帝王切開で妻が死亡|リスクと損害賠償請求の方法

監修者:弁護士 鈴木啓太
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

帝王切開で妻が死亡|リスクと損害賠償請求の方法
帝王切開を行った場合、自然分娩(経腟分娩)の場合に比べ、妻が死亡するリスクが約6倍に上がります。

もちろん、出産は常に命がけですので、帝王切開以外の場合でも妻が出産で死亡することはありますが、帝王切開が必要となった場合の方が、そのリスクは高くなってしまうのです。

ただ、現在の日本では、帝王切開であっても、母親が死亡する確率は10万件に24件程度と非常に低いものになっています。

とはいえ、帝王切開によって妻を亡くす方も、未だいなくなったわけではありません。

「出産に臨んだ妻が、帝王切開で亡くなってしまう」ということは、残された家族にとって非常に大きなダメージとなります。

そのような状況になると、次のような様々な疑問や不満・不安が湧いてくることかと思います。

  • 「帝王切開は安全にできるものだと信じていたのに、妻が死亡するのはおかしいのではないか」
  • 「病院から色々説明されたが、正直納得がいかない」
  • 「病院への怒り・不信感があるが、どうすれば病院に責任をとらせることができるのか」
  • 「解剖のことを案内されたが、受け入れるべきなのか」
  • 「あまりのことに何をどうしたらよいのか分からない」

そこで、今回の記事では、帝王切開で妻が死亡するリスク・原因、帝王切開で妻が死亡した場合の対処法、病院への損害賠償請求の可否や裁判例、弁護士に相談した方が良いケースなどについて解説していきます。

帝王切開で妻が死亡するリスクがある?

帝王切開に限らず、出産に臨むお母さん(妻)には、死亡するリスクがあります。

ただ、帝王切開をすると、妻の死亡率は、自然分娩の場合よりも高くなります。

産婦人科診療ガイドライン産科編2023 p261によると、自然分娩(経腟分娩)と帝王切開の母体死亡率は、それぞれ次のようになっています。

  • 帝王切開 10万件のうち24件
  • 自然分娩 10万件のうち4件

このように、帝王切開の場合、母親である妻が死亡する割合は、自然分娩の6倍になっています。

とはいえ、上の数字を見てもわかるとおり、帝王切開で死亡する危険性は、現代の日本では、大変低いものとなっています。

参考:産婦人科診療ガイドライン産科編2023|日本産科婦人科学会

 

 

帝王切開で妻が死亡する原因とは?

帝王切開で妻が死亡する原因には、次のようなものがあります。

 

羊水塞栓症を発症する

羊水塞栓症とは?

羊水塞栓症とは、出産の際に、羊水(妊娠中に子宮内に満ちている液体)が母親の血液中に流入し、突発的な呼吸循環不全、ショック、大量出血などを引き起こす大変危険な病態です。

羊水塞栓症は2~3万件に1件程度の割合で起こるまれな病態であり、自然分娩の場合でも起こる可能性があります。

ただ、帝王切開をすると、そのリスクが比較的高くなってしまいます。

羊水塞栓症については、以下のページもご覧ください。

 

大量出血をする

帝王切開の場合を含め、出産の際には、大量出血を起こして死亡するリスクがあります。

出血量が次の量以上になると、「異常を認知する重要な警告ライン」とされます。

  • 自然分娩(経腟分娩)  約500mL
  • 帝王切開 約1000mL

ただ、出血量だけでは異常が生じているかは判断できないため、以下のようなバイタルサイン(血圧や脈拍などの生存サイン)や出血量の推移も総合的に考慮して、出血による異常が生じているかどうかを評価していきます。

評価対象となるバイタルサイン
心拍数、血圧、呼吸数、体温、SpO₂、尿量、意識レベル、末しょう循環不全を示唆する所見(皮膚の冷感、毛細血管再充満時間など)

さらに出血が続き、出血量が以下の量になると、「分娩後異常出血」などと診断されます。

  • 自然分娩(経腟分娩) 1000mL以上
  • 帝王切開 2000mL以上

その後も出血が持続し、バイタルサインの異常が見られるなどした場合は、産科危機的出血となります。

参考:医療事故の再発防止に向けた提言 第21号 産科危機的出血に係る妊産婦死亡事例の分析」(2025年10月)p15~|医療事故調査・支援センター

このように出産で大量に出血すると、出血性ショックを起こすなどして、母親が死亡してしまうことがあります。

 

