準強制性交等罪の幇助犯として逮捕。故意を争い不起訴を獲得した事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

罪名 準強制性交等の幇助犯
解決までの期間 20日
弁護活動の結果 不起訴

事例人物

Eさん(30代)

終電を逃した男女を泊めたことで事件に巻き込まれてしまったEさん

Eさんは、高い人気を誇るバーテンダーです。

Eさんは仕事柄、女性も含めた大人数で飲みに行くことが多く、終電を逃した複数人を家に泊めることも多々ありました。

ある日、Eさんは、終電を逃した男女2人を家に泊めてあげることにしました。

女性は、既に泥酔しており、一人では歩けない状態でした。

Eさんは、2人分の布団を用意した上、自身は別の部屋で、一人で寝ました。

翌日、目が覚めると、既に二人はいませんでした。

しかし家に泊まった男性からは、「もしかしたら、事件に巻き込んでしまったかもしれない。申し訳ない」と連絡が入り、詳しく事情を聞くと、①泥酔した女性とEさん宅で性行為をした、②女性から翌日、「警察にいきます」と連絡が入った、とのことでした。

Eさんは、自分は関与していないから問題ないであろうと考えていましたが、その男性が逮捕されてから10日後、Eさんも逮捕されるに至りました。

罪名は、準強制性交等の幇助犯でした。

※2023年法改正前の事案。改正後の罪名は「不同意性交罪」の幇助犯

自宅を提供し、準強制性交等の手助けをしたと警察から疑いをかけられたのでした。

 

 

初回接見サービスから弁護士の熱心な弁護活動により不起訴処分を獲得

Eさんは、逮捕される前から、当事務所に、相談をしていました。

弁護士は、Eさんが逮捕される可能性は十分あると考え、Eさんに対し、初回接見サービスを案内していました。

Eさんは逮捕直後に、警察を通じ、当事務所の弁護士に接見希望を出し、当事務所の刑事弁護士が即日で接見に出向きました。

弁護士は、準強制性交等の幇助犯が成立しない可能性はあるが、不起訴処分獲得のためには取調べ対応をしっかりと行う必要があると考えていました。

なぜなら、準強制性交等幇助が成立するか否かの本件における争点は、「準強制性交等幇助の故意があるか否か」であり、その故意については、客観証拠よりも本人の供述証拠が有罪立証にとって不可欠であり、取調べでどのような供述をするかが重要だったからです。

そこで弁護士は、Eさんに黙秘権の説明、署名押印が義務ではないことの説明をした上、署名押印するか迷ったときには弁護士に接見希望を出すように指示をしました。

Eさんは、事の顛末について全て正直に話していきました。

そして、自身の認識については、誤った調書が作られてしまわぬよう、特に細心の注意を払い続けました。

弁護士も、Eさんの取調べにおける集中力が低下していないかを確認すべく、連日取調べに出向き、励まし続けました。

結果、Eさんは、その疑いが晴れ、不起訴処分が確定し、釈放されました。

 

 

今回のポイント

Eさんは、当初、取調べの重要性を十分に認識できていませんでした。

仮に、接見サポートを実施せず、国選弁護に全てを委ねていた場合、初動が遅れて、自白調書が取られてしまい、起訴されてしまっていた可能性があります。

その意味で、当事務所の「初回接見サービス」が上手く機能した解決事例であるといえます。

 

 

準強制性交とは

準強制性交とは、暴行や脅迫といった手段は用いないものの、被害者が抵抗困難である状態を利用して行われる性交を指します。

例えば、被害者が寝ていたり泥酔していたりといった状態で、自分の性的自由が侵害されていることについての認識が欠けている状態での性交などが挙げられます。

また、被害者を騙して心理的に抵抗困難な状態とした上で承諾を得て性交をした場合、被害者が錯誤に陥っていなければ行為者に性的行為を許さなかったと考えられるのであれば、被害者の承諾は無効として準強制性交罪が成立すると考えられています(広島高等裁判所昭和33年12月24日判決等)。

準強制性交罪は、2023年の法改正後、不同意性交罪へと名称が変更されています。

改正前は、強制性交罪とは区別されていましたが、改正後は同一の犯罪として区別されていません

不同意性交罪について、くわしくはこちらをご覧ください。

合わせて読みたい
不同意性交について

 

 

幇助犯とは

幇助と教唆

幇助犯と教唆犯は、どちらも共犯として正犯と一緒に処罰を受ける対象となります。

個別の事案で幇助犯となるのか教唆犯となるのかが判然としないケースもありますが、以下では幇助と教唆の違いを簡単に解説します。

まず、幇助犯とは、精神的物理的を問わず、正犯の犯行を容易にする手助けをした者のことをいいます。

例えば、犯行に使用する道具を調達して正犯に渡したり、現場付近で見張りを行なったり、犯行後に見つからないよう匿うことを約束したりする行為が幇助犯に該当します。

これに対して教唆犯とは、特に犯罪を行う決心をしていない人を唆すことで、犯罪を行う決心をさせてしまう行為が該当します。

両者はどちらも直接的に正犯の犯罪に該当する行為を行うわけではありませんがが、幇助犯は正犯よりも軽い刑を科されるのに対し(刑法第62条1項、刑法第63条)、教唆犯は刑法上正犯の刑を科すということになっています(刑法第61条1項)。

ただし、実際は教唆犯も正犯ほどの処罰の必要性があるとは思われませんので、実際には正犯よりは軽い処罰となることが多くあります。

 

従犯と幇助犯について

法律用語として、従犯と幇助犯が違うものであると思われている方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、刑法第62条1項では、「正犯を幇助した者は、従犯とする。」という規定のされ方になっており、従犯と幇助犯とで何か法律上の効果が変わるわけではありません。

幇助犯=従犯であると理解してもらえれば問題はないと思われます。

 

 

まとめ

以上のとおり、準強制性交罪は非常に重い犯罪であり、正犯だけでなく幇助犯の場合でも捜査段階からしっかりとした弁護活動を受けていく必要性が高い類型です。

逮捕された場合には、直ちに弁護士を呼んで接見に来てもらうべきでしょう。

準強制性交罪の教唆犯・幇助犯(従犯)として捜査を受けている方は、刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。

 

 


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