カルテ開示とは?請求手続きや費用をわかりやすく解説

監修者:弁護士 鈴木啓太
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

カルテ開示とは
カルテ開示とは、病院に直接請求し、病院にある自分のカルテをコピーしてもらうなどして入手する手続きです。

カルテ開示は、個人情報保護法や各種指針によって病院に義務付けられていますので、本来であれば、病院に請求すれば、カルテ開示を受けることができます。

実際、多くのケースでは、病院に請求すれば、スムーズにカルテの開示を受けることができています。

ただ、今でも、カルテの全部又は一部の開示を拒まれたり、カルテを改ざんされてしまったりするケースがあります。

そのようなことにならないよう、カルテを入手したい場合には、カルテ開示の手続きをとってよいのか、裁判所を介した証拠保全の手続きの方がよいのか、慎重に検討する必要があります。

今回の記事では、カルテ開示の意味・目的、病院がカルテ開示に応じる義務についての法的根拠、本人以外からのカルテ開示請求が認められるか、病院がカルテの開示を拒否できる場合と拒否された場合の対処法、カルテ開示の手続き(請求先、必要書類、費用)、カルテ開示の相談窓口などについて解説していきます。

カルテ開示とは?

カルテ開示とは

 

カルテ開示の意味

カルテ開示とは、患者側から病院に直接請求し、病院から任意でカルテを開示してもらうことをいいます。

カルテ開示を受けると、病院から患者側に、直接カルテの内容が提供されます。

 

カルテ開示と証拠保全の違い

カルテを入手する方法としては、カルテ開示のほかに証拠保全があります。

証拠保全は、裁判所に申立てをして行う手続きです。

証拠保全では、裁判官と裁判所の書記官が病院に直接赴いて、カルテをコピーしたり写真に撮ったりして、カルテの現状を記録に残します。

この際、申立人が依頼したカメラマンが同行し、カルテなどの撮影を行うこともあります。

裁判所が証拠保全で入手した資料は、後日整理して記録に残されます。

当事者は、この記録を謄写(=コピー)して、カルテを入手することになります。

記録が謄写できるようになるまでには、1ヶ月半以上かかることもあります。

なお、申立人が依頼したカメラマンが撮った写真は、カメラマンから裁判所へ提出する際に、申立人側にも送ってもらうことが多いです。

 

カルテ開示と証拠保全の違いは?

カルテ開示と証拠保全の特徴・メリット・デメリットを比較すると、次の表のようになります。

項目 証拠保全 カルテ開示
特徴
  • 裁判所に申し立てる
  • 裁判所がカルテのコピー等を行う
  • 病院に申し入れる
  • 病院がカルテのコピー等を行う
メリット
  • 改ざんのおそれが低くなる
  • 開示を拒否される可能性が低い
  • 任意のカルテ開示を拒否された場合でも、カルテを入手できる可能性がある
  • 費用が比較的安い
  • 手続きが比較的簡単
デメリット
  • 費用が比較的高くなる
  • 申立書の作成、裁判官との面談、カメラマンの手配などの労力がかかる
  • 申立てが認められないこともある
  • 病院側から拒否されることもある
  • 改ざんされる可能性がある
  • 全部又は一部の開示を拒否されることがある

どちらの手続きが良いかは、ケースによって異なります。

どちらの手続きを選ぶか決める際に考慮する要素としては、次のようなものがあります。

考慮要素 説明
医療機関が過失を争っているか 過失を争っている場合、改ざんのおそれがあるので、証拠保全も視野に入れる
紙のカルテか電子カルテか 紙のカルテの場合、改ざんのおそれが高まるので、証拠保全も検討する
費用をどの程度かけられるか 費用を節約したい場合は、カルテ開示を検討する

詳しくは、医療過誤問題に取り組んでいる弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

なぜカルテの開示が必要なの?目的とは?

