肝硬変の終末期の症状とは?治療や対応について解説

肝硬変の終末期の症状とは?

肝硬変の終末期の症状には、「腹水」「浮腫」「黄疸」「低カリウム血症」「くも状血管腫」「手掌紅斑」「女性化乳房・睾丸萎縮」「食道静脈瘤」「肝性脳症」などの症状が挙げられます。

肝硬変の終末期と診断されてしまった方については、今現在、大変辛く苦しいお気持ちを抱えていることと思います。

確かに、現在の医療では、肝硬変の根本的治療は難しく、根本的治療を行うためには肝移植しか方法はありません。

しかし、肝硬変は、食生活や生活習慣の改善によって進行を遅らせることができる病気です。

安心して治療を受けるためにも、助成金やB型肝炎給付金の給付を考えてみるのはいかがでしょうか。

この記事では、肝硬変の終末期の症状や治療方法、肝硬変の方が受け取ることのできる可能性があるお金について解説を行います。

肝硬変の末期の症状とは?

肝硬変の末期の症状には、「腹水」「浮腫」「黄疸」「低カリウム血症」「くも状血管腫」「手掌紅斑」「女性化乳房・睾丸萎縮」「食道静脈瘤」「肝性脳症」などの症状が挙げられます。

症状 主な原因
腹水
  • 腹部の膨張(下腹部・腹部全体)
  • 胴回りの寸法の増加
  • 体重増加
  • 食欲不振
  • 息切れ
  • 吐き気・嘔吐など
  • 血液中のアルブミンが低下
  • 門脈圧の亢進
浮腫 手足などの体の末端がむくむ
  • 血液中のアルブミンが低下
  • 門脈圧の亢進
黄疸
  • 皮膚や粘膜(白目など)が黄色くなる
  • 尿の色が濃くなる
  • 便が白色または灰白色になる
ビリルビン代謝能力の低下
低カリウム血症 こむら返り(筋けいれん)
筋力低下など
  • 血液中のアルブミンが低下
  • 尿中へのカリウム排泄が増加
くも状血管腫 首や前胸部、頬に赤い斑点ができる エストロゲン代謝能力の低下
手掌紅斑 掌の両側(親指と小指の付け根)が赤くなる エストロゲン代謝能力の低下
女性化乳房
睾丸萎縮
  • 男性でも女性のような乳房が出現する
  • 睾丸が縮小する
エストロゲン代謝能力の低下
食道静脈瘤
  • 食道静脈などに血液が溜まるこぶの様なものができる
  • 破裂すると吐血・下血・消化管出血など
門脈圧の亢進
肝性脳症
  • 性格の変化
  • 注意力の低下
  • 会話がちぐはぐになる
  • 羽ばたき振戦(鳥の羽ばたきのように手が震える)
  • 錯乱行動
  • 昏睡など
  • アンモニア代謝能力の低下
  • 門脈圧の亢進

これらの症状の中でも、「腹水」「食道静脈瘤」「肝性脳症」については、進行すると死亡リスクが非常に高い症状だといえます。

 

肝硬変とは

肝硬変の分類

そもそも肝硬変とは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患などが原因で引き起こされる肝臓の病気です。

B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患などによって肝臓に炎症が起きると、体はこの炎症を修復しようとします。

そして、炎症が修復される際に、「線維(コラーゲン)」というタンパク質が生成されます。

この線維が肝臓全体に広がると、肝臓はごつごつとして固く小さくなっていきます。

これが肝硬変が起きてしまうメカニズムです。

日本では、毎年約8000人以上が肝硬変で亡くなっています。※

参考:e-Stat|政府統計の総合窓口

※アルコール性肝硬変をのぞく

 

