建設アスベスト給付金とは?請求方法を完全ガイド

執筆者:弁護士 重永尚亮
弁護士法人デイライト法律事務所

建設アスベスト給付金とは、 アスベスト(石綿)を取り扱う建設現場での作業が原因で、中皮腫(ちゅうひしゅ)、肺がん、アスベスト肺などを発症した方や、そのご遺族に支給される給付金です。

一定の条件を満たせば、国から最大1300万円の給付金を受け取ることができます。

ただし、対象外になるケースや、申請期限(時効)を過ぎてしまうと受給できません。

アスベストによる健康被害は、発症までに20〜40年と長い潜伏期間があるため、昔建設現場で働いていた方や、そのご家族は今からでも注意が必要です。

本記事では、対象者と対象外の条件、給付金の金額、申請手続きの流れについて弁護士がわかりやすく解説します。

建設アスベスト給付金とは?

建設アスベスト給付金とは、建設アスベスト給付金制度に基づいて国から給付されるものです。

建設アスベスト給付金制度とは、アスベストを取り扱う建築現場の作業員で、中皮腫(ちゅうひしゅ)・肺がん・アスベスト肺といったアスベストを吸い込んだことによる病気が発症した方あるいはその遺族に対して、国が一定の要件のもと給付金を支給するといった制度です。

 

建設アスベスト給付金が支給された背景

建設アスベスト給付金は、令和3年9月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、令和4年1月19日に施行されたことで創られた制度です。

建設業に従事していた元労働者やその遺族が、アスベストによる健康被害が発生したのは国が適切にアスベストの規制をしなかったからであると主張し、国に対して損害賠償請求をしました。

この請求を最高裁判所が認め、国や建材メーカーに賠償責任を認める判決を出したのです。

この最高裁判決をうけて、上記の法律が制定され、建設業でアスベストの被害を受けた方々が最大1300万円の給付金を受け取ることができる建設アスベスト給付金制度が始まったのです。

 

 

建設アスベスト給付金の対象者と対象外になるケース

対象外となる主なケース

建設アスベスト給付金を受け取るには条件を満たしている必要があります。

以下のような方は対象外となります。

 

具体例

  • アスベストによって病気になっているが建設業には従事していていない方
  • アスベストによって病気になったが対象の病気(中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を 伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺、(じん肺管理区分が管理2〜4)、良性石綿胸水)では ない方
  • 建設業に従事していたが、専ら屋外作業に従事していた方
  • 平成17年10月1日以降にしか建設業での仕事に従事していない方

 

対象となるのはどんな人?

建設アスベスト給付金を受け取ることができるのは下記1.〜3.を全て満たした人です。

  • 1.アスベストにさらされる建設業務に従事していたこと
    ・昭和47年10月1日〜昭和50年9月30日の間、アスベストの吹付け作業にかかる建設作業に従事していた
    ・昭和50年10月1日〜平成16年9月30日の間、一定の屋内作業場で行われた作業にかかる建設作業
  • 2.アスベスト関連の病気(中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、アスベスト肺、良性アスベスト胸水)にかかったこと
  • 3.労働者や、一人親方・中小事業主(家事従事者等を含む)であること
    *被害者本人が亡くなっていたとしても、そのご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹)のうち、一番最初に被害者本人を相続する者による請求も認められます。

 

 

いくらもらえる?建設アスベスト給付金の金額

既に説明をした対象者に該当した場合、以下の給付金を受け取ることができます。

対象内容 給付金額
重い症状で亡くなった場合(中皮腫や肺がん等、管理区分3・4など) 1300万円
比較的軽い症状で亡くなった場合(管理区分1〜3など) 1200万円
中皮腫(胸やお腹の膜にできるがん)

肺がん、びまん性胸膜肥厚などの重い症状

1150万円
アスベスト肺・管理区分3で合併症あり(肺機能の低下など) 950万円
アスベスト肺・管理区分3で合併症なし 800万円
アスベスト肺・管理区分2で合併症あり 700万円
アスベスト肺・管理区分2で合併症なし 550万円

アスベスト肺(じん肺)の管理区分とは、じん肺健康診断の結果に基づきじん肺の症状を区分したものです。

X線写真(レントゲン)の像を踏まえて区分されているので、まずX線写真の類型を以下に紹介します。

X線写真の像
第1型 両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影が「少数あり」かつ「大陰影がない」と認められるもの
第2型 両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影が「多数あり」かつ「大陰影がない」と認められるもの
第3型 両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影が「極めて多数あり」かつ「大陰影がない」と認められるもの
第4型 「大陰影がある」と認められるもの

このX線写真の類型を踏まえて、じん肺管理区分は以下のように類型されています。

じん肺管理区分 じん肺健康診断の結果
管理1 じん肺の所見がないと認められるもの
管理2 X線写真の像が第1類型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3 X線写真の像が第2類型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
X線写真の像が第3類型または第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理4 1 X線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の 1を超えるものに限る)と認められるもの
2 X線写真の像が第1型、第2型、第3類型または第4型(大陰 影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん 肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの

 

減額されるケースとは?