カルテの開示が必要となるのは、例えば次のようなケースです。

  • ①B型肝炎給付金・C型肝炎給付金を請求するケース
  • ②医療過誤が疑われるケース など

①のケースでは、給付金の対象者に当たることを証明するためにカルテが必要となる場合があります。

(B型肝炎給付金の場合)

  • B型肝炎に感染していること、病態等が分かるカルテ
  • 集団予防接種等以外の感染の原因がないことを示すカルテ(提訴日前1年分のカルテ等)
  • 母親のカルテ(母子感染でないことを示すため)

(C型肝炎給付金の場合)

  • 特定フィブリノゲン製剤や特定血液凝固第Ⅸ因子製剤が投与されたことを示すカルテ

②のケースでは、病院で行われた診療、診断、検査、患者の状態等を正確に把握し、医療過誤の有無を検討するため、カルテが必要となります。

 

 

病院やクリニックはカルテ開示に応じる義務がある?

カルテ開示を請求できる法的な根拠

結論からいうと、病院やクリニックには、カルテ開示に応じる法的な義務があります。

カルテ開示を請求できる法的な根拠としては、個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)があります。

個人情報保護法では、個人情報取扱事業者(カルテ開示の場合は医療機関)は、請求を受けたときは、遅滞なく、本人に対し、保有個人データを開示しなければならない、と定められています(個人情報保護法33条2項本文)。

保有個人データ(個人情報保護法16条4項)
個人情報取扱事業者が、開示・訂正・追加・削除などを行うことができる権限を有する個人データ(=個人情報データベース等を構成する個人情報のこと)であって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定める以外のもの

カルテは、個人情報保護法上の「保有個人データ」に当たりますので、個人情報取扱事業者に当たる病院は、請求を受けたときは、この個人情報保護法の規定により、カルテを開示する義務を負います。

ほかにも、カルテの開示については、次のような指針があります。

引用元:診療情報の提供等に関する指針(一部改正あり)|厚生労働省

引用元:診療情報の提供に関する指針(第2版)|日本医師会

また、個人情報保護委員会も、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を策定・公表しています。

これらの指針等でも、病院はカルテ開示に応じるべきであることが定められています。

 

カルテ開示はどこまで認められるの?

カルテ開示によって入手できるものには、次のようなものがあります。

  • 診療記録(診断名、処方内容、経過記録などが記載されている)
  • 検査結果報告書(血液検査・病理検査など)
  • 画像データ(レントゲン・CT・MRIなど)
  • 画像検査報告書
  • 看護記録
  • 手術記録(動画がある場合も)
  • 紹介状(診療情報提供書)
  • 他の医療機関への照会・回答・連絡に関する記録
  • 説明書・同意書
  • 診療報酬明細書(レセプト)

このように、カルテ開示を請求すれば、カルテのうちのかなりの部分を開示してもらうことができます。

ただ、以下の点には注意が必要です。

 

カルテの保存期間は5年

カルテの保存期間は、5年となっています(医師法24条2項)。

そのため、それより前のカルテについてカルテ開示を請求しても、「既に廃棄している」として、開示を受けられない可能性があります。

ただし、保存期間を経過していても、まだ廃棄していなければ、保存期間内のカルテと同様にカルテ開示を受けることが可能です。

 

画像・動画の開示を受けるときは費用に注意

カルテ開示では、画像検査(レントゲン・CT・MRIなど)の結果や手術の記録動画を入手することもできます。

ただ、これらの開示を受ける場合には、費用に注意する必要があります。

こうした画像や動画は、病院がデータをCD-Rなどに書き込んで、それを患者側に提供する方法で開示されることが多いです。

このようにCD-Rなどを用いて開示をする場合には、後ほどカルテ開示にかかる費用の相場でもご説明するとおり、紙に印刷する場合よりも1枚当たりの単価が高く設定されており、費用が高額になってしまいます。

しかも、MRIやCTの画像は、1回の検査でも何十枚も撮影されている場合がありますし、手術の動画も何時間も録画されている場合がありますので、思いのほかデータの量が多くなり、費用が高額になってしまいがちになります。

多くの画像等がある場合には、費用が高くなる可能性があることをご承知おきください。

 

電子カルテの場合は加筆修正の履歴も開示してもらう

電子カルテを使用している場合、カルテの改ざんを防ぐため、医師等が加筆・修正した履歴が残されるようになっています。

電子カルテの開示を受ける場合は、改ざんがないかを確認するためにも、加筆・修正の履歴も開示するよう求めましょう。

 

本人以外のカルテ開示が認められるの?