肺血栓塞栓症を起こす

妊産婦さんは、通常の場合よりも血栓が生じやすい状態にあります。

帝王切開をした場合は、その傾向が更に強くなってしまいます。

この時にできた血栓が肺動脈に詰まってしまうと、肺血栓塞栓症を起こしてしまいます。

肺血栓塞栓症を起こすと、呼吸困難や胸痛といった症状が現れます。

この状態に適切に対応できないと、最悪の場合、詰まった肺動脈の先の組織が壊死し、母親が死亡してしまうことになります。

 

麻酔によるトラブル

帝王切開の際には、麻酔が行われます。

この麻酔によって、次のようなトラブルが起こることがあります。

 

麻酔薬を注入する位置を間違える

帝王切開の麻酔の際、神経を包む膜(硬膜)の外に局所麻酔を行う硬膜外麻酔を行うことがあります。

この硬膜外麻酔をしようとしたのに、誤って針が硬膜を突き抜けてしまうことがあります。

このことに気づかず、硬膜外に投与しようとしていた麻酔をそのまま投与してしまうと、麻酔が効きすぎて、急性呼吸循環不全、心肺停止などに至り、母親が死亡してしまう危険があります。

こうした出産の際の麻酔による事故は、無痛分娩でも起こっています。

無痛分娩での麻酔事故については、以下のページをご覧ください。

 

麻酔中毒・アナフィラキシーショック

上のような事故のほかにも、麻酔を行うと、麻酔中毒や麻酔によるアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。

 

出産時の麻酔はリスクが高い

産婦さん(出産時の女性)は、妊娠していない女性よりも上気道(空気の通り道である鼻やのど)が狭く、気道確保をすることが難しくなっています。

全身麻酔時は気道確保が必須ですが、産婦さんでは、その気道確保が難しいのです。

世界保健機関(WHO)も、妊産婦はとりわけ麻酔リスクが高いと指摘しています。

ところが、日本では、出産が小規模の診療所で行われることが多く、帝王切開もそうした診療所で行われることが少なくありません。

こうした小規模な診療所では、帝王切開症例の8割以上で、産婦人科医が麻酔医を兼ねており、専門の麻酔医が担当できていません。

こうした背景もあり、日本産婦人科医会は、「母体安全への提言2021 vol.12」(日本産婦人科医会ほか・令和4年9月)で、以下のように提言しています。

提言3 全身麻酔の気道確保困難による妊産婦死亡を削減する
1) 麻酔を予定している全症例で麻酔リスクの評価を行い、気道確保や脊髄幹麻酔の困難が予想される症例は高次施設へ紹介する2) 脊髄幹麻酔が成功しなかった場合や、やむをえず全身麻酔を導入して喉頭展開時の声門視認が難しい場合は、麻酔を安全に中断し、高次施設に搬送する高次医療施設では、麻酔科医が担当に付くことが多いので、麻酔に関してトラブルが起こるリスクが高いと予想される場合には、高次医療施設へ紹介・搬送することが提言されているのです。

参考:母体安全への提言2021 vol.12」(日本産婦人科医会ほか・令和4年9月)p50~|日本産婦人科医会

 

感染症・産褥熱

出産時や産後に、子宮を中心とした骨盤内感染症(子宮内膜炎など)を発症し、発熱することを、産褥熱(さんじょくねつ)といいます。

自然分娩の場合にも産褥熱を起こすことはありますが、帝王切開を行うと、そのリスクが上がります。

産褥熱は、以前はお母さんが亡くなる重要な原因でした。

しかし、今では、先進国では、分娩の管理や帝王切開時の予防的抗菌薬投与などにより、死亡率は大きく下がっています。

 

 

帝王切開で妻が死亡したときの対処法

 

