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それでは、今月のメルマガ情報についてご紹介いたします。

 

今月の情報

  • 持続化給付金の申請代行業者にご用心
  • 泉佐野市ふるさと納税訴訟 ~泉佐野市逆転勝訴の理由~
  • 編集後記

 

 

持続化給付金の申請代行業者にご用心

🔳不審な申請代行業者の出現

新型コロナウイルスの猛威が未だ沈静化の兆しを見せておらず、飲食店や観光業などを筆頭に、依然として多くの企業にとって極めて苦しい状況が続いております。

そして、経営難に陥った中小企業及び個人事業主への救済策として、持続化給付金の支給が進められています。

しかし、この持続化給付金に関し、給付申請を代行すると謳う業者が見られるようになっています。

こうした申請代行業者により不正な給付申請がなされるケースが多発しているようです。

🔳不正が発覚した場合のリスク

上記のような不正な受給申請により持続化給付金の給付を受けた場合において、不正受給の事実が発覚した場合、不正に受給した金額に年3%の延滞金を加え、その合計額の20%を加えた額を返金しなければならなくなる可能性があり、経営に深刻なダメージを与えることに直結してしまいます。

さらに、申請代行業者が、虚偽の申請を行うのだろうということを認識しつつ依頼したような場合において、悪質性が高いと判断されてしまうと、詐欺罪(刑法246条1項)により刑事告発までされてしまう可能性も否定できません。

詐欺罪に関しては、こちらをご覧ください。

https://keiji.daylight-law.jp/zaisan/sagi/

万一、申請代行業者に依頼した結果、不正を疑われてしまったような場合は、弊所刑事事件チームがサポートさせていただきますので、お困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事に関する詳しい内容は、こちらをご覧ください。

https://keiji.daylight-law.jp/column/column8/

 

泉佐野市ふるさと納税訴訟 ~泉佐野市逆転勝訴の理由~

はじめに

生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる、ふるさと納税制度。寄附金額については税制上の控除対象となることに加え、様々な自治体が魅力的な返礼品を用意していることもあり、利用されたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなふるさと納税制度を巡り、令和2年6月30日、最高裁判所が注目すべき判決を言い渡しました。今回は、皆様の生活にもなじみのあるふるさと納税制度に関わる判例として、こちらの判例をご紹介いたします。

事案の概要

大阪府にある泉佐野市は、平成29年度及び平成30年度において、ふるさと納税制度により受領した寄附金額が全自治体中最高額を記録していました(平成29年度は約135億円、平成30年度は約498億円)。

泉佐野市は、平成30年12月及び同31年2月から同年3月までの間、「100億円還元キャンペーン」等と称し、従来の返礼品に加えて寄附金額の3~20%相当のアマゾンギフト券を交付するとして、寄附金の募集をしました。

また、同年4月2日から令和元年5月31日までの間においても、「300億円限定キャンペーン」、「泉佐野史上、最大で最後の大キャンペーン」等と称し、従来の返礼品に加えて寄附金額の10~40%相当のアマゾンギフト券を交付するとして、寄附金の募集をしました。

これらの施策が受け、多額の寄附金を集めることができたのです。

しかし、自治体が寄附者に対し返礼品としてお返しできる物については、返礼割合が寄附金額の3割以下にとどまるか、又は当該自治体の地場産品であることが条件とされており、泉佐野市の返礼品はこれに反していました。

このように、過度な返礼品の提供や、宣伝広報をする一部の地方団体にふるさと納税が集中している状況を是正するため、寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税の対象とするよう、制度の見直しがなされ、平成31年3月27日、地方税法が一部改正されることとなりました。

そして、ふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(以下、「本件指定制度」といいます)が導入されたのです。

なお、本件指定制度の導入等を内容とする地方税法37条の2及び314条の7の改正規定(以下、「本件改正規定」といいます)は、令和元年6月1日から施行されたため、同日から本件指定制度の運用が始まったということになります。