カルテ開示の請求は、原則的には患者本人が行います。

しかし、次のような場合には、本人以外からのカルテ開示が認められます。

本人以外からカルテ開示請求できるケース カルテ開示を請求できる者
本人が亡くなっている場合 遺族(法定相続人等)
本人に成年後見人がついている場合 成年後見人
本人の保佐・補助が開始している場合 診療契約に関する代理権が付与されている保佐人・補助人
本人が未成年の場合 親権者・未成年後見人
※満15歳以上の未成年者については、疾病の内容によっては患者本人のみの請求を認めることができる
本人の任意後見が開始している場合 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人
本人が代理人に委任している場合 本人から代理権を与えられた親族及びこれに準ずる者
本人(成人)の判断能力に疑義がある場合(認知症等) 現実に患者の世話をしている親族及びこれに準ずる者

参考:診療情報の提供等に関する指針|厚生労働省

参考:診療情報の提供に関する指針(第2版)|日本医師会

 

 

カルテの開示請求の方法

カルテ開示の請求先

カルテ開示の請求先は、カルテがある病院です。

請求先の病院が分かったら、一度その病院のHPを確認してみましょう。

病院によっては、HPでカルテ開示の申込み方法・必要書類・費用などを公開しています。

 

カルテ開示に必要な書類

カルテ開示に必要な書類については、各病院でそれぞれ定められています。

多くの病院では、以下の書類が必要とされています。

  • 申込書
  • 申請者の身分証明書
  • 委任状(患者本人以外が申請者の場合)
  • 患者との関係を証明できる書類(戸籍謄本・住民票・成年後見登記事項証明書等)

必要な書類は、病院によっても異なりますので、詳しくは、病院のHPを調べたり、直接問い合わせたりしてみましょう。

 

 

カルテ開示にかかる費用の相場

カルテ開示にかかる費用の相場は、数千円~10万円程度と幅があります。

金額の多寡は、開示を受けるカルテの量・開示を受ける情報の種類など(紙かCD-Rかなど。CD-Rの方が一枚当たりの単価が高い)によって変わってきます。

カルテを紙でコピーしてもらうだけであれば、数千円~2,3万円程度で済むことが多いようです。

一方、入院が長期間に及ぶ場合、画像や動画のデータが多く、CD-RやDVD-Rが数多く必要になる場合には、10万円を超えることもあります。

また、医療機関によっても、費用に違いがあります。

医療過誤に関連して必要となる費用については、以下のページもご覧ください。

 

 

カルテ開示の拒否が認められるケース

カルテ開示の拒否が認められるケースについては、個人情報保護法33条2項ただし書に、次のように規定されています。

個人情報の保護に関する法律
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合

出典:個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索

また、厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」では、カルテ開示に即して、カルテの開示を拒否できる場合を次のように規定しています。

  1. ① 診療情報の提供が、第三者の利益を害するおそれがあるとき
  2. ② 診療情報の提供が、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるとき

主に厚生労働省の指針に即して、想定される具体的なケースについて見ていきましょう。

 

第三者の利益を害するおそれがあるとき

カルテ開示をすることによって第三者の利益を害するおそれがあるときは、カルテ開示を拒否することが可能です。

たとえば、次のようなケースが考えられます。

親族、家族などの情報提供者から聞いたことがカルテに記載されており、情報提供者の同意を得ずに本人に開示してしまうと、患者本人と情報提供者の人間関係が悪化するなど、情報提供者の利益を害するおそれがある場合

具体例
① 家族が「患者はいつも非常に怒りっぽい」と言っていることが書かれている
② 家族が「本人には隠しているが、実は実子ではないので、血縁者の病歴は分からない」と言ったことが書かれている

 

患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるとき

カルテ開示をすることによって、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるときも、カルテ開示の拒否が認められます。

