オービスとは?種類・光り方や不安なときの対応法
オービスとは、速度違反自動取締装置のことで、道路上に設置され、スピード違反をした車両を自動的に撮影する装置です。
スピード違反による交通事故の対策として、オービスは重要な役割を果たしています。
オービスは道路上に設置され、24時間体制で自動的に違反車両を記録できます。
このため、警察官が直接取り締まるネズミ捕りよりも、効率的な取り締まりが可能となっています。
オービスの種類や作動条件、実際に光った場合の対応方法を知っておくことで、オービスへの理解が深まります。
ドライバーの立場からは、オービスについての正確な知識を持つことで、不必要な不安を抱かずに済むとともに、安全運転を心がけるうえでも有益となります。
この記事では、オービスについて、その意味や種類、作動条件、光った後の対応法などを弁護士が解説します。
目次
オービスとは?
オービスは、速度違反自動取締装置のことで、道路上に設置され、スピード違反をした車両を自動的に撮影する装置です。
この装置は、運転者が制限速度を一定以上超過した際に作動します。
違反車両のナンバープレートと運転者の顔を同時に撮影することで、後日の取り締まりを可能にします。
オービスは、スピード違反を取り締まるための重要な手段であり、警察官が現場にいなくても自動的に違反を記録できるシステムです。
現在では、全国の主要道路に数多く設置されており、交通安全の向上と速度違反の抑制に大きな効果を発揮しています。
オービスの意味
オービスは、速度超過を自動で記録するための装置であり、「速度自動違反取締装置」というのが正式な名称です。
「オービス」という名称は、もともとは特定のメーカーの商品名でした。
そのため、他社製の類似品を「オービス」と呼ぶことは、本来的には正しくありません。
もっとも、日本では「オービス」という呼び方が広く普及したため、現在では、他社製のシステムを含めて、「オービス」と呼ぶことが一般的になっています。
オービスとネズミ捕りの違い
オービスとネズミ捕りは、どちらもスピード違反を取り締まるための手段です。
ただし、両者には、取り締まりの方法や特徴において違いがあります。
まず、設置形態の違いが挙げられます。
オービスは、基本的に固定式または一時的に設置される移動式の装置であり、機械によって自動的に違反を検知・記録します。
オービスは無人の装置であり、その場で取り締まることはできません。
オービスで検知された違反は、後日郵送などによって通知されます。
違反時にはスピード違反を記録するだけであり、その場で停止を求められることはありません。
一方、ネズミ捕りは、警察官が携帯型の速度測定器を使用して行う人的な取り締まり方法です。
ネズミ捕りでは、違反が確認されると、すぐに警察官によって停止を求められ、その場で取り締まりが行われます。
また、取り締まりの範囲にも違いがあります。
オービスは、設置された地点を通過する車両のみを対象とするため、取り締まり範囲は限定的です。
しかし、ネズミ捕りは、警察官の判断で場所や対象車両を選択できるため、より柔軟な取り締まりが可能です。
さらに、オービスは速度違反のみを検知しますが、ネズミ捕りでは速度違反だけでなく、シートベルト非着用などの他の交通違反も同時に取り締まることができます。
このように、オービスとネズミ捕りはそれぞれ異なる特性を持っており、それぞれの特徴に応じて補完的に利用されています。
オービスの種類と特徴
オービスにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴と機能を持っています。
道路状況や取り締まりの目的に応じて、適するタイプのオービスが設置されています。
ここでは、主要なオービスの種類とその特徴について、詳しく解説します。
移動式オービスとは
移動式オービスは、その名のとおり、固定されておらず、必要に応じて場所を移動させることができるタイプのオービスです。
移動可能であるため、警察は違反が多発する地点や住民からの苦情が多い場所など、状況に応じて柔軟に設置場所を変更することができます。
移動式オービスは、ドライバーにとって取り締まりの予測が難しくなります。
固定式のオービスとは異なり、常に同じ場所にあるわけではないため、どの道路区間に設置されているかを事前に知ることは困難です。
移動式オービスでは、発見してから速度を落としたのでは間に合いません。
このため、特定の場所だけでなく、常に制限速度を守る習慣づけに効果的とされています。
