NST(ノンストレステスト)とは?検査の目的やモニターの見方を解説

監修者:弁護士 鈴木啓太
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

NSTとは

妊娠中に行う検査の中に、NST(ノンストレステスト)というものがあります。

これは、胎児の心拍数の状態などを調べることで、胎児の状態が良好かどうかを確認するための検査です。

NSTは妊婦さんのお腹にセンサーを取り付けるだけで行うことができ、胎児や妊婦さんにとって負担が少ない検査です。

そのため、NSTは、妊娠36週ごろの妊婦検診などで多くの方が受ける一般的な検査となっています。

今回の記事では、NSTの意味、検査の目的、検査方法、NSTでわかること、NSTの結果の見方などを、わかりやすく解説していきます。

NST(ノンストレステスト)とは?

NSTの意味

NST(ノンストレステスト)とは
NST(ノンストレステスト)は、妊娠時に行う検査の一種です。

分娩監視装置(赤ちゃんの心拍や陣痛の強さを測る機械)を用いてお腹の赤ちゃん(胎児)の心拍数を確認する検査で、胎児心拍数モニタリングと呼ばれることもあります。

NSTは、胎児にストレスをかけない状態で行います。

そのため、「ノンストレステスト」と呼ばれているのです。

ここに言う「ストレス」は、子宮の収縮・陣痛のことを指します。

一方、人為的に子宮収縮(陣痛)を起こし、胎児にストレスを与えた状態にして、胎児の心拍数をモニタリングする検査もあります。

この検査は、CST(コントラクション・ストレス・テスト)と呼ばれます。

CSTは、NSTで胎児の状態が良好であることが確認できなかった場合などに行われています。

CSTでは、胎児の心拍数の状態に加え、子宮の収縮圧の変化と胎児の心拍数の変化の関連性をチェックします。

 

妊婦のNST(ノンストレステスト)とは?

妊婦がNST検査をする目的は?

NSTは、胎児が元気な状態かどうかを調べるために行われます。

胎児の心拍数の状態は、胎児の健康状態を表します。

そのため、NSTによって胎児の心拍数をモニタリングすることにより、胎児の健康状態を確かめることができるのです。

 

NSTは医療現場の栄養サポートチームを指すことも

なお、NSTという略語は、「医療現場の栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)」を指して用いられることもあります。

栄養サポートチームは、医師、管理栄養士、看護師などによるチームで、患者の栄養状態を改善すべく栄養療法を行っています。

 

 

妊婦のNSTで何がわかるの?

NSTでは、胎児が元気かどうかがわかります。

NSTの検査では、お腹の中にいる胎児の心拍数の変化と子宮の収縮圧の変化を時系列に沿って観察することができます。

NSTでは、これらのうちの胎児の心拍数の変化から、胎児の状態が良好かを調べていきます。

ただ、NSTで胎児の状態が良好であると確認できなかった場合でも、直ちに胎児の状態が悪いと診断されるわけではありません。

単に胎児が寝ていたために、期待される検査結果が得られなかっただけであるなどの可能性もあるためです。

そのため、NSTで胎児の状態が良好と確認できなかった場合は、通常、人為的に子宮収縮を起こして胎児の心拍数などを確認するCSTなどの追加の検査を行います。

そうした追加検査の結果も含めて検討し、胎児の状態について判断し、処置が必要かなどを決定していきます。

 

 

NSTが必要なケース

NSTが必要となるのは、次のようなケースになります。

  • 出産予定日を過ぎている
  • ハイリスク妊娠のケース
    (例) 胎動が減少している
    妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病など母体の合併症がある
    胎児発育不全
    羊水過少症・羊水過多症
    双子・三つ子などの多胎妊娠
    以前の妊娠でトラブルがあった など

ただ、実際には、特に上のような状態にない場合でも、妊娠36週ごろの妊婦検診で、多くの妊婦さんがNSTを受けておられます。

 

 

NSTの実施方法

NSTは、次のような手順で実施します。

NSTの実施方法

 

①ベッドやリクライニングチェアに横になる

妊婦さんは、まず、ベッドやリクライニングチェアに横になります。

検査中は、長い時間(20~40分程度)横になった姿勢でいなければならないので、できるだけ楽な姿勢をとるようにしてください。

 

②お腹にセンサーを付ける

横になったら、妊婦さんのお腹に、分娩監視装置のセンサーを2つ取り付けます(子宮の収縮圧を測定するものと胎児心拍を測定するもの)。

センサーを付ける際には、ベルトをお腹に巻いてセンサーを固定します。

 