たとえば、次のようなケースが考えられます。

症状や予後、治療経過等について、十分な説明をしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響が及ぶおそれがある場合

<例> 精神科や心療内科で、医師の診断内容が患者に伝わると、信頼関係を壊してしまうおそれがある場合

 

病院の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす場合

カルテを開示することで病院の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす場合には、病院は、カルテ開示を拒否することができます。

これについては、たとえば次のようなケースが考えられます。

  • 患者の性格などに関する医療関係者の見解を記した部分があり、本人に見られると、医療関係者と本人の信頼関係が壊れてしまう
  • 同じ患者から繰り返しカルテ開示の請求があり、病院の業務に著しい支障が生じる

 

他の法令に違反することとなる場合

カルテを開示することが他の法令に違反することになる場合には、カルテ開示を拒否することが可能です。

 

 

カルテ開示が拒否されたときの対処法とは?

カルテ開示が拒否されたときには、次のような対処法をとっていきます。

 

拒否された理由を確認する

カルテ開示を拒否する場合は、病院側がカルテ開示を拒否している理由を確認しましょう。

カルテ開示を拒む理由について、厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」は、「医療従事者等は、診療記録の開示の申立ての全部又は一部を拒む場合には、原則として、申立人に対して文書によりその理由を示さなければならない」としています。

そのため、カルテ開示を拒否する理由は、開示しないと決定したことについて通知する書面に、合わせて記載されていることが多いです。

記載がない場合は、病院に問い合わせ、カルテ開示を拒む理由を確認しましょう。

その際には、口頭で確認するだけでは、後から「言った、言わない」の争いとなったり、内容が不明確になったりしますので、書面で回答するように求めることが大切です。

 

医療機関の窓口に相談する

カルテ開示を拒否された理由に納得ができない場合は、病院の窓口に相談してみましょう。

苦情相談窓口やカルテ開示に対応する窓口を設けている病院であれば、その窓口に相談してみるとよいでしょう。

 

法的根拠や指針を示す

相談する際には、法的根拠や指針を示すことが有効です。

具体例
「病院には、個人情報保護法に基づいて、カルテを開示する義務がある」「厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」でも、病院は原則としてカルテ開示に応じなければならないとされている」「病院側が示した理由では、法や指針に示されている除外事由に当たるとはいえない」

こうした主張を的確に展開するには、個人情報保護法や各種指針に対する知識が重要になります。

そのため、カルテ開示を拒否され、理由に納得がいかない場合は、一度、医療過誤問題に詳しい弁護士に相談することが有効です。

 

地域の医療安全支援センターに相談する

後ほど、カルテ開示についての相談窓口でもご紹介しますが、地域の医療安全支援センターも、カルテ開示に関する相談に対応しています。

ただし、医療安全支援センターはあくまで中立の機関ですので、カルテ開示を拒否された場合に、患者側に立って、「どのように主張すればカルテ開示を認めさせることができるか」といったことをアドバイスしてくれることはありません。

 

弁護士に相談する

カルテ開示を拒否された場合は、医療過誤に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、医療機関がカルテ開示を拒否している理由が正当なものか、どのように反論すればよいか、証拠保全を行った方が良いかなどについてアドバイスしてくれます。

カルテ開示について弁護士に相談することのメリットについては、・医療過誤に強い弁護士で詳しくご紹介しています。

 

 

カルテ開示についての相談窓口

カルテ開示についての相談窓口

 

病院の窓口

カルテ開示については、カルテ開示を請求しようとしている病院の窓口に相談することが考えられます。

病院によっては、カルテ開示に対応する窓口を設けていることがあります。

必要書類の詳細、申立書の書き方、費用の計算方法など、病院ごとに定められている手続きについては、病院の窓口に相談することが有効です。

ただし、次のような場合には、患者や家族から直接病院にカルテ開示の相談をすることには慎重になった方がよい場合があります。

  • 医療過誤の有無について、医師と患者・家族の間で争いになっているケース
  • 医療過誤が関係している場合で、病院が紙のカルテを使っているケース

こうした場合には、カルテの開示について病院に相談すると、病院側にカルテを改ざんされてしまう可能性が出てきます。

特に、紙のカルテの場合、加筆修正履歴が記録される電子カルテと比べて改ざんが容易ですので、より慎重な対応が必要になります。

そのため、上のケースに当てはまる場合には、まずは弁護士に相談し、慎重に対策を練ることをおすすめします。

 

