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はじめに

「わが子が犯罪を犯してしまった」

「警察から子供が逮捕されたと連絡が来た」

このような状況に直面されている方は、お子様のことが心配でたまらないと思います。不安や混乱の中で、どのように対応すべきか迷われていることでしょう。

しかし、まずは現状を正しく把握されることが必要です。冷静な判断と適切な対応が、お子様の将来に大きな影響を与えます。

そして、今後の見通しを立てて、お子様の将来のために、でき得る限りの取り組みを迅速にスタートしなければなりません。早期の対応が、お子様の健全な育成と更生に向けた重要な第一歩となります。

このページでは、少年事件の特徴や弁護活動などについて、わかりやすく解説しています。2022年4月からの成年年齢引下げに伴う少年法改正についても触れながら、お子様を守るために必要な知識をご提供します。

 

 

少年事件とは

少年事件は、20歳に満たない者(以下「少年」といいます。)の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずる手続です。

2022年4月の民法改正等に伴い少年法も改正され、18歳及び19歳の少年は「特定少年」として、一部17歳以下の少年とは異なる特別な取り扱いを受けることになりましたが、引き続き少年法の適用対象となります。

成人と少年事件との違い

成人の刑事事件は、罪を犯した成人に対して刑罰を科すことを目的とした手続であるのに対して、少年の刑事事件は、少年の保護を目的とした手続です(保護主義)。

根拠条文
(この法律の目的)
第一条 この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

その他、成人の場合との大まかな違いをわかりやすくまとめると下表のとおりとなります。

成人の刑事事件 少年事件
目的 刑罰を科す
(刑罰主義)
少年の健全な育成
(保護主義)
手続 刑事裁判
公開裁判が原則
家庭裁判所に送致
裁判は公開されない
前科 有り 無し
ただし、前歴が残る
実名報道 有り 原則禁止
「特定少年」が起訴された場合は有り

 

少年事件の対象

家裁の審判に付される可能性がある少年とは、①犯罪少年(14歳以上20歳未満で罪を犯した少年)、②触法(しょくほう)少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)、③虞犯(ぐはん)少年(将来罪を犯し、または刑罰法令に触れるおそれのある少年)のいずれかに該当する場合です(少年法3条)。

根拠条文
(審判に付すべき少年)
第三条 1 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一 罪を犯した少年
二 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
三 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
2 家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。

このうち、②触法少年と③虞犯少年で14歳未満については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、家裁の審判に付されることとなります。

2022年4月の少年法改正により、犯罪少年のうち特に18歳・19歳の少年については「特定少年」と定義されました

従来は、検察官への逆送について、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪を犯した場合に限られていました。

しかし、特定少年については、上記の場合のみならず、死刑、無期または短期1年以上の拘禁刑に当たる罪(強盗罪、強制性交等罪など)についても、原則検察官送致(逆送)となりました(少年法62条)。

    
根拠条文
(検察官への送致についての特例)
第六十二条
1 家庭裁判所は、特定少年(十八歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第二十条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの
二 死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

引用元:少年法|e-Gov法令検索

なお、「特定少年」(18歳・19歳)については、虞犯を理由とする保護処分は行われません。

根拠条文
(この法律の適用関係)
第六十五条 第三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定は、特定少年については、適用しない。

(審判に付すべき少年)
第三条 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一・二(略)
三 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

また、特定少年については、検察官送致されて起訴された場合(略式手続の場合を除く)には、氏名や顔写真などの推知報道が解禁されることになりました(少年法68条・61条参照)。

これは、民法上の成年となった特定少年については、刑事責任を追及される立場となった場合には、社会的な批判・論評の対象となり得るものとすることが適当と考えられたためです。

根拠条文
第六十一条
家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

第六十八条
第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第四百六十一条の請求がされた場合(同法第四百六十三条第一項若しくは第二項又は第四百六十八条第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

さらに、特定少年が検察官送致(逆送)されて刑事裁判を受ける場合、20歳以上の成人と同様に扱われます。

例えば、有期拘禁刑が科される場合、17歳以下の少年には最長15年以下の不定期刑(例:拘禁刑5年以上10年以下)が言い渡されるのに対し、特定少年には成人と同様に最長30年以下の定期刑(例:拘禁刑10年)が言い渡されます。

