事情聴取(取り調べ)とは? 聞かれることや流れを弁護士が解説!

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
  

突然、警察から話を聞きたいと呼び出しを受けたら、どうすれば良いのでしょうか。

なぜ呼ばれているのか、必ず応じなければいけないのか、当日は何を話せば良いのかなど、戸惑う方も少なくないと思われます。

この記事では、事情聴取とは何かや、事情聴取への対応や流れについて、弁護士が解説します。

事情聴取とは?

事情聴取とは

事情聴取とは、警察官や検察官が、捜査を進めるに当たって、関係者から、事件に関する話(事情)を聞く(聴取する)ことをいいます(実務上は、取調べと呼ぶのが一般的です)。

何の用件もないのに呼び出されることはなく、事件の捜査のために必要な人物だと判断されているからこそ、事情聴取に呼ばれることとなります。

事情聴取は、1回で終わることもあれば、複数回呼ばれることも少なくありません。

また、単に話を聞かれて終わるだけのこともありますが、話した内容が記載された供述調書が作成されるのが一般的です。

 

容疑者以外が事情聴取を受けることも

容疑者(刑事実務上、「被疑者」と呼ばれています。)が事情聴取の対象者になることは、イメージしやすいと思います(刑事訴訟法198条1項本文)。

このほか、参考人として、被害者、目撃者、客観的な専門家、家族、友人、会社の同僚などの様々な立場の人が、事情聴取の対象者となり得ます(同法223条1項)。

たとえば、被害者から犯行による被害の相談を受けていた友人・恋人、容疑者が犯行に用いた凶器を購入した店舗の従業員、過去に容疑者を診察したことのある医師などが、事情聴取を受けるということもあります。

そのため、事情聴取に呼ばれたからといって、必ずしも事件の容疑者とされているわけではないと理解しておく必要があります

引用:刑事訴訟法|e−GOV法令検索

 

事情聴取は拒否できる?

事情聴取は、あくまでも任意ですので、原則としては、拒否することが可能です(とはいえ、日時や場所の希望については、ある程度柔軟に対応してもらえることが多いですので、応じられない特段の事情があるような場合を除き、応じるべきではないかと思われます)。

このことは、刑事訴訟法で、「被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」(198条1項ただし書、223条2項)と、明確に定められています。

呼び出しに応じて出頭した場合でも、黙秘権・供述拒否権がありますので、答えたくない質問に答える義務はありませんし、供述調書に署名押印(指印)する義務もありません(198条2〜5項、223条2項。黙秘権・供述拒否権については、憲法38条1項で保障されています。)。

引用:憲法|e−GOV法令検索

引用:刑事訴訟法|e−GOV法令検索

例外は、逮捕・勾留されている容疑者の場合です。

198条1項ただし書には、「逮捕又は勾留されている場合を除いては」とありますので、その反対解釈として、逮捕・勾留されている容疑者には事情聴取に応じる義務があると考えられており、このように判断したと考えられている最高裁判例も存在します(最高裁平成11年3月24日判決)。

参考判例:最判平成11年3月24日|最高裁ホームページ

ただし、この場合でも、黙秘権・供述拒否権は認められていますし、供述調書に署名押印する義務もないことに変わりありません。

このほか、容疑者の立場で呼び出されている場合には、拒否を重ねることで、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断され、逮捕されるリスクがありますので、この場合の対応方法については、慎重に判断する必要があります(事情聴取には応じるけれども、署名押印はせずに供述調書を作成しない、という対応を取ることも可能です)。

事情聴取の解説については、次のリンクも参照してください。

 

 

事情聴取では何を聞かれる?

容疑者と容疑者以外とで異なる点もありますが、事情聴取では、事件そのものに関することと、事件以外に関することという、大きく分けて2つの事項について、話を聞かれることになります。

事件そのものに関することとしては、容疑者が犯人かどうか、なぜ犯罪を犯したのかを捜査するために、たとえば、次のような事項が聞かれます。

  • 犯行時や前後の行動(アリバイの有無)
  • 犯行に至る経緯
  • 犯行の動機

これらはほんの一部で、事件に関係すると思われることを幅広く聞かれ、その中から、警察や検察が必要と考える内容が、供述調書に記載されます。

事件以外に関することとしては、たとえば、次のようなものがあります。

  • 容疑者の生育歴(生い立ち)、学歴、職歴
  • 家族関係
  • 趣味・嗜好
  • 被害者との関係性

このほか、他にも関係しそうな事件があれば、それについての事情聴取が行われることもあり、これを、余罪の取り調べといいます。

 

 

