掲載日:2020年2月13日|最終更新日:2020年2月13日

会社が破産するからといって、必ずしも代表者(社長)も同時に破産しなければならないわけではありません。

しかしながら、多くの中小企業では、代表者(社長)が会社の負債について、連帯保証人になっていることが多いので、そのような場合には、破産することを検討する必要があります。

 

会社と代表者の関係

個人事業主としてビジネスを行っている場合、「〇〇商店」のように名前をつけていても、あくまで個人として契約を行っているため、ビジネスが立ち行かなくなった場合には、個人で破産手続を行う必要があります。

他方で、株式会社や有限会社の場合、事業規模に問わず、法人を設立した上でビジネスを行っています。

この点、法人は個人とは別に法律上、契約の主体となれるように定められています。

したがって、会社と代表者個人とは、原則として別々の主体となり、同一とは取り扱われません。

会社法においても、代表取締役をはじめとする取締役と会社との関係は、委任契約に基づいているとされており(会社法330条)、両者は契約で結ばれているにすぎないのです。

そうすると、会社が立ち行かなくなって破産するからといって、そこで代表を務める取締役は必ずしも破産しなければならないわけではありません。

そのため、代表者(社長)が破産をすべきかどうかは、別途検討しなければならないのです。

 

 

代表者が破産すべき場合

それでは、会社が破産する場合で、どのような場合に、代表者(社長)も破産すべきなのでしょうか?

典型的には、「代表者(社長)が会社の負債について、連帯保証人になっている場合」です。

多くの会社が事業の設立、拡大(設備投資)に当たって、銀行や政策金融公庫といった金融機関から融資を受けています。

決算書では、負債の中で短期借入金や長期借入金として計上されるものです。

このとき、金融機関側は貸し倒れを少しでも防ぐために、担保を要求します。

担保には不動産をはじめとする物的担保だけでなく、人的担保もあり、中小企業の場合、代表者(社長)に連帯保証することを要求するケースが非常に多いです。

連帯保証をすると、主たる債務者である会社が破産しても、保証人として、借りたお金を返さなければなりません。

会社がつぶれたから、知らないという主張は認められないのです。

そうすると、会社が破産手続を行うと、金融機関は、会社から返してもらうことは無理なので、保証人である代表者(社長)に請求しようということになります。

この請求に対して、代表者(社長)の個人資産で支払いすることができるのであれば、破産をする必要はないことになります。

しかしながら、代表者(社長)自身も返済することができない場合、支払を免除してもらう必要がでてきます。

そのため、代表者(社長)自身も破産手続を選択しなければなりません。

この場合、先ほど説明したとおり、会社と代表者(社長)は別人格ですので、会社の破産手続と代表者(社長)の個人破産と2つの手続をすることになります。

 

 

税金や給与は代表者(社長)が支払わなければならない?

会社が破産をしなければならないケースでは、会社が負担しなければならない社会保険料や消費税、法人税といった税金も滞納してしまっていることが多くあります。

また、従業員に対する給与も不払いになってしまっているケースもあります。

こうした税金や給与について、代表者が支払わなければならないのでしょうか?

答えは、「原則NO」です。

もちろん払えていないという事実は好ましくないのですが(支払ができるのであれば、会社が破産する必要もありません)、だからといって、別人格である代表者(社長)が個人として支払義務を負っているわけではありませんし、契約もしていないのに保証人に当然になるわけではありません。

なお、代表者(社長)は、ビジネスを行い、数々の意思決定をするに当たって、会社や株主といった第三者に対して、法律上損害賠償義務を負うケースがあります(会社法423条、429条)。

しかしながら、破産=代表者(社長)に賠償責任という関係にはありません。

ビジネスは、必ずしも成功するとは限らない上、非常に高度な専門性を要するため、賠償を負うケースは限定的です。

 

 

取引先の支払は代表者(社長)が支払わなければならない?

この点も税金や給与と同じです。

したがって、いくら付き合いが長く、ビジネスで深い関係を築いていたからといって、会社の支払えない買掛金を代表者(社長)個人が支払わなければならないということはありません。

 

 

まとめ

ここまでみてきたように、会社が破産する場合に、代表者(社長)個人も絶対に破産しなければならないというわけではありません。

しかしながら、銀行や金融機関での借入れが多いと、その借入れの保証人になっているケースが多く、その支払いをすることができないということも多いのが実情です。

したがって、自分がどの支払に対して、保証人になっているかどうかをきちんと把握した上で、代表者(社長)の個人破産も選択するかどうかを決定することが必要です。

その場合には、破産に注力している専門の弁護士に依頼することで、アドバイスを受けて手続を進めることが必要です。

通常の個人破産と比べても、代表者(社長)破産は複雑で労力がかかるためです。

会社を破産するかどうかでお悩みの方は、早めに弁護士に相談して、悩みを共有し、アドバイスを受けることをオススメします。

 

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