また、17歳以下の少年については、特定の資格を用いた職業に就けないなど、刑罰による資格制限が緩和される特例(少年法第60条)があります。

しかしながら、特定少年にはこの特例が適用されず、成人と同様の資格制限を受けることになります(少年法第67条6項)。

根拠条文
(人の資格に関する法令の適用)
第六十条
1 少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす。
2 少年のとき犯した罪について刑に処せられた者で刑の執行猶予の言渡を受けた者は、その猶予期間中、刑の執行を受け終つたものとみなして、前項の規定を適用する。
3 前項の場合において、刑の執行猶予の言渡を取り消されたときは、人の資格に関する法令の適用については、その取り消されたとき、刑の言渡があつたものとみなす。

第六七条
1~5(略)
6 第六十条の規定は、特定少年のとき犯した罪により刑に処せられた者については、適用しない。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

 

 

少年事件の流れ

 

①逮捕から家庭裁判所への送致まで(捜査段階)

未成年者(以下、「少年」)が罪を犯したことが警察官に発覚した場合、警察官はまず少年を逮捕する可能性があります。

逮捕された後は、48時間(2日)以内に警察官から検察官に事件の記録が送られることになります。

そして検察官は、それから24時間(1日)以内に少年を引き続き身体拘束(勾留)するのか、釈放するのか等を決定することになります。

検察官が少年の勾留を継続する必要があると判断した場合、裁判官に勾留の請求をします。釈放されると、在宅での捜査が進むこととなります。

裁判官が勾留の決定をした場合、最大10日間、身体拘束が継続されます。また、検察官がさらに勾留延長の必要があると判断した場合、裁判官に勾留延長の請求をすることがあります。

裁判官が勾留の延長を決定すると、さらに最大で10日間は身体拘束が継続されます。したがって、逮捕されると、48時間(2日)から最大23日間、身体拘束されることとなります。

また、検察官がさらに勾留延長の必要があると判断した場合、裁判官に勾留延長の請求をすることがあります。

裁判官が勾留の延長を決定すると、さらに最大で10日間は身体拘束が継続されます。

したがって、逮捕されると、48時間(2日)から最大23日間、身体拘束されることとなります。

ただし、少年については、成人の場合と異なり、「やむを得ない場合」でなければ勾留をすることができないと定められています(少年法48条1項、43条3項)。

(ただし、必ずしも厳格に運用されているとは限らず、成人と同様の基準で勾留が認められることも少なくないと考えられます。)

これは少年法の理念である「少年の健全な育成」の観点から、できる限り身体拘束を避けるべきという考え方に基づいています。

すなわち、少年法は、上記のとおり、少年の健全な育成を目的としています。そのため勾留のような身体拘束は高度な必要性がなければ認められません。

そのため、検察官は、勾留請求ではなく、「勾留に代わる観護措置」を請求する場合もあります(少年法43条1項)。

根拠条文
(勾留)
第四十八条
1 勾留状は、やむを得ない場合でなければ、少年に対して、これを発することはできない。
2 少年を勾留する場合には、少年鑑別所にこれを拘禁することができる。

(勾留に代る措置)
第四十三条
1 検察官は、少年の被疑事件においては、裁判官に対して、勾留の請求に代え、第十七条第一項の措置を請求することができる。但し、第十七条第一項第一号の措置は、家庭裁判所の裁判官に対して、これを請求しなければならない。
2 前項の請求を受けた裁判官は、第十七条第一項の措置に関して、家庭裁判所と同一の権限を有する。
3 検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

勾留に代わる観護措置は、勾留と異なり、収容場所が少年鑑別所に限られ、期間の延長もありません。

したがって、この場合は最長でも10日間を鑑別所で過ごすことで、次の手続きに進んでいくことになるのです。

少年鑑別所では、少年の心身の状態や問題性を科学的に分析し、処遇の参考となる資料を提供するための鑑別が行われます。

 

②家庭裁判所への送致後から審判まで(審判段階)

少年が家庭裁判所に送致されると、事案により観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることがあります。

観護措置の期間は、原則として2週間ですが、1回の更新が認められており(合計4週間)、特定少年の死刑、無期又は短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件等で証人尋問などが必要な場合には、さらに2回(合計8週間)まで更新されることがあります(少年法第17条)

