血液に触ってしまった場合のB型肝炎の感染リスクとは?

監修者:弁護士 鈴木啓太
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

血液に触ってしまった場合のB型肝炎の感染リスクとは?
血液に触ってしまった場合のB型肝炎の感染リスクは、血液が「どこに」「どのような状態で」触れたかによって大きく変わります。

血液が健康で傷のない皮膚についただけであれば、B型肝炎に感染するリスクは極めて低いと考えられます。

一方で、血液が手荒れ・切り傷・ひび割れなどの傷がある部分に触れた場合や、目・口・鼻などの粘膜に入った場合、血液が付着した針やカミソリでけがをした場合には注意が必要です。

この記事では、主に次の点を解説するとともに、万が一感染が判明した際に弁護士へ相談すべきケースまでを網羅して解説しています。

  • 血液に触ってしまった場合のB型肝炎の感染リスク
  • 感染リスクが高まるケース
  • 感染リスクが低いケース
  • 血液に触れた直後の対処法
  • 医療機関を受診すべき場面など

血液に触ってしまい不安に思っている方は、ご自身の状況を確認しながら読み進めてみてください。

血液に触ってしまった場合のB型肝炎の感染リスクとは?

B型肝炎の感染リスクは、血液に触れた事実だけで決まるものではありません。

重要なのは、血液が体内に入る可能性のある接触だったかどうかです。

人の皮膚には、外からウイルスや細菌が入り込むのを防ぐバリア機能があります。

そのため、健康で傷のない皮膚に血液がついただけであれば、通常、ウイルスが体内に入り込む可能性は高くありません。

これに対して、手にささくれ、ひび割れ、切り傷などがある場合や、血液が目・口・鼻などの粘膜に触れた場合には、皮膚や粘膜のバリアを越えてウイルスが体内に入る可能性があります。

つまり、血液に触ってしまったときは、まず「どこに血液がついたのか」「その部分に傷がなかったか」「目や口などの粘膜に触れていないか」を確認することが大切です。

 

ワンポイント:乾燥した血液に触れた場合の感染リスク

「乾いている血液なら安全ではないか」と思う方もいるかもしれません。

しかし、乾燥した血液であっても、B型肝炎の感染リスクが完全にゼロになるとはいえません。

B型肝炎ウイルスは、乾燥した環境下でも、室温で少なくとも1週間程度は感染力を保つとされています。

そのため、乾燥した血液に触れてしまったときも、まずは落ち着いて、触れた部分に傷がないか、血液が目や口に入っていないかを確認しましょう。

傷口や粘膜への接触がなければ、通常は過度に不安になる必要はありません。

 

血液に触ってしまった直後にすべき応急対応

  • 血液に触ってしまった直後にすべき応急対応

他人の血液に触ってしまった場合、まずはすぐに流水と石鹸で十分に洗い流すことが大切です。

強くこすりすぎると皮膚を傷つけることがあるため、無理にごしごし洗う必要はありません。

血液が目や口などの粘膜に入った場合にも、すぐに流水で洗い流しましょう。

そのうえで、次のような事情がある場合には、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 相手がB型肝炎に感染している、または感染している可能性がある
  • 血液が傷口や粘膜に触れた
  • 血液が付着した針、カミソリ、刃物などでけがをした
  • 自分がB型肝炎ワクチンを接種しているか分からない
  • 過去の検査でB型肝炎の抗体がない、または抗体の有無が分からない

医療機関では、血液に触れた状況、傷の有無、相手の感染状況、ご自身のワクチン接種歴などを確認したうえで、必要な検査や対応を判断してもらえます。

早い段階で受診することで、医師の判断により、状況に応じてB型肝炎ワクチンの接種や、免疫グロブリン(ウイルスのはたらきを抑える抗体)の投与といった感染予防の処置を受けられる可能性が高まります。

 

 

血液に触ってB型肝炎に感染するケース

B型肝炎ウイルスは、主に血液や体液を介して感染します。

特に、血液や体液が傷口や粘膜などから体内に入った場合は、感染リスクが生じます。

注意するべき主なケースは、次のとおりです。

血液に触ってB型肝炎に感染するケース

 

手荒れ・切り傷・ひび割れがある手で血液に触れたケース

傷や手荒れがある状態の皮膚に他人の血液が触れた場合、B型肝炎に感染するリスクがあります。

健康な皮膚には、ウイルスの侵入を防ぐバリア機能があります。

しかし、切り傷やひび割れがあると、その部分からウイルスが体内に入り込む可能性があります。

出血を伴う切り傷だけでなく、冬場の乾燥によるひび割れやあかぎれ、目に見えにくい小さなささくれにも注意が必要です。

 

血液が目・口・鼻などの粘膜に入ったケース

他人の血液が目、口、鼻などの粘膜に入ってしまった場合も、感染リスクがあります。

粘膜は、通常の皮膚よりもウイルスが体内に入りやすい部分です。

そのため、血液が直接目や口に入った場合だけでなく、血液が付いた手で目をこすったり、鼻や口を触ったりした場合にも注意が必要です。

このような場合は、すぐに流水で洗い流し、不安があるときは医療機関に相談しましょう。

 

使用済みのカミソリや針などでけがをしたケース

他人の血液が付着した可能性のあるカミソリや針などでけがをした場合、B型肝炎の感染リスクが高まります。

これらの器具には、目に見えないほど少量の血液が付いていることがあります。

その血液にB型肝炎ウイルスが含まれていると、傷口からウイルスが体内に入る可能性があります。

代表的な例は、医療現場での針刺し事故です。

一般の日常生活でも、家族の使用済みカミソリで皮膚を切った場合や、他人のピアスを使い回して傷ができた場合などは、注意が必要です。

 

性交渉により血液や体液に接触したケース

B型肝炎ウイルスに感染しているパートナーと性交渉を行った場合、感染リスクがあります。

性交渉では、粘膜同士が接触し、目に見えない小さな傷からの出血や、精液・膣分泌液などの体液への接触が起こることがあります。

特に、コンドームを使用しない性交渉や、粘膜に傷ができやすい性交渉では注意が必要です。

接触の状態 感染リスク 具体的なケース
直接体内に入る 高い 使用済みの針でのけが、傷口への血液付着
粘膜への接触 注意が必要 血液が目や口に入る、コンドームなしの性交渉
皮膚表面のみ 極めて低い 健康で傷のない皮膚に血液がついた
日常生活 基本的にない 握手、ハグ、同じトイレや風呂の使用

 

 

血液に触ってB型肝炎に感染しないケース

医学的に「絶対に感染しない」と言い切れるケースは限られます。

もっとも、日常生活では、B型肝炎の感染リスクが極めて低く、実質的に心配しすぎる必要がないケースもあります。

ここでは、そのようなケースをご紹介します。

 

血液が健康な皮膚についただけのケース

血液が健康で傷のない皮膚についただけであれば、B型肝炎に感染するリスクは極めて低いと考えられます。

健康な皮膚には、ウイルスが体内に入るのを防ぐバリア機能があります。

そのため、手や腕に血液がついたとしても、傷口や粘膜に触れていなければ、通常は過度に心配する必要はありません。

ただし、血液に触れた後は、石鹸と流水でしっかり洗い流しましょう。

 

血液に直接触れていない日常生活上の接触だけのケース

血液や体液に直接触れていない一般的な日常生活上の接触だけで、B型肝炎に感染することは通常ありません。

B型肝炎ウイルスは、インフルエンザや新型コロナウイルスのように、空気感染や飛沫感染で広がる病気ではありません。

そのため、次のような行為による感染リスクは極めて低いといえます。

  • 握手やハグをする
  • 隣に座る
  • 咳やくしゃみを近くで受ける
  • 同じお風呂やプールに入る
  • 食器やグラスを共有する(※口内にひどい出血がある場合などを除く)
  • 同じトイレの便座を使用する

もっとも、歯ブラシ、カミソリ、爪切り、ピアス器具など、血液が付着する可能性のある物の共用は避けましょう。

 

 

そもそもB型肝炎に感染するメカニズムとは?

これまで「感染するケース・しないケース」を具体的に見てきましたが、なぜそのような違いが生まれるのでしょうか。

その理由を理解するには、B型肝炎ウイルスの性質と、感染の仕組みを知ることが大切です。

正しい知識を持つことで、必要以上に怖がりすぎず、適切な予防行動につなげることができます。

ここでは、B型肝炎ウイルスの性質と感染経路について解説します。

 

B型肝炎ウイルス(HBV)とは

B型肝炎ウイルス(HBV)は、肝臓の細胞に感染し、炎症を引き起こすウイルスです。

B型肝炎ウイルスは感染力が強いウイルスであり、HIV(エイズの原因となるウイルス)と比較すると50〜100倍感染力が強いとされています。

また、環境への抵抗力も強く、体外の乾燥した環境下でも、室温で少なくとも7日間は感染力を維持したまま生存できると言われています。

そのため、目に見えないほど少量の血液や、乾燥した血液であっても、傷口や粘膜に触れる可能性がある場合には注意が必要です。

参考:B型肝炎について(ファクトシート)|厚生労働省検疫所 FORTH

 

B型肝炎の感染経路とは

B型肝炎ウイルスは、主に血液や体液を介して感染します。

具体的には、感染者の血液、精液、膣分泌液などに含まれるウイルスが、他の人の傷口や粘膜に触れることで感染するリスクがあります。

一方で、B型肝炎は空気感染や飛沫感染で広がる病気ではありません。

そのため、同じ部屋で過ごす、会話をする、握手をする、同じトイレを使うといった日常生活上の接触で感染することは、通常ありません。

大切なのは、血液や体液が傷口や粘膜を通じて体内に入る経路を避けることです。

 

 

B型肝炎に感染する主な具体例

ここでは、単に血液に触ってしまった場面に限らず、B型肝炎ウイルスがどのように人から人へうつるのか、主な感染経路を整理します。

B型肝炎に感染する主な具体例

 

母子感染

母子感染とは、B型肝炎ウイルスに感染している母親から、出産時などに赤ちゃんへ感染することをいいます。

母親がB型肝炎ウイルスに感染している場合、出産時に赤ちゃんが母親の血液などに触れることで感染する可能性があります。

もっとも、現在は、出生後の赤ちゃんに対して適切な予防処置を行うことで、母子感染の多くは防ぐことができます。

 

性交渉による感染

性交渉では、血液、精液、膣分泌液などが粘膜に触れることがあります。

そのため、B型肝炎ウイルスに感染している人との性交渉では、感染リスクが生じます。

特に、コンドームを使用しない性交渉や、粘膜に傷ができやすい性交渉では注意が必要です。

 

医療行為・針刺し事故による感染

血液が付着した注射針や医療器具を通じて、B型肝炎に感染することがあります。

代表的なのは、医療現場での針刺し事故です。

B型肝炎ウイルスを含む血液が付いた針が刺さると、ウイルスが体内に入るリスクがあります。

現在の医療現場では感染対策が行われていますが、血液を扱う場面では、今でも注意が必要です。

 

血液が付着した器具の共用による感染

血液が付着する可能性のある器具を共用すると、B型肝炎に感染する可能性があります。

たとえば、カミソリ、歯ブラシ、爪切り、ピアス器具、入れ墨に使う器具などです。

これらの器具には、目に見えないほど少量の血液が付着することがあります。

そのため、家族や友人であっても、血液が付着する可能性のある物は共用しないようにしましょう。

 

集団予防接種等による感染

過去には、集団予防接種等の際に注射器が連続使用されたことにより、B型肝炎ウイルスに感染した方がいます。

現在は、注射器や注射針の使い回しは行われていません。

しかし、過去の集団予防接種等が原因でB型肝炎に感染した方については、一定の要件を満たす場合、国から給付金を受け取れる可能性があります。

B型肝炎の感染経路については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ以下のページをご覧ください。

 

 

B型肝炎に感染したらどうすれば良い?

B型肝炎ウイルスの感染が疑われる場合や、実際に感染が判明した場合は、焦らずに適切な対応をとることが重要です。

ここでは、ご自身の健康を守り、周囲への二次感染を防ぐために取るべき行動について解説します。

 

まずは医療機関等で血液検査を受ける

B型肝炎に感染しているかどうかは、血液検査で確認することができます。

B型肝炎の血液検査は、医療機関で受けられるほか、自治体によっては保健所などで肝炎ウイルス検査を実施している場合があります。

特に、他人の血液が傷口や粘膜に触れた場合、血液が付着した針やカミソリでけがをした場合、性交渉による感染が不安な場合には、早めに医療機関等へ相談しましょう。

なお、感染直後は検査をしても結果に反映されないことがあります。

そのため、検査の時期や再検査の必要性については、医師の指示に従うことが大切です。

 

