違法ダウンロードで逮捕される?弁護士が詳しく解説!

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
  


「ネット上にアップされている映画をダウンロードしても大丈夫?」

「海賊版サイトからのマンガのダウンロードは違法?」

「違法ダウンロードで逮捕されることはある?」

従来は、音楽や動画の違法ダウンロードのみが処罰対象となっていましたが、近年の著作権法改正によって、それ以外の著作物(漫画など)の違法ダウンロードについても処罰対象となりました。

そのため、ネット上から動画や音楽、ゲーム、マンガなどを違法ダウンロードすれば、著作権法違反として逮捕され、懲役や罰金の刑罰を受ける可能性があります

この記事では、違法ダウンロードの意味や、違法ダウンロードで逮捕される可能性などについて、著作権法が改正された部分を中心に弁護士が解説します。

逮捕される違法ダウンロード行為とは?

著作権法で禁止される違法ダウンロードとは、違法にアップロードされたものであることを知りながら侵害コンテンツ(著作権を侵害する違法なコンテンツ)をダウンロードすることを意味します(著作権法30条1項4号)。

著作権法30条1項4号

著作権・・・を侵害する自動公衆送信・・・を受信して行うデジタル方式の複製

引用元:著作権法|e−GOV法令検索

ただし、これはあくまでも民事上違法となる行為のことです。

犯罪として刑事上違法となる行為については、上記に加えて、

① 「正規版が有償で提供されている著作物のダウンロードであること」
が求められていただけであり、一度でも違法ダウンロードを行えば犯罪が成立します(著作権法119条3項1号)。
しかしながら、漫画等の違法ダウンロードが犯罪とされるのは、①の要件に加えて

② 「反復・継続してダウンロードを行うこと」

という要件を満たすことが必要であり、これらすべてに該当しない限り処罰されることはありません(犯罪として処罰される範囲は、特に悪質な行為に限定されているということができます)(著作権法119条3項2号)。

著作権法119条3項2号

著作物・・・であつて有償で公衆に提供され、又は提示されているもの・・・の著作権・・・を侵害する自動公衆送信・・・を受信して行うデジタル方式の複製・・・を、自ら有償著作物特定侵害複製であることを知りながら行つて著作権を侵害する行為・・・を継続的に又は反復して行つた者

引用元:著作権法|e−GOV法令検索

音楽や動画を除く著作物のダウンロードに関し、民事上と刑事上のそれぞれについて、違法となる行為を次の表に整理しましたので、参考になさってください。

民事 刑事
ダウンロードすれば違法となる対象 違法にアップロードされた著作物全般 違法にアップロードされた著作物全般で、正規版が有償で提供されているもの
ダウンロードする者の主観 違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合 違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合
反復・継続性(常習性) 継続的に又は反復して行う場合が対象

 

違法ダウンロードの罰則は?

違法ダウンロードの罰則の図

違法ダウンロードの罰則は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金で、その両方が科されることもあります(著作権法119条3項柱書)。

著作権法119条3項柱書

次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:著作権法|e−GOV法令検索

 

逮捕や処罰されないケースは?

逮捕や処罰されないケースの図

①告訴がない場合

違法ダウンロードは、「親告罪」とされていますので(著作権法123条1項)、著作権者の告訴がなければ、起訴されて刑事裁判を受けることがなく、処罰されることもありません

著作権法123条1項

第百十九条・・・第三項・・・の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

引用元:著作権法|e−GOV法令検索

なお、親告罪とは、告訴がなければ刑事裁判ができない(起訴できない)犯罪のことをいいます。

 

②ダウンロードが軽微な場合

ダウンロードしたものが、コンテンツのごく一部に過ぎない場合や、画質が低く鑑賞できないほど粗い画像であるような場合には、そもそも違法ダウンロードに当たらず処罰されません(著作権法119条3項2号)。

このことは民事上も同じで、ダウンロードが軽微な場合には、犯罪とならないだけでなく、民事上も違法となりません。

 

③違法にアップロードされたものだと知らなかった場合

ダウンロードしたコンテンツが違法にアップロードされたものだと知らなかった場合も、犯罪となりません。

違法にアップロードされたものだと知らなかったかどうかは内心の問題ですので、捜査機関にとっても立証が難しい点ですが、海賊版サイトであることが明らかなサイトからダウンロードしたというような場合には、知らなかったという弁解が認められる可能性は低いといえます。