この期間は少年の資質を鑑別し、非行の原因や背景を調査するために使われます。

家庭裁判所は、観護措置の間に、少年の非行事実について調査をし、審判に付するかどうかの決定をします。調査は家庭裁判所調査官によって行われ、少年や保護者との面接、生活環境の調査、学校や職場への照会などが含まれます。

審判を開始する旨の決定がなされた場合には、審判手続に移行します。審判は非公開で行われ、少年、保護者、付添人(弁護士等)が出席します。

審判では、以下のいずれかの決定がなされます。

【処分の用語の解説】

処分の種類 説明
不処分 犯罪を行っていない場合や、犯罪事実は認められるものの少年の性格や環境に問題がなく、再非行のおそれがないと判断される場合
児童自立支援施設等送致 児童福祉法に基づく施設に送致し、必要な指導を行って自立を支援する
少年院送致 少年院に収容し、矯正教育を行う
保護観察 社会内処遇として、保護観察所の監督に服させる
検察官送致(逆送) 成人と同様に刑事裁判を受けさせる

なお、特定少年に対して保護処分がなされる場合、その内容は①少年院送致(3年以内)、②2年間の保護観察(遵守事項違反時は少年院収容可)、③6か月の保護観察の3種類に限られます(少年法64条1項参照)。

根拠条文
(保護処分についての特例)
第六十四条
1 第二十四条第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、第二十三条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもつて、次の各号に掲げる保護処分のいずれかをしなければならない。ただし、罰金以下の刑に当たる罪の事件については、第一号の保護処分に限り、これをすることができる。
一 六月の保護観察所の保護観察に付すること。
二 二年の保護観察所の保護観察に付すること。
三 少年院に送致すること。
2 前項第二号の保護観察においては、第六十六条第一項に規定する場合に、同項の決定により少年院に収容することができるものとし、家庭裁判所は、同号の保護処分をするときは、その決定と同時に、一年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して同項の決定により少年院に収容することができる期間を定めなければならない。
3 家庭裁判所は、第一項第三号の保護処分をするときは、その決定と同時に、三年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定めなければならない。
4 勾留され又は第十七条第一項第二号の措置がとられた特定少年については、未決勾留の日数は、その全部又は一部を、前二項の規定により定める期間に算入することができる。
5 第一項の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。

引用元:少年法|e-Gov法令検索

検察官に送致され、起訴されると刑事裁判となります。この場合、成人と同様に刑事裁判を受けることとなります。

特に、2022年4月の少年法改正により、18歳・19歳の特定少年については、「死刑・無期・短期1年以上の拘禁刑に当たる罪」の事件は原則として検察官送致となりますので注意が必要です。

 

 

少年事件における刑事弁護の重要性

①逮捕から家庭裁判所への送致まで(捜査段階)

捜査段階については、少年は警察官から取調べを受けることになります。

弁護士は、通常の刑事事件と同様の弁護活動を基本的に行うことになります。

具体的には、接見による身体拘束からの解放の検討、供述調書の内容確認、黙秘権の行使についての助言、不適切な取調べに対する異議申立てなどが挙げられます。

 

少年事件における刑事弁護の特徴

少年は、精神面や表現力の未熟さゆえ、警察官からの取調べにおいて自分が思っていることをうまく表現できず安易に警察官の誘導に乗ってしまうリスクや、自暴自棄になり、やっていないことまでやったと言ってしまうリスクがあります。

そのようにならぬよう、弁護士は頻繁に少年と接見し、取調べ対応の助言をしたり、会話を通じて少年の真意を汲み取り、担当検事や警察官に対して少年の真意を伝えたりする役割も担うことになります。

また、少年の心理的負担を軽減し、家族とのコミュニケーションを支援することも重要な役割です。

 

②家庭裁判所への送致後から審判まで(審判段階)

家庭裁判所に移送されてからは、「保護主義」が色濃く表れるようになります。少年法の理念である「少年の健全な育成」に基づき、処罰よりも教育的・福祉的観点から対応が行われます。

弁護士はこの段階からは、「付添人」として、少年をサポートすることになります。付添人の活動は、単に法的助言を行うだけでなく、少年の更生に向けた環境調整や支援計画の立案にまで及びます。

