弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

妊産婦さんが死亡する原因の約18%が、出産時の大量出血となっています。
出産の際には、突発的で制御不能な大量出血を起こしてしまうことがあります。
こうした出血を止めることができないと、お母さんが出血多量で死亡してしまう危険があります。
日本の妊産婦死亡率は決して高い水準でなく、比較的安心して出産に臨むことができる環境が整っています。
しかし、元々お産は、お母さんにとって命がけのものです。
実際、今でも、出産時の出血多量などで亡くなるお母さんはおられます。
赤ちゃんを迎えて新生活を始めることを思い描いていた家族にとって、出産でお母さんが亡くなることは、とてもすぐには受け止められない衝撃であるかと思います。
そこで、今回の記事では、出産時の出血多量で亡くなる確率、出産時の大量出血の原因などについてご紹介するとともに、出産時にお母さんが亡くなった場合に病院に責任を問えるケース、弁護士に相談した方が良いケースなどについて解説していきます。
それに加え、出産時の大量出血でお母さんが死亡した場合の対処法・相談窓口などもご紹介していきたいと思いますので、ご関心がおありの方は、ぜひご一読ください。
目次
出産時の出血多量で死亡する確率とは?
妊産婦さんの死亡原因の割合については、「母体安全への提言2024 Vol.15(令和7年10月)p25|日本産婦人科医会」に、妊産婦死亡報告例の疾患別頻度(2010-2024年)の統計が紹介されてます。
それをみると、死亡原因の中では、出産時に大量出血を起こす「産科危機的出血」が最も多く、死亡原因全体の18%を占めています。
なお、ほかの主な死因としては、頭蓋内出血・梗塞(14%)、心肺虚脱型羊水塞栓症(11%)、自殺(11%)、心大血管疾患(9%)などがあります。

参考:母体安全への提言 2024 Vol.15(令和7年10月)|日本産婦人科医会
出産時に大量出血が起こる原因とは?
出産時に大量出血が起こる原因としては、主に次のものが挙げられます。
- 羊水塞栓症
- 子宮破裂
- 産道裂傷
- 胎盤早期剥離
- 弛緩出血
- 前置胎盤
- 癒着胎盤
参考:母体安全への提言 2024 Vol.15(令和7年10月)p26|日本産婦人科医会
それぞれについて、簡単に解説します。
羊水塞栓症

羊水塞栓症(ようすいそくせんしょう)は、出産時に、何らかの原因によって、比較的多量の羊水や胎児成分がお母さんの血液中に流入してしまうというものです。
この羊水塞栓症となると、DIC(播種性血管内凝固)を発症することがあります。
そうなると、湧き出るような性器出血が起こって大量出血をきたし、出血性ショックを起こし、最終的に死亡してしまう危険があります。
DIC(播種性血管内凝固(読み方は「はしゅせいけっかんないぎょうこ」)とは?