肝硬変のステージ別症状

肝硬変のステージは、チャイルド・ピュー分類によって判定することができます。

1点 2点 3点
肝性脳症 なし 軽度
1〜2
時々昏睡する
3〜4
腹水 なし 軽度
コントロール可能
中等度以上
コントロール困難
アルブミン(g/dL) 3.5超 2.8以上3.5以下 2.8未満
ビリルビン(mg/dL) 2.0未満 2.0以上3.0以下 3.0超
プロトロンビン活性値(%) 70超 40以上70以下 40未満

各5項目についてそれぞれ点数化し、合計点数によって肝硬変のステージが分類されます。

肝硬変のステージ
グレードA 5〜6点 代償性肝硬変(軽度の肝硬変)
肝臓の線維化はみられるものの肝機能は維持されている
グレードB 7〜9点 非代償性肝硬変(中度の肝硬変)
肝臓の線維化が進み、軽度な症状や合併症が現れる
グレードC 10〜15点 非代償性肝硬変(重度の肝硬変)
肝臓の機能が維持できなくなり、様々な症状や合併症が現れる

 

代償性肝硬変の症状

代償性肝硬変とは、軽度の肝硬変のことです。

代償性肝硬変の場合、一部肝臓の線維化はみられるものの、肝臓の大部分は正常に機能しています。

そのため、肝硬変にともなう症状が出ないケースがほとんどです。

一般的にはほとんど症状は現れませんが、出現する可能性のある症状としては、以下のものが挙げられます。

  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 疲労感など

 

非代償性肝硬変の症状

非代償性肝硬変とは、中度〜重度の肝硬変のことです。

非代償性肝硬変の場合、肝臓の線維化が進行し、肝臓の機能を維持することが困難な状態です。

非代償肝硬変にまで進行すると、以下のような症状が現れます。

  • 腹水
  • 浮腫
  • 黄疸
  • 低カリウム血症
  • くも状血管腫
  • 手掌紅斑
  • 女性化乳房
  • 睾丸萎縮
  • 食道静脈瘤
  • 肝性脳症など

 

 

肝硬変末期の余命はどのくらい?

肝硬変末期の余命は、肝硬変の進行度合いや合併症の状況、全身状態や年齢などによって大きく左右されます

そのため、一概に言うことはできませんが、チャイルド・ピュー分類による分類でグレードCに相当する患者の場合、「生存期間中央値は475日」※1との報告があります。

また、グレードCの患者の場合、3年以内に約70%の患者が死亡したとの報告もあります。※2

※1 参考:非代償性肝硬変患者の生存期間に関する研究(研究分担者 玄田拓哉 順天堂大学医学部附属静岡病院消化器内科 先任准教授)

※2 参考:肝硬変患者の生命予後の検討(八橋 弘 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター・臨床研究センター長 研究協力者 山崎 一美  同 臨床疫学研究室長 阿比留正剛 同 肝臓内科医長 釘山 有希 同 肝臓内科)

しかし、冒頭にも述べましたが、肝硬変末期といえども症状の出方や合併症の発症具合などには個人差があります。

適切な医療を受け、生活習慣を改善することで余命を延ばすことは十分可能です。

 

 

肝硬変末期の治療とは?

肝硬変末期の治療とは?

肝硬変末期の治療には、「食事や生活習慣の見直し」「治療薬の服用」「合併症の治療」「肝移植」などの方法があります。

肝硬変の場合、根本的治療は肝移植しかありません。

そのため、食事や生活習慣を見直しつつ、合併症について治療を行いながら、肝硬変が進行しないようにするというのが基本的な治療方針となります。

 

食事や生活習慣の見直し

肝硬変末期の場合、今以上に肝硬変が進行することを防ぐとともに、肝機能を回復させることが大きな目標です。

この目標を達成するためには、栄養バランスのとれた食事を心がけ、生活習慣を改善することが重要です。

 

1日の基本的な食事方針
  • エネルギー量
    30〜35kcal/(体重)㎏
  • タンパク質量
    0.5〜0.7g/(体重)㎏
  • 脂質必要量
    エネルギー比20〜25%
  • 塩分
    腹水や浮腫のある場合:5〜7g/日
  • アルコールは摂取しない