 

付添人がつくことのメリット

付添人とは、家庭の少年審判において、少年の権利を保護する為の活動や少年の立ち直りを援助する活動を行う弁護士のことをいいます。

成人の刑事事件でいうところの「弁護人」と近いイメージですが、成人の場合よりも少年の立ち直りのための広範囲な活動が期待されています。

付添人は少年の法的権利を守るだけでなく、少年が抱える問題の解決や健全な育成を支援する役割も担っています。

付添人となった弁護士は、少年の生育環境の調査や成長の記録を行い、今後の更生に向けて望ましい処分を検討します。

そして家庭裁判所の調査官や裁判官に対して調査結果を報告し、どのような処分が適切であるかを説得的に論じていくことになります。

具体的には、少年の更生計画を立案し、実行状況を中間報告書としてまとめるなどの活動を行います。

また、被害者がいる場合には、弁護士が示談交渉も行います。被害者との和解や謝罪の機会を設けることで、少年に責任の自覚を促し、被害者の心情理解を深める機会にもなります。

成年の刑事事件ほど、示談の成立が処分内容に大きく影響するということはありません。

しかしながら、示談の成立は、両親のサポートが期待できること、すなわち生育環境が整っていることを意味しますから、ある程度の影響があるといえます。

また、被害回復の努力は少年の反省や更生への意欲を示す重要な要素となります。

 

国選付添人の場合との違い

成人の場合には、国選弁護人という制度がありますが、少年事件の場合も国選付添人という制度があります。

もっとも、国選付添人が選任される事件は限られており、多くの場合、家庭裁判所の裁量判断で選任されるかどうかが決まります。

具体的には、①検察官が審判に関与する決定がなされた事件で、少年に弁護士である付添人がいないとき、②被害者等から審判傍聴の申出があり、家庭裁判所がこれを許し、少年の権利保護のため特に必要があると認め、かつ少年に弁護士である付添人がいないときには、家庭裁判所は国選付添人を付さなければなりません。

また、 ③死刑、無期若しくは長期3年を超える拘禁刑に当たる罪の事件について観護措置が執られた場合には、家庭裁判所が必要と認めるときに国選付添人を選任することができます。

なお、国選付添人が付かない場合は日弁連委託援助制度がありますので、こちらを利用すれば、経済的な負担を心配することなく付添人をつけることができます。

この制度は、経済的に余裕がない方でも法的支援を受けられるよう、日本弁護士連合会が実施している制度です。

私選で付添人を選任する場合の最大のメリットは、罪名を問わず、かつ、早い段階から自分で弁護士を選べるということでしょう。

捜査段階から弁護活動を開始できるため、より効果的な対応が可能になります。

少年事件では、捜査の初期の段階からの積極的な弁護活動が重要となります。

初期対応の適切さが、その後の少年審判の流れや結果に大きな影響を与えることがあります。

また、弁護士の中で、少年事件を専門とする弁護士は極めて限られています。

捜査段階から少年事件に精通した弁護士に依頼することができれば、大きな安心感を得られるでしょう。

少年の特性や少年法の理念を理解し、適切な対応ができる弁護士の存在は、少年の更生にとって重要な要素となります。

他方で、私選の場合、国選とは異なり、弁護士報酬を支払う必要があります。

経済的な負担が生じることは事実ですが、お子様の将来のために必要な投資と考えることもできるでしょう。

 

少年事件で弁護士をつけないとどうなる?

例えば、経済的な理由などで、弁護士に依頼することができない状況もあるかと思います。

少年事件だけでなく、成人の事件であっても、結果に最も大きな影響を及ぼすのは「事件そのものの重大性や悪質性」だと考えられます。

したがって、弁護士に依頼されなくても、結果としては大きな違いはないかもしれません。

特に軽微な事件や、明らかに不処分や審判不開始が見込まれるケースでは、必ずしも弁護士が必要ではない場合もあります。

しかし、捜査から審判の結果が出るまでは上記のとおり、長期間を要します。

その間、ご本人やそのご家族はとても不安な日々を過ごされているかと思います。

少年や家族は法的手続きに不慣れであり、適切な対応方法がわからないことで、状況を悪化させてしまう可能性もあります。

また、少年審判では単に事件の内容だけでなく、少年の性格や生育環境、更生可能性なども重視されます。

これらの要素を適切に評価してもらうためには、専門的な知識と経験を持つ弁護士のサポートが有効です。

そのため、ご依頼されるか否かはともかく、まずは少年事件に精通した弁護士へのご相談されることをお勧めいたします。

初回相談だけでも受けることで、現状の正確な把握と今後の見通しを立てることができるでしょう。

 

