アスベスト被害にあった場合、被害者個人やご家族のみで給付金や賠償金請求の準備をすることは、とても大変なので、アスベスト被害は弁護士に相談して手続きを進めた方がいいでしょう。
相談する弁護士は、アスベスト問題に詳しい弁護士が望ましいです。
アスベストに詳しいかどうかは、弁護士事務所のホームページなどを確認してアスベストに関する情報発信をしているか、実際に相談してみて質問に対する回答がしっかり返ってくるかなどで確認しましょう。
この記事では、アスベスト被害を弁護士に相談するメリット、弁護士の探し方や相談のタイミングなどについて、解説していますので、参考にされてください。
目次
アスベスト被害で弁護士が必要な理由
弁護士が関わることで得られる主なメリット
アスベスト被害を弁護士に相談するメリットとしては、以下のような事柄が考えられます。
弁護士に相談することで、自分が賠償金や給付金の対象となるか、対象になるとして、どの程度の金額を受け取ることができるのか見通しを聞くことができます。
また、請求に必要な書類も教えてもらえますし、依頼した場合には、賠償金や給付金の請求について、弁護士に全て任せることができます。
自分で手続きをする場合との違いとリスク
資料の収集・提出は大変
労災認定を受けていて、明白の給付金の条件を満たし、手元に資料も概ね揃っているような場合であれば、資料の収集と提出は難しくはありません。
しかし、条件が満たされているか不明確であったり、条件は満たしていても、資料収集が必要である場合には、手間がかかります。
状況によって、元勤め先に事実関係の確認をするなどの作業が必要となりますので、自分で手続きするのは大変なことが多いです。
弁護士に依頼した場合には、こうした作業も弁護士がしてくれます。
不十分な資料で補償を受けられないリスク
自分の判断で条件を満たすと判断しても実は資料が不十分であることも考えられます。
そうした場合には、追加の資料を求められることもあり追加の対応が必要となることもあります。
最悪の場合には、本来、補償を受けられるはずであったのに、補償を受けられなくなってしまうリスクもありますので、十分に注意が必要です。
アスベスト給付金は3種類【対象要件と労災認定の仕組み】
建設アスベスト給付金の対象要件
建設アスベスト給付金とは、過去の建設現場等で働いてアスベストを吸い込んでしまい、アスベストが関連する特定の病気を発症してしまった人に支給される給付金です。
建設アスベスト給付金を受け取ることができるのは下記1.〜3.を全て満たした人です。
- 1.アスベストにさらされる建設業務に従事していたこと
昭和47年10月1日〜昭和50年9月30日の間、アスベストの吹付け作業にかかる建設作業に従事していた
昭和50年10月1日〜平成16年9月30日の間、一定の屋内作業場で行われた作業にかかる建設作業 - 2.アスベスト関連の病気(中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、アスベスト肺、良性アスベスト胸水)にかかったこと
- 3.労働者や、一人親方・中小事業主(家事従事者等を含む)であること
*被害者本人が亡くなっていたとしても、そのご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹)のうち、一番最初に被害者本人を相続する者による請求も認められます。
建設アスベスト給付金について、詳しくは以下をご覧ください。
国に対するアスベスト訴訟
建設業ではなく、工場などでアスベストを取り扱った方への補償(工場型)は、国に対して訴訟をして補償してもらう必要があります。
工場型の対象になるのは、以下の要件を満たす人です。
- 1958年(昭和33年)5月26日から1971年(昭和46年)4月28日までの間に、アスベスト(石綿)を取り扱う工場等で石綿粉じんにばく露する作業に従事していた
- その結果として、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚などのアスベストが原因の健康被害を被った人、またはそのご遺族
- 消滅時効が完成していないこと(原則としてアスベスト被害を知って3年もしくは5年以内、かつ、最も重い症状が生じて20年以内)
工場型の国に対する損害賠償請求について、詳しくは以下をご覧ください。
石綿健康被害救済制度による給付の対象要件
石綿健康被害救済制度とは、労災の対象とはならないけれども、アスベストによって健康被害を受けた方に対する補償の制度です。
補償を受けるための条件は以下のとおりです。
- ︎中皮腫
- ︎石綿による肺がん
- ︎著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺
- ︎著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
石綿健康被害救済制度について、詳しくは以下をご覧ください。
労災による給付の対象要件
労災は、仕事が原因でケガや病気になった場合に補償されるものです。
アスベストが原因で労災に認定されるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 石綿を含有する鉱石または岩石の採掘、搬出、粉砕その他石綿の精製に関連する作業
- 倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
- 石綿製品の製造工程における作業
- 石綿の吹付け作業
- 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
- 石綿製品の切断などの加工作業
- 石綿製品が用いられている建物、その附属施設などの補修または解体作業
- 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
- 石綿を不純物として含有する鉱物などの取り扱い作業
- 上記作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業
- 上記作業の周辺などにおいて、間接的なばく露を受ける作業
- 石綿肺
- 中皮腫
- 肺がん
- 良性石綿胸水
- 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
アスベストによる労災認定について詳しくは以下をご覧ください。
アスベスト被害で労災認定されない場合もある?
アスベスト被害を受けていたも労災認定されないことはあります。
労災は、仕事が原因でケガや病気を発症した場合に認定されるものです。
したがって、アスベストの被害が仕事が原因であることを証明できなければ認定はされません。
アスベストの被害を受けているものの労災の対象とならない場合には、石綿健康被害救済制度の利用を検討することになります。
弁護士に相談したほうがいいケースとは?
アスベスト被害で、弁護士に相談した方がいいケースとしては、以下のようなケースが考えられます。
- 過去にアスベスト被害で労災認定を受けているケース
- アスベストに係る仕事をして中皮腫、肺がん、石綿肺等の病気を発症したケース