医療安全支援センター

上でも触れたとおり、医療安全支援センターは、カルテ開示に関する相談に対応しています。

カルテ開示が可能かどうか、手続きについてはどのように病院に問い合わせたらよいかなど、カルテ開示に関する一般的な相談に対応してもらうことができます。

ただし、医療安全支援センターは、あくまで中立の立場の機関です。

そのため、カルテ開示の請求を代わりに行うなど患者の立場に立った対応をしてくれるわけではありません。

また、個別の病院の手続きについて踏み込んで教えてくれることもないと考えた方がよいです。

 

医療過誤に強い弁護士

カルテ開示をお考えの場合は、医療過誤に強い弁護士に相談することが有効です。

カルテ開示について、医療過誤に強い弁護士に相談すると、次のようなメリットがあります。

  • 任意のカルテ開示を請求できるか、証拠保全の方が良いか、アドバイスしてくれる
  • 依頼すれば、カルテを入手するまでの手続きを代行してもらうことができる
  • カルテを入手した後も、依頼すれば、カルテの翻訳・分析をし、医療過誤と認められるかの見通しを示してもらえる
  • 損害賠償額の見通しを示してくれる
  • 病院の責任を追及するための手続きについてアドバイスしてくれる
  • 依頼すれば、カルテに関して意見をくれる協力医を探すサポートをしてくれる

医療過誤について弁護士に相談することのメリットについては、以下のページもご覧ください。

 

 

カルテ開示を弁護士に相談したほうが良いケース

カルテ開示を弁護士に相談したほうが 良いケース

 

重度の後遺症が生じた場合

本人に重度の後遺症が生じている場合は、弁護士に相談してカルテ開示を行った方が良いです。

重度の後遺症が生じている場合、今後、多くの医療費や介護費などが必要になる可能性があります。

そのため、適正な給付金や損害賠償を受けることが、今後の生活の安心のためにも大変重要になります。

そのためには、カルテを漏れなく揃えることが重要になります。

しかし、ご本人でカルテ開示を請求していると、請求するカルテの範囲を的確に特定することができず、十分なカルテ開示を受けられない、繰り返しカルテ開示を請求しなければならない、といったことになる可能性があります。

それに、重度の障害を抱えながら(又は重度の障害を負ったご本人の介護をしながら)慣れないカルテ開示の手続きを進めることは、ご本人やご家族にとって大きな負担となります。

重度の後遺症を負ってしまい、カルテ開示を請求しようとする場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けながら進めるか、弁護士にカルテ開示の手続きを依頼することをおすすめします。

 

本人が死亡した場合

ご本人が亡くなった場合も、弁護士に相談することをおすすめします。

ご親族を亡くされると、ご遺族は、死亡届、健康保険関係の手続き、相続・税金関連の問題の処理など、さまざまなことが必要になってきます。

その上、ご親族を亡くされた心痛も、とても大きいものになります。

そのような中で、さらにカルテ開示についてまで抱え込んでしまうと、ご遺族にとって大変大きな負担となります。

ご本人が亡くなられた場合は、早めに弁護士に相談し、カルテ開示についてサポートしてもらうことをおすすめします。

 

医療機関が過失を認めている場合

医療機関が過失を認めている場合も、カルテ開示は弁護士に相談することをおすすめします。

医療機関が過失を認めている場合、高い確率で、医療機関との間で、損害賠償に関する和解交渉が行われることになります。

その際には、医療機関の過失と因果関係のある健康被害(損害)が生じていることと、その損害を金銭的に評価した額について立証することが重要になります。

そのためには、どのような経過で健康被害が生じたかを記載している診療記録や、実際に生じている被害の状況を示す検査結果などが重要になります。

これらが記載されたカルテを必要かつ十分な範囲で入手するためには、「どのカルテの開示を請求するのか」を適切かつ明確に設定し、申込書に記載することが重要になります。

そのため、適切なカルテ開示の請求を行うには、弁護士に相談することが重要になるのです。

また、医療機関が過失を認めている場合であっても、損害賠償に関する和解交渉では、損害額を適正に算定するために、患者側自ら主体的に対応を進める必要があります。

人身損害の損害額は算定方法が複雑なので、患者自ら積極的に算定・主張しなければ、医療機関が提示してくる案(損害額を低く抑えて算定した案)に流されてしまうことになりかねません。