 

少年事件の弁護士の費用

少年事件については、状況が家裁送致前なのか、送致後なのかで弁護士費用は異なります。捜査段階からの関与か、少年審判段階からの関与かによって必要な活動内容が変わるためです。

また、少年事件についての弁護士費用は、各法律事務所によって金額が異なります。事件の複雑さ、必要な活動量、地域性などによっても費用は変動します。

そのため、具体的な費用については相談の際に確認されることをお勧めいたします。

明朗会計の法律事務所であれば、ご相談時にお願いされるとお見積りを出してくれるでしょう。

また、相談料については、有料の法律事務所の場合は30分5500円(税込み)程度と思われます。

ただし、初回相談を無料としている法律事務所も多くあります。

刑事事件を専門とする場合、刑事事件の相談については初回無料としている法律事務所もあります。

経済的な不安がある場合は、初回無料相談を実施している法律事務所を探すことも一つの方法です。

さらに、経済的に厳しい状況の場合は、前述の国選付添人制度や日弁連委託援助制度の利用も検討してみてください。

これらの制度を利用することで、経済的負担を軽減しながら必要な法的支援を受けることが可能です。

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少年事件の弁護士費用

 

 

少年事件の弁護士の探し方

少年事件をご依頼される場合の弁護士の探し方については以下の方法を参考にされてください。

 

①少年事件に注力していること

弁護士と一口に言っても、その得意分野は様々です。

日本の弁護士は約4万人いますが、その全てが少年事件に精通しているわけではありません。

また、日本の弁護士は、そもそも「専門分野がない」方が多いと考えられます。多くの弁護士は複数の法律分野を取り扱っていますが、特定の分野に専門特化していない場合も少なくありません。

刑事事件を専門とする弁護士と、それ以外の弁護士とでは、刑事事件の解決実績が全く異なります。

刑事事件専門の弁護士は、捜査機関とのやり取りや証拠評価、弁護戦略の立案などにおいて豊富な経験を持っています。

さらに、刑事事件を専門としていても、「少年事件はほとんど受けていない」という弁護士もいます。

少年法は通常の刑事法と異なる理念のもとに進行していくものであり、その特殊性を理解した上で対応する必要があります。

したがって、まずは少年事件に注力している弁護士を探すことが重要となります。

少年事件を得意とする弁護士は、少年審判の特性や家庭裁判所調査官との効果的なコミュニケーション方法、少年の更生支援に関する知識など、専門的なノウハウを持っています。

また、「少年事件を専門とする」ということは、少年の問題解決に生きがいをもって取り組んでいるからと考えられます。

少年の健全育成という理念に共感し、単なる法的処理を超えて少年の更生と成長をサポートする意欲がある弁護士といえるでしょう。

このような弁護士の想いは、事件の解決に大きな影響を与えます。

少年と真摯に向き合い、その特性を理解した上で最適な支援を提供できるからです。

したがって、まずは少年事件に注力する弁護士であることが重要です。

弁護士選びの際は、ホームページなどで少年事件の取扱実績や少年法に関する知識・見解などを確認してみるとよいでしょう。

 

②実際に法律相談を受けて見ること

良い弁護士かどうかを見極める一番簡単な方法は、実際に法律相談を受けて見ることです。

少年事件を専門とし、かつ、正しいスタンスをもつ弁護士の法律相談は、他の弁護士と明らかに違うと感じるでしょう。以下のような点に注目してみてください。

 

①少年の立場に立った説明

少年事件に精通した弁護士は、少年の特性や心理状態を理解した説明をします。

 

②具体的な見通しの提示

事件の進行や可能性のある処分について、具体的な見通しを示してくれます。

 

③更生支援への言及

単に法的手続きの説明だけでなく、少年の更生や健全育成に向けた支援策についても触れます。

 

