パートナーシップ制度について

日本におけるパートナーシップ制度

役所皆さんは、パートナーシップ制度と聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか。

文字だけを見れば、婚姻に至らない関係にあるカップルのための制度のようなイメージを持つ方が多いと思います。

特に「パートナーシップ制度」という用語に定義があるわけではありませんが、全世界では30か国以上の国々がパートナーシップ制度を有していると言われています。

このパートナーシップ制度について、日本では、同性カップルにおける制度として認識されています。

もっとも、国が運用している制度があるわけではなく、各自治体のレベルで制度が作られ、運用されているのが現状です。

なお、平成30年4月現在、パートナーシップ制度を持つ自治体は、渋谷区、世田谷区、伊賀市、宝塚市、那覇市、札幌市、福岡市の7自治体のみとなっています。

もっとも、大阪市でもパートナーシップ制度の検討がなされており、今後各自治体に広まることが見込まれています。

各自治体の実施根拠、要件は以下の通りです。

  東京都渋谷区 東京都世田谷区 三重県伊賀市 兵庫県宝塚市 沖縄県那覇市 北海道札幌市

(政令指定都市)

福岡県福岡市

(政令指定都市)

根拠 渋谷区男女平等および多様性を尊重する社会を推進する条例 世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱 伊賀市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱 宝塚市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱 那覇市パートナーシップ登録の取扱いに関する要綱 札幌市パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱 福岡市パートナーシップ宣誓の取扱いに関する要綱
 

 

 

 

 

 

 

要件

年齢 20歳以上
性別等 戸籍上の性別が同一 性を同じくする 戸籍上の性別が同一 一方又は双方が性的マイノリティの者
住所地 渋谷区居住かつ住民登録 区内に在住であること、または、一人が区内在住で、もう一人が区内への転入を予定していること 双方または一方が市内在住であり、一方が市内に住んでいない場合は市内に転入の予定であること 住所につき、下記のいずれかに該当すること
ⅰ)2人とも那覇市民
ⅱ)1人が那覇市民、もう一人が市内への転入を予定していること
ⅲ)2人とも市内への転入を予定していること
市内に住所を有する、または、市内への転入を予定していること 市域内に住所を有していること(市域内への転入を予定している場合を含む)
配偶者 配偶者がいないことおよび相手方当事者以外のパートナーがいないこと ・法律上の婚姻関係にないこと
・他の人とパートナーシップ宣誓をしていないこと
独身であること 配偶者がいないこと及び当事者以外の者と同性カップルでないこと 配偶者がいないこと、かつ、申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと 双方に配偶者がいないこと及び他にパートナーシップの関係にないこと 配偶者がいないこと及び相手方当事者以外の者とのパートナーシップがないこと
その他 ・近親者でないこと
・任意後見契約に係る公正証書及び合意契約に係る公正証書があること(任意後見契約に係る公正証書については例外あり)
・公序良俗に反しないこと
・親子または兄弟姉妹ではないこと
・同性カップルの共にする生活が公序良俗に反すると認められるときは、宣誓書の受領はしない
・互いを人生のパートナーとし、継続的に共同生活をしている、又はそうしようと約束していること
・パートナーシップの関係が公序良俗に反すると認められるときは、登録を行わない。
・三親等内の血族関係がないこと
・パートナーシップ関係が公序良俗に反するものではないこと
・当事者同士が近親者(直系血族、三親等内の傍系血族又は直系姻族をいう)でないこと

それぞれの要件について、詳細に比較した表を作成いたしました。こちらからご覧ください。

 

パートナーシップ制度の要件

共通する要件

チェックリストパートナーシップ制度利用のための要件は、その自治体ごとに異なりますが、おおむね、下記のような要件になっております。

① その自治体に在住か、転居予定であること
② 20歳以上であること
③ 配偶者ないしパートナーがいないこと
④ 近親者でないこと
⑤ 同性ないし性的少数者であること

要件ごとに、なぜこのような要件となっているかを検討していきます。

①その自治体に在住か、転居予定であること
この要件に関しては、条例であれ要綱であれ、自治体レベルの制度である以上、当然の要件と思われます。在住予定も含めたのは、同性カップルが賃貸物件を探す際に困難な場合があるという事情によるものです。