事情聴取の流れ

被疑者として事情聴取された場合

被疑者としての事情聴取の流れは、次のとおりです。

事情聴取の流れ図

【 供述調書にサインするときは要注意! 】
署名押印前に内容の確認がありますので、話した内容と異なっていれば、そこで訂正を申し入れなければなりません。
なぜなら、起訴されれば、供述調書は、証拠として提出される可能性があるのですが、裁判で内容を訂正することは極めて困難だからです。
そのため、供述調書の訂正に応じてくれない場合には、署名押印してはいけません。

事情聴取の結果、容疑者に間違いないと判断されれば、逮捕 / 書類送検されることとなります。

逆に、犯行当時に間違いのないアリバイがあるなど、容疑者の可能性がないとされれば、これ以降、事件との関わりはなくなることとなります。

 

参考人として事情聴取された場合

参考人としての事情聴取の流れも、弁護人選任権を除いて、容疑者の場合とほとんど同じです。

目撃者、被害者、鑑定人などとして事情聴取を受けた場合には、そこで作成された供述調書が裁判の証拠として提出されたり、裁判で証人として証言するように求められることもあり得ます。

他方、容疑者の可能性があるかもしれないけれども、断定できないから、まずは参考人として事情聴取が行われるというケースもあります。

このようなケースでは、参考人として事情聴取した結果、容疑が固まったとして、その場で逮捕されることも考えられます

 

重要参考人として事情聴取された場合

重要参考人とは、参考人の中でも、特に話を聞く必要が高い人物のことをいいますが、基本的には参考人と同じです。

参考人との違いがあるとすれば、容疑者と考えられている可能性や、後に裁判の証人として呼ばれる可能性が高いといった点にあるといえるでしょう。

 

 

事情聴取の平均時間

事情聴取が長引く場合とは?

事情聴取は、30分程度で終わることもあれば、場合によっては、1日中かかることもあります

容疑者として呼ばれていて否認しているような場合には、1回の事情聴取の時間が長くなったり、何度も呼び出されて回数が多くなる傾向にあります。

ただし、1日の事情聴取の上限は8時間までとされていて、これに加えて、長時間の強引な事情聴取で虚偽の自白をしてしまうようなことを避けるために、1〜2時間に1回、休憩時間も設けられます

このような時間制限や休憩が設けられているのは、長時間にわたる不当な事情聴取によって、虚偽の自白をさせることなどを防止するためです。

事情聴取が長過ぎたり、休憩も取ってもらえないような場合には、取調官にその旨伝えたり、弁護士に相談して苦情を申し入れる必要があります。

 

 

事情聴取の際に注意すべきポイント!

最後に、これまでの内容を踏まえて、事情聴取の際に注意すべきポイントをお伝えします。

  • 理由もなく拒否せず、都合が悪いなら日時・場所を調整してもらう
    → 容疑者として呼ばれている場合、事情聴取を拒否し続ければ、逮捕のリスクがある
  • 覚えていないことや記憶が曖昧なことは、「覚えていない、わからない」と答える
    → 不確かな答え方をすると、その供述調書がそのまま裁判の証拠となってしまう
  • 作成された供述調書が話した内容と違っていれば、訂正を申し立ててる
  • 供述調書を訂正してもらえなければ、署名押印しない
    → 署名押印しなければ、裁判の証拠となることはない
  • 裁判の証拠として供述調書が提出されると、内容の訂正が難しい
  • 長時間や深夜の時間帯に及ぶ事情聴取は許されない
  • 取調官が暴行・脅迫、虚偽、利益誘導などを用いて事情聴取を行うことは許されない
  • 違法な事情聴取があれば、証拠とするために録音する
    → 録音することは違法ではないし、重要な証拠となる

 

 

まとめ

事情聴取に呼び出された場合、自分はどのような立場で呼ばれているのか、何の用件で呼ばれているのかなどについて、事前にできる限り確認してから臨むことが重要です。

事情聴取は任意である以上、断ることができるのが原則ではありますが、理由もなく拒み続けていると逮捕のリスクがありますので、応じるつもりがあるという意思を伝えたうえで、日時・場所の調整に応じてもらわなければなりません。

長時間にわたるような違法な事情聴取は行われていないか、強引に不都合な話をさせようとしていないか、話した内容どおりの供述調書が作成されているかなど、事情聴取では注意すべき点が多数存在します。

呼び出しがあった時点で弁護士に相談いただければ、弁護士から警察に呼び出しの理由を確認したり、違法な事情聴取に対して毅然と抗議するなど、大きなサポートとなります。

事情聴取に立ち会ってタイムリーにアドバイスをしたり、事情聴取の行われている部屋の前で待機していつでもフォローできるようにしておくということができるケースもあります。

事情聴取にご不安がおありの方は、ぜひ、弁護士に相談・依頼なさることをお勧めします。

 

 


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