移動式オービスの中にも、さらにいくつかの種類があります。
可搬式オービスとは
可搬式オービスは、移動式オービスの一種で、小型で持ち運びしやすいタイプの装置です。
外観としては、三脚の上に撮影用のカメラが載っているようなものになります。
このタイプのオービスは、一人で持ち運ぶことが可能であり、警察官が短時間で設置・撤去できるよう設計されています。
このような特徴から、大型のオービスを設置することが難しい通学路や生活道路などで用いられることがあります。
半可搬式オービスとは
半可搬式オービスは、中型のタイプです。
半可搬式オービスも、移動式の一種であり、必要に応じて移動させることが可能です。
半可搬式オービスは、可搬式オービスよりはやや大きい中型であり、簡易的な三脚ではなく、大きな土台に撮影機器が据え付けられています。
このため、移動は可能なものの、トラックなどで運ぶ必要があります。
固定式オービスとは
固定式オービスは、特定の場所に常時設置されている装置です。
道路上やその周辺に取り付けられ、24時間体制で速度違反の監視を行います。
固定式オービスは、国道や高速道路など、速度違反が頻繁に行われる場所に設置されることが一般的です。
多くの場合、オービスが設置されている場所の手前には、「スピード注意 自動速度取締機設置区間」といった看板が設けられています。
これは、オービスでは違反者の撮影が伴うため、プライバシーの観点から注意を促すものと言われています。
存在を知らせてしまったら意味がないようにも思えますが、ドライバーがそのような注意を見て速度を落とすのであれば、交通の安全向上に役立っているといえるでしょう。
以下、固定式のオービスの例をご紹介します。
ループコイル式オービス
ループコイル式オービスも、古くからあるタイプのひとつです。
固定式オービスの中でも精度が高く、広く採用されている装置です。
このシステムでは、道路の舗装面の下に埋め込まれたループコイルと呼ばれるセンサーを使用して車両の速度を測定します。
測定装置自体が道路面下に隠れているため、どの地点で速度が測定されているかを外観から判断することは困難です。
このため、オービスの設置区間全体で制限速度を守る必要があり、特定のポイントだけ減速するという対応が難しくなっています。
LHシステム
LHシステムは、道路に設置された速度違反自動取締装置の一種です。
一般的に支柱にカメラとストロボが取り付けられています。
このシステムは、ループコイル式と同じように、道路の下に埋め込まれた3本のループコイルを利用して車両の速度を測定します。
車両がこれらのコイル間を通過する時間を計測することで、その速度が算出されます。
Hシステム
Hシステムは、「ハンペン」の愛称で知られる白い正方形のレーダーが特徴の速度違反自動取締装置です。
レーダーアンテナで速度違反を感知し、小型の赤外線ストロボが光ってデジタルカメラで撮影します。
撮影された映像データは通信回線で送信されます。
場所によっては、仮の速度計測機器が設置されており、速度超過の車両には「速度をおとせ」と警告表示を出すこともあります。
レーダー式
レーダー式オービスは、日本で最も古い速度取締装置です。
道路上部からレーダーを照射し速度を計測し、違反車は路肩のカメラで撮影されます。
古い物が多く、近年は撤去が進んでいますが、撤去コストや速度抑止のためダミーとして残っているものもあります。
オービスが光る意味や条件
オービスの前を通過すると、装置が発光することがあります。
オービスが光るのには、理由があります。
オービスの作動条件を知ることで、オービスという装置への理解が深まります。
ここでは、オービスの光り方やその条件について詳しく解説します。
オービスの光り方
オービスが発する光は、主にフラッシュ撮影によるものです。
オービスの光は、夜間や暗い環境でも鮮明に車両を撮影するためのものです。
固定式では多くの場合、赤く発光しますが、稀に白く光るものもあります。
これは、機種の違いによるものです。
オービスの光は、画像を鮮明に撮影するためのものであり、強く光ります。
イメージとしては、「閃光」や「ストロボ」のような光り方です。
昼間の時間帯では、太陽光の影響で、フラッシュを目視で確認することが難しい場合があります。
この場合でも、装置自体は正常に作動しており、違反車両の撮影は行われています。
オービスの光り方についての解説は、以下のページをご覧ください。
オービスが光るのはスピード違反をしたから?