以下の場合には、給付金の金額が減額されてしまう可能性があります。

・喫煙歴がある場合
・短期間だけアスベストにさらされた(短期ばく露)場合

つまり、たばこの影響や、アスベストを吸った期間が短い場合は、健康被害との因果関係が弱いと判断され、支給額が減る可能性があります。

対象疾病 短期ばく露の基準
肺がん・石綿肺 10年未満
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚 3年未満
中皮腫・良性石綿胸水 1年未満

 

追加で請求できるケースとは?

一方で、給付金を追加で請求することができる場合もあります。

具体的には、アスベストが原因で発症した症状がかなり進行していた場合や結果的に死亡してしまった場合等です。

例えば、上記表のアスベスト肺管理3でじん肺法所定の合併症のないと認定された方(給付金800万円)が後に死亡してしまった場合(給付金1200万円)には、差額の400万円(1200万円〜800万円)の給付金を受け取ることができます。

 

建設アスベスト給付金は税金がかからない!?

特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律には以下の通り規定されています。

第15条(非課税)
租税その他の公課は、給付金等を標準として課することができない。

引用元:厚生労働省

この規定により、建設アスベスト給付金には税金がかかりません。

 

 

建設アスベスト給付金|請求手続きの手引き

アスベスト給付金申請に必要な書類

建設アスベスト給付金請求のために必要となる書類は以下の通りです。

※⚫︎印は、必ずご提出いただく書類です。⚪︎印は、必要に応じてご提出いただく書類です。

1 ⚫︎ 請求書
2 ⚪︎ 委任状または成年後見人等であることを証明する書類等
3 ⚫︎ 労災支給決定等情報の通知書のコピー
4 ⚪︎ 住民票の写し等(請求者の氏名・生年月日・住所を確認できる書類)
5

⚪︎

戸籍謄本等
※請求者が被災者の遺族である場合(被災者が死亡している場合)に限定
6

⚫︎

死亡届の記載事項証明書(死亡の事実や原因が確認できる書類)
※請求者が被災者の遺族である場合(被災者が死亡している場合)に限定
7 ⚪︎ 請求者が事実婚の場合はそれを証明する書類
8 ⚪︎ 支給決定等を受けた事実が分かる資料
9 ⚪︎ 被災者の就業歴・アスベストばく露作業歴の分かる資料
10 ⚪︎ アスベスト関連疾病への罹患が分かる資料
11 ⚪︎ 診断の根拠となる資料
※労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合
12 ⚪︎ 企業等から損害賠償金や和解金等の受領金額の分かる資料
13 ⚫︎ 振り込みを希望する金融口座の通帳またはキャッシュカードの写し
14 ⚪︎ 資料の日本語訳

上記必要書類の書式については以下のページよりダウンロードできます。

引用元:厚生労働省「建設アスベスト給付金請求書等の様式集」

 

基本書類

1. 請求書

建設アスベスト給付金請求でまず必要となるのが請求書です。

請求に必要事項を記載して厚生労働省に提出します。

 

2. 委任状または成年後見人であることを証明する書類等

以下の場合には委任状または成年後見人であることを証明する書類等が必要となります。

  • 請求者が労災支給決定等情報提供サービス申請者と同一でない場合または申請時と同一住所でない場合
  • 請求者が任意代理人であって、給付金の請求の委任まで確認できない場合

 

添付書類

3. 労災支給決定等情報の通知書のコピー

労災支給決定等情報の通知は以下のようなものです。

参考:厚生労働省「建設アスベスト給付金」を受けようとする皆さまへ

上記通知書を受け取っている場合は必ず提出する必要があります。

 

4. 住民票の写し等(請求者の氏名・生年月日・住所を確認できる書類)

以下の場合に住民票の写し等が必要となります。

  • 請求者が、労災支給決定等情報提供サービス申請者と同一でない場合
  • 申請時と同一住所でない場合

なお、請求者が外国人の場合で住民票の写しが用意できない場合は、旅券・その他の身分を証明する書類の写しを提出する必要があります。

 

