

デメリット②刑事事件に強い弁護士が選任されるとは限らない

国選弁護人は名簿に登録してある弁護士の中から選ばれるわけですが、その名簿は、弁護士であれば基本的に誰でも登録できるものです。

そのため、選ばれた弁護士が必ずしも刑事事件を得意とする弁護士だとは限らないのです。

また、刑事事件を専門とする弁護士は少数です。

したがって、国選において、刑事事件を専門とする弁護士が選任される可能性は低いと考えるべきでしょう。

もちろん、刑事事件専門ではなくとも弁護士である以上、最低限の事件処理能力は備えています。

しかし、刑事事件の容疑者として勾留されているというのは人生の一大事ですので、できるだけ刑事事件に強い弁護士に依頼して安心を得たいと思うのも、また当然の感情といえます。

もし、費用を自己負担してでも刑事事件に強い弁護士に依頼して万全のサポートを受けたいということであれば、国選弁護制度は不向きといえるでしょう。

 

デメリット③ 逮捕直後は対応できない場合が多い

国選弁護制度を利用できる条件として、勾留されているか、少なくとも勾留の請求がされている必要があるとご説明しました。

言い換えると、逮捕されてから勾留請求されるまでの間は国選弁護人に依頼することはできないということです。

捜査の最初期である逮捕直後の段階で助言が得られない点は、国選弁護制度の大きなデメリットといえます。

 

 

私選弁護士の費用相場|分割払いはできる?

刑事事件の私選弁護士の費用相場

刑事事件の私選弁護士の費用は、着手金と報酬金に分かれます。

事件の内容に応じて当然費用感は変わりますが、着手金・報酬金共に30万円から50万円程度となることが多いでしょう。

詳細について気になる方は、実際に弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

 

分割払いはできる?

分割払いに対応しているかどうかは弁護士事務所によって異なります。

もっとも、刑事事件は緊急性を要する事案がほとんどであり、事件の解決までに要する時間も短いことがほとんどです。

したがって、分割払いとする場合でも、着手金は数回程度の分割までとなることが多いでしょう。

 

お金がないけれど私選にしたい場合に検討すべきこと

依頼をする資金が自分一人では用意できないものの、私選弁護士を検討したいという方もいらっしゃるでしょう。

そのような場合、親族からの援助などで費用を捻出される方も一定数いらっしゃいます。

事件のことを相談するのは気がひけるかもしれませんが、私選にしたいとの思いが強いようであれば、一度相談をしてみてください。

なお、低廉な価格設定をしている弁護士を探すというのも一つの手段ですが、当該弁護士が本当に刑事事件に強いのかはよく確認する必要があります。

価格の安さだけで弁護士を決めると、私選弁護士のメリットが十分に発揮できない可能性もありますので注意しましょう。

 

 

私選弁護人の選び方

刑事事件における弁護人の役割は極めて重要です。

そこで、私選弁護人の選び方について、考慮すべき事項を紹介します。

 

POINT①刑事事件に注力していること

刑法と弁護士バッジ日本においては、多くの弁護士は専門分野を持たずに幅広く対応しているのが実情です。

しかし、刑事事件においては、刑法・刑事訴訟法等の専門知識のほか、刑事司法に関するノウハウなどが被疑者・被告人の弁護活動に大きな影響を及ぼします。

そのため、刑事事件を専門とする弁護士であることが大切なポイントとなります。

 

POINT②迅速に対応してくれること

刑事事件においては、起訴されると、99.9%は有罪となってしまいます。

したがって、刑事事件においては、「逮捕される前に適切な弁護活動を行うこと」が極めて重要といえます。

迅速な弁護活動を行うことによって、逮捕を回避できる可能性もあります。

そのため、刑事事件はスピードが勝負であり、迅速に対応してくれる弁護士を選ぶことが重要と言えます。

 

POINT③親身に対応してくれること

弁護士阿部

弁護士は、専門的な知識と経験があれば、それだけでよいというものではありません。

特に、刑事事件の場合、一生を左右するかもしれない事件の依頼となるので、きめ細やかな対応をしてくれる、親切な弁護士がよいと思われます。

何でも気軽に相談できると依頼後も安心感を持てるでしょう。

 

POINT④実際に相談してみる

依頼を検討している弁護士と実際に会って、直接相談することで、その弁護士の専門性の高さだけでなく、ご自身との相性がわかると思います。

 

 

私選弁護士に関するよくある質問

国選弁護人と私選弁護人、どちらがいいですか?

何を重視するかで決めるのが良いでしょう。

費用面を重視するのであれば国選弁護人とするべきですし、専門性のある弁護士を確実に頼みたいと思うのであれば私選弁護士の方が無難です。

国選弁護人の中にも、刑事事件に全てを捧げているような弁護士はいますが、やはり自分で選ぶことができないというのは大きなマイナスです。

刑事処分が決まったときに、より後悔しない方を選ぶことをお勧めします。

 

国選から私選に途中で切り替えることは可能?

国選から私選に切り替えることは可能です。

私選弁護士から弁護人選任届が提出されると、国選弁護人は自動的に解任されます。

ただし、当然事件が進めば進むほど、私選弁護士から弁護を受けられる期間は短くなります。

私選への切り替えを検討される場合は、なるべく早めに切り替える方がよいでしょう。

 

家族が本人の同意なく私選弁護士を依頼してもいい?

法律上は家族が勝手に私選弁護士を依頼することは可能です。

法律上は、配偶者、親、子、兄弟姉妹等には、本人と独立して弁護人選任権があります。

したがって、本人の同意がなくとも私選弁護士を依頼することは可能です。

ただし、本人が私選弁護人を希望していない場合、弁護士が本人と接見もせずに依頼を決めてしまうような場合には、後からトラブルとなる可能性もあります。

弁護活動に支障が出る可能性もありますので、親族が本人と面会する際もしくは弁護士が接見する際に、本人の依頼意思を確認しておくことをお勧めします。

 

 

まとめ

この記事では私選弁護士について、国選弁護人との違いを交えて説明を行いました。

私選弁護士は費用こそかかるものの、国選弁護人にはないメリットがたくさんあります。

  • 刑事事件に注力している弁護士を自分で探すことができる。
  • 家族を含めたサポートが受けられる。
  • 早い段階からサポートを受けられる。 など

刑事事件で弁護が必要となった場合には私選弁護士を選任することをお勧めいたします。

当事務所は、刑事事件のご相談の予約に24時間対応しており、LINEなどのオンライン相談を活用することで、全国対応も可能となっています。

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