B型肝炎の治療とは?完治の見込み・治療薬や費用も解説

B型肝炎の治療とは?

B型肝炎の治療は、主にインターフェロン療法と核酸アナログ療法が行われます。

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが原因で引き起こされる肝臓疾患です。

B型肝炎ウイルスに感染すると、一部の方は「急性肝炎」または「慢性肝炎」を発症します。

現在、残念ながら慢性肝炎を発症した方の場合には、完治の見込みはほとんどありません。

しかし、適切な治療を受けることで、B型肝炎ウイルスの活動を抑え、肝臓機能を維持することは可能です。

この記事では、B型肝炎の治療・完治の見込み・治療薬・費用などについて、詳しく解説をしていきます。

B型肝炎とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが原因で引き起こされる肝臓疾患です。

成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合、多くは一過性の感染のみにとどまります。

これに対し、幼少期にB型肝炎ウイルスに感染した場合、多くの方が生涯にわたりB型肝炎ウイルスを体内に保有したままのキャリアとなります。

B型肝炎ウイルスに感染すると、一部の方は「急性肝炎」または「慢性肝炎」を発症することがあります。

 

 

B型肝炎の治療とは?

B型肝炎の治療

B型肝炎の治療法は、発症する病気によって異なります。

B型肝炎ウイルスに感染した場合に発症する病気の中で一般的なものとしては、「急性肝炎」と「慢性肝炎」が挙げられます。

急性肝炎

B型肝炎ウイルスが引き起こす「急性肝炎」は、症状が軽いことが多く、自覚症状が現れない方がほとんどです。

特に治療をしなくても、9割以上の方が自然に治癒するとの報告もあります。

ただし、食欲がないなどの場合には、水分や栄養補給のために点滴などを行うことがあります。

なお、急性肝炎を発症した方のうち、約1〜2%の方は劇症肝炎という命にかかわる病気を発症するおそれがあります。

劇症肝炎を発症した場合には、核酸アナログ製剤やインターフェロンを用いた抗ウイルス療法が行われます。

 

慢性肝炎

B型肝炎ウイルス由来の「慢性肝炎」は、長期間にわたってウイルスが体内に存在し、肝臓に炎症を引き起こしている状態です。

慢性肝炎を発症する方というのは、B型肝炎ウイルスを体内から免疫の力で排除できなかった方であり、基本的には一生涯ウイルスと付き合っていく必要があります。

そのため、慢性肝炎の治療は、ウイルスの活動を抑制して、肝臓の損傷を最小限に抑えることを目的としています。

慢性肝炎を発症した場合、以下のような治療が行われます。

  • 抗ウイルス薬の投与
  • 定期的な検査
  • 合併症の管理

まず、抗ウイルス薬の投与によって、体内に存在しているB型肝炎ウイルスの増殖を抑えて、肝臓の損傷を防ぎます。

また、定期検査で肝臓の状態を把握し、肝臓の状態によって治療方針を定めることも大切です。

慢性肝炎を発症した場合には、肝硬変や肝がんなどの合併症を引き起こすリスクがありますので、定期検査と同時にこれらの病気に対する管理も行われます。

 

B型肝炎の治療薬について

B型肝炎の治療には、大きく分けてインターフェロン療法(注射薬)核酸アナログ療法(内服薬)の2種類があります。

インターフェロン療法

インターフェロンには、B型肝炎ウイルスの増殖を直接抑制する効果とともに、B型肝炎ウイルスに対する免疫を強化する効果もあります。

インターフェロンを治療に用いる場合には、注射での投与となります。

インターフェロンには、以下2種類の薬があります。

薬名 特徴 投与頻度
インターフェロンα 通常型のインターフェロン製剤 週3回の投与
※皮下注射する場合、自己注射が可能
ペグインターフェロンα 注射部位からのインターフェロン放出が徐々に起こる製剤 週1回の投与
※医療機関で皮下注射

