大麻で逮捕されるケースとは?逮捕条件や流れを弁護士が解説!

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
  


大麻を栽培、栽培、所持、譲受け、譲渡、輸出入をすると逮捕される可能性があります

近年、特に若年層を中心に、大麻取締法違反による摘発件数が増加しています。

ご自身や、あるいはご家族など周囲の方が大麻を使用してしまい、逮捕されてしまうのかとご心配の方もいらっしゃるかもしれません。

このページでは、大麻取締法に違反した場合に逮捕されるのかをはじめ、逮捕されてしまった場合にとるべき対応などを、弁護士がわかりやすく解説していきたいと思います。

大麻で逮捕される条件

大麻取締法は、24条から27条までの規定で罰則を定めており、これらの規定に違反すると処罰の対象となります。

具体的には、次の行為が刑事罰の対象とされています。

  • 栽培
  • 輸出入
  • 所持
  • 譲受け・譲渡

意外に思われるかも知れませんが、吸引などの大麻を使用する行為それ自体は、処罰対象とされていません

これは、覚醒剤などの他の違法薬物と取扱いが異なるところです。

大麻というと、違法薬物の印象が強いかも知れません。

しかし同時に、資源として活用されてきたという背景もあり、種子を七味唐辛子に添加したり、茎を麻織物に利用したりといった用途があるようです。

実際に日本でも、大麻取扱者免許を受けて合法的に大麻を栽培する農家が存在します。

大麻の使用が違法とされていない理由は諸説あるようですが、一説によると、このような利用の過程で誤って吸い込むことを処罰対象から外すため、といった見解があるようです。

もっとも、現実に大麻を使用するとなると、自ら「栽培」するか、他人から「譲受け」るかして、いったん「所持」する段階を経るはずです。

結局のところ、使用が違法でないといっても、使用するにあたりなんらかの形で違法行為を経由することは避けられません

また、法律で使用が禁止されていないとしても、大麻が心身に様々な影響をもたらす危険な薬物であることに変わりはありません。

そのため、大麻に 安易に手を出すことのないよう、十分気をつけてください 。

 

大麻事件の逮捕率

2020年の検察統計によると、大麻取締法違反の全検挙件数7254件中、逮捕されているのは4507件です。

逮捕率の円グラフ

割合としては、およそ62パーセントが逮捕されているといえます。

引用:2020年検察統計│政府統計の総合窓口

 

 

大麻で有罪となった場合の刑罰

先ほど少し触れましたが、大麻取締法は24条から27条までの規定で罰則を定めており、主なものをまとめると以下のとおりです。

ポイントは、営利目的がある場合を特に重く処罰しているところです。

具体的には下記の表のとおり、営利目的がある場合は懲役の上限が延びるとともに、情状により懲役と併せて罰金刑を科すものとされています。

営利目的なし 営利目的あり
栽培 7年以下の懲役 10年以下の懲役
(情状により300万円以下の罰金を併科)
輸出入
所持 5年以下の懲役 7年以下の懲役
(情状により200万円以下の罰金を併科)
譲受け・譲渡

 

 

大麻はどうやって発覚する?

大麻取締法に違反してしまった場合、どのような経路で発覚してしまうのでしょうか。

大麻取締法は前記のとおり大麻に関係する様々な行為を処罰の対象としていますので、以下では行為の累計ごとに典型的な事例を挙げてみます。

 

栽培

大麻の栽培は室内でも可能なため、マンションやアパートの一室を大麻の栽培に利用しているケースがあります。

大麻は特有の臭気を発する上、遮光や発覚防止のために常に雨戸やカーテンを閉め切って栽培するなど、外観的にも不自然な様相を呈することが多いです。

そのため、これらの徴候を不審に思った近隣住民が通報して発覚というのが、よくある流れです。

このほか、所持や譲渡等による検挙が先行し、家宅捜索を受けた結果栽培行為まで発覚することもあります。

 

輸出入

輸出入については、税関検査で発覚するのが典型です。

手荷物に隠すなどして自ら輸出入を試みた場合はもちろんのこと、国際郵便で国外とやり取りをしようとした場合でも、同じく税関検査により発覚します。

 

所持

大麻の所持は、職務質問に伴う所持品検査で現物が発見されるケースのほか、密売人が捕まり、そこからの情報で家宅捜索に入られて発覚することもあります。

 

譲受け・譲渡

譲受け・譲渡は、いずれの側にしても、相手のある行為といえます。

密売人の譲渡行為が検挙された場合、買った側には必然的に譲受けが成立しますし、その逆も然りです。

携帯電話やSNSなどを使ってやり取りしていればその履歴も残りますし、きわめて発覚しやすい類型の行為といえるでしょう。

以上のとおり、大麻は購入者から密売人、その密売人の別の購入者……というように、連鎖的に検挙されやすい犯罪といえます。

 