解剖などを行う

帝王切開で妻が亡くなってしまったときは、死因を解明するためにも、解剖を受けることを、ぜひ検討してください。

解剖を受けないまま葬儀や火葬を済ませてしまうと、妻の正確な死因が永遠に分からないことになってしまいかねません。

そうなると、後から病院の医療過誤についての責任を追及しようとしても、医師の過失と死亡の間に因果関係があるかどうかを明らかにすることが困難になります。

そうすると、病院の責任を追及する際に、次のような問題が生じるおそれがあります。

  • 死因(因果関係)について争いになり、訴訟が必要になる
  • 訴訟になった場合も、双方が因果関係に関する主張・立証をするので、長期化してしまう
  • 最終的に因果関係が認められず、病院の責任が認められなくなってしまう

亡くなられたばかりの奥様のご遺体を解剖することは、ご家族にとっては大変辛いことかと存じます。

しかし、死因がわからなければ、亡くなった奥様の無念を晴らすこともできなくなってしまうかもしれません。

それに、正確な死因が分かれば、病院の再発防止策にも活かされる可能性があります。

解剖のほかにも、死亡時画像診断(Ai)が可能な施設もあります。

帝王切開で奥様が亡くなってしまった場合は、亡くなられた原因をはっきりさせておくために、解剖やAiを行うことをご検討ください。

 

死後の手続を済ませる

妻が死亡した場合、主な手続きだけでも、次のようなものが必要になります。

  • 死亡届の提出
  • 健康保険証の返還

(相続関連の手続)

  • 相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 遺言書の検認(遺言書がある場合)
  • 相続放棄(必要な場合のみ)
  • 遺産分割協議
  • 銀行等の手続
  • 不動産の相続登記手続

(税金関連の手続)

  • 所得税の準確定申告・納付
  • 相続税の申告・納付

(年金・保険金関連の手続)

  • 遺族年金の請求
  • 保険金の請求 など

ほかにも、葬儀・法要の手配、墓地・納骨の準備、親族・知人への連絡なども必要になってきます。

ご家族が亡くなった後の手続きについては、以下のページでもご紹介しています。

 

赤ちゃんが生まれている場合、赤ちゃんを養育する環境を整える

妻は亡くなったけれども赤ちゃんは生まれている、という場合には、赤ちゃんを養育する環境を整えることが必要になります。

だれがお世話をするか、保育園には預けるのかなど、他の家族・親族とも話し合って決めていきましょう。

赤ちゃんに脳性麻痺など何らかの障害が残った場合には、介護についても考えていくことが必要になります。

 

病院に説明を求める

帝王切開で妻が死亡した経緯、原因、医師が行った処置などについて知りたいことがある場合は、病院に説明を求めることが一般的です。

直接担当医に聞くことも考えられますし、病院の窓口を通じて説明を求めることもできます。

妻が死亡するという重大な結果が生じている場合には、病院から説明を受ける段階で、弁護士に依頼して同席してもらうことも検討しましょう。

弁護士に同席してもらえば、病院からの説明内容を記録に残してもらうこともできますし、疑問に思うことを弁護士の口から質問してもらうこともできます。

病院に伝えたい意見や思いを、弁護士に窓口になって伝えてもらうこともできます。

ほかにも、病院の説明内容が適切なものであったかについて、弁護士とともに検証することができるというメリットもあります。

医療過誤について弁護士に相談・依頼するメリットについては、後ほどより詳しくご紹介します。

 

カルテを入手する

帝王切開で妻が死亡した経緯や医師が行った処置などをより明確に知りたい場合には、カルテを入手することを検討しましょう。

カルテを入手する手続としては、次の2つが考えられます。

手続 特徴
任意の開示請求
  • 病院に直接申し入れて、任意に開示してもらう
  • 任意に開示してくれる病院が多い
証拠保全
  • 裁判所に申し立てて行う手続き
  • 裁判官が病院に直接赴いてカルテの状態を保全する(コピーする、写真に撮るなど)

それぞれの手続には、次のようなメリット・デメリットがあります。

項目 メリット デメリット
任意の開示請求
  • 費用が比較的安い
  • 開示までの期間が短い
・改ざんされる可能性がある
・全部又は一部の開示を拒まれることがある
・病院に不利な部分を隠される危険がある
証拠保全 ・改ざんされる危険性が低い
・開示を拒まれる可能性が低い
・任意の開示を拒否された場合でも、証拠保全であればカルテを入手できる可能性がある
・時間と労力がかかる
・費用が比較的高い
・申立てが認められないこともある

