離婚時に取り決めていなかった養育費を請求したい

  

ご相談内容

最初の夫(私はバツ2です)の子どもに対し、最初の夫から支援(もらっていなかった養育費)が受けられるか、をご相談したいです。

長女は現在24歳。5歳のときに離婚し、東京から福岡に帰ってきました。

離婚前から、元夫が、ずっと「金がない」を連呼していたこと、また、私に対するDVもあったこと、私が運よく採用試験に合格したことから、養育費は請求せず、(元夫も払えない、と言ったこともあり)福岡に帰ってきました。

LINEのイメージ画像その後、長女が成人するまで、まったく音信不通のまま過ぎました。

長女が20歳になったとき、会いたい、というので連絡し、その時初めて、成人祝いとして10万円を長女に贈ってくれました。「長女に会いにきてやって欲しい」と言いましたが、無理だというので、子ども4人を連れて東京に行き、父娘の対面をかなえました。

その時、長女は父親と出かけ、2万円もらったそうです。

その後、長女が大学時代の友達と東京に行ったとき、また同額程度のおこずかいをもらったそうですが、後にも先にも、それ以来、なにも長女は父親からしてもらっていません。

母子の淋しいイメージ画像一方、私は、長女を連れて再婚したものの、長女に対する2度目の夫のネグレクト、精神的虐待が原因で、5年前に再び離婚しました。

その時に、2度目の夫と、長女との養子縁組も解消しています。(それは長女の希望でした)

このような状況の中でも、長女は大学を卒業し、今年の春、社会福祉士の国家試験にも合格しました。更に今、大学の通信で学んでいます。

しかし、その一方で、2年間勤めた勤務先が契約解除となり、経済的には不安な状況です。

私はいつか、長女の父親が、父親らしい「何か」を「自発的に」してくれたら、と願ってきました。

娘が成人して、こちらから連絡するまで、タダの1度も「どうしてるか」の連絡1本なかったことも、かわいそうで長女には言っていません。

金がない、金がない、と言われたこと、早く彼との関係を清算したかったことなどから、養育費は一銭ももらわずにいたのですが、少しでも、長女のために父親から取れるなら、今更ながら、取ってやりたいのです。

ちなみに、「あなたの娘に対し、誠意ある対応を」と長女の父親にメールしましたが、今もって返事はありません。

なお、父親は長女に何もしてやれない経済状況ではないと思います。

長文失礼いたしました。

どうぞよろしくお願い致します。

 

ご回答

相談者様

メール相談をご利用いただきありがとうございます。

今回は、西村がご回答いたします。

過去の養育費をさかのぼって請求したいとのことですね。

過去の養育費をさかのぼって相手方に請求することは可能です。

相手方がこの請求に任意に、すなわち協議で応じてくれたなら、養育費を受け取ることができます。

しかしながら、相手方が任意で応じてくれない場合には、裁判所に養育費の支払いを求めて審判の申立をすることになりますが、審判で認められるのは難しいでしょう。

そもそも、実務上、養育費は権利者が相手方に請求してはじめて具体的に発生するものと考えられており、これが明らかでない場合は養育費分担の審判または調停の申立がなされたときとされています。

書類と印鑑今回のケースでは、離婚時に養育費の取り決めを行っていないため、養育費の支払い義務が生じた時期が明らかではありません。

したがって、相手方が任意で応じてくれない場合には、家庭裁判所に養育費の支払いを求める審判を行っても認められる可能性は低いといえます。

また、相談者の方の長女さんの場合は、再婚相手との養子縁組をされている期間があります。

この期間は、実の父親の養育義務が消えるわけではありませんが、その時期に第一扶養義務のある養父の収入のほうが多い場合には支払い義務が生じないため、相手方に養育費の支払いを請求することは非常に難しいといえます。

さらに、長女さんは既に成人していますので、親の子供に対する扶養義務としての養育費の支払義務はなくなっています。

他方で、直系血族の扶養義務としての生活費支払い義務は残りますので、重病で働けず生活できないなどの事情がない限り、現在の生活費の支払いを求めることは難しいでしょう。

このようなことから、今回のケースでは、家庭裁判所に申し立てて審判を行っても、過去にさかのぼって養育費を支払ってもらえる可能性は低いと思われます。

しかし、弁護士を立てて、相手方に対して少しでも支払うようにと交渉することは可能です。

今回の回答を参考にされて、一度弁護士に直接詳しいお話をお聞かせいただければと思います。

養育費についての詳しい説明はこちらをご覧ください。

 

 

なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?   

続きを読む