 

生活習慣
  • 適度な運動
  • 禁煙・禁酒
  • 規則正しい生活など

ただし、食事内容、生活習慣ともに肝硬変の状態などによって指導内容は異なります。

そのため、上記は一例とし、かかりつけ医の指導に従ってください

 

治療薬の服用

基本的には肝硬変に直接効果のある薬はありませんが、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスといったウイルスが原因で肝硬変を発症している方については、ウイルスに対する治療を行うことで、肝硬変の改善がみられる場合があります。

B型肝炎ウイルスが原因の場合には、エンテカビルやテノホビルといった抗ウイルス薬を内服することによって、肝機能の改善が期待できます。

C型肝炎ウイルスが原因の場合にも、経口抗ウイルス薬による治療によって、肝機能が改善されることがあります。

 

合併症の治療

肝硬変末期の場合、「腹水」「食道静脈瘤」「肝性脳症」などの放置すると命にかかわる合併症も発症することが多いです。

そのため、発症している合併症に対しての治療を行うことが重要です。

 

腹水の治療

腹水の症状がある場合には、「利尿剤投与」「アルブミンの点滴投与」「腹水濃縮再静注療法」「腹水穿刺排液」などの治療が行われます。

これらの治療によって、腹水を減らすことが期待できます。

 

食道静脈瘤の治療

食道静脈瘤が発見された場合には、内視鏡を使用して専用の輪ゴムで食道静脈瘤を結紮(けっさつ)します。

もしくは、硬化剤を食道静脈瘤内部に注入して固めることで破裂を防ぐ方法もあります。

食道静脈瘤は再発することが多いため、定期的な内視鏡検査により早期に発見することが重要です。

 

肝性脳症の治療

肝性脳症の場合には、「分岐鎖アミノ酸製剤」「L-カルニチン」「亜鉛製剤」「ラクツロース」「リファマイシン系抗菌薬」などの内服薬が治療に使われます。

肝性脳症は、アンモニアなどの老廃物が血液中にたまることで脳のはたらきが低下することに起因します。

これらの薬を服用することで、アンモニアの代謝を促して、血中アンモニアを下げることができるので、肝性脳症の回復が見込めます。

 

肝移植

2024年時点では、肝硬変の根本的治療は肝移植しかありません

日本では、2021年12月末までに成人・小児を合わせて10,839例の肝移植が行われています。※

2001年からは毎年約400例ほどの肝移植が行われるようになっています。

ここから、肝移植は肝疾患に関する治療法として確立したと言うことができますが、日本ではドナーの数が少ないこともあり、基本的には生活習慣の改善などが肝硬変に対するメインの治療法であることに変わりありません。

参考:日本移植学会 2022臓器移植ファクトブック|一般社団法人 日本移植学会

※日本で肝移植が行われた症例の総数であり、肝硬変治療のために行われた症例数ではありません。

 

 

重度の肝硬変と告げられた方へ

重度の肝硬変と告げられて、今とても辛いお気持ちのことと思います。

心理的負担や今後の医療費の負担を少しでも減らすために、助成金やB型肝炎給付金の受給を考えてみませんか?

また、家族に感謝の気持ちを伝える手段として、遺言書を作成することも1度ご検討してください。

 

助成金の受給

B型肝炎ウイルスが原因で肝硬変を発症した場合、B型肝炎ウイルスの治療を行うことで肝機能の回復が期待できます

そして、B型肝炎ウイルスの治療としてインターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療を行う場合、国や都道府県から医療費の助成を受けられることがあります。

B型肝炎の医療費助成においては、初診料、再診料、検査料、入院料等のほか、インターフェロン治療による副作用の治療が助成の範囲に含まれます。

医療費の助成が受けられた場合、月々の自己負担額を、世帯の所得額に応じて、1万円または2万円まで軽減することができます。

 