DICとは、全身で著しい凝固活性化が持続的に生じ、全身の細小血管内に微小な血栓が多発する重篤な病態です。
さらに、血栓を溶かそうとする働き(線溶系)も活性化するため、出血症状も起こってきてしまいます。
産科のDIC(産科DIC)は、通常のDICの場合よりも突発的に起こり、急激に進行します。
これは、胎盤や羊水に由来する組織因子が血中に流入していることなどが原因です。
なお、産科DICには、①常位胎盤早期剥離・羊水塞栓症などの基礎疾患によって直接DICが引き起こされるものと、②子宮破裂、前置胎盤など異常出血を来す原因疾患によって出血性ショックとなり、大量出血に伴って凝固因子が消費されてDICとなるものがあります。
なお、羊水塞栓症では、大量出血のほかにも、突然の胸痛、呼吸困難、意識消失などから、ショック(血圧低下など)、心不全、心停止、呼吸停止などに至って死亡するケースもあります(心肺虚脱型羊水塞栓症)。
子宮破裂
子宮に裂傷が生じてしまうことを、子宮破裂といいます。
多くの場合、子宮破裂は、出産の際に起こります。
子宮破裂が起こってしまうと、大量出血が起こり、出血性ショックやDICを起こし、最悪の場合死亡してしまいます。
なお、子宮破裂では、赤ちゃんも、お母さんの腹腔内に出てしまい、死亡してしまうことがあります。
産道裂傷
出産時に産道に裂傷を負い、そこからの出血が止まらず、大量出血を起こしてしまうことがあります。
そこから出血性ショック・DICを起こし、死亡してしまうケースもあります。
常位胎盤早期剥離
胎児が生まれてくる前に、正常な位置にある胎盤が子宮壁から剥離することを、常位胎盤早期剝離といいます。
常位胎盤早期剝離を起こすと、子宮の中で大量に出血し、母子ともに危険な状態となります。
常位胎盤早期剝離からDICを発症することもあります。
そうなると、出血はさらにひどくなっていきます。
最悪の場合、母子ともに命を落とすことにもなりかねません。
常位胎盤早期剥離の原因は、まだはっきりとはわかっていません。
ただ、妊娠高血圧症候群を発症している妊婦さんは、その合併症として常位胎盤早期剝離を発症するリスクがあります。
妊娠高血圧症候群については、以下のページでも詳しく解説しています。
弛緩出血
弛緩出血(しかんしゅっけつ)は、赤ちゃんを出産した後に、子宮の筋肉の収縮が十分でないために、異常な出血が起こるというものです。
赤ちゃんを出産した後の子宮では、胎盤がはがれたところから出血が起こっています。
通常であれば、この出血は、子宮の筋肉が収縮することなどによって止血されていきます。
しかし、この子宮の収縮が不良だと、血が止まらず、大量出血を起こしてしまいます。
前置胎盤
前置胎盤は、胎盤が正常より低い位置で子宮壁に付着し、内子宮口を覆うかその辺縁に及んでしまっているものをいいます。
前置胎盤となると、妊娠末期や分娩後に大量出血をし、母親が危険にさらされることがあります。
そのため、前置胎盤であることが分かっている場合は、陣痛が来る前に、早めに帝王切開を行うことになります。
癒着胎盤
癒着胎盤は、胎盤の一部又は全部が子宮壁と強く癒着してしまい、出産後、自然な胎盤剥離がみられないことを言います。
癒着胎盤では、胎盤の絨毛が子宮筋層に侵入又は癒着しており、胎盤がはがれにくくなっています。
はがれなかった胎盤が子宮内に残っていると、子宮の収縮がうまくいかず、一部の胎盤がはがれたところから大量出血をしてしまうリスクがあります。
また、胎盤の絨毛が子宮筋層内に侵入してしまっている場合、子宮を全摘出することが原則になります。
その際、膀胱との癒着が生じていると、その癒着を剥離する時に大量出血することがあります。
なお、前置胎盤となっている上に癒着もしている場合、出血のリスクはより高くなります。
出産時の死亡で病院に責任があるケースとは?