オービスが光るのは、多くの場合、スピード違反をしたからです。
オービスの光は上記のとおり、検知した違反車両を撮影する際に発光するものです。
つまり、オービスが光ったということは、装置に速度超過と判定されたことを意味します。
ごく稀に、誤作動や試運転などにより、速度違反以外の理由で光ることもあるとは言われます。
しかし、そのような理由で光ることはきわめて例外であり、基本的にはスピード違反を検知されたからといえるでしょう。
オービスが光ったと思ったが、後日、速度違反の通知が来なかったという人は多いです。
これは、「オービスが光った」のではなく、「光の反射でオービスが光ったように見えた」ことによるものです。
速度違反をした方の体験談では、「オービスが光ったときははっきりとわかった」という方が多いようです。
そのため、「光ったかもしれない」という場合は、ただの光の反射の可能性が高いと思われます。
オービスが光る条件
オービスが光るのは、車両の速度超過を検知したときです。
具体的には、車両が装置に設定された速度の基準を超えて走行した場合です。
装置の設定は、法定速度を基準に、一定の余裕を持たせてあるのが通常です。
法定速度を1キロでも超えると、それで直ちにオービスが光るわけではありません。
オービスの作動条件について、何キロオーバーから反応するのか、正確な数値は公表されていません。
一般道では30km/h程度が目安
一般道路におけるオービスの作動条件については、正確な数値は公表されていません。
一般的には、法定速度を時速30キロメートル程度超過した場合に反応するとされています。
ただし、生活道路などに設置される可搬式のオービスでは、時速15キロメートル程度の超過で反応するとも言われています。
一般道では、住宅地や通学路、交差点など、歩行者や自転車との接触事故のリスクが高い場所が多く存在します。
また、一般道は高速道路などと比べて道路幅が狭く、見通しが悪い箇所も少なくありません。
そのため、たとえ時速数キロメートルの速度超過であっても、重大な事故につながる可能性があります。
安全運転のためには、常に法定速度を遵守することが最も重要です。
オービスの存在に関わらず、周囲の交通状況や道路環境に応じた適切な速度で走行することを心がけましょう。
高速道では40km/h程度が目安
高速道においても、やはりオービスが作動する速度の条件については、公表されていません。
そのため、取り締まり状況からの推測ではありますが、高速道では、法定速度を時速40キロメートル程度超過した場合に反応すると言われています。
高速道路は設計上、高速走行を前提としていることから、オービスの基準も一般道よりも高く設定されていることが多いです。
もっとも、高速道路は、そもそもの法定速度が速く設定されています。
たとえ法定速度内での走行であっても、高速道路では重大事故につながるリスクが存在しています。
ましてや速度違反となれば、その危険性は格段に増加します。
オービスの作動基準は公表されていませんが、その基準値に関わらず、常に法定速度を遵守することが安全運転の基本です。
高速道路での速度違反は、単なる違反行為にとどまらず、重大な事故を引き起こす可能性があることを意識することが重要です。
オービスが光ったらどうなる?
オービスが光ったということは、速度違反を検知されたということです。
ただし、オービスは無人の装置であり、その場で取り締まられるわけではありません。
オービスが反応した後の流れ
オービスが反応した後には、一般的には次のような流れで手続きが進行します。
オービスが速度違反などを検知してから、早ければ数日以内、遅くても1ヶ月程度の間に、警察署からの出頭通知が郵送されます。
この通知には、違反の内容や、出頭すべき警察署、日時が記載されています。
指定された日時に、警察署へ出頭します。
ここで、担当警察官から違反内容の説明を受け、違反事実を認めるか否かの確認が行われます。
オービスでの速度違反は撮影を伴うため、画像の提示を受けて本人確認が行われるのが一般的です。
違反を認める場合は、違反切符に署名・押印します。
簡易裁判所への出廷通知書が届きます。
裁判所では、略式手続による処分に同意するかどうかを確認されます。
略式手続とは、正式な刑事裁判を行わずに、簡易的な手続きで罰金を科すものです。
犯行を争いたい場合は、略式手続に同意せず正式な裁判を希望することも可能です。
オービスの場合、装置に違反の記録が残っているため、略式手続に同意するケースが多いと思われます。
略式手続に同意する場合、裁判官が書面上で審査し、罰金額を決定します。
罰金はその場で納付するケースのほか、後日納付通知がくることもあります。
罰金の納付をもって、刑事手続きは完了します。
スピード違反では、刑事処分とは別に、免許に関する処分も行われます。
オービスの速度超過の基準を考慮すると、免許停止の処分となるケースも多いと思われます。
この場合、「運転免許停止処分書」が送られてきます。
免許停止処分となった場合、免停講習を受講する必要があります。
オービスが反応したときの罰則
オービスが反応したということは、速度制限を超過したことを意味し、道路交通法違反となります。
スピード違反の罰則は、「六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金」です(道路交通法第118条1項1号)。
中でも、一般道で時速30キロメートル以上、高速道路で時速40キロメートル以上の速度違反は、交通反則通告制度の対象外とされています(同法別表第2)。
この場合、いわゆる「青切符」で反則金を科されて終わり、ということはなく、上記の刑事罰の対象になるということです。
オービスが取り締まる速度について、正確な情報は公表されていませんが、おおむね一般道で時速30キロメートル、高速道路で時速40キロメートルが目安と言われています。