正規の配信サイトには、「ABJマーク」や「エルマーク」が掲載されていますので、ネット上のコンテンツは、これらのマークを目印に、適正に楽しみましょう。

ABJマークとは著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標のことです。

参考:AEBS 電子出版制作・流通協議会

エルマークとは、正規の映像・音楽配信サイトで表示されているマークのことです。

参考:一般社団法人 日本レコード協会

 

 

④常習性がない場合

このほかにも、すでにお伝えしましたが、漫画等の違法ダウンロードは、反復・継続して行わなければ犯罪とならず、処罰されることはありません(音楽や動画の場合には1回でも処罰対象となります)

 

 

違法ダウンロードで逮捕される可能性はどのくらい?

違法ダウンロードで実際に逮捕される可能性は、従来はそれほど高くはありませんでした。

その理由としては、次の3点を挙げることができます。

  1. ① 親告罪であり、告訴がなければそもそも処罰されない
  2. ② 誰がダウンロードをしたのかの特定に時間と手間がかかる
  3. ③ 警察のサイバーパトロールがアップロードの取締りに注力しがちになる(アップロードを摘発すれば、そもそもダウンロードができなくなる)

 

改正著作権法が試行されたことで逮捕される可能性が広がった?

昨今、違法ダウンロードが社会的な問題となっています。

このような問題を受け、著作権法が改正され、2021年より試行されました。

これまで処罰対象となっていたのは音楽や映像だけでしたが、今回の改正によって、すべてのコンテンツのダウンロード行為が対象となりました。

下表は従来の処罰対象と改正後の処罰対象をまとめたものです。

従来の処罰対象 改正後の処罰対象
音楽と映像 左記に加えて
漫画、コンピューターソフトウェア、雑誌、書籍、新聞、学術論文など

このような厳罰化の動きを踏まえると、違法ダウンロードについても今後、逮捕される可能性は十分あると考えられます

 

違法ダウンロードはどうやってバレるのか?

このように、違法ダウンロードはなかなか発覚しにくいのが実情ですが、違法にダウンロードしたコンテンツをTwitterなどのSNSで外部に発信するなどして拡散しているような場合には、違法ダウンロードが発覚し、SNSのアカウントから個人が特定されることが考えられます。

また、発信者情報開示請求という裁判手続きによって、違法ダウンロードを行った者が契約しているプロバイダ・氏名・住所などが開示されますので、これによっても個人が特定されます。

 

 

違法ダウンロードで逮捕・処罰された事例は?

違法アップロードが逮捕・処罰された例は、ニュースなどの報道で見聞きすることがありますが、違法ダウンロードについての報道を見聞きすることはほとんどありません。

しかし、違法にダウンロードしたコンテンツをTwitterなどのSNSで外部に発信して社会的な注目を集めたような場合や、児童ポルノ動画や画像を違法ダウンロードによってコレクションしているなど他の犯罪で検挙された場合などには、これをきっかけとして違法ダウンロードも発覚し、より重い罪となることが考えられます

違法ダウンロードを繰り返してしまっている、他の犯罪にも当たるコンテンツを違法ダウンロードの方法でコレクションしているなど、ご自身の行為に不安がおありの場合には、早期に弁護士に相談なさることをお勧めします。

法律的に犯罪に当たるかどうかの意見をお伝えしたり、警察から呼出しがあった際の取調べへの対応方法をアドバイスするなど、経験豊富な弁護士がサポートいたします。

 

 

まとめ

違法ダウンロードが犯罪となるのは、「違法にアップロードされたものであることを知りながら、正規版が有償で提供されている著作物を反復・継続してダウンロードする場合」です。

違法ダウンロードの刑罰は、2年以下の懲役・200万円以下の罰金です(その両方が科されることもあります)。

違法ダウンロードで逮捕・処罰された事例はあまり見聞きしませんが、違法ダウンロードで入手したコンテンツをSNSで発信したり、児童ポルノ画像などを違法ダウンロードで入手したような場合には、これをきっかけに違法ダウンロードが発覚することも考えられます。

少しでも不安がおありの場合には、早い段階での弁護士への相談をお勧めします。

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