出産時にお母さんが死亡したことについて、病院が法的な責任を負うのは、医療過誤(医療ミス)があった場合です。
医療過誤があったと認められるには、次の要件をいずれも満たす必要があります。
- 医師・病院に過失があった
- 何らかの健康被害(損害)が生じた
- 医師等の過失と損害の間に因果関係があった
それぞれの要件について解説します。
医師・病院に過失があった
医師・病院に医療ミスがあったというためには、医師・病院に過失があったことが必要です。
過失があったと認められるためには、まず、医師・病院の行為が何らかの注意義務に違反していると認められることが必要になります。
この注意義務は、「医師ならば命を助ける義務がある」などという抽象的なものでは足りません。
以下に挙げる例のように、実際の治療経過に即した具体的な注意義務が認められる必要があります。
具体例
- 「○○mLの出血があった場合には、○○という処置をする義務がある」
- 「○○という症状が出た場合には、より高度な治療が可能な医療機関に搬送すべき義務がある」
- 「○○という条件を満たす場合は、○○の検査をする必要がある」
こうした注意義務の存在は、証拠によって裏付けることが必要です。
証拠となるものとしては、各種ガイドライン、医学文献・論文、協力医の意見書などがあります。
医師等の医療ミスを主張するには、これらを読み解いて、法律上の注意義務があることを主張・立証していくことが必要になります。
注意義務の設定は、医療ミスを主張する際の出発点です。
この点に関する主張がしっかりと整っていなければ、その後の主張・立証も迷走することになってしまいます。
医師等の注意義務に関しては、法律と医療の両分野に関する知見を基に、慎重に検討することが大切です。
何らかの健康被害(損害)が生じた
医療ミスの責任を追及する際には、原則として、何らかの健康被害(損害)が生じていることが必要です。
出産時に死亡したケースでは、お母さんが亡くなるという損害が生じていますので、この要件は満たされることになります。
過失と損害の間に因果関係があった
過失と損害の間に因果関係があったことも、医療ミスの責任を追及するためには必要になります。
そのため、解剖が行われていないなど死因がはっきりしないケースでは、医師等の過失と死亡の間に因果関係が認められず、医療ミスについての責任追及ができなくなってしまう可能性があります。
ほかにも、「医師に過失がなかったとしても、同じ結果が生じた」という場合(例:必要な処置をしていても、救命は不可能であり、結局患者は死亡していた)も、「医師の過失が原因で死亡した」とはいえないので、過失と結果の因果関係が認められません。
この因果関係について的確に主張・立証するためには、法律と医療の両方に関する知識があることが重要です。
このように、医師や病院の法的責任を追及するには、医療と法律両方の専門知識が必要になります。
医療ミスがあったのではないかと思われる場合には、早めに、医療と法律両方の分野に通じている、医療ミスに強い弁護士に相談するようにしましょう。
出産時の大量出血で死亡した場合の対処法

解剖を行う
出産時の大量出血で亡くなった場合、死因や死亡するに至った機序を明確にするため、解剖を行うことがとても重要です。
死因などがはっきりしていないと、病院の責任を追及しようとしても、過失や因果関係の立証が難しくなってしまいます。
ご遺族の方にとって、大切なご家族のご遺体に死後もメスを入れられることは、大変苦しいことかもしれません。
しかし、解剖をしないまま葬儀を済ませてしまったために、真相の解明ができなくなってしまえば、もっと苦しい思いをすることになってしまいかねません。
それに、解剖により死亡した原因などが分かれば、病院でより有効な再発防止策を立てることができるようになることが期待できます。
辛い決断かもしれませんが、ご家族が出産で亡くなられた場合は、死因などを明らかにするためにも、解剖を行うことをおすすめします。
病院に何があったかの説明を求める
出産に臨んだお母さんが大量出血で死亡してしまった原因や経緯については、まずは、病院に説明を求めることが一般的です。
出産が始まる時に受診した病院から他の病院に搬送された場合、最初に受診した病院と搬送先の病院の両方から説明を聞くことが考えられます。
病院に説明を求める事項には、次のようなものがあります。
- 死亡するに至った経過
- 死亡という結果が生じた原因
- 病院の責任に関する現時点での見解
