局部の写真を送るのは罪となりますか?【弁護士が事例で解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

状況しだいではわいせつ物頒布罪が成立する可能性があります。

以下、具体的な相談事例を交えて解説します。

 

相談事例①

先日、あるサイトに登録し、何人かの男性とチャットしていたのですが、局部の写真やムービーを要求され、無修正の画像や自慰をしている動画を3、4人ほどに送ってしまいました。

相手も送ってきました。これは1対1のメールでそのほかの人からは見ることはできません。

送った後にいろいろ調べると、わいせつ物頒布等の罪にあたるのではという不安がでてきて、 サイトの運営者に相談してしまいました。

すると、男女間のプライベートのやり取りは監視義務がなく、個人の責任になると言われました。通報などされるのか不安です。

わたしのチャット履歴は消し、相手の方にも犯罪だと知り不安なのでわたしが送ったものは消してくださいと言いました(消したと言っていますが本当のところはわかりません)。

私は、居ても立っても居られず、警察へ連絡し、私がしてしまったことを電話で相談しました。

すると、「犯罪にあたる可能性はあるが、微妙だと思う。」「問い合わせなどないから今は何もできない、今できることといえばサイト内の動画や画像を消去しておくこと。」と言われました。

私に前科はありません。報酬は18000円ほどいただきました。

自分が許されないことをしてしまったのは分かっているのですが、警察と運営者に相談してしまったため、捜査のきっかけを与えてしまったのではないか不安です。

警察は相手やサイトの通報などがなくとも、私の相談から捜査を始めることがあるのでしょうか?それとも警察の「問い合わせがないから今はなにもできない」を信用していいのでしょうか?

 

 

わいせつ物頒布罪とは

上記のような相談事例では、わいせつ電磁的記録媒体頒布罪の成否が問題となります。

わいせつ電磁的記録媒体頒布罪とは、わいせつな画像等を頒布する犯罪を言います。

わいせつな画像等を渡した相手からお金をもらうか否かは関係ありません。

法定刑は2年以下の懲役、若しくは250万円以下の罰金、若しくは科料となります。

根拠条文
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
引用元:刑法第175条|電子政府の窓口

本件では、局部の画像が「わいせつ物」に該当するか否か、また、「頒布」と言えるか否かが問題となります。

 

 

刑法175条に関する判例

わいせつの意義に関する判例

わいせつとは、徒に性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。

引用元:昭和26年5月10日|最高裁判所

上記判例からは、性器などの局部は、わいせつ物に該当すると考えられます。

 

頒布の意義に関する判例

刑法175条1項後段にいう「頒布」とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうとされています。

引用元:昭和26年11月25日|最高裁判所

すなわち、性器などのわいせつな画像を送ったのが数名であっても、それが不特定の者であれば、この罪が成立する可能性があります。

 

検討

上記の相談事例の場合、現時点で逮捕される可能性は、限りなく低いと考えられます。

特定の相手の要求に応じて、その者に画像や動画を送っているだけですから、頒布の要件を満たさないとも考えられます。

一人に送るだけでも、不特定の者に送った「疑いがある」として逮捕されるケースはあります。

しかし、そのようなケースは、わいせつな動画を、求めてもいない人に送りつけ、その受信者が警察に被害を届け出たようなケースがほとんどでしょう(嫌がる人に無理やり送りつけるような人こそ、一人の者に送っている事実だけで、不特定多数の者に送りつけている可能性が認められるでしょう)。

チャットで、要求に応じて動画を送っただけの者に、不特定多数の者に動画を送っている疑いはなかなか持てません。

したがって、警察が、容疑者本人の告白情報のみで、事件として捜査を開始する可能性はそこまで高くありません。

例えば、「元交際相手の興味を引きたくて、相手が嫌がるのを分かりつつ、裸の写真を送ってしまいました」であるとか、「裸を見られることに興奮を覚える性癖があり、友人に裸の写真を無断で送ってしまいました」であるとかいった内容の話を警察にしたようなケースと比較してみるとわかりやすいと思います。

上記の事例で、強いて不利な点を挙げるとすれば、数人に送信している点です。

このような場合、裸を見られたい性癖があるのではないか、とすれば不特定多数の者にも送信しているのではないかというかたちで推認されてしまうかもしれません。

 

まとめ

以上、局部の画像を送った場合の犯罪の成否について、実際の相談事例をもとに解説しましたがいかがだったでしょうか。

たとえ相手が少数でも、状況しだいではわいせつ物頒布罪等が成立する可能性があります。

大切なことは、今後はこのような行為を二度と行わないということです。

また、ご心配な方は刑事事件に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

詳細な内容をお伝えされることで、精度が高い法的アドバイスを受けることが可能となります。

 

 


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