老後のイメージ画像同性カップルの悩みの一つに、老後や死後のパートナーの生活の心配があると思います。

同性カップルには、婚姻が認められていませんし、お子さんもいないことが多いので、その心配ももっともかと思います。

そこで、同性カップルが老後ないし死後のパートナーの生活をどのように考えるべきか、その施策はあるのかについて、簡単にですがまとめて紹介したいと思います。

 

 

パートナーに面倒を見てもらいたい

どんな人でも年を取れば、ボケてきたり、認知症になったりします。
そして、その場合には法律上の制度である補助人、保佐人、または成年後見人というものをつけて、財産管理をしてもらったりすることである程度対処ができます。

しかし、これらの制度は本人、配偶者、4親等内の親族など限られた人しか申し立てることができず、同性カップルのパートナーは申し立てできません。

老後のイメージ画像同性カップルのパートナーに老後の財産管理をお願いたい場合にはどうすればよいかといえば、任意後見契約というものをパートナーと結び、認知症になったときなどに任意後見人となってもらうということが考えられます。

任意後見契約では、誰を後見人とするかを自由に選ぶことができます。

また、財産管理だけではなく、身上監護の点などの内容もある程度自由に決めることができます。

あらかじめ任意後見契約を締結することで老後の不安を取り除けるといえます。

 

 

パートナーに財産を遺したい

通常であればパートナーに財産を遺したいと思った場合、相続が思いつくのですが、同性カップルには婚姻が認められていないため、相続という手段を用いるためには養子縁組をするしかありません。

しかし、養子縁組をするリスクもあるので、ここでは、養子縁組による相続以外のパートナーに財産を遺す方法も紹介していこうと思います。

 

遺贈で財産を遺す方法

まず、「□□を、〇〇(パートナー名)に遺贈します」といった形で遺言をしておくことで、死亡時にその財産をパートナーに遺すことができます。

しかし、いくつか留意点があります。

 

①遺留分を考慮して遺言を書いて下さい。

まず、遺留分には気を付けて遺贈しましょう。

両親のイメージイラスト同性カップルの場合には、子どもがいることは多くないので、遺留分を持つ相続人として考えられるのは、両親です。
両親にカミングアウトしていない場合には、両親に説明をして遺留分に配慮した遺言を作成したほうがよいでしょう。
中には、遺留分に配慮すれば、両親への説明は不要と考える方もいるかと思います。

しかし、両親が子どもの死後に遺言を見た場合に、遺留分には問題がなくとも、遺言の効力について問題としたり、争いが生じる可能性は十分にあります。

そのため、遺言を作成する際に、しっかりと親族に話して説明しておくのが良いと思います。
カミングアウトしていなかった人にとっては、なかなか両親に話すというのは難しいことだと思いますが、死後にパートナーが両親と泥沼の争いになるよりは良いかと思います。

②遺言の執行を考えておきましょう(遺言執行者を定めておく)

登記のイメージイラスト遺言で居住している不動産を遺贈した場合などが典型ですが、相続人が協力してくれない限り、受遺者(遺贈を受けたパートナーのこと)だけでは不動産の登記を移転することができません。

そのため、事前に推定相続人に登記をしてもらうように話しておくことが大切です。
もしそれでも納得が得られない場合、そもそも事前に説明をしたくない場合には、遺言執行者というものを遺言で定める方法もあります。

例えば、知り合いの弁護士に頼んで遺言執行者になってもらい、遺言の内容を実現することを任せるなどすれば、相続人の協力がなくても登記が移転できますし、相続人も納得しやすいでしょう。

③遺言は形式が厳格に決まっている

遺言は、ただ紙に書いて遺せばよいというものではありません。

遺言の方式にはいくつか種類がありますが、その方式を守らないと、その遺言は無効なものとして効力を持ちません。

 

弁護士入野田智也イラストまた、遺言の内容についても様々ですので、多義的な文言を避け、受遺者であるパートナーと相続人の間で問題が生じることを予防する必要もあります。

遺言は、その名前はよく知られていますが、個人的に作成しようとするとなかなか難しいのが現状です。

一度、弁護士に相談し、その中身や作成を依頼するほうが安心です。

 

信託で財産を遺す方法

遺言以外に、信託を用いて財産を遺す方法があります。

近年、より相続が身近な問題となる中で家族信託というものがクローズアップされています。
家族信託は、その柔軟さ、自由さから通常の相続でもメリットのあるものですが、相続を用いにくい同性カップルでは、より有用な手段となりえます。

信託は、簡単に言ってしまえば、自己の財産を第三者(受託者)に預け、パートナー(受益者)のために管理運用してもらうというものです。

信託を用いることで、相続人が関与する余地は減らすことができますので、遺贈よりもパートナーと相続人の間で紛争は生じにくくなります。

信託はとても難しく、弁護士でもあまり詳しくない方が多いので、信託に精通した弁護士を選ぶ必要があります。

信託について、もう少し詳細を知りたい方はこちらを参照ください。

 

生命保険金として遺す方法

生命保険金は、相続とは別に受取人が受け取れるので、相続対策としてもよく用いられるものです。
同性カップルの場合にも、パートナーを受取人として指定しておくことで、相続とは無関係に保険金を受け取ることができるので、この方法はパートナーに財産を遺す有力な方法といえます。

保険会社のイメージ画像しかし、問題は、受取人に親族以外の第三者を指定することを認めている保険会社が多くないことです。
同性カップルかどうかとは無関係に、生命保険を悪用されないように受取人の指定に限定がなされているのです。

もっとも、昨今、世田谷区や渋谷区がパートナーシップ証明書を発行するなど地方自治体単位での同性カップルへの取り組みが広まり、同性カップルというものの認知が広まりつつあります。
そのため、今後、保険会社も同性カップルであることを認めて、保険金の受取人として同性パートナーを認めるという運用がなされることが期待されます。

現在でも、一部の保険会社では受取人への指定を認めていますので、保険会社に一度相談されるのがいいと思います。

 

養子縁組を用いる方法

役所のイメージ画像養子縁組を用いた場合には、法律上は親子関係が生じますから、パートナーに財産を相続させることができます。
また、姓についても、養子縁組をすれば同じになるので、カップルで同じ姓を名乗れるというメリットがあるといえますし、手続きも容易です。
そのため、同性カップルで養子縁組をしているという人は少なくないと思います。

もちろん、養子縁組を用いるのは悪いことではありませんが、リスクについてはしっかりと知っておく必要があります。

問題なのが、縁組の意思がなかったとして後に養子縁組が無効とされることです。
現在、同性カップルの養子縁組を縁組意思がなかったとして無効とした裁判例は見当たりませんが、縁組意思がないという判断がなされる可能性は十分にありえます。

そのため、他の相続人にも養子縁組をしていることを説明し、後に縁組をしたパートナーと相続人で争いが生じないように予防することが必要でしょう。

 

 

   

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