ご遺族の方が病院から説明を受けようとするとき、次のようなことが心配になるかもしれません。
- 医者の説明が理解できるだろうか
- 自分の言い分や思いを満足に伝えられないのではないか
- 高圧的な態度をとられるのではないか
- 冷静に話ができるだろうか
こうした不安がある場合は、弁護士に依頼し、病院からの説明に同席してもらうことも一案です。
弁護士にそばについていてもらえば、精神的にも支えになりますし、病院に自分たちの言い分や思いを伝えてもらうこともできます。
病院からの説明内容についても、後から弁護士とともに確認することができるので、心強いです。
医療事故としての調査を求める
病院の説明では納得できない場合は、医療事故として調査するよう求めることが考えられます。
調査には、病院内での調査だけでなく、外部の機関に依頼して行う調査があり、両方の調査を並行して行う場合もあります。
参考:医療事故調査・支援センター事業 | 日本医療安全調査機構
カルテの開示を求める
医療過誤があったのではないかとの思いがおありの場合は、病院にカルテの開示を求めることが考えられます。
カルテの開示を受ければ、医療過誤に強い弁護士や協力医に見てもらい、医療過誤があったかどうかについての意見を出してもらうことができます。
ただ、カルテ開示は、場合によっては手続きが難しいことがありますし、開示されたカルテを読み解くにも専門的な知識が必要になります。
そのため、カルテ開示を求める際は、医療過誤に強い弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
医療過誤に強い弁護士に相談する
ここまでみたとおり、医療過誤の責任を追及するには、医療と法律両方の専門知識が必要になります。
そのため、医療過誤があったのではないかとの思いがある場合は、なるべく早く医療過誤に強い弁護士に相談・依頼し、サポートを受けることが大切です。
医療過誤に強い弁護士に相談・依頼することのメリットについては、医療過誤に強い弁護士が詳しくご説明します。
赤ちゃんに脳性まひがある場合は産科医療補償制度も検討を
産科医療補償制度は、生まれてきた赤ちゃんが、分娩に関連して重度脳性まひを発症した場合に、医師や病院に過失があったかどうかに関係なく補償を受けることができる制度です。
お母さんが出産時の出血多量で亡くなった場合、生まれた赤ちゃんにも脳性まひなどの影響が出る場合があります。
もし、その赤ちゃんに脳性まひが生じている(又はその疑いがある)ようであれば、産科医療補償制度の申請をすることも検討しましょう。
産科医療補償制度の申請をすれば、補償金(総額3000万円)が支払われるだけでなく、医学的な観点から原因分析が行われ、報告書も作成されます。
さらに、複数事例の分析から、再発防止策等も策定され、産科医療の質の向上につなげられていきます。
また、この制度を使っても、病院等への損害賠償請求ができなくなるわけではありません(ただし、補償金は、出産をした病院の損害賠償に充当されるので、補償金を受け取った分損害賠償額が低くなります)。
申請期限は、満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までです。
申請先は、出産をした医療機関(分娩機関)です。
補償対象となるための条件、手続きの流れなど制度の詳細については、産科医療補償制度のHPをご参照ください。
なお、医療ミスにあった場合の対応方法については、以下のページでも解説しております。
出産時死亡の相談窓口
病院の相談窓口
医療過誤があったと思われる場合、まずは当事者である病院に相談する・苦情を申し立てるといった対応が考えられます。
担当医に直接言うだけでなく、病院の窓口(患者向けの相談窓口、総合窓口など)に相談することもできます。
医療過誤に強い弁護士
医療過誤があったのではないかとの思いがある場合は、できるだけ早く医療過誤に強い弁護士に相談しましょう。
医療過誤に強い弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなメリットが得られます。
- 病院との交渉の窓口になって、病院とのやり取りを代わりに行ってくれる
- 病院の説明を聞く際に同席してもらえる
- 医療過誤と認められるかどうかのポイントを教えてもらえる
- カルテ開示の手続、カルテの解析、医療文献、協力医の意見書などの準備を依頼できる
- 損害賠償額を算定してもらえる
- 訴訟などが必要になった場合にも対応してもらえる