地方税法の一部改正がなされて間もない平成31年4月1日、総務大臣は、地方税法37条の2第2項に基づき、募集適正基準等を定める告示(以下、「本件告示」といいます。)を発し、令和元年6月1日から適用することとしました。

本件告示によれば、指定を受けるには、以下の条件を満たす必要がありました。

・平成30年11月1日から申出書を提出する日までの間に、本件告示1条に規定する趣旨に反する方法により他の地方団体に多大な影響を及ぼすような第1号寄附金の募集を行い、当該趣旨に沿った方法による第1号寄附金の募集を行う他の地方団体に比して著しく多額の第1号寄附金を受領した地方団体でないこと(本件告示2条3号)

そして、泉佐野市は、平成31年4月5日に、ふるさと納税制度の適用対象に指定されるよう申請を行いましたが、総務省は同年5月14日、泉佐野市の寄附金集めの手法が本件告示2条3号に反することを理由に、適用対象として指定しないとの回答を行いました。

指定しないことの理由として、以下の3つが挙げられています。

① 泉佐野市から提出された地方税法37条の2第3項に規定する申出書及び添付書類の内容が同条2項の基準に適合していることを証するとは認められないこと(以下「不指定理由①」という。)
② 平成30年11月1日から申出書を提出する日までの間に、返礼割合が3割超又は地場産品以外の返礼品を提供することにより寄附金の募集を行い、著しく多額の寄附金を受領しており、本件告示2条3号に該当しないこと(以下「不指定理由②」という。)
③ 現に泉佐野市が実施している寄附金の募集の取組の状況に鑑み、地方税法37条の2第2項各号に掲げる基準に適合する団体としては認められないこと(以下「不指定理由③」という。)

これを不服として泉佐野市が提訴したのが、本件訴訟になります。

なお、裁判においては、主に不指定理由②及び③が争点となりました。

最高裁の判断

【結論】
結論から申し上げますと、最高裁は、総務省による不指定が違法であり、泉佐野市についてもふるさと納税制度の指定対象とすべきであると判断しました。

・不指定理由②について
不指定理由②の判断においては、そもそも本件告示2条3号が法的に有効な基準といえるのかが争われていました。

この点につき、最高裁は、本件告示2条3号は違法・無効であると結論づけ、この基準に適合しないことを理由として泉佐野市をふるさと納税制度の対象に指定しなかったことは違法であると判断しました。
その理由を簡略化すると、概ね以下の通りとなります。

ア 本件告示をどのように読んだとしても、本件改正規定が施行されるよりも前の募集実績を、新制度における指定の基準とすることを想定していたとは解釈できない。
イ そもそも本件指定制度において、ふるさと納税制度の適用対象に当たるか否かを判断する基準というのは、政治的・政策的な観点から策定する必要性が強い。

また、不指定とされた場合の地方団体の不利益が大きい(いくら寄附を行っても税制上の控除が受けられないのであれば、その自治体にふるさと納税を行う方は減少することが明らかと考えられるため)ことから考えても、このような基準は法律等により定めるべき事柄であって、総務大臣が独断で決めて良い事柄の範囲を超えている。

少なくとも、泉佐野市が全自治体中トップの寄附金額を集めた平成30年度の時点までは、泉佐野市の手法を禁止するような規定が何一つ存在しませんでした。

つまり、モラルの観点から見て適切かどうかはともかく、法律上、泉佐野市がアマゾンギフト券を返礼品に設定したとしても、法的には全く問題はなかったのです。

にもかかわらず、総務大臣はいわば後出しで従来よりも厳しい基準を作り、これに該当しない泉佐野市をふるさと納税制度から排除しようとしたのでした。

行為時におけるルールには一切違反していない以上、これを咎めることは出来ないというのが法の大原則ですが(法の不遡及)、本件告示に基づき泉佐野市への指定を行わないというのは、事後的に策定した基準の遡及を認めてしまうという点で問題がありました。