③胎動を知らせるボタンを渡される

多くの場合、NSTの検査中はボタンを渡され、胎動を感じた時に押すように指示されます。

 

④測定開始

準備ができたら、測定が開始され、NSTが始まります。

NSTを受ける間は、妊婦さんは、横になった状態やリクライニングチェアに座った状態のままになります。

検査の時間は20分~40分程度です。

 

NST検査を受けるときのポイント

検査が行われる20~40分の間、妊婦さんはベッドやリクライニングチェアから離れることができません。

そのため、なるべく楽な姿勢で検査を受けられるようにするとよいです。

服装については、お腹に器具を着けるので、お腹を出しやすい、上下が分かれたゆったりした服装が良いでしょう。

NSTは、原則的に妊婦さんの身体に負担をかけるものではありません。

しかし、妊娠後期の妊婦さんの中には、横になること自体によって気分が悪くなる方もおられます(Q&A参照)。

もし検査中に気分が悪くなったら、すぐに医療スタッフに声をかけ、姿勢を変えてもらうなどしましょう。

そうして姿勢を変えるだけでも、症状が和らぐ場合が多いようです。

 

分娩監視装置は出産の時にも使われている

分娩監視装置(赤ちゃんの心拍や陣痛の強さを測る機械)は、NSTなど妊娠中の検査のためだけでなく、陣痛が来て出産が始まった時にも使われています。

陣痛が来ている時には、胎児心拍数のグラフだけでなく、子宮収縮圧のグラフにも山が見られるようになります。

出産の際には、この子宮収縮圧が高くなったタイミングと、胎児心拍数が変化したタイミングの関係(子宮収縮と胎児心拍数の変化が連動しているか、胎児心拍数の変化が子宮収縮の後に起こっているかなど)も、胎児の状態を知るための手がかりとなります。

 

 

NSTのモニターの見方をわかりやすく解説

NSTの結果はグラフになる

NSTの結果は、専用の用紙(胎児心拍陣痛図:CTG)に印刷され、グラフの形で出てきます。

グラフには二つあり、それぞれ次のようなものとなっています。

  • 上段のグラフ 胎児の1分間当たりの心拍数(胎児心拍数。単位:bpm)を表します。
    横軸が時間、縦軸が胎児心拍数を表します。
  • 下段のグラフ 子宮収縮圧を表します。NSTの場合、ほぼ平坦な線になります。
    横軸が時間、縦軸が子宮収縮圧を表します。

いずれのグラフも、時間経過に沿って、それぞれの時点の胎児心拍数・子宮収縮圧を記しています。

このグラフを見ることにより、時間の経過にともなって、胎児心拍数などがどのように変化しているかがわかります。

また、グラフの下部には、胎動を感じて妊婦さんがボタンを押した時を示す印が付く場合があります(分娩監視装置の種類によって異なります)。

 

NSTの結果を見るときに大事なこと

NSTの結果を見るときは、次の点に着目します。

 

胎児心拍数基線がどこにあるか

胎児心拍数基線とは、一過性徐脈・一過性頻脈がある時を除いた10分間での平均心拍数です。

胎児心拍数基線が1分間に110回から160回までの範囲にあれば、正常範囲とされています。

この範囲から外れると、脈拍数が多すぎる場合も少なすぎる場合も、胎児の状態が良好でない可能性があります。

 

胎児心拍数基線細変動の状態

胎児心拍数基線に細かな変動(細変動。「ゆらぎ」)があるかどうかも、胎児が元気かどうかを知るために重要です。

細変動が見られ、その変動の幅が正常なものであれば、胎児の状態が良いと考えられます。

変動の幅は、6~25bpmであれば中程度とされ、問題ないとされます。

この変動が増加している、減少している、又は消失しているという場合、胎児の状態が悪くなっている可能性があり、慎重に状況を確認することが必要になります。

ただ、胎児が寝ている場合も基線細変動が減少しますので、胎児の状態は、慎重に確認する必要があります。

 