核酸アナログ療法

核酸アナログは、B型肝炎ウイルスの遺伝子を作っているDNAの合成を阻害することによって、B型肝炎ウイルスの増殖を抑える薬です。

核酸アナログを治療に用いる場合には、内服薬として1日1〜2錠を経口摂取することとなります。

現在、日本では以下4種類の薬が使用されています。

薬名 特徴
ラミブジン 耐性株(薬が効かないウイルス)の出現率が高い
アデホビル 腎障害の副作用が出るおそれがある
エンテカビル 耐性株(薬が効かないウイルス)の出現率が低い
抗ウイルス作用が強力
テノホビル 血液で分解されにくく、従来の薬より服用量が少なめ
妊娠中の安全性が高い

 

 

B型肝炎は治療で完治する?

急性肝炎を発症した方の場合、自己免疫によって自然と体内からB型肝炎ウイルスを排除できることが多く、治療をせずとも完治することが一般的です。

これに対し、慢性肝炎を発症した方の場合、自己免疫によってB型肝炎ウイルスを体内から排除できず、すでにキャリア化してしまっているため、治療によって完治することは困難です。

ただし、B型肝炎のキャリアとなってしまった場合であっても、適切な治療によってウイルス量を低下させて肝炎の進行を抑制したり、肝臓の損傷や合併症のリスクを減らしたりして、健康に長生きすることはできます。

 

 

B型肝炎の治療費用はいくら?

B型肝炎の治療費は、発症する病気と治療法によって異なります。

今回は、B型肝炎の治療法としてもっとも一般的なインターフェロン療法と核酸アナログ療法についてご説明します。

インターフェロン療法

インターフェロン製剤にかかる費用は、保険適用(3割負担)で1本あたり2500円〜1万2000円前後と、製剤によって大きく異なります。

インターフェロン製剤の場合、週3回の注射が必要となります。

そのため、自己負担額の月額は、最も安い場合で3万円前後、最も高い場合で14万円4000円前後です。

ペグインターフェロン製剤にかかる費用は、保険適用(3割負担)で1本あたり8500円前後です。

ペグインターフェロン製剤の場合、週1回の注射が必要となります。

そのため、自己負担額の月額は約3万4000円前後です。

 

核酸アナログ療法

核酸アナログ製剤にかかる費用は、保険適用(3割負担)で1錠あたり75円(ジェネリック価格)〜350円前後と、製剤によって異なります。

核酸アナログ製剤の場合、毎日1〜2錠を飲み続ける必要があります。

そのため、自己負担額の月額は、最も安い場合で2250〜4500円、最も高い場合で1万〜2万円前後です。

B型肝炎の治療費について、より詳細に知りたい方は、以下の記事も合わせてご活用ください。

 

医療費の助成を受けられることも

B型肝炎の治療費は、毎月かなりのお金がかかることから、治療に踏み切れない方もいるかもしれません。

しかし、B型肝炎に関する治療については、国や都道府県から費用の助成を受けられる場合があります。

金銭面で治療を受けることが難しいと感じた方は、1度お住まいの自治体に問い合わせてみてください。

医療費の助成について、より詳細に知りたい方は、以下の記事も合わせてご活用ください。

 

 

B型肝炎被害者が押さえておくべきポイント

B型肝炎被害者になってしまった場合に、押さえておきたいポイントが3つあります。

  • 肝臓の定期検査を受ける
  • 薬の服用は医師の診断に従う
  • B型肝炎の給付金を申請する

肝臓の定期検査を受ける

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているとおり、異常が発生していても自覚症状が現れるまでに時間がかかる臓器です。

定期検査を怠った場合、気づかないうちに病気が進行してしまっていたということも十分ありえます。

そのため、肝炎・肝硬変・肝がんといった病気を未然に防いだり、初期段階で対処をするためには、定期的に検査を受けて、異変が生じていないかをチェックすることが大切です。

定期検査の頻度などは、かかりつけ医と相談の上、決定しましょう。

 