 

大麻で逮捕された際の流れ

大麻で逮捕された場合、次のような流れで事件は進行します。

①逮捕
逮捕されると身柄が拘束され、48時間以内に検察庁に送検されます。
②送検
容疑者の送致を受けた検察官は、24時間以内に容疑者の勾留を請求するか判断します。
③勾留
勾留されると、10日間にわたって身柄の拘束が続きます。また、10日間を上限に勾留延長される可能性があります(最大で20日間の拘束)
④起訴
起訴とは刑事裁判にかけられることを意味します。起訴前の勾留は最長でも20日間でしたが、起訴された場合、保釈されない限り、判決まで勾留が続くことになります。
⑤判決
逮捕されてしまった場合、起訴猶予や執行猶予といった寛大な処分を勝ち取れるかが勝負となってきます。

起訴猶予や執行猶予となる可能性については、こちらをご覧ください。

 

 

大麻で逮捕後に不起訴になることも

大麻で逮捕されたからといって、必ず起訴されるわけではありません。

大麻取締法違反事件の起訴率

令和2年では大麻取締法違反事件の起訴率が45.4パーセントですから、半数程度は不起訴となっていることになります。

引用:令和5年版犯罪白書

不起訴とは起訴されない、すなわち刑事裁判にはかけられないことを意味します。

特に処分されることなく事件は終了し、前科も付きません(捜査対象となった履歴という意味で「前歴」のみ残ります)。

不起訴となる理由はさまざまありますが、その多くは、「起訴猶予」「嫌疑(けんぎ)不十分」です。

 

起訴猶予

起訴猶予とは、検察官としては起訴しようと思えば起訴できるにもかかわらず、あえて起訴せずに事件を終わらせることをいいます。

検察官は容疑者を起訴するか否かを決定する裁量を有しており、犯行の経緯や容疑者の反省といった諸般の事情を総合的に考慮し、起訴せずに済ませることもあるのです。

刑罰は、被告人に罪を償わせ反省をうながすために科せられるものです。

実刑判決になればそれなりの期間にわたって自由が奪われることになりますし、仮に執行猶予がついたとしても、有罪判決を受けたという「前科」が残ります。

このように、刑罰というのは被告人の人生に重大な影響を及ぼすものですから、これを科さずとも事件が解決できるのであれば、それに越したことはないのです。

逆にいいますと、起訴される事案というのは、被告人が被るこれらの不利益を考慮してもなお刑罰を科すことが相当であると検察官が判断した事案、ということができるでしょう。

以下、どのような場合に起訴猶予となるのか、具体的な要素を解説します。

ただし、起訴するかどうかはあくまで検察官の裁量による総合的な判断となってきます。

以下のような場合には必ず不起訴になるというわけではありませんので、その点にはご留意ください。

起訴猶予の具体的な要素

初犯である

起訴猶予の判断を受けるに当たって、初犯であることはもっとも重要な要素のひとつといえます。

上記のとおり、起訴猶予とは、刑罰を科すことなく事案を終わらせてもよいと判断されることを意味します。

一方、過去に前科、特に同種の前科がある場合、以前にもおなじ過ちを犯しているわけですから、検察官としても厳しい態度をもって臨まざるを得ません

同種前科がある場合、「刑罰を与えずとも更生が期待できる」とはなかなか言い難いでしょうから、初犯であることは、起訴猶予となるためのきわめて重要な要素です。

さきほどご紹介したとおり、大麻事案の起訴率は約50パーセントですが、これは再犯者も含んだ全体の数字です。

初犯者に限定した場合、これより高い割合、少なくとも半数以上が不起訴となっているものと考えられます

 

所持量が微量である

所持罪において、所持している量が微量である場合、軽微事案として不起訴となることがあります。

具体的には、所持量が1回の使用量(およそ0.5グラム~0.7グラム程度)を超えているかどうかが、ひとつの目安となります。

 

更生が期待できる

刑罰を科すことなく容疑者の更生が期待できると検察官が判断した場合、起訴猶予となることがあり得ます。

具体的には、犯行に至る動機や経緯、就業状況や家族の有無など更生に向けた環境が整っているか、本人が真摯な反省の態度を示しているか、といった要素が考慮されます。

更生可能を理由とする起訴猶予を勝ち取るためには、これらの事情を検察官に正しく理解してもらう必要があります。

刑事事件に精通している弁護士であれば、取調べへの対応について的確に助言することができます。

また、容疑者への助言にとどまらず、弁護士の方でも更生可能といえる事情をまとめて検察官に働きかける、といった弁護活動が可能となってきます。

不起訴となる確率を少しでも高めるためには、刑事事件を多数取り扱った経験のある弁護士に依頼することが有用といえます。

 