- 家族がアスベストが原因で死亡、中皮腫、肺がん、石綿肺等の病気を発症したケース
- 厚生労働省から労災支給決定等情報提供サービスの案内が届いたケース
こうしたケースに当てはまる方は、アスベストの給付金や賠償金の対象になる可能性がありますので、弁護士に相談されたほうがいいでしょう。
アスベスト被害を弁護士に相談するメリット
アスベスト被害を弁護士に相談するメリットとしては、以下が考えられます。
①賠償金・給付金の対象となるか見通し教えてもらえる
アスベストに関連する病気を発症したものの、自分がアスベストの補償の対象になるのか、すぐに分からない方は大勢いらっしゃいます。
弁護士に相談することで、自分がどの制度の補償となる見込みがあるのかを確認することができます。
②請求・申請に必要な書類を教えてもらえる
弁護士に相談することで、自分が対象になる見込みのある制度について、どのような書類が必要かを教えてもらうことができます。
また、その書類の取得方法についてもアドバイスを受けることができます。
③相談から依頼に至った場合には弁護士のサポートを受けることができる
相談した結果、手続きを弁護士に依頼した場合には、弁護士が依頼者に代わって必要な書類の収集や提出を行ってくれます。
自分で行う場合には、手間がかかり、必要十分な書類が揃っているか分からないこともあるかと思いますが、弁護士に依頼することで、こうした手間や不安を解消することができます。
アスベスト被害で弁護士選びが重要な理由
アスベスト被害の問題は、離婚事件、交通事故事件、相続事件といった事件と異なり、注力している弁護士は、それほど多くありません。
アスベスト問題の概要もあまり把握されていない弁護士もいます。
こうした弁護士に相談しても良いアドバイスをもらえない可能性があり、適切な結果を得ることができない可能性があります。
こうしたリスクを避けるために、アスベスト被害について弁護士に相談あるいは依頼するにあたっては、弁護士選びが重要となるのです。
アスベストに強い弁護士の探し方とは?
アスベストに強い弁護士を探す方法としては、インターネットで検索することが考えられます。
検索した結果、表示される弁護士事務所は、アスベストに関して情報発信をしており、アスベスト問題に積極的に取り組もうとしている弁護士事務所であることが分かります。
さらに、その記事の内容を確認して、具体的な内容が記載されているのであれば、アスベスト問題について、専門的な知見を有している弁護士が在籍していることが分かります。
アスベストに強い弁護士を探すにあたっては、まずはインターネットで検索し、その記事の内容を確認して専門性が高い記載がされているのであれば、その弁護士事務所には、アスベストに強い弁護士が在籍していることが期待できます。
アスベスト被害の弁護士費用とは?
アスベスト被害の弁護士費用としては、法律相談料、着手金、報酬金、日当、実費などがあります。
着手金とは、賠償金や給付金請求の業務に着手するにあたって必要となる弁護士費用です。
報酬金とは、病院側から賠償額を獲得した場合に発生する弁護士費用です。
日当とは、弁護士が遠方に出張する必要があるような場合に発生する費用です。
実費は、弁護士が給付金に賠償金の請求をするにあたって、必要となる費用のことです。
弁護士費用の金額は各法律事務所によって異なりますが、大まかな目安としては、以下のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
法律相談料 | 無料 |
着手金 | 建設型給付金申請:無料 工場型国家賠償請求:無料 建材メーカーへの請求:無料 勤務先への請求:無料〜33万円程度 |
報酬金 | 建設型給付金申請:回収額の5.5%〜19.8%程度 工場型国家賠償請求:回収額の16.5%〜22%程度 建材メーカーへの請求:回収額の16.5%〜22%程度 勤務先への請求:回収額の11%〜22%程度 |
日当 | 出張日当:2万円〜(距離による) |
実費 | 裁判所への印紙代 資料取り寄せにかかる費用 郵送代 コピー代など |
法律相談・着手金については、アスベストに注力する弁護士事務所の多くは無料としています。
ただし、給付金や賠償金が支払われる可能性が低い場合には、着手金の支払をお願いされることもありえると思います。
報酬金については、回収額に対するパーセンテージで設定されている事務所が多く、一部事務所では、それに加えて、11万円など固定の報酬金を設定している事務所もあります。
【アスベスト給付金をもらった人の実例】弁護士サポートの効果
石綿健康被害救済制度を利用した事例
事案の概要
Aさんは、中皮腫を発症してしまい病院に通院していたところ、病院から石綿健康被害救済制度の案内を受けました。
しかし、Aさんは実際にどのように動けばいいのか分からず、弊所に相談に来られました。
弁護士のサポート
弁護士が話を聞いたところ、仕事が原因でアスベストを吸引したことを証明するのはかなり難しい状況でした。
ただ、労災認定を受けるメリットは大きいため、石綿健康被害救済制度の利用と労災申請の両方を視野に入れるよう説明しましたが、Aさんの希望もあり、石綿健康被害救済制度を先行して進めることになりました。
弁護士において、病院などから必要書類を収集し、資料をまとめ所轄の保健福祉センターに資料を提出しました。
サポートの結果
弁護士において、資料を収集後、約3ヶ月後に無事認定されたとの通知が届きました。
Aさんには、過去分を含めた療養手当など合計約70万円が給付されることになりました。
また、その後は、毎月103,870円が療養手当としてAさんに支給されることになりました。
アスベスト被害を弁護士に相談するタイミング
アスベスト被害を弁護士に相談するタイミングとしては、以下のタイミングが考えられます。
- 中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、石綿肺に診断されたとき
- 上記の石綿関連疾患によって家族が亡くなったとき
アスベストによる健康被害は数年から数十年経過して判明します。
請求期限の問題もありますので、被害が判明したら、できるだけ早く弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士相談から解決までの流れと期間
アスベストの補償を受ける方法としては、大きく以下の5つが考えられます。
- 建設アスベスト給付金
- アスベスト訴訟
- 労災保険
- 石綿健康被害救済制度
- 損害賠償請求訴訟
これらの手続きは、それぞれ異なった特徴があります。
各手続きの流れについて詳しくは以下をご覧ください。
デイライト法律事務所の弁護士に相談するメリット
デイライト法律事務所の弁護士に相談するメリットは、アスベスト問題に注力する弁護士が在籍しており、適切なアドバイス・サポートを受けることが期待できることです。
相談対応する弁護士は、アスベスト問題に関する法律記事の執筆や相談対応を通じて、アスベスト問題に関する知見を日々広めています。
また、来所相談に加えて、電話相談、オンライン相談も実施して全国対応していますので、全国の方からアスベスト被害のご相談に対応することができます。
アスベスト被害についてのQ&A
アスベストの労災でいくらもらえる?