もちろん、これは一般に言われていることですので、これより下の速度でオービスが反応することがないわけではありません。
しかし、オービスが反応したときには、多くのケースで刑事罰の対象となることが考えられます。
オービスが光ったか不安なときの対応法
オービスが光ったように見えると、ドライバーとしては不安を感じるかもしれません。
まず、オービスのフラッシュを目撃した直後は、慌てずに安全運転を継続することが最も重要です。
オービスが光るということは、法定速度を大きく超えているということです。
そのため、直ちに法定速度以下に減速する必要がありますが、急ブレーキをかけるとかえって危険になる可能性があります。
オービスが光った以上、そこから慌てて減速したとしても、違反の事実は変わりません。
周囲の安全に細心の注意を払いながら、冷静に減速するようにしましょう。
次に、オービスが光ったか不安なときは、本当に光ったのかを確認したくなるかもしれません。
しかし、警察などに問い合わせたとしても、個別の取締り結果について回答が得られることは通常はありません。
オービスに違反を捉えられていたとしたら、上記のような流れに従って、警察から通知が来ます。
オービスに違反を検知されたかを正式に知るためには、この通知を待つ必要があります。
もし、違反したかどうかの不安が強い場合は、弁護士などの交通法規に詳しい専門家に相談することも一つの選択肢です。
特に、速度超過が大きかった場合や、免許停止などの重い処分が予想される場合は、早めに専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
オービスが光ったかどうかを直接確認することはできませんが、専門家に相談しておくことで、万が一違反を検知された場合の処分の見通しを立てることができます。
特に、速度超過の程度や過去の違反歴によって処分の重さが変わることを知っておけば、不安を軽減できるでしょう。
このように、オービスに関する知識を身につけておくことは、単に違反を避けるためだけでなく、万が一の事態に備えるためにも重要です。
オービスで困らないようにする方法
オービスによる速度違反の取締りで困らないために、いくつかの注意点があります。
まず、オービスの取り締まりで困らないために最も基本的な対策は、スピード違反にならないよう、常に制限速度を守ることです。
当たり前のように思えるかもしれませんが、これは交通安全の観点からも最優先となる方法です。
オービスがあってもなくても、制限速度を超えれば、スピード違反です。
制限速度を超過することは交通の危険を生じさせるものであり、取り締まられなければよいというものではありません。
日頃から安全運転を心がけることによって、オービスで困ることはなくなります。
その上で、オービスの設置箇所に気を付けておくと、より有効な対策となります。
オービスは、設置箇所の手前で看板などで告知されていることが多く、その付近では特に速度に注意しましょう。
また、オービスの位置を事前に把握しておくことも効果的です。
すべてのオービスを把握することは難しいかもしれませんが、ふだん利用するエリアだけでも、設置場所に気を付けておくと良いでしょう。
最後に、もし万が一オービスに捕捉されてしまった場合は、適切に対応することが重要です。
通知が届いたら、呼び出しの日時を遵守するなど、指示に従って手続きを行いましょう。
無視するなどして対応を怠ると、より重い処分につながる可能性があります。
今後も長く安全な運転生活を送るためにも、違反に対してはきちんと対応することが重要です。
速度制限は、交通安全のために設けられているものです。
これを遵守することは、自分自身と他の道路利用者の安全を守ることにつながるため、安全運転を心がけてください。
オービスのよくあるQ&A
オービスの通知は何ヶ月後に来る?
オービスによる速度違反の通知が届くまでの期間は、1ヶ月程度が目安になりますが、早ければ数日程度で届くこともあります。
これは、撮影された画像から車両所有者の特定し、書類の作成と発送するといった一連の手続きに時間を要するためです。
ただし、この期間は地域や時期、違反の状況によって変動することがあります。
オービスが光った自覚がある場合は、しばらくの間郵便物に注意を払うと良いでしょう。
オービスが光ったら免停になる?

基本的に、速度超過が大きいほど、違反点数も高くなります。
一般道で時速30キロメートル、高速道路で時速40キロメートルの速度超過は、一発で免停となる基準とされています。
これは、オービスの取り締まり基準として言われている速度と一致しますが、すべてのオービスがこの速度に設定されているわけではありません。
オービスの設定は、設置場所や地域によって異なる場合があり、設定速度によっては免停とならないこともあります。
まとめ
この記事では、オービスについて、その意味や種類、作動条件、光った後の対応法などを解説しました。
記事の要点は、次のとおりです。
- オービスとは速度違反自動取締装置のことで、固定式と移動式の大きく2種類がある。
- オービスが光る条件は公表されていないが、一般道では制限速度の約時速30キロメートル超過、高速道路では約時速40キロメートル超過が目安と言われている。
- オービスに速度違反を検知された場合、通常1ヶ月以内に通知が届き、違反の程度に応じて罰金や免許などの処分が行われる。
- オービスによる取締りで困らないためには、常に制限速度を守り、オービス設置区間では特に注意して走行することが最も確実な方法である。
その他のよくある相談Q&A
お悩み別解決方法
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか