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それでは、今月のメルマガ情報についてご紹介いたします。

 

今月の情報

● 役員等の不祥事に対する対応

● 従業員の不正行為に対する対応及び防止策

● セミナーのご案内

 

 

役員等の不祥事に対する対応

経営者や役員が関与する企業不祥事が後を絶ちません。

コンプライアンス違反によって倒産に追い込まれた企業は、毎年200件以上存在しており、コンプライアンス違反が発覚した場合の対応は企業の命運を握っていると言っても過言ではありません。

コンプライアンス違反の中には、企業によって具体的な法律違反行為が行われる場合だけでなく、経営者や役員が積極的に関与しているケースがあります。

その他にも、役員が経営判断を誤ってしまったことによって、企業に損害が生じてしまった場合や、監督体制の不備を問われる場合が役員の不祥事として考えられます。

今回は、この3つのケースについて、どのような対処が望ましいのかをお伝えできればと思います。

 

 

1 役員による関与が疑われる不祥事


対応の基本的な流れは以下のようなものになります。

 

(1) 事実確認

役員による役員による不祥事があるという疑いが出た場合、まずは当該役員以外の役員によって、事実関係を確認する必要があるでしょう。

仮に経営者による不祥事が疑われている場合には、経営者の影響下にない、社外取締役が主導して行うことになります。

 

(2) 対外的な公表

不祥事が事実であるという証拠が相当程度存在する場合には、関係者に対して事実を公表することが必要になってきます。

対外的な公表の時期や方法を誤ってしまうと、報道やインターネットにおいて、より一層非難を浴びることになってしまいますので、この対応は慎重かつ迅速に行う必要があります。

 

(3) 調査委員会等の設置

次に、第三者委員会等の設置を行い、公正な観点からの調査を行います。

経営者や役員と親しい人物で構成されていたり、手心を加えてもらったりした場合、往々にして世間からのバッシングは強くなります。

現在の社会情勢を踏まえると、厳しい意見が出たとしてもそれを受け入れる形で今後の変革を進めていくという方針の方が企業に与える影響は小さく済むでしょう。

 

(4) 問題となった役員への処分

不祥事を起こした役員をそのままの地位に据え置くことに世間や従業員の理解が得られない場合も多々あります。

そのため、不祥事がどの程度のものかにもよりますが、辞任の勧告・報酬減額・降格等を検討する必要があります。

 

(5) 原因の分析と再発防止策の提示

原因分析と再発防止策は、具体的である必要があります。

なぜなら、企業がいかに真摯に不祥事に向き合い、原因を分析して抜本的な再発防止策を立てるか、という点を外部は注視しているからです。

同時に、提示した再発防止策をその後実行できているかどうか、社内で定期的に確認を行うことも必要です。

場合によっては、 確認状況についても社外に公表するという選択肢もあり得るでしょう。

 

(6) 役員に対する責任追及

不祥事に関わった役員に対しては、以上の対応を行うと同時に責任追及を行なっていくことを検討する必要があります。

民事上の損害賠償請求だけでなく、不祥事の内容次第では刑事告発を行うことも視野に入れなければなりません。

 

 

2 経営判断を誤ってしまった場合


経営者や役員に法令違反行為がない場合であっても、経営判断を誤ったことによって企業に損害が生じ、それが場合によっては企業不祥事として問題となることもあります。

取締役が会社に対して負っている善管注意義務(会社法330条、民法644条)に違反したとして、会社に対して損害賠償責任を負うことがあり得ます(会社法423条1項)。

企業において経営を行うにあたっては、迅速に専門的な判断を行う必要があり、その判断には少なからずリスクを伴うことが多いはずです。

それにもかかわらず、事後的な判断によって取締役に責任を負わせると、取締役が萎縮してしまうということは明らかです。

そのため、裁判例においては、経営判断原則という理論が採用されています。

「①当該判断をするためになされた情報収集・分析、検討が合理性を欠くものであったか否か、②これらを前提とする判断の推論過程及び内容が明らかに不合理なものであったか否か」という判断がされます(東京地方裁判所平成16年3月25日付判決)。