④保護者への支援

少年だけでなく、不安を抱える保護者に対してもサポートの姿勢を示します。

 

⑤専門的知識の豊富さ

少年法や少年審判の仕組み、最新の法改正なども踏まえた説明ができます。

以上のように、単に質問に答えるだけか、それとも相談者が望む結果を得るための何らかの戦略を提示してくれるか、などが一例です。

問題の本質を理解し、少年の特性に合わせた対応策を提案してくれる弁護士は、少年事件に精通している証といえるでしょう。

複数の法律相談を受けてみて、一番信頼できると思う弁護士にご依頼されるとよいでしょう。

費用面だけでなく、少年や保護者との相性、コミュニケーションの取りやすさなども重要な判断基準となります。

 

 

少年事件のご相談の流れ

一般的な少年事件のご相談の流れは以下のとおりです。

 

①ホームページなどで少年事件を扱う法律事務所を探す

少年事件に精通した弁護士を探しましょう。

法律事務所のホームページやロゴなどで、少年事件の取扱実績や対応方針などを確認することができます。

また、「少年事件」「付添人」などのキーワードで検索すると、専門性の高い弁護士事務所が見つかりやすくなります。

②相談の予約を行う

多くの弁護士は飛び込みでの相談には対応しておりません。
事前の予約制がほとんどですので、ご希望の日時に相談できるよう早めにご予約を入れましょう。

電話やメールで予約する際に、「少年事件について相談したい」と伝えると、その分野に詳しい弁護士を紹介してもらえる可能性があります

また、初回相談が無料か有料か、料金体系なども確認しておくとよいでしょう。

③法律相談の実施

事件に関係がある資料があれば持参されると良いでしょう。

逮捕や送致に関する書類、学校からの連絡文書、これまでの経緯を記したメモなど、事件の全体像を把握するのに役立つ資料があると、より具体的なアドバイスを受けることができます。

また、依頼される可能性があれば印鑑も持参されるとスムーズに依頼ができるでしょう。

もっとも、ご依頼を迷われている場合は一度持ち帰って慎重に判断されてください。

初回相談で即決する必要はなく、家族で話し合ったり、複数の弁護士に相談した上で決めることも可能です。

きちんとした法律事務所であれば、ご依頼時の見積もりを渡してくれますので、その金額を見て判断されるようにしてください。

依頼する前に費用の内訳や支払方法についても明確に説明を受けることが大切です。

④正式なご依頼

依頼を受けると、少年事件の刑事弁護をスタートします。

委任契約書を交わし、着手金の支払いや必要書類の提出などの手続きを行います。

少しでも動き出しを早くすることができれば、その分だけ充実した弁護活動ができ、審判不開始や不処分、少年院送致の回避などの可能性を高めることにつながるでしょう。

特に、捜査段階から早期に依頼し、弁護士が事件に関与することは、少年の権利保護と適切な対応のために非常に重要です。

弁護士は少年や保護者と面談し、詳細な事情聴取を行った上で、具体的な弁護方針を立てていきます。

少年の特性や環境を考慮した上で、最適な支援策を提案してくれるでしょう。

 

 

まとめ

以上、少年事件について、特徴、弁護活動の重要性、弁護士の探し方などをくわしく解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

少年事件では、捜査の初期の段階から、積極的な弁護活動が重要となります。

早期に適切な対応を行うことで、少年の将来に大きな違いをもたらす可能性があります。

また、少年事件を弁護士に依頼する場合、少年事件を専門としていることがポイントとなります。

少年法の特殊性を理解し、少年の健全な育成という理念に基づいた支援ができる弁護士を選ぶことが重要です。

2022年4月からの少年法改正により、18歳・19歳の特定少年については新たな制度が導入されましたが、依然として「少年の健全な育成」という基本理念は変わっていません。

この理念に沿った適切な支援を提供できる弁護士のサポートは、少年の更生と健全な成長のために大きな力となるでしょう。

少年事件は家族全体に影響を及ぼす大きな出来事ですが、適切な支援と対応により、少年が立ち直り、健全な社会生活を取り戻すことは十分に可能です。

不安やご不明な点がある場合は、少年事件に精通した弁護士にお早めにご相談ください。

この記事がお子様の犯罪でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。