②20歳以上であること
婚姻と同様に年齢について制限を定めたものといえます。もっとも、婚姻とは異なり、未成年には利用が認められていません。

③配偶者ないしパートナーがいないこと
パートナーは一対一の関係であるということが前提にあり、重婚のような状態を防ぐ趣旨の要件であると解されます。

④近親者でないこと
婚姻制度と抵触しないための要件と考えられます。明確に要件としておらず、公序良俗に反する場合には制度を利用できないとして定めている自治体もあります。
この要件については、婚姻制度とは異なり、養子縁組をしていた場合でも離縁すれば、パートナーシップ制度を用いることができます。

⑤同性ないし性的少数者であること
パートナーシップ制度自体が婚姻が認められない者のための制度ということが前提にされているがために設けられている要件と解されます。
※札幌市および福岡市のみ、同性カップルに限定せずに「性的少数者」としています。しかし、戸籍上は、同性か異性かであるから、異性の場合には婚姻すればよいわけですし、同性の場合は、パートナーシップ制度の対象なので、同性カップルに限っていないことにどれだけの意味があるかはわかりません。

 

渋谷区独自の要件

渋谷区のみ、パートナーシップ制度利用のためには、「任意後見契約に係る公正証書及び合意契約に係る公正証書があること」が必要とされています。

この公正証書作成にはかなり費用もかかるので、制度利用者には負担となっていると言われています。

もっとも、但し書きとして「区長が特に理由があると認めるときは、この限りでない。」とあり、任意後見契約に係る公正証書については、作成できない場合でも、柔軟な対応をすることが予定されています。

 

 

パートナーシップ制度の法律上の効力

①婚姻と同じ効果はない

パートナーシップとなった場合の法的効果はないと言われています。確かに、証明書等があったとしても、それによって税金や相続などの婚姻をした場合と同等の効果を得ることができるわけではありませんから、その点で法的効果はないというのは間違いではありません。

②契約上の効果はある

もっとも、パートナーとして契約をしていると考えられるので、例えば、一定程度の貞操義務のようなものなどはあると思われます。

ただし、事実婚と同様に、パートナー解消時の財産分与などが認められるかは不明です。

③区や事業者の責務

渋谷区の条例では、区や事業者の責務を定めてあり、区民や事業者から「条例及び区が実施する男女平等と多様性を尊重する社会を推進する施策に関して」相談や苦情があった場合には、区長が、当該関係者に対して指導や公表をすることができると規定されています。その意味で、法的効果がないとまでは言えません。

もっとも、現実に指導や公表といったことが行われるかは不透明なところですから、今後の運用を見守るほかありません。

 

 

パートナーシップ制度を利用するメリット

パートナーシップ制度自体には法的効果はほとんどありませんが、官民のサービスが受けられる面でメリットがあるとされています。

以下は、世田谷区の制度を利用した場合のメリットですが、他の自治体も似たようなものだと思われます。

⑴ 携帯会社の家族割の適用(ソフトバンクは宣誓書なしでも対応)

⑵ 区の職員及び区立学校教職員については、結婚祝い金と同額の祝い金が給付されるようになる

⑶ 航空会社の家族向けサービスの適用

⑷ 生命保険の死亡保険金の受取人として認められるように

⑸ クレジットカード会社の家族カード発行

(6) 公営住宅の申し込みが可能に

上記にあげた以外にも、官民のサービスの適用が広がっていくことが期待されています。また、制度を利用することで、同性カップルが社会的な承認を受けるという意味でメリットということもできます。

 

 

最後に

日本におけるパートナーシップ制度は、2015年の10月28日から渋谷区で制度の運用が開始し、それに続く形でその他の自治体も制度を構築・運用し始めました。

そのため、まだまだ制度自体が未成熟であり、今後どうなるかも不透明なところです。

福岡では、現在のところパートナーシップ制度はありませんが、今後、当事者団体や法曹関係者、政治家などが連携して、制度が作られる可能性は十分にあります。

同性カップルにとって、パートナーシップ制度利用が一つの選択肢になっていくと思われます。

特に、制度ができたことによって、制度を利用していない当事者が不利益を受けるようなことがあってはなりませんので、行政も民間も、パートナーシップ制度を利用していないからパートナーとして認めないという扱いはしないという対応が求められているところです。

福岡市では、平成30年4月よりパートナーシップ宣誓制度の運用が開始し、初日に1組のカップルが宣誓を行ったようです。
今後も、福岡県内では当事者団体及び弁護士会などの支援団体も含めて、パートナーシップ制度の設立を推し進めていく予定です。

セクシュアルマイノリティにとって、パートナーシップ制度利用が一つの選択肢になっていくと思われます。

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