そのようなことにならないためにも、医療機関が過失を認めている場合には、カルテ開示の段階から弁護士に相談し、慎重に対応することをおすすめします。

 

医療機関が過失を認めない場合

医療機関が過失を認めない場合も、カルテ開示について弁護士に相談する必要性が高いです。

医療機関が過失を認めていないケースでは、相対的に、医療機関がカルテを改ざん・隠匿する、又は開示を拒否する可能性が高くなります。

そのため、医療機関が過失を争っている場合には、証拠保全を行うことを含め、慎重に対応を検討することが必要です。

このような場面で的確な判断をするためには、弁護士のアドバイスを受けることが重要になります。

なお、医療過誤関連の事案については、法律事務所によっては、一定の条件を満たす案件のみを取り扱っているところもあります。

医療過誤事件やカルテ開示について相談する際は、ご自身のケースを取り扱えるかどうか、相談の際などに弁護士に聞いてみましょう。

 

 

カルテ開示についてのQ&A

カルテ開示の費用は高いですか?

カルテ開示の費用は、数千円~10万円程度です。

費用は、開示を受ける量や内容(CD-Rへの複写が必要な場合は高くなるなど)、医療機関によっても異なります。

たとえば、カルテを紙にコピーしてもらうだけの場合には、費用が比較的安くて済みます。

一方、画像や動画が多く、CD-Rなどが多く必要になると、費用が高くなる傾向にあります。

詳しくは、カルテの開示を請求する病院のHPを確認したり、病院に直接問い合わせてご確認ください。

 

本人が死亡していてもカルテ開示を請求できますか?

本人が死亡している場合でも、法定相続人等からカルテ開示を請求することができます。

 

家族でもカルテ開示を請求できますか?

カルテ開示は、原則的には患者本人から請求します。

ただ、次のような場合には、家族からもカルテ開示を請求することができます。

  • 患者さんが亡くなっている場合
  • 患者さんが未成年の場合(満15歳以上の場合は、患者本人からの請求のみが認められる場合がある)
  • 患者さん(成人)の判断能力に疑義があり、家族が現実に患者さんのお世話をしている場合
  • 家族が患者さんの成年後見人になっている場合 など

詳しくは、本文の本人以外のカルテ開示が認められるの?をご参照ください。

 

カルテ開示にデメリットはありませんか?

カルテ開示のデメリットとしては、次のようなものが考えられます。
  • 費用がかかる
  • 医療機関がカルテを改ざんするおそれがある
  • カルテの全部又は一部の開示を拒まれるおそれがある
  • 開示に難色を示されるなどして、ストレスを感じる場合がある

改ざんや開示拒否のおそれが高いと思われるケースであれば、証拠保全の手続きをとった方が良いと思われます。

詳しくは、弁護士にご相談ください。

 

 

まとめ

今回の記事では、カルテ開示について解説しました。

カルテは、どのような医療行為が行われたかや患者の状態について示す重要な証拠です。

カルテ開示をスムーズに進めるためには、医療過誤問題にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談・依頼すれば、カルテ開示の手続きを代行してもらえますし、入手したカルテの分析なども頼むことができます。

当事務所でも、カルテ開示や医療が関係する事案を多数取り扱ってきた人身障害部の弁護士が、カルテ開示に関するご相談をお受けしております。

電話やオンラインによる全国からのご相談も可能です。

カルテ開示をお考えの方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

あわせて読みたい
相談の流れ

 

 

なぜ医療過誤は弁護士に相談すべき?

続きを読む

まずはご相談ください
初回相談無料