医療過誤を弁護士に相談するメリットについては、以下のページもご覧ください。
弁護士探しには医療事故情報センターが活用できる
医療ミスに関する事件に患者側に立って取り組んでいる弁護士は、決して多くありません。
そのため、ご自身では、頼りになりそうな弁護士を見つけることが難しい方も少なくないと思います。
医療ミスについて依頼する弁護士を探すのに苦労されている場合は、医療事故情報センターを活用してみてはいかがでしょうか。
医療事故情報センターは、医療ミスに関する依頼を受け、患者側の代理人の立場で活動している全国各地の弁護士によって構成される団体です。
この医療事故情報センターのHPをご覧いただけば、医療ミス問題を受任している全国の弁護士による相談窓口が掲載されています。
ここに掲載された相談窓口に連絡すれば、医療ミスを取り扱っている弁護士に相談することが可能です(相談の日程は、別途調整することになる場合もあります。)。
また、医療事故情報センターに依頼し、医療ミスに関する相談窓口を掲載した「全国相談窓口一覧表」などを送ってもらうこともできます。
出産時の医療ミスで弁護士に相談したほうが良いケース

重度の後遺症が生じた場合
出産時の医療ミスによって重度の後遺症が生じてしまった場合、ご家族は、障害を負ったお母さんの介護をすることが必要になります。
そのような中で、病院の医療ミスの責任追及も行っていくとなると、あまりにもご家族の負担が重すぎます。
それに、重度の後遺症が生じた場合は、その後の介護などの費用、生活費など多額の金銭的負担が生じてきます。
そのため、ご家族みんなが安心して過ごすためにも、十分な補償を得ることがとても重要になってきます。
ご家族の負担を減らし、十分な補償を得るためには、早くから医療過誤に強い弁護士に相談・依頼し、サポートを受けることがとても大切です。
本人が死亡した場合
ご本人が死亡したという重大な結果が生じた場合にも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
ご家族を亡くされたばかりで、病院の責任追及を自らの手で進めていくことは、非常に大きな負担となります。
それに、ここまでみたとおり、医療過誤に関して十分な主張・立証を行うためには、法律と医療の両分野に関する知識が必要になります。
亡くなられたご家族のためにも、早いうちに医療過誤に強い弁護士に相談し、サポートを受けるようにしましょう。
医療機関が過失を認めている場合
医療機関が過失を認めている場合でも、損害賠償額については慎重な検討が必要です。
生命・身体に損害が生じたケースで適切な損害賠償額を算定するためには、損害賠償に関する専門的な知識が不可欠です。
十分な知識のないまま、病院や病院が加入している保険会社の提示してきた案をそのまま受け入れてしまうと、後になって、「損害賠償額が低すぎた・・・」と後悔することになりかねません。
医療機関が過失を認めている場合であっても、医療過誤にくわしい弁護士と相談した上で、病院と話し合うことが重要です。
医療機関が過失を認めていない場合
医療機関が過失を認めない場合は、損害賠償額の算定だけでなく、医療機関の過失、過失と損害の因果関係も主張・立証しなければなりません。
こうした主張・立証を十分に行うためには、医療過誤にくわしい弁護士に依頼することが大切です。
それに、紙のカルテを使っている病院の場合、医療機関が責任を否定しているケースでは、カルテの改ざんを防ぐため、急いでカルテの保全を行うことが必要になることもあります。
カルテの保全を行うためには、所定の手続きを踏むことが必要になりますので、弁護士に依頼すると安心です。
医療ミスがあったのではないかと思う場合
上にご紹介したケースに当てはまらない場合でも、「医療ミスがあったのではないか」との気持ちが消えない場合は、早いうちに一度、医療過誤に強い弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談すれば、病院の責任が認められるかどうかの見通しや、病院の責任追及にかかる時間・費用、得られる可能性のある損害賠償額などについて具体的なアドバイスを得られます。
そうすれば、起こったことを客観的に見直し、今後どのように動くかの方針も立てることができます。
なお、弁護士によっては、医療過誤事件の全てには対応していないこともありますので、ご注意ください。
出産と大量出血についてのQ&A

出血量はどれくらいで死亡しますか?