5. 戸籍謄本等(戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、戸籍(除籍)全部事項証明や住民票の写し)

労災支給決定等情報提供サービスの申請時に提出されている戸籍謄本等で、請求者が最先順位の遺族であることが確認できない場合に必要です。

戸籍謄本が必要とされる理由は、請求者と被災者との身分関係(続柄)や、請求者以外に給付金を受け取ることができる遺族がいるかどうかを確認するためです。

必要となる戸籍謄本等は以下の通りです。

請求者との関係性 必要となる戸籍謄本等
配偶者 請求者が被災者が亡くなった時点で配偶者であったこと
・被害者に生きている配偶者がいないこと
・請求者が、被災者の子であること
父母 ・被災者に生きている配偶者・生きている子がいないこと
・請求者が被災者の父母であること
*被災者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要となります。
・被災者に生きている配偶者、子、父母がいないこと
・請求者が、被災者の孫であること
*被災者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本は必須
祖父母 ・被災者に生きている配偶者、子、父母、孫がいないこと
・請求者が被災者の祖父母であること
*被災者及び被災者の子の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要となります。
兄弟姉妹 ・被災者に生きている配偶者、子、父母、孫、祖父母がいないこと
・請求者が被災者の兄弟姉妹であること
*被災者及び被災者の子の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要となります。

戸籍謄本は役所で取得します。

なお、以下の点には注意が必要です。

  • コピーは受け付けてもらえません
  • 請求前の3ヶ月以内に作成されたもの

*請求者と被災者の身分関係や結婚等で新たな戸籍が作られている場合には、戸籍以外の資料を照らし合わせる必要がある場合もあります。

 

6. 死亡届の記載事項証明書(死亡の事実や死亡の原因が確認できる書類)

なお、以下の支給決定や認定を受けている場合は不要です。

  • 災保険の遺族補償給付
  • 石綿救済法の救済給付(救済給付調整金、特別遺族弔慰金、特別葬祭料に限定)
  • 特別遺族給付金

 

7. 請求者が事実婚であることを証明する書類

請求者が、労災支給決定等情報提供サービスの申請者ではなく、被災者の事実上の配偶者である場合に請求者が事実婚であることを証明する書類を用意する必要があります。

具体的には以下の書類が必要です。

  • 住民票(続柄に「妻(未婚)」等と表示されているもの)
  • 民生委員発行の事実婚証明書

 

8. 支給決定等を受けた事実が分かる資料

労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合に用意する必要があります。

具体的には以下の書類が必要となります。

  • 労災保険給付や石綿救済法の特別遺族給付金の支給、不支給決定に関する支給決定通知書
  • 石綿救済法の救済給付に関する認定等の結果通知(疾病名が記載されているもの)
  • じん肺法に基づくじん肺管理区分決定通知書

 

9. 被災者の就業歴・アスベストばく露作業歴の分かる資料

労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合に用意する必要があります。

被災者の就業歴・アスベストばく露作業歴の分かる資料としては以下のものがあります。

労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた情報を修正する場合:「労災支給決定等情報」を朱書きで修正した上、その修正内容を証明できる資料を添付します。

労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた情報を受けた情報には記載のない就業歴等を追加する場合:

  • 就業歴等申告書(通ー様式3と続紙)と別紙
  • 被保険者記録照会回答票(年金の加入履歴)等の就業歴が確認できる資料
  • 作業報告書、日報、請負契約書(仕様書)等の作業歴が確認できる資料

*就業歴等に中小事業主等・一人親方等の期間がある場合には、その事実が確認できる資料(特別加入承認通知書、労働者名簿等)も合わせて提出する必要があります。

 

10. アスベスト関連疾病への罹患が分かる資料

労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合に用意する必要があります。

アスベスト関連疾病への罹患が分かる資料とは、医師が作成した診断書を指します。

具体的には、以下の病気に関する診断書が必要となります。

  • 中皮腫
  • 肺がん
  • アスベスト肺
  • 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜
  • 良性アスベスト胸水

 

11. 診断の根拠となる資料

上記診断書の根拠となる資料は下記の通りです。

罹患した病気に関係なく必要となる書類

  • X線画像、CT画像
  • 検査を行っている場合に必要となる書類:アスベスト計測結果報告書や診療録のコピー、その他検査結果報告書

中皮腫に罹患している場合に必要な資料

  • 病理組織診断報告書あるいは細胞診断報告書
  • 提出できる場合は以下の標本
    →病理組織診断報告書(HE染色標本)
  • 細胞診断報告書(パパニコロウ)

アスベスト肺、びまん性胸膜肥厚に罹患している場合に必要な資料

  • 呼吸機能検査結果報告書

良性アスベスト胸水に罹患している場合に必要な資料

  • 胸水の検査結果及び胸水貯蓄をきたす他の疾病の有無を示す医証

引用元:厚生労働省「建設アスベスト給付金請求の手引き」

 

手続の流れ

給付金請求者が請求を行ってから手元に給付金が届くまでの流れは以下の通りです。

給付金請求者が請求を行ってから手元に給付金が届くまでの流れ

 

 

建設アスベスト給付金はいつもらえる?

建設アスベスト給付金の申請から支給までの期間は、明確に決まっていません。

もっとも、労災認定・審査期間(標準処理期間)が1ヶ月〜8ヶ月とされていることから、建設アスベスト給付金についても同様の期間を要する可能性が高いです。

制度開始当初は請求が集中し、処理までに時間を要する状況も見られましたが、現在も申請内容や添付書類の不備、審査の混雑状況によっては、支給までに長期間かかる場合があります。

そのため、必要書類の準備や記載内容の確認を事前にしっかり行うことが重要です。

 

 

建設アスベスト給付金を自分で申請できる?

建設アスベスト給付金給付申請は対象者であればご自身で申請することができます。

もっとも、既にご説明した通り、建設アスベスト給付金の申請にあたって、必要書類が数多く存在します。

この全てをご自身で漏れなく集めることは非常に困難な場合が多いです。

そこで、申請手続きが面倒で給付金の請求を諦める前に建設アスベスト給付金申請に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

請求書の記載方法から必要書類の収集方法に至るまで建設アスベスト給付金申請に必要な手続きのサポートを行うことができます。

建設アスベスト給付金申請をするか悩まれている方はぜひ建設アスベスト給付金申請に詳しい弁護士にご相談ください。

 

 

アスベスト給付金の申請を弁護士に依頼するメリットとデメリット

弁護士に依頼することで得られるメリットは2つです。

 

メリット① 給付金申請に必要な書類の集め方を相談できる

給付金申請に必要な書類は、既にご説明した通り、多岐に渡ります。

漫然と全ての書類を集めようとすると、結果的に不要な書類を集めてしまっていたということにもなりかねません。

また、申請の前段階で給付金が支給されない可能性が高いことが必要書類を集めていく中で判明する場合があります。

結果を得られる見込みが薄いにも関わらず、ご自身で頑張って必要書類を用意したとあっては時間がもったいないです。

そこで、給付金申請手続きに詳しい弁護士に相談することで申請前の段階でどの程度の見込みがあるかを確認し、無駄に時間をかける心配はなくなります。

 

メリット② 給付金申請手続きを任せることができる

既にご説明した通り、給付金申請手続きはとても多くの作業を求められます。

そこで、最初から弁護士に任せることによって、請求者の方々の負担なく給付金支給に向けて効率的に手続きを行うことができます。

一方、弁護士に依頼することのデメリットは1つです。

 

デメリット 弁護士費用がかかる

しかし、給付金を受けられるメリットと弁護士費用を支払うメリットを比較したときに手元に給付金が入って来るという点でそこまでデメリットではないと思われます。

むしろ、ご自身で申請手続きを行うのはとても大変であることから、弁護士に任せることで時間を効率的に使うことができます。

 

 

建設アスベスト給付金の5つのポイント

建設アスベスト給付金の5つのポイント

 

① 労災支給決定等情報提供サービスを活用する

建設アスベスト給付金申請には、過去にアスベスト関連疾病で労災保険から給付を受けたことを記載する必要があります。

しかし、請求者のご記憶だけでは正確に記載することは極めて困難です。

そこで、役に立つのが労災支給決定等情報提供サービスです。

このサービスを使うことで、厚生労働省から過去に労災保険から給付を受けたことがあるかの情報を無料で取得することができます。

 

② 請求期限(時効)に注意する

建設アスベスト給付金の請求にはタイムリミットがあります。

アスベスト関連疾病にかかった旨の医師の診断日またはアスベスト肺に係るじん肺管理区分の決定日(アスベスト関連疾病により死亡した時は、死亡日)から20年以内に請求する必要があります。

 

③ 禁止事項に注意する

建設アスベスト給付金には以下の事項は禁止されています。

  • 給付金をもらえる権利の譲渡、担保、差押えをすること
  • 不正な手段により給付金を取得すること

 

給付金をもらえる権利の譲渡、担保、差押えをすること

給付金をもらえる権利を他人に渡すこと、担保にしてお金を借りること、借金取りが借金を回収するため給付金をもらえる権利を当てにすることは禁止されています。

その理由は、建設アスベスト給付金制度は、アスベストによる健康被害を受けた方あるいはそのご遺族を救済するためものであって、それ以外の目的で使われることを予定していないからです。

 

不正な手段により給付金を取得すること

不正な手段とは、嘘をついて給付金の支給を受けることをいいます。

給付金の支給を受けた後に、不正な手段による申請であることが発覚した場合は、給付金の全部または一部を返さなければなりません。

 

④ 他の制度の活用も検討する

建設アスベスト給付金制度の対象となる方々に対して、以下の3つの救済制度が用意されています。

  • 労災保険制度
  • 特別遺族給付金(特別遺族年金・一時金)
  • アスベスト健康被害救済制度

 

労災保険制度

労災保険制度は、労災保険法に基づいて、働いている時に怪我や病気となってしまった方々やその遺族に対して保険金が給付されるという制度になります。

具体的な給付内容は以下のものがあります。

  • 療養給付
  • 休業給付
  • 傷病給付
  • 障害給付
  • 介護給付
  • 遺族給付及び葬祭料

上記給付の詳細につきましては、下記のページをご覧ください。

 

特別遺族給付金(特別遺族年金・一時金)

特別遺族給付金(特別遺族年金・一時金)の支給されるためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • アスベストが原因の病気で亡くなった労働者のご遺族であること
  • 時効によって労災保険法に基づ遺族補償給付の支給を受ける権利がなくなったこと

上記条件を満たした場合、特別遺族年金(遺族1人の場合、1年あたり240万円)または特別遺族一時金(1200万円)が支給されます。

 

アスベスト健康被害救済制度

既にご説明しました通り、アスベストの潜伏期間が長いことから、原因者の特定は非常に難しいとされています。

そこで、このアスベストの特徴を踏まえて、アスベストによる健康被害を受けた方やそのご遺族のうち、労災補償等の対象とならない方を救済すべくアスベスト健康被害救済制度が作られました。

アスベスト健康被害救済制度による給付は以下のものがあります。

医療費 指定疾病に関する医療費の自己負担分
療養手当 治療に伴う医療費以外の費用負担に対する給付(月額10万3870円)
葬祭料 指定疾病が原因で亡くなった認定患者の葬祭に伴う費用負担に対する給付(19万9000円)
救済給付調整金 指定疾病が原因で亡くなるまでに給付を受けた医療費と療養手当の合計が特別遺族弔慰金の額に満たない場合に、認定された方のご遺族に支給される給付
特別遺族弔慰金 指定疾病が原因で亡くなった方のご遺族に対する給付(280万円)
特別葬祭料 指定疾病が原因で亡くなった方の葬祭に伴う費用負担に対する給付(19万9000円)

引用元:厚生労働省「建設アスベスト給付金制度の概要」

 

⑤ アスベストに詳しい弁護士へ相談する

建設アスベスト給付金の申請に当たって、重要なのは、そもそもアスベストに関係する仕事に就いていたのか、アスベストが原因で病気にかかったあるいは亡くなったかです。

初めからアスベストを扱う現場と分かっている場合は良いのですが、知らず知らずのうちにアスベストを吸ってしまうような現場で働いていたということも考えられます。

また、アスベストが原因で発症したことと言えなければなりません。

このように建設アスベスト給付金の申請にはアスベストに対する深い理解が必要となります。

したがって、給付金申請を適切に行うためには、アスベストに詳しい弁護士に相談することが重要となってきます。

 

 

まとめ

既にご説明した通り、アスベストは発症までの長い潜伏期間が特徴です。

過去にアスベスト関連のお仕事をされていた方々は、現在ではその仕事から離れてしまっていることがほとんどだと思います。

また、アスベストが原因で発症した病気によって亡くなってした方のご遺族としても、過去のこととして記憶の片隅にしか残っていない場合もあります。

しかし、そのような方々を救済するために建設アスベスト給付金制度は作られたのです。

アスベストを扱う現場にいたことがある、あるいは亡くなった原因がアスベストであったといったことを思い出した場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

当法律事務所では、人身障害部を設置しております。

人身障害部では人身障害の問題に詳しい弁護士が在籍しております。

LINE等のオンラインや電話相談を活用して全国対応の無料相談を行っていますので、アスベスト給付金についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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