薬の服用は医師の診断に従う

B型肝炎の治療では、インターフェロンや核酸アナログ製剤が用いられることが一般的です。

これらの薬には副作用が生じるおそれがあります。

また、B型肝炎ウイルスのタイプや感染からの期間によって、用いるべき薬剤は変わってきます。

さらに、核酸アナログ製剤の服用を自己判断で中止した場合、「耐性株」という薬が効かないウイルスが体内で増殖し、薬を再開しても効果が得られなくなるおそれがあります。

そのため、薬の服用に際しては自己判断はせず、気になることがある場合にはかかりつけ医に相談することが大切です。

 

B型肝炎の給付金を申請する

B型肝炎キャリアの方のうち、一定の要件をみたす方は、B型肝炎給付金を受け取ることができます。

B型肝炎給付金は、最大で3600万円を受け取ることができる可能性があります。

B型肝炎給付金について、より詳細に知りたい方は、以下の記事も合わせてご活用ください。

給付金をいくらもらえる?無料で診断!

弁護士法人デイライト法律事務所では、B型肝炎給付金をいくらもらうことができるのか?を簡単に診断することができるシミュレーターを作成しました。

 

簡単な質問に答えるだけで、自分がいくら給付金を受け取ることができるのかを診断することができます。

この機会にぜひ診断してみてください。

 

B型肝炎に詳しい弁護士へ相談

B型肝炎給付金を受け取ることができるのかを判断するにあたっては、多くの資料を集める必要があります。

また、B型肝炎給付金を受け取るためには、国に対して裁判を提起する必要があります。

確実に給付金を受け取りたい場合、この裁判は2027年3月31日までに提起しなければなりません。

ですが、B型肝炎給付金に関する訴訟は、一般的な法律知識に加えて、医学的な知識も欠かすことができず、ハードルが高いものになっています。

ご自身がB型肝炎給付金の対象者であるかわからない、どうやって訴訟をすればいいのかわからないといったお悩みがある場合には、1度弁護士に相談することをオススメします。

B型肝炎訴訟の弁護士の選び方について、より詳細に知りたい方は、以下の記事も合わせてご活用ください。

 

 

B型肝炎の治療についてのQ&A

B型肝炎の治療費について、よくご質問をいただく事項についてお答えします。

B型肝炎の薬は一生飲み続けるのですか?

B型肝炎ウイルスのキャリアとなってしまった場合であっても、薬を一生飲み続けなければいけないかは、人によって異なりますので、一概に言うことはできません。

薬の服用によってウイルスの増殖が抑えられ、薬の服用を中止することができる場合もあります。

しかし、薬の服用を中止できた場合であっても、再度ウイルスが増殖を開始した場合など、薬を再開する必要があることもあります。

薬の服用に関する判断には、定期的な検査と検査内容に基づく医師の診断が必要不可欠です。

 

B型肝炎を完治させる新薬は?

B型肝炎を完治させるために、核酸アナログや免疫療法などの新たな治療法が研究されています。

しかし、現時点では、B型肝炎を完治させるための新薬は完成していません。

 

 

まとめ

B型肝炎ウイルスに感染した場合、「急性肝炎」や「慢性肝炎」といった病気を発症する可能性があります。

B型肝炎の治療法としては、インターフェロン療法と核酸アナログ療法が主として行われています。

B型肝炎の中でも、慢性肝炎を発症した方の場合は、現在の医療では完治の見込みはほとんどありません。

しかし、定期的な検査や医師の診断に従った治療などを続けることで、健康寿命を延ばすことは十分可能です。

また、B型肝炎キャリアの一部の方については、B型肝炎給付金を最大3600万円受け取ることができる可能性があります。

給付金の対象者であるのか、B型肝炎給付金を受け取るための訴訟手続きはどうしたらいいのかなどのお悩みがある場合には、一度弁護士に相談してみてください。

弁護士法人デイライト法律事務所では、B型肝炎訴訟について詳しい弁護士が多数在籍しています。

電話やZoomを利用したオンラインでのご相談も受け付けておりますので、B型肝炎についてご相談したいという方はお気軽にお問い合わせください。

この記事が、B型肝炎の治療について関心のある方のお役に立てれば幸いです。

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