一般的に、全血液量の40%以上を失うと、死亡する危険があります(全血液量 = 体重(kg)× 約80mL)。【例】
| 体重 | 死亡する危険がある出血量 |
|---|---|
| 50kg | 1600mL (50kg × 80mL × 0.4) |
| 60kg | 1920mL (60kg × 80mL × 0.4) |
ただ、同じ出血量でも、「短時間に出血した場合には危険が大きくなる」「女性の方が男性よりも出血に耐えられる体質となっている」など、状況によって、どの程度の出血量で死亡するかが変わってきます。
急速に血液が失われた場合などには、上記の出血量より少なくても、出血によって死亡してしまうケースもあります。

出産時の出血量はどのくらいが致死量ですか?
出産時の出血についても、出血量だけでなくバイタルサインや体質など様々な条件が絡みあって危険性が変わってきます。そのため、一概に、どの程度の出血量で致死量となるとはいえません。

大量出血とは?中量や少量との違いを教えて下さい。
出産時には、経腟分娩で約500mL、帝王切開で約1000mLを下回る出血量であれば、通常の出血量となります。これ以上の出血は、「異常を認知する重要な警告ライン」とされています。
ただ、出血量だけでは、妊産婦さんに異常が生じているかどうかの判断ができるわけではありません。
また、出産後の出血には多量の羊水が含まれていることがありますので、出血量だけを正確に把握することは困難です。
そのため、出血量に加え、バイタルサインと出血量の推移を総合的に評価して、出血による異常が生じているかを評価していくことになります。
心拍数、血圧、呼吸数、体温、SpO₂、尿量、意識レベル、末しょう循環不全を示唆する所見(皮膚の冷感、毛細血管再充満時間など)
参考:医療事故の再発防止に向けた提言 第21号 産科危機的出血に係る妊産婦死亡事例の分析」(2025年10月)p15~|医療事故調査・支援センター
さらに出血が持続し、出血量が経腟分娩で1000mL以上、帝王切開で2000mL以上となると、「分娩後異常出血」などと診断されます。
出血量以外でも、ショックインデックス(心拍数 ÷ 収縮期血圧)が1以上となったときも、分娩後異常出血などとなります。
さらに、分娩後異常出血となった後も、持続出血とバイタルサインの異常(乏尿、末梢循環不全)、ショックインデックスが 1.5 以上、産科 DICスコア 8点以上、フィブリノゲン値 150 mg/dL未満のいずれかを認める場合、産科危機的出血となります。

出産で死亡する割合は?
出産での死亡率は、日本では、出産10万件当たり約4.2人となっています(2024年)。出産の死亡率を割り出す際には、厚生労働省が公表している人口動態統計を参考にします。
令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況を見ると、令和6年に「妊娠、分娩及び産じょく」が死因となって亡くなった方は30人おられたことが分かります(p22)。
また、同じ資料から、年間出産数は70万1496件(うち出生数68万6173人、死産数1万5323人)であったことが分かります(p4)。
参考:令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省
これらの数値を基に出産での死亡率を計算すると、次のようになります。
30人 ÷ 70万1496件 ≒ 0.000042
この計算により、出産での死亡率は、出産10万件に対して約4.2人となるのです。
出産の死亡率については、以下のページでも解説しています。
まとめ
今回の記事では、出産時に出血多量で死亡するケースについて解説しました。
現在の日本では、出産で亡くなる方は非常に少なくなっています。
しかし、それでも、出産時に出血多量で亡くなる妊産婦さんがいなくなることはありません。
そうして妊産婦さんが亡くなられたケースの中には、「医療ミスがあったのではないか」と思われるようなケースも存在します。
もし出産時の大量出血でご家族を亡くされ、「医療ミスではないか」との思いをお持ちであれば、早いうちにぜひ一度、医療過誤に取り組んでいる弁護士にご相談ください。
当事務所でも、様々な事件で医療に関わる問題を多数取り扱い、医学的知識を蓄積してきた人身障害部所属の弁護士たちが、出産時の大量出血でご家族を亡くされた方からのご相談をお受けしております。
電話、オンラインによる全国対応も可能です。
出産時の大量出血によって亡くなられたケースをはじめ、医療ミス問題でお困りの方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。