それぞれのケースに応じて、どちらの手続にするかを選択していきます。

その際には、次のような点を主に考慮していきます。

  • 医療過誤と認められる見通しの有無
  • 病院側の姿勢(責任を認めているか争っているか)
  • 費用をどの程度かけるか

詳しくは、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

 

医療過誤に強い弁護士に相談する

帝王切開で妻が死亡したのは医療過誤が原因かもしれない、との思いがある場合は、早いうちに一度、医療過誤問題に取り組んでいる弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼すれば、上で解説した病院からの説明やカルテの開示についても対応してもらうことができます。

ほかにも、医療過誤問題について弁護士に相談・依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 医療過誤と認められるかどうかの見通しを教えてくれる
  • 損害賠償額の相場についてアドバイスしてくれる
  • 病院の責任を追及する手続きを教えてくれる
  • 病院とのやり取りや交渉の窓口になってもらえる
  • 協力医探し、カルテの分析、医学文献の収集などをサポートしてもらえる

医療過誤について弁護士に相談するメリットについては、以下のページで詳しくご紹介しています。

 

 

妻が帝王切開で死亡したとき、病院に損害賠償請求できる?

帝王切開で妻が死亡したからといって、ただちに病院に損害賠償請求をすることができることにはなりません。

病院に損害賠償請求をするには、病院側に医療過誤があったと認められることが必要になります。

帝王切開で妻が死亡した事案で「医療過誤があった」と認められるには、次の要件を満たす必要があります。

  • ①医師が注意義務に違反した(過失があった)
  • ②医師の過失と結果(妻の死亡)の間に因果関係があった

ここで大切になるのは、次のポイントです。

 

注意義務違反(過失)がなければ、医療過誤にはならない

①のとおり、医師に過失(注意義務違反)がなければ、医療過誤には当たりません。

そのため、医師の対応が原因となって妻が死亡するに至ったとしても、その医師の対応が注意義務に違反していると主張・立証することができなければ、医療過誤とは認められません。

医師の注意義務違反を主張・立証するには、各種ガイドラインや医学関連の文献、カルテ、関連する裁判例などを読み解き、自分のケースに当てはめていくことが必要になります。

 

過失と結果の間の因果関係が重要

さらに、医師に過失があったと認められても、過失と発生した結果の間に因果関係が認められなければ、結果(妻の死亡)に対する損害賠償責任を追及することはできません。

そのため、解剖を行っておらず、死因がはっきりしないケースでは、病院の損害賠償責任を追及することが難しくなります。

ほかにも、「医師に過失がなかったとしても、結果の発生は避けられなかった」という場合にも、過失と結果の間に因果関係が認められず、損害賠償を請求することが難しくなります。

因果関係を主張・立証する際にも、カルテや医学文献、関連する裁判例を読み解いていくことが必要になります。

 

医療過誤の主張・立証には医学・法律両方の知識が必要

上にみたとおり、医療過誤について主張・立証するためには、カルテや医学文献、関連裁判例などを読み解く必要があるため、医学と法律の両分野に関する知識が必要になります。

こうした知識が十分でない方が、病院を相手にした交渉や訴訟を進めていくと、病院や病院側の弁護士の主張に十分に対抗することができず、不本意な結果になってしまうおそれがあります。

そうならないためにも、医療過誤があったのではないかという思いがおありの場合は、なるべく早く、医療過誤に取り組んでいる弁護士に相談・依頼し、サポートを受けることが大切です。

 

 

帝王切開時の妻の死亡に関する裁判例

帝王切開で妻が死亡したケースに関する裁判例として、東京地裁平成18年7月26日判決(裁判所HP)をご紹介します。

 