最高裁は、こうした法の大原則に則り、妥当な判断を下したというべきでしょう。

・不指定理由③について
他方、最高裁は、不指定理由③に関し、
「泉佐野市は、…本件改正法が成立した後も、…従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして、返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり、…社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである」と述べ、泉佐野市の返礼品に関する姿勢に対しても苦言を呈しています。

しかし、本件改正規定により返礼品の基準が法律で定められ、これに違反した場合に指定の取り消しがなされる可能性が生じたこと、指定を取り消されればその後2年間は指定を受けられなくなってしまうなど、これまでどおりの返礼品を提供していれば泉佐野市が重大な不利益を受ける可能性が極めて高くなったといえます。

このような状況においては、泉佐野市が従前と同様の返礼品を提供し続けるとは推認できず、今後そのようなことを行う予定があると疑うに足りる事情も見当たらないと最高裁は判断しました。

そのため、当時の事情からは、泉佐野市が不指定理由③の自治体にあたらないと判断するには事情が足りなかったのであり、それにもかかわらず、不指定理由③に基づいて泉佐野市をふるさと納税制度の適用対象に指定しなかったこともまた違法だと結論づけたのです。

・まとめ
上記判決を受け、総務省は7月3日、泉佐野市を含む3市町村につき、本件指定制度による指定対象とすることを発表しました。

今後も、泉佐野市にふるさと納税を行うことにより、税制上の控除を受けることができるようになったのです。

泉佐野市の手法は、モラルの観点から見れば不適切な面があったことも事実でしょう。

実際に他の自治体と比較しても極めて多額の寄付金を得ていたことも踏まえると、他の自治体との不公平感は生まれていたのかもしれません。

しかし、だからといって法の解釈を超えた運用を行い、狙い撃ちで不利益を与えようとすることは許されません。

最高裁はそうした総務省の姿勢に対し、はっきりとNOを突き付けた格好となりました。

その意味で、本判決は結論として妥当なものであったといえるでしょう。

 

編集後記:迷惑系YouTuberの今後

近時、とあるYouTuberが、自身の投稿した動画がきっかけとなり、窃盗容疑で逮捕されました。

スーパーで売られている刺身を、会計前に食べてしまったというのが逮捕の原因になります。

この場合、会計をせずに先に商品を食べてしまった時点で窃盗罪は既遂となり、当然ながらすぐに会計をしたとしても罪にならないというわけではありません。

「後からお金を払えば許される」などという浅はかな考えのもとなされた行為であり、擁護する余地はないといえるでしょう。

これだけならまだしも、当該YouTuberは直近の動画で新型コロナウイルスに感染していることを匂わせる動画を投稿しており、逮捕後も実際に体調が悪かったことからPCR検査を行ったところ、新型コロナウイルスの陽性反応が出たとのことでした。

さらに、当該YouTuberは、体調が悪い中、街に繰り出して一般人に話しかけるなどの行為を繰り返していたことも判明しました。

そして、当該YouTuberと会話したという山口県の男女2名が、新型コロナウイルスに感染したという報道もなされています。

上記のような行為につき、当該YouTuberからコロナウイルスが感染したということを捜査機関が立証することはほぼ不可能であると考えられるため、因果関係があるとは必ずしも言い切れず、傷害罪などの犯罪が成立する可能性は高くないと言わざるを得ません。

しかしながら、こうしたモラルを欠いた行為もまた、決して許されてはなりません。

仮に、自社の従業員がこのような行為を行い、これが発覚した場合は、企業にとっても非常に大きな痛手を負うことになる可能性もあります(かつて従業員が勤務中に羽目を外しすぎた動画を投稿し、「バイトテロ」などと騒がれていたのも、記憶に新しいところです)。

こうした不祥事の発生を未然に防ぐべく、十分にお気をつけ頂ければと思います。

 

(執筆者:杉原 拓海)

 

 

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