取締役には広い裁量が認められていますが、無限定ではありません。

仮に経営判断を誤ってしまった場合、善管注意義務違反であると認定されないためにも、この判例が示しているような事前検討を行なった上で意思決定を行う必要があります。

法律、税務、会計といった専門的な事項についての判断が必要な場合には、社内の担当部署における検討のみではなく、弁護士や税理士、会計士等の専門家の意見を得ておくと良い場合があります。

ただし、専門家に伝える前提事実に誤りがあると、正しい検討結果が得られませんので注意が必要です。

 

 

3 不祥事に直接関与していない役員の責任


不祥事に直接関与していなかったとしても、取締役には、適切な内部統制システムを構築する義務があり、この義務に違反しているとして責任を問われる可能性があります。

どのような内部統制システムを構築するかは、経営判断に属すると考えられており、事業の規模や特性、不祥事ごとにどのようなシステムを構築するべきかは異なりますので、一般的な基準を確立することは難しいといわれています。

最高裁判例で以下のような要素から結論を出しているものがありますので、一応の基準として参考にすることは出来るでしょう。

  1. 通常想定される不正行為を防止しうる程度の管理体制を整備していたか
  2. 実際になされた不正行為が通常容易に想定し難い方法によるものであったか
  3. 過去に同様の手法による不正行為が行われたなど不正行為の発生を予見すべき特別の事情があったか
  4. 不正行為者の言い訳が合理的であったか

 

 

従業員の不正行為に対する対応・防止策

従業員による不正行為が行われた場合、基本的な対応策は経営者が不祥事を起こした場合と共通します。

経営者としては、従業員が不正行為を行う可能性を出来る限り低くしたいと考えられると思われますので、以下では不正行為が行われる要因や、その防止策をご紹介しようと思います。

 

1 不正が行われる要因


従業員が不正を行う場合、① 動機、② 機会、③ 正当化 の3つの不正リスク要因が存在すると言われており、これらの要因を指して、「不正のトライアングル」と言います。

① 動機

特に従業員の不正行為が故意によるものである場合に分析を行う必要があります。

会社の金銭を横領したというような場合であれば、金銭が必要だったから、日頃のストレスを解消するため、自らの失敗を隠すため等が考えられるでしょう。


② 機会

不正を行ってもバレないという客観的な職場の環境があることです。

業務に関係する不正の場合、従業員が業務上の権限を持っていればいるほど、接することができる情報が多ければ多いほど、機会の要因は大きくなります。

また、会社による監視がどの程度行き届いているかも機会の要因に与える影響は大きくなります。


③ 正当化

「ほんの少しだけだ、これくらいは仕方がない、他の従業員もやっていることだ」というように、不正行為をする言い訳が従業員の中で成り立っていることを言います。

動機や機会があっても、必ずしも従業員が不正行為を行うとは限りません。

従業員の中で、不正行為が不正であるという認識があり、思いとどまることが通常だからです。

 

 

 

2 不正行為の防止策



1. 意識改革

—————————————-
不正行為を防ぐために、最も重要なのはコンプライアンス教育です。

しかし、研修等を行うだけでは、コンプライアンスについて従業員が理解したとしても、③ 正当化 を防ぐことは困難です。

③ 正当化 を防ぐためには、従業員の潜在意識に対して働きかけを行うことが必要です。

具体的には、不正は絶対に許さないという企業の考えを授業員全体に周知し、コンプライアンスに価値を見出すという企業の空気を作り出す必要があります。

経営者がコンプライアンスを軽視したり、利益が第一であるという言動を繰り返していたりすると、その意識は徐々に従業員に浸透していってしまいます。

逆に、コンプライアンスが重要であるという意識を経営者が持ち、従業員に向けて発信し続ければ、その意識は従業員に次第に浸透していきます。

コンプライアンス誓約書の提出を求めるということも考えられるでしょう。

 