事実の経過

Aは、平成15年10月1日から分娩誘発を行ったが、分娩が順調に進まなかったため、同月4日18時18分に帝王切開によって出産した。

ところが、Aが手術室から病室に戻った後、過換気状態、頻呼吸、低血圧、頻脈となるなどの症状が見られた。

この状態のAについて、担当医は、点滴をするようになどと看護師に指示して、19時30分ころ帰宅した。

その後も状態が改善されないため、21時45分頃、看護師が担当医に連絡したが、担当医は、精神安定剤の投与を指示するのみで、自らAを診察することはなかった。

その後、Aの状態は悪化し、22時15分に呼吸停止、22時22分には心停止となった。

この間、22時18分に担当医以外の医師がやってくるまで、Aに対して医師による診察はなされなかった。担当医は、心停止後の22時24分にやってきた。

やってきた医師らは、心臓マッサージ、挿管などを行い、Aの救命を試みた。

その後、Aは、翌5日0時には救急隊によって他院に転送されたが、同日2時51分、転送先の病院で死亡が確認された。

Aの病理解剖などを行った結果、Aの死因は腹腔内出血であった。

 

裁判所の判断~原告の請求認容

裁判所は、本件について、医師には、何らかの異常を疑い、腹腔内出血の可能性も含めてその原因を検索検討すべき注意義務があったと認定した。

そして、帝王切開が終わってから約1時間後に担当医から点滴の指示があったのを最後に、約3時間にわたって医師による診察がされていなかったこと、その間に担当医に対して看護師からAの状態について報告があったにもかかわらず、担当医は自らAを診察することをせずに、精神安定剤の投与を指示しただけだったことから、担当医は上記の注意義務に違反しており、過失があったと認めた。

判決で認容された損害賠償額は、以下のとおり。

項目 金額
逸失利益 約4000万円
慰謝料 合計2700万円
治療費 約5万円
葬儀費用 200万円
既払分 △300万円
弁護士費用 合計650万円
合計 約7255万円

参考:裁判例結果詳細 | 東京地方裁判所/東京簡裁以外の都内簡易裁判所

 

 

帝王切開の医療過誤で弁護士に相談した方が良いケース

帝王切開の医療過誤で 弁護士に相談したほうが良いケース

 

妻本人や赤ちゃんが死亡した場合

帝王切開の医療過誤で妻本人や赤ちゃんが死亡した場合には、弁護士に相談し、対応を依頼しましょう。

帝王切開でご家族を亡くされることは、非常に辛いことであり、簡単に立ち直れるものではありません。

また、ご家族が亡くなった後は、死亡届、葬儀などの手配、相続、税金関係の手続など様々な手続きが必要となり、大変多忙になります。

そのような状況の中、弁護士のサポートを受けずに病院や病院側の弁護士とやり取りをすることは、ご遺族にとって大変重い負担となります。

負担を少しでも軽減し、生活の立て直しを図っていくためにも、ご家族が亡くなっている場合は、早めに弁護士に相談し、サポートを受けましょう。

 

重度の後遺症が生じた場合

帝王切開での医療過誤により、妻や赤ちゃんに重度の後遺症が残ってしまった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

重度の後遺症の例

  • 植物状態(遷延性意識障害)になった
  • 手足が完全に麻痺してしまった
  • 失明してしまった
  • 聴力がなくなってしまった など

このような場合には、障害が残った赤ちゃんやお母さんの介護等のために、多額の費用が必要になります。

そのため、妻や赤ちゃんが安心して暮らせるようにするためにも、医療機関に十分に損害賠償責任を果たしてもらう必要があるのです。

ところが、弁護士に依頼せずに病院や病院側の弁護士と交渉していると損害賠償額を相場よりも低く抑えられてしまうことがあります。

医療過誤に関する示談交渉では、医学的・法律的知識を有する病院側が有利な立場になりますので、患者さんやご家族だけで対応していると、十分な補償を受けられなくなる危険があるのです。

そのようなことにならないよう、帝王切開で重度の後遺症が残った場合には、医療過誤に強い弁護士に依頼し、サポートを受けることが重要です。

 

医療機関が過失を認めない場合

医療機関が過失を認めない場合は、医療機関の過失があることを患者側で主張・立証しなければなりません。

そのためには、早い段階から弁護士に相談・依頼し、病院側からの説明に同席してもらう、カルテを分析してもらう、協力医を探してもらうなどのサポートを受けることが非常に重要になります。

 