胎児心拍数一過性変動の状態

胎児の心拍数は、一時的(一過性)に増加又は減少することがあります。

これを、胎児心拍数一過性変動といいます。

胎児心拍数が一過性に増加すると一過性頻脈、一過性に減少すると一過性徐脈といわれます。

このうち、一過性頻脈は、次の条件を満たす波形になります。

  • ①開始からピークまでが30秒未満の急速な増加
  • ②開始時の心拍数から頂点まで15bpm以上増加
  • ③②の状態が15秒以上持続する

妊娠32週未満でNSTを行った場合、胎児の自律神経系が未熟なので、心拍数増加が10bpm以上、持続が10秒以上であれば、一過性頻脈とされます。

グラフでは、山のように盛り上がった形になるところが、一過性頻脈があったことを示す箇所になります。

こうした胎児の一過性頻脈は、通常、胎動・内診・母体の腹壁からの刺激などによって交感神経が刺激され、心拍数が増加することにより起こります。

この一過性頻脈は、胎児の心拍数を司る自律神経系の正常な反応であり、胎児の状態が良好であることを示すものとなっています。

NSTでは、一過性頻脈が20分の間に2回以上見られ、一過性徐脈が認められなければ、胎児の状態は良好とされます。

一方、一過性頻脈が20分間に2回未満しかみられない場合や、一過性徐脈が認められる場合には、胎児の状態が悪い可能性があります。

 

NSTの結果が良好でなかった場合はどうなる?

NSTの結果が良好でなかったとしても、必ずしも胎児が危険な状態にあると確定されるわけではありません。

ここまでにもご説明したとおり、胎児が寝ていたために、胎児の心拍数に違いが生じているといったケースもあるからです。

そこで、NSTで胎児の状態が良好とされなかった場合は、通常、胎児の状態を確認するため、さらに追加の検査を行うことになります。

追加の検査としては、子宮を人為的に収縮させて胎児の心拍をモニタリングするCST、超音波検査を用いて胎児の様子を観察するBPSといったものがあります。

こうした検査を行った結果、胎児を早く外に出す必要があるとわかった場合などには、帝王切開を行うことになる場合もあります。

なお、胎児が寝ている可能性がある場合、NSTの最中に、胎児に音を聞かせる機械を使って胎児を起こす振動音響刺激試験(VAST)を行って、検査を続行することもあります。

そうすることで良好な検査結果が得られれば、胎児の状態は良好と判断されます。

 

 

NSTについてのQ&A

NSTは痛みがありますか?

NSTは、お腹にセンサーを付けるだけでできるものですので、妊婦さんや胎児には、痛みや負担はほとんどありません。

ただ、妊娠後期の妊婦さんの中には、長い時間横になった状態で検査をすることにより、途中で気分が悪くなる方もおられます。

気分が悪くなったら、看護師や助産師に声をかけ、身体の向きを変えてもらうなどしましょう。

 

NSTで体調不良となる原因は?

NSTで体調不良となる原因の主なものは、仰臥位低血圧症候群だといわれています。

これは、妊婦さんが仰向け(仰臥位)に横になったときに、大きくなった子宮が背中側にある下大静脈を圧迫し、これによって心臓への血の戻りが悪くなって血圧が低下するために起こるものです。

仰臥位低血圧症候群になると、吐き気やめまいがしてしまいます。

NST検査中に体調が悪くなったら、我慢せず、看護師や助産師に声をかけ、姿勢を変えてもらいましょう。

 

 

まとめ

今回の記事では、NSTについて解説しました。

NSTは、胎児が無事に生まれてくることができる状態かどうかを調べるための大切な検査です。

そのため、妊娠中の経過を知る必要がある場合にも、NSTの結果が一つの手がかりになる可能性があります。

たとえば、産婦人科で医療事故にあった可能性がある場合、妊娠中の妊婦さんと胎児の状態を知ることは、とても重要になる場合があります。

その際に、NSTの結果が、資料の一つとなることもあるかもしれません。

ただ、医学に関する知識があまりない方にとっては、NSTのグラフから何が読み取れるのかを知ることは、難しいことと思われます。

そのような場合には、なるべく早く医療訴訟に強い弁護士に相談し、サポートを受けるようにしてください。

医療訴訟に強い弁護士に相談すれば、NSTの結果の見方について調べてくれたり、病院側との話し合いの場に同席して一緒に説明を聞いてくれたり、病院側の責任をどのように追及していけばよいかについてアドバイスしてくれたりします。

当事務所でも、人身交通事故の対応で医学知識を蓄積してきた人身障害部の弁護士が、産婦人科での医療事故で苦しむ皆様のご相談をお受けしております。

電話・オンラインによる全国からのご相談にも対応しております。

お悩みの方は、ぜひ一度、当事務所までご連絡ください。

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