会社を破産するとき、営業はどうする?いつやめる?【弁護士が解説】

会社を破産する場合、原則としては営業活動をやめることになります。

いつやめるかどうかについては、会社の置かれた状況によって異なりますが、一般的にはできるだけ早く行ったほうがよいといえます。

営業を終了する日取りを決めなければズルズルいってしまうので、注意が必要です。

 

会社を破産する場合の状態

会社を破産するかどうか検討しなければならない場合、会社の財務状況は当然悪化しているはずです。

多くの場合、いわゆる債務超過の状態にあると考えられます。

債務超過とは、会社の資産(プラス)よりも負債(マイナス)の方が大きいという場合です。

 

 

会社を破産するかどうかの検討ポイント

破産を検討する場合のポイントとしては、決算書で貸借対照表(BS)をみた上で、上記の債務超過に陥っているかどうかをチェックする必要があります。

貸借対照表は、左側の資産の項目と右側の負債と純資産の項目を足した数字が等しくなりますが、債務超過の場合、純資産の部分がマイナスになります。

なお、純資産がプラスの場合は、資本金と利益剰余金が残っており、内部留保がある状態です。

純資産がマイナスとなってしまっている場合には、次に損益計算書(PL)をチェックする必要があります。

損益計算書では、まず本業の業績状況を示す営業利益の項目をみます。

そして、営業利益がマイナスとなっている場合、本業では赤字ということを意味します。

債務超過であり、かつ、本業が赤字である場合、赤字の原因を分析して改善できない限り、営業を続ければ続けるほど赤字が増え続けてしまいます。

したがって、債務超過の状態かどうか、営業利益がマイナスかどうかという点を分析することで、借入れを増やすなどして事業を継続すべきなのか、それとも破産すべきなのかを検討することがポイントになってきます。

 

 

破産と営業活動

これまでの検討で破産することを視野に入れた場合、営業活動をいつまで続けるべきなのでしょうか?

この点については、一般的には「できるだけ早く」事業をやめて精算活動に向かうべきといえます。

営業利益が赤字ということは、続ければ続けるほど赤字が増えていくのですから、時間をかけてしまえばしまうほどかえって負債が増えて債権者に迷惑をかけることになってしまいます。

そもそも会社を破産するにも、裁判所が管財人を選任して手続を進めるためのお金が必要なため、予納金を納めることが必要ですし、弁護士に手続を依頼する費用もかかります。

そのため、事業規模にもよりますが、破産には少なくとも数百万円程度の現金が必要です。

したがって、会社にどの程度のキャッシュが残っているかを確認し、破産の手続に必要な金額がある場合には、できるだけ早く、営業活動を終える日を決めなければなりません。

他方で、手続に必要なキャッシュがない場合には、材料費など必要最低限の支出だけ行って、売上を立て、その売上を破産費用にすべて充てるようにして手元資金を確保しなければなりません。

 

 

営業をやめるときのポイント

営業をやめるときのポイントですが、破産するということは、少なからず債権者や従業員に影響を与えることは間違いないため、どこかで線引きをして、まずは「ここでやめる」という日取りを決めます。

その上で、従業員にいつ伝えるか、債権者にはどのタイミングで伝えるか、伝えるとしてどの債権者に先に伝えて、どの債権者にはギリギリまで伝えないかといったことを検討する必要があります。

従業員は生活もありますので、事前に伝えておくほうが望ましいですが、他方であまりに先に伝えすぎると、経営者が考えている日よりも前に従業員がいなくなってしまうリスクもあります。

そして、先ほど伝えた破産のための費用を流出しないため、弁護士に手続費用を事前に預けておくといったことも必要です。

営業活動を終了してからは、オフィスの賃貸借契約の精算や会社の資産の管理、破産の準備を進めていきます。

 

 

例外的に営業活動を継続する場合

これまで解説してきたとおり、原則としては会社が破産する場合には、営業活動を終了させることになります。

しかしながら、仕掛り工事などがあり、経費などを考えてもそのまま続けたほうがよい場合には、例外的に事業を継続したまま破産をすることもできます。

破産法36条で、裁判所が専任する破産管財人に裁判所の許可をとった上で、事業を継続することを認めています。

 

 

専門家の必要性

破産をするかどうかを検討する場合、多くの経営者が会社や従業員に愛情をもっています。

しかしながら、その愛情ゆえに、ときに冷静な判断ができず、判断が遅れたために破産に必要な手続費用も用意できないといったケースに陥ることもあります。

また、なかなか結論がだせず、いつやめたらよいかわからないまま、漫然と営業を続けているというケースもあります。

これまで解説してきたように、会社を破産する場合には、検討すべき点が多くあるだけでなく、利害関係者も多く、精算に向けてしなければならないこともたくさんあります。

オフィスの精算一つとっても、大家との退去交渉や電気、ガス、水道、電話、インターネット契約の解除、備品の搬出などが必要です。

したがって、会社の破産手続を日頃から取り扱っている弁護士に依頼して、アドバイスやサポートを受けることが大切です。

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