具体的な金額は、被害者の治療内容や収入状況によって異なります。
労災の給付について、詳しくは以下をご覧ください。
アスベスト裁判で賠償金はいくらもらえる?

症状等 | 賠償金額 |
---|---|
肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、石綿肺(管理区分4)による死亡 | 1300万円 |
石綿肺(管理区分2・3)による死亡 | 1200万円 |
肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、石綿肺(管理区分4) | 1150万円 |
石綿肺(管理区分3)合併症あり | 950万円 |
石綿肺(管理区分3)合併症なし | 800万円 |
石綿肺(管理区分2)合併症あり | 700万円 |
石綿肺(管理区分2)合併症なし | 550万円 |
アスベストの弁護士報酬はいくらですか?

当事務所の弁護士費用については、以下のページをご覧ください。
アスベスト給付金は弁護士無しで申請できますか?

もっとも、資料を収集する手間や、不十分な資料しか提出できなかった場合に補償を受けられなくなるリスクもありますので、少なくとも一度、弁護士に相談はされた方がいいでしょう。
アスベスト被害を弁護士に依頼すると1時間いくらかかりますか?

しかし、アスベスト被害の問題でタイムチャージ方式をとっている法律事務所はほとんどないかと思います。
もっとも、相談料として、1時間1万円の費用が発生する法律事務所はあるかと思います。
まとめ
アスベスト被害にあった場合に、まずは何をすべきか分からない、分からないことも分からないといった事態に陥ってしまうこともあるかと思います。
弁護士に相談すれば、事実関係が整理でき、今後とるべき方針を明確にすることが期待できるので、アスベスト被害にあった場合、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士選びにあたっては、インターネットで検索してアスベスト問題の情報発信をしているか確認することをお勧めします。
当事務所では、アスベスト問題に注力する弁護士が在籍して、相談対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
電話相談、オンライン相談により全国対応しています。
相談料は初回無料ですので、お気軽にご相談ください。