家族やパートナーへの感染を防ぐための対策をする

B型肝炎に感染していることが分かった場合は、家族やパートナーへの感染を防ぐ対策が必要です。

まず、家族やパートナーには、B型肝炎ワクチンの接種や抗体の有無について、医療機関で相談してもらうとよいでしょう。

B型肝炎は、ワクチンによって予防できる病気です。

必要な対策をとれば、家族と生活すること自体を過度に怖がる必要はありません。

日常生活では、血液が付着する可能性のあるカミソリや歯ブラシといった物を共用しないことが大切です。

 

適切な治療と定期検診を受ける

B型肝炎に感染した場合でも、すべての方にすぐ治療が必要になるわけではありません。

感染の状態、肝臓の炎症の程度、ウイルス量、肝機能の数値などによって、経過観察でよい場合もあれば、治療が必要になる場合もあります。

そのため、感染が分かった場合には、専門の医療機関で検査を受け、医師の判断に従って治療や定期検診を続けることが大切です。

B型肝炎を放置すると、長い年月をかけて肝硬変や肝がんにつながることがあります。

症状がないからといって放置せず、定期的に血液検査や画像検査を受け、肝臓の状態を確認することが大切です。

 

 

B型肝炎を弁護士に相談すべきケース

B型肝炎に感染している方の中には、国からB型肝炎給付金を受け取れる可能性がある方がいます。

特に、幼少期に受けた集団予防接種等が原因でB型肝炎に感染した可能性がある場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

B型肝炎給付金は、感染していれば自動的に支払われるものではありません。

一定の要件を満たしたうえで、国を相手に訴訟を提起し、裁判所で和解等をする必要があります。

また、B型肝炎給付金を受け取るためには、2027年(令和9年)3月31日までに裁判所に訴えを提起しなければなりません。

自分が対象になるか分からない方、必要な資料を集められるか不安な方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

B型肝炎給付金の対象者については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ以下のページをご覧ください。

 

 

B型肝炎の感染についてのQ&A

ここでは、B型肝炎の感染について、よくある疑問にお答えします。

 

B型肝炎が血液感染する確率は?

B型肝炎が血液感染する確率は、接触の状況によって大きく異なりますが、代表的な危険事例である針刺し事故での感染リスクは約30%とされています。

参考:職業感染対策「肝炎」|国立病院総合医学会

もっとも、感染する確率は、体内に入り込んだ血液の量や相手の血液中に含まれるウイルス量、そしてご自身に免疫(抗体)があるかどうかによって大きく変動します。

不安がある場合は、血液に触れた状況を医療機関に伝え、検査や今後の対応について相談しましょう。

 

B型肝炎はトイレでうつりますか?

B型肝炎は、通常、トイレの使用だけでうつる病気ではありません。

B型肝炎は、主に血液や体液が傷口や粘膜から体内に入ることで感染します。

そのため、同じトイレを使っただけで感染することは、基本的にはありません。

ただし、便座や床などに血液が付いている場合には、素手では触らず、手袋などを使って処理しましょう。

 

B型肝炎は排泄物から感染しますか?

B型肝炎は、通常、尿や便だけで感染する病気ではありません。

もっとも、尿や便に血液が混じっている場合には注意が必要です。

B型肝炎ウイルスは血液を介して感染するため、血液が混じった排泄物に触れ、その血液が傷口や粘膜に入ると、感染リスクが生じる可能性があります。

そのため、排泄物を処理する場合は、素手で直接触れないようにし、処理後は石鹸と流水で手をよく洗いましょう。

 

 

まとめ

B型肝炎は、主に血液や体液を介して感染する病気です。

そのため、感染リスクを考えるときは、「血液に触れたかどうか」だけでなく、「血液が傷口や粘膜を通じて体内に入る可能性があったか」を確認することが大切です。

また、B型肝炎に感染している方の中には、幼少期の集団予防接種等が原因で感染し、国からB型肝炎給付金を受け取れる可能性がある方もいます。

B型肝炎給付金の対象になるかどうかは、感染時期、感染原因、検査結果、資料の有無などによって判断されます。

ご自身で判断が難しい場合は、弁護士に相談することで、今後の見通しを立てやすくなります。

弁護士法人デイライト法律事務所では、B型肝炎問題に注力する弁護士が在籍する専門部署を設置しており、相談から裁判対応まで一貫してサポートしています。

LINE、Zoom、Google Meetなどを利用したオンライン相談にも対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。

B型肝炎に関する不安を抱えている方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

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