医療機関が過失を認めている場合

医療機関が過失を認めている場合も、早めに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

医療機関が過失を認めている場合は、ほとんどの場合、病院に損害賠償を請求することになります。

損害賠償を請求する際には、損害額を適切に算定することが重要になります。

特に、死亡事故のように人身損害が生じている場合、損害額の算定には、法律に関する専門知識が必要になります。

この損害額の算定をきちんと行わないと、次のようなことが起こってきます。

  • 病院側から提示された不十分な示談金額をそのまま受け入れてしまう
  • 遺族側から提示した額について、病院側から、「その算定額では支払えない」などと言われてしまう

こうなると、十分な補償を受けられなくなったり、損害賠償額について病院側と争いになって、解決までに長期間を要することになったりしてしまいます。

病院側が過失を認めており、損害賠償に関する話合いを行うことになる場合は、早期に十分な補償を受けるためにも、弁護士に相談するようにしましょう。

 

 

妻の帝王切開時の死亡についてのQ&A

出産で死亡する妊婦は何人くらいいますか?

「妊娠、分娩及び産じょく」によって死亡した人数は、令和6年は30人、令和5年は26人となっています。

参考:令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況 第9表 p22|厚生労働省

 

出産で妻が死亡する原因は何ですか?

出産で妻が死亡する原因については、日本産婦人科医会ほかが毎年公表している「母体安全への提言」で言及されています。

参考:母体安全への提言 2010~2024 |日本産婦人科医会

「母体安全への提言2024 Vol.15」(日本産婦人科医会ほか・令和7年10月)p25によると、2010年から2024年の間に死亡した妊産婦さんの死亡原因の割合は、次のようになっています。

  • 産科危機的出血 18%
  • 頭蓋内出血・梗塞 14%
  • 心肺虚脱型羊水塞栓症 11%
  • 自殺 11%
  • 心大血管疾患 9%
  • 感染症 8%
  • 肺疾患 8%
  • その他 10%
  • 偶発・不明 11%

参考:母体安全への提言2024 Vol.15(日本産婦人科医会ほか・令和7年10月)p25|日本産婦人科医会

羊水塞栓症・産科危機的出血(出産時の大量出血)については、以下のページで詳しく解説しています。

 

帝王切開後に危険な症状は?

帝王切開後の危険な症状としては、次のようなものがあります。

(大量出血の症状)

  • 出血がとまらない

(羊水塞栓症の症状)

  • 胸が痛くなる
  • 呼吸困難
  • 意識消失
  • けいれん
  • チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)
  • 強い下腹部痛
  • 大量のサラサラした出血

(感染症・産褥熱の症状)

  • 発熱
  • 腹痛

(血栓)

  • 脚の腫れ、むくみ、痛み
  • 呼吸困難
  • 胸痛

(精神的な不調)

  • 抑うつ感
  • 不安感
  • 集中力低下
  • 涙もろくなる
  • 感情が不安定になる
  • 睡眠障害(不眠)
  • 幻覚・妄想

上に挙げた以外の症状でも、帝王切開後に危険が生じることはあり得ますので、産後にいつもと違う症状が現れた場合は、早いうちに、看護師さんや助産師さん又は医師に相談しましょう。

 

 

まとめ

今回の記事では、帝王切開で妻が死亡するリスクや原因、対処法、医療過誤で損害賠償を請求できる場合などについて解説しました。

帝王切開は、ほとんどの場合安全に行われていますが、帝王切開後に妻が死亡するケースも、なくなったわけではありません。

最愛の妻を亡くされた悲しみも癒えないままに、病院との対応もご自身だけで行おうとすると、ご遺族にとっては大変な負担になってしまいます。

帝王切開で妻が死亡したのは医療過誤のせいではないか・・・との思いがおありの場合は、なるべく早く弁護士に相談し、必要なサポートを受けてください。

当事務所でも、各種事件への対応によって医学的知識を蓄積した人身障害部の弁護士が、帝王切開によって奥様を亡くした方をはじめ、医療過誤問題に苦しんでおられる方からのご相談に対応しております。

電話やオンラインによる全国からのご相談もお受けしております。

帝王切開に関する医療過誤についてお悩みの方はぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

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