傷害事故の被害者はどのような損害賠償を請求できますか?

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

傷害事故の被害者は、交通事故での怪我による治療関係費や入院雑費、通院交通費、休業損害、慰謝料などを請求できます。

交通事故による損害

解説する男性のイメージイラスト交通事故による損害は、財産的損害と精神的損害に分けられます。

財産的損害

財産的損害は、積極損害と消極損害に分けられます。

積極損害
傷害事故の積極損害とは、被害者が交通事故で怪我したことによってお金を使わないといけなくなったとき、そのとき使ったお金を損害とすることです。消極損害
消極損害は、交通事故による怪我がなければ本来得ることができた収入のことです。休業損害は消極損害に該当します。

 

精神的損害

悩む男性のイラスト精神的損害は慰謝料として請求します。

慰謝料は精神的・肉体的苦痛に対して支払われる賠償金です。

 

傷害事故の損害賠償請求項目

傷害事故で損害賠償請求ができるものには、積極損害、消極損害、慰謝料があります。

 

積極損害

積極損害の具体的内容には以下のものがあります。

治療のイメージイラスト● 医療関係費
症状固定日までの間に支出した治療費や入院費は、積極的損害として認められます。

● 付添看護費用
入院や通院のために必要な付添看護費用は損害として請求が認められます。

● 通院交通費
通院のためのバスや電車などの公共交通機関を利用した交通費は損害として認められます。

● 入院時の雑費
入院時の雑費として請求できる項目として、寝具、衣類、洗面具、電話代、テレビ賃借料などがあります。

通院介助のイラスト● 装具などの購入費用
車いすや杖のなどの購入費用やレンタル費用も損害として請求が認められます。

● その他
診断書の発行費用なども損害として請求が認められます。

毎月保険会社に病院から送られる診断書の発行費用は、直接保険会社へ請求することが多いですが、最初に警察署に提出するために書いてもらう診断書代は被害者が立て替えて領収書を保険会社に提出して補償してもらうことになります。

また、訴訟になった場合、交通事故と相当因果関係にある損害として弁護士費用の請求は損害として認められています(最判S44.2.27)。

 

消極損害

社会人のイラスト治療のために得られなかった賃金や減収した所得を補償します。

会社員や家事従事車、自営業者、会社役員など就業形態によって休業損害額の算定方法は異なります。

休業損害について、詳しくはこちら「休業損害についてのQ&A」をごらんください。

 

慰謝料

慰謝料のイメージイラスト慰謝料は怪我による精神的・肉体的苦痛に対して支払われる賠償金です。

 

自賠責基準、裁判基準(赤本基準)などで入通院日数や期間から算定できるよう定型化・定額化されています。

賠償金


 
賠償金の計算方法

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