2. 職場環境の見直し
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従業員が職場環境に対してストレスを感じている場合、不正行為を行う動機や正当化に繋がってしまうおそれがあります。

組織としての体制作りのみではなく、従業員にとって、「風通しのいい」職場環境を整えることも従業員の不正防止には有用であるといえます。

意見を言いやすい会議の進行方法であったり、親睦の機会を設けたりといった工夫を検討することも重要です。

 

3. 権限の分散・情報管理
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既に述べたとおり、不正行為を行う機会は、従業員が権限を持っていればいるほど、接することができる情報が多ければ多いほど生じやすくなります。

そのため、不正行為を行う機会を減らそうと考えるのであれば、従業員の業務上の権限をできる限り分散させておくことや、従業員が接することができる情報の範囲を自分の業務上必要な範囲に限定することが有用になります。

また、業務の過程を記録しておくことで、在庫の数が正しいか、過剰に支払いが行われていないか等を確認して不正行為が発覚しやすい状態にしておくことも重要といえるでしょう。

 

4. 従業員の監視
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従業員を過度に信用しすぎて監督が不十分になってしまうと、不正行為の機会が増えてしまいます。

社内パソコンの利用履歴や社用メールのチェックを行うことは必要です。

このような監視を行うことについて、社員のプライバシーを侵害するものではないかとの疑問を持つ方がいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、裁判例においては、防犯カメラの設置について、カメラを設定する必要性や設置場所が合理的であることを理由として従業員のプライバシー侵害には該当しないという判断がされています(東京地方裁判所平成24年5月31日付判決)。

この裁判例から分かるように、必要性や合理性がない監視については従業員のプライバシー侵害に当たる可能性もありますので、実施態様についてはしっかりと検討を行う必要があります。

例えば、ある従業員について、不正行為が行われているのではないかという合理的疑いが無いにもかかわらず、嫌がらせや私的な好奇心のみから当該従業員だけを対象として監視を行うような場合は、従業員のプライバシー侵害と判断される可能性が高いと思われます。

「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」(平成21年10月9日厚生労働省・経済産業省告示第2号)が、従業員を対象とする業務上のモニタリングについて、以下のような注意事項を定めていますので、参考にしていただければと思います。

 

業務上のモニタリングについての注意事項
    • モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社内規程に定めるとともに、従業者に明示すること
    • モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること
    • モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社内規程案を策定するものとし、事前に社内に徹底すること
    • モニタリングの実施状況については、適正に行われているか、監査または確認を行うこと

 

刑事問題について、詳しくは弊社労働HPをご覧ください。
https://www.keiji-lawyer.jp/

 

 

セミナーのご案内

下記のとおり、セミナーを開催いたしますので、奮ってご参加ください。

テーマ
人財採用の法的リスク・採用手法セミナー

第1部:弁護士が明かす!採用における法的リスクへの対策
第2部:社労士が教える!優秀な人材を採用するための手法

対 象
次のいずれかに該当する企業・社労士の方
☑︎ 人財を採用したい
☑ 採用時に必要な書類を確認したい
☑ 従業員とのトラブルを未然に防止したい
☑ 問題社員を採用したくない
☑ 労働裁判を回避したい
☑ 社労士として企業をサポートしている

日 程
2019年12月17日(火)

場 所
デイライト法律事務所内
福岡市博多区博多駅前2-1-1 福岡朝日ビル7階

講 師
第1部:弁護士 宮﨑 晃
第2部:社労士 城 敏徳

時 間
14:00~17:00(開場13:30)

参加料
3,000円(税込)※顧問先企業様は無料

 

セミナー情報はこちらをご覧ください。
⇒https://www.daylight-law.jp/138/1380182839/?utm_source=times&utm_medium=email&utm_campaign=201911kei

 

(執筆者:阿部 尚平)

 

 

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