デイライトプラス 平成27年9月号



弁護士が教える! 会社経営に役立つ法律情報!
「餅は餅屋」、法律はデイライト法律事務所にお聞き下さい!

『弁護士が教える! 会社経営に役立つ法律情報!』では、企業の皆様へ
法律に関する貴重なノウハウ・情報を配信していきます。

法律のプロだから話せる実際の事例や最新の法律にまつわる情報をお届けします!
それでは、今月のメルマガ情報についてご紹介いたします。

 

今月の情報

・個人情報保護法の改正法が成立~5000件要件の撤廃と中小企業への影響~
・ブラックバイトの実体と会社の法的責任
・今月の書式集、リーフレット集
・弊所セミナー情報
・編集後記:秋らしい季節になりました。

個人情報保護法の改正法が成立~5000件要件の撤廃と中小企業への影響~

■ 5000件要件とは?

2015年9月4日、個人情報保護法とマイナンバー法の改正法が成立しました。
新聞報道等では、マイナンバーの銀行口座との連結による、漏洩リスクなどが大きく取り上げられています。

確かに、マイナンバーは、個人情報の漏洩や成りすましによる悪用等の問題が懸念されます。したがって、通常、一般市民の関心としてはこのマイナンバー法の改正の方が大きいといえます。

しかし、今回の改正法の成立によって、企業にとっては、個人情報保護法の改正の方が大きいと思えます。
中でも、中小企業にとって影響が大きいのは5000件要件の撤廃です。あまり、大々的には報道されていないので、ここではこの問題について紹介します。

そもそも5000件要件とは何でしょうか。

個人情報保護法は、主として、個人の権利利益の保護のために、個人情報と取扱事業者に対して、順守すべき義務等を定めた法律です。
その中身については多岐にわたりますが、例えば、個人情報取扱事業者は、安全管理措置(個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置)を講じなければなりません。

個人情報保護法が制定されたのは、平成15年ですが、当時、上記のような義務をすべての事業者に対して負わせるのは、あまりにも負担が大きく、現実的ではないことから一定の例外が設けられていました。

それが5000件要件です。これは、大雑把に言えば、保有する個人情報の件数が5000件を超えない小規模事業者については、「個人情報取扱事業者」には該当しないという内容です。
したがって、これまでは、業種にもよりますが、通常の中小企業規模の事業者であれば、個人情報保護法の各種義務を負う必要はありませんでした。ほとんどの中小企業はあまり関係がないという状態でした。

■ 5000件要件の撤廃

ところが、今回の改正では、この5000件要件を撤廃することとなりました。

この背景には、欧州連合(EU)から日本の情報保護の不十分さを指摘されていたこと等への配慮があると考えられます。すなわち、欧州連合は、これまで日本と欧州との個人情報の行き来を禁じており、日本企業は現地子会社の従業員データさえ簡単には持ち出せない状況でした。今回の改正でEUが措置を撤回すれば、日本企業は海外で活動しやすくなります。
ただ、改正の恩恵はグローバル企業であり、小規模事業者への負担は大です。今回の改正により、法文上は、町の八百屋さんや魚屋さんも入ってくることになります。

特に個人情報データベースを作成していると思われる、各種サービス業、医療機関、各種士業(弁護士、税理士、社労士等)等については、ほぼ個人情報保護法を順守しなければならなくなります。
しかし、これは現実的に難しいと思います。
例えば、町のラーメン屋さんが配達先数件の名前、住所、電話番号が記載された顧客名簿(紙)を持っている場合に、大量データを扱う大企業と同じレベルの安全管理措置を負うというのは無理を強いるものです。

そこで、改正法は附則(11条)を設け、「(小規模事業者)が新たに個人情報取扱事業者になることに鑑み,特に小規模の事業活動が円滑に行われるよう配慮するものとする。」と規定しています。

これにより、例えば、国会答弁を見ると、上記のような例では、顧客名簿を鍵の掛かる引き出しに管理をすれば足りるという程度の安全管理措置に軽減するようです。
とはいえ、やはり今回の改正が中小企業に与える影響は極めて大きいと思われます。

また、マイナンバー法との関係も注目されます。すなわち、マイナンバー法では、従業員数100名以下の中小企業で、個人情報取扱事業者に該当しない事業者については、マイナンバーの安全管理措置に関して簡易な軽減措置が認められています。ところが、今回の個人情報保護法改正によって、個人情報取扱事業者ではなくなる事業者が激増するはずです。したがって、どのように調整するのかが気になります。

■ 改正個人情報保護法施行前に、十分なご準備を

今回の改正法が実際に施行されるのは、公布の日から2年以内の政令で定める日とされています。

今後、施行までの間に行政から小規模事業者向けのガイドライン等が出されることと思いますが、情報集収を行っていただき、早めの対策をとられた方がよいでしょう。

当事務所においても、今後、個人情報保護法関連のセミナーを開催する予定です。
ご不明な点等あればお気軽にご相談ください。
この記事について、詳しくはこちらをご覧ください。
⇒ https://www.daylight-law.jp/1407/1407011/

 

ブラックバイトの実体と会社の法的責任

■ 「しゃぶしゃぶ温野菜」のブラックバイト問題

9月10日、飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」でアルバイトとして働いていた大学2年の男性と労働組合「ブラックバイトユニオン」が、フランチャイズ本部と店舗運営会社に対して、未払賃金の支払いや職場環境の改善などを求めて団体交渉を申し入れました。
この男性は、2014年5月から「しゃぶしゃぶ温野菜」でアルバイトとして働いていましたが、2014年秋以降、人手不足により職場環境が悪化しました。
男性が辞めたいと申し出ても、店長から「懲戒免職にする」と脅されたり、多額の損害賠償請求を示唆されたりして、やめるにやめれないとの状況に追い込まれました。
男性は1日12時間労働で、今年4月中旬からの4ヶ月間は1日の休みもなく、大学に通うこともできなくなりました。そのうえ、男性は、電話で店長から「殺してやっから。」「今からお前んち行くぞ。」などと脅されていた事実が、男性が録音した音声で明らかになりました。しかし、男性は支払われるべき賃金もその半分以下しか支払わず、また食べ放題の客を時間通りに帰らせることができなかったことなどを理由に合計10万円以上の「自腹購入」までさせられました。

このような状態で、男性は不安障害とうつ状態になり、バイト先には勤務できないとの診断書が出るほどの状態に陥りました。

■ ブラックバイトと使用者の責任

(1)未払賃金請求

会社が、支払うべき賃金を支払っていない場合、当然に未払賃金を支払わなければなりません。

(2)労働基準法上の罰則

今回のケースだと、使用者は、労働時間や休日、賃金に関する対応で、労働基準法に違反