執行猶予の取り消しとは?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

執行猶予の取り消しとは、刑の執行の猶予がなくなることをいいます。

すなわち、取り消しによって服役しなければならなくなります。

執行猶予の取り消しには、必要的取消し(刑法第26条)と裁量的取消し(同法第26条の2)の2種類があります。

 

必要的取消しとは

必要的取消し(刑法第26条)とは、下表のいずれかに該当する場合、必ず執行猶予が取り消される場合をいいます。

執行猶予が取り消される場合の例外

猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合

再度の執行猶予がある場合

猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられた場合

その刑について執行猶予の言渡しがある場合

猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚した場合

前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合等

 

根拠条文
(刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
第二十六条 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

引用元:刑法|電子政府の総合窓口

 

 

裁量的取消しとは

裁量的取消し(同法第26条の2)とは、下表のいずれかに該当する場合、裁判所の裁量によって、執行猶予の取り消しができる場合をいいます。

根拠条文
(刑の全部の執行猶予の裁量的取消し)
第二十六条の二 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
一 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
二 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

引用元:刑法|電子政府の総合窓口

裁量的取り消しは、必要的取り消しと比べて、悪質性が低いことから、絶対的に執行猶予を取り消すのではなく、状況しだいでは取り消さないという内容となっています。

例えば、執行猶予期間中に懲役・禁錮の実刑判決を受けた場合には、執行猶予が必要的に取り消され、合わせて執行されます。

 

必要的取り消しの事例

懲役1年、執行猶予2年の執行猶予期間中に、懲役2年の実刑判決を受けた場合

⇒ 懲役1年+懲役2年として、3年の懲役となります。

 

裁量的取り消しの事例

執行猶予期間中に有罪判決を受けたものの罰金刑で済んだ場合

執行猶予が継続する可能性があります(取り消される可能性はあるので、充実した防御・弁護活動を行うことは重要です)。

 

 

執行猶予の取り消しの確率

執行猶予が取り消されるのは、状況しだいなので正確には断定することは困難です。

しかし、統計によれば、2019年における、全部執行猶予の言い渡し人員が3万1068名であったところ、執行猶予を取り消された人員数が3695名となっています。

このことから、全体の約12パーセントが取り消されていると推測できます。

根拠:2020年犯罪白書

 

 

執行猶予の取り消しを回避する方法

上記の統計資料から、執行猶予期間中に再度の犯罪を行い起訴されてしまった場合、高い確率で執行猶予は取り消され、刑務所に入ることになります。

 

不起訴を獲得する

犯罪を犯しても、不起訴となれば、基本的には執行猶予を取り消される可能性は低いと考えられます。

不起訴を獲得するためには、被害者がいる犯罪(性犯罪、財産犯、粗暴犯等)では示談交渉を成功させることが重要です。

被害者がいない犯罪の場合(薬物犯罪、道路交通法違反等)の場合は、真摯に反省し、二度と犯罪を犯さないということを示していくことが重要と思われます。

合わせて読みたい
不起訴について

 

再度の執行猶予を獲得する

最も理想的なのは、不起訴処分を獲得することですが、起訴されてしまった場合には、再度の執行猶予を得ることが目標になります。

再度の執行猶予とは、現在執行猶予中の者が再度、刑の執行を猶予されることをいいます。

刑務所に入らなければならないのではないかと不安な方は、刑事事件に注力する弁護士が在籍している当事務所に、まずはお気軽にご連絡ください。

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