嫌疑不十分

起訴猶予が「起訴できるのに起訴しない」のに対し、嫌疑不十分は、「起訴したくとも起訴できない」場合に不起訴となることをいいます。

日本では、起訴された場合には統計上約99.9パーセントの確率で有罪判決が出ます。

このようにきわめて高い有罪率となるのは、検察官が、確実に有罪判決を取れると確信が持てる事件に限って起訴しているためです。

したがって、検察の実務として「有罪判決を取れるか分からないが、とりあえず起訴してみよう」という判断はあり得ません。

犯罪を確実に立証できるだけの証拠をきっちりと固められない限りは、嫌疑が十分でないとして不起訴にせざるを得ないのです。

どのような場合に嫌疑が不十分と判断されるのか、以下に少し事例を挙げてみます。

嫌疑不十分の具体的な要素

現物が発見されない場合

譲渡や譲受けについては、携帯電話等のやり取りの履歴から発覚しうることを説明しました。

もっとも、このような痕跡を元に容疑者として捜査の対象となったとしても、最終的に大麻の現物が発見されない場合は、証拠不十分として不起訴になる可能性があります

取引の記録が相当具体的に残っているなど、周辺の証拠から譲渡・譲受けを確実に立証できると判断されることも、全くないとまではいえません。

しかし前述のとおり、検察官にとって起訴のハードルはきわめて高いものとなっています。

現物を押収できていない状況で起訴にまで踏み切るケースは、ある程度限られてくると思われます。

 

共同所持の容疑がかけられた場合

大麻が自動車や自宅から発見された場合、同乗者や同居人が、共同して所持した共犯者として逮捕されるケースがあります

このようなケースでは同乗者ないし同居人の認識が問題となりますが、大麻の存在を認識していたかは内心の問題ですので、物的証拠なしに立証するのは困難を極めます。

そのため、大麻そのものか、吸入器具のようななんらかの物的証拠を個人としても所持していない限り、証拠不十分と判断される可能性が高いと思われます。

 

以上、不起訴処分として起訴猶予と嫌疑不十分があることを解説しました。

大麻は適切に対応することで、比較的高い確率で不起訴となることが見込まれる類型の犯罪と言えます。

とはいえ、起訴猶予と嫌疑不十分、いずれによる不起訴を目指すのか、取調べにおいてどのように供述するのがよいか、弁護士による適切な助言なくしては判断が難しい場面もあることでしょう。

また、仮に起訴されたとしても、弁護士に依頼していれば、刑事裁判での弁護活動を通して執行猶予判決を取れる可能性も残っています。

いずれにしても、寛大な処分の獲得を目指すのであれば、早期に刑事事件を得意とする弁護士に依頼して助言を受けることをお勧めします。

実際に執行猶予つきの判決を勝ち取った事例については、こちらをご覧ください。

 

 

大麻で逮捕されそう・逮捕されてしまった場合の対応

大麻で逮捕された、あるいは譲渡人・譲受人が逮捕され自分にも捜査の手が及びそうだという場合、どのように対応すべきでしょうか。

大麻の事案はおよそ半数程度が不起訴処分で終わる、比較的不起訴率の高い類型ではあります。

他方、罰則の項目でご説明したとおり、大麻取締法違反の罰則には罰金がありますが、罰金刑は併科とされています。

すなわち、有罪判決が出るときは懲役又は懲役+罰金のいずれかであり、罰金刑のみで済むことはないということです。

そこで大麻で逮捕された場合、まずは不起訴処分の獲得を目指し、仮に起訴されたら執行猶予付きの判決が出るよう裁判活動を行っていく、というのが最善の方針といえるでしょう。

そのためには、起訴前の捜査段階から弁護士を付け、取調べに適切に対応していくことが最重要といえます。

刑事事件の取扱い経験を多数もつ弁護士と綿密な打ち合わせを重ねることで、不起訴となる確率はいっそう高まることが見込まれます。

また、仮に起訴されたとしても、その時点ですでに担当弁護士と信頼関係が構築できていることは、裁判に臨むにあたって大きなアドバンテージとなります。

執行猶予付き判決の獲得も視野に、裁判では心強い味方となってくれることでしょう。

大麻事件における詳しい弁護方針については、こちらをご覧ください。

 

 

まとめ

この記事では、大麻で逮捕されるケースや、その後の流れなどについて解説しました。

最後にもう一度、記事の要点をまとめます。

  • 大麻取締法では、栽培、輸出入、所持、譲受け、譲渡などが処罰対象とされている。
  • 罰則は懲役又は懲役と罰金の併科であり、営利目的がある場合より重く処罰される。
  • 大麻の起訴率は約50パーセントであり、起訴猶予や嫌疑不十分などの理由で不起訴処分となることがある。
  • 不起訴処分や執行猶予付き判決を得るためには、刑事事件の処理を得意とする弁護士に早期に相談することが重要である。

 

 



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