B型肝炎給付金

B型肝炎ウイルスが原因で重度の肝硬変を発症した場合、最大3600万円を受け取ることができる可能性があります。

B型肝炎給付金は、昭和23年(1948年)7月1日から昭和63年(1988年)1月27日までに行われていた予防接種の際に注射器が使いまわされていたことが原因で、B型肝炎ウイルスに持続感染した方を対象に支払われるお金です。

この期間に集団予防接種を受けたことがある方は、B型肝炎給付金の対象者である可能性が高いです。

また、自分の祖父母や父母がこの期間に集団予防接種を受けていたという方も、B型肝炎給付金の対象者である可能性があります。

ただし、B型肝炎給付金を受け取るためには、2027年(令和9年)3月31日までに国に対して裁判を起こさなければいけませんので、早めに検討することが必要です。

 

遺言書の検討

遺言書とは、遺産の分け方や家族に対する希望などを書き記した書面のことをいいます。

遺言書を作成することで、遺産の相続に関する紛争をあらかじめ防止することができます。

また、遺言書には家族に対する想いも自由に記載することができます。

そのため、直接想いを伝えるのは照れくさいという方が、家族に送る最後の手紙として遺言書を書くこともあります。

 

 

肝硬変の末期についてのQ&A

肝硬変の末期についてのご質問にお答えします。

肝硬変で急死する原因とは?

肝硬変で急死する原因としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 食道静脈瘤の破裂による出血
  • 肝性脳症
  • 腹膜炎など

 

食道静脈瘤の破裂による出血

肝硬変では門脈圧が亢進し、食道に静脈瘤ができやすくなります。

この静脈瘤が破裂すると吐血や下血による大量出血が生じ、ショック状態に陥り、死に至る危険があります。

 

肝性脳症

肝硬変が進行すると、代謝機能の低下などによりアンモニアなどの毒素が体内に蓄積します。

これによって重症肝性脳症に陥り、死に至る場合があります。

 

腹膜炎

肝硬変の末期では門脈圧の亢進などが原因で腹水が溜まります。

腹水が感染して化膿性腹膜炎を引き起こした場合、敗血症から多臓器不全となり、死に至る可能性があります。

 

肝硬変は最終的にどうなるの?

肝硬変が進行すると、多数の合併症も発症することになります。

多数の合併症を発症した結果、以下のような症状が出るケースが多いようです。

  • 黄疸
  • 腹水
  • 肝性脳症
  • 食道静脈瘤からの出血
  • 出血や感染症のリスクが高まる
  • 栄養状態の悪化
  • 体重減少など

 

肝硬変の進行速度は?

肝硬変の進行速度は、合併症の状況や全身状態、体質・年齢・生活習慣などによって大きく左右されますので、一概に言うことはできません。

また、肝硬変は食事や生活習慣の改善、合併症の治療などによって進行を遅らせることが可能な病気です。

肝硬変を進行させないためには、食生活に気を配り、規則正しい生活をすることが重要です。

 

 

まとめ

肝硬変の終末期では、「腹水」「浮腫」「黄疸」「低カリウム血症」「くも状血管腫」「手掌紅斑」「女性化乳房・睾丸萎縮」「食道静脈瘤」「肝性脳症」などの症状があらわれます。

肝硬変は根本的治療が難しい病気ですが、食生活や生活習慣の改善によって進行を遅らせることが可能な病気でもあります。

余命を延ばすためには、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

金銭的に不安で治療を安心して受けることができないという方は、助成金やB型肝炎給付金の受給を検討することをおすすめします。

弁護士法人デイライト法律事務所では、B型肝炎給付金に関するご相談については、相談料も着手金もいただいておりません。

病気の治療中などの理由で事務所にお越しいただくことが難しい方の場合には、電話等を利用したオンラインでの相談も受け付けています。

今後の治療等を見据えて、前向きにB型肝炎給付金の受給を検討したいという方は、1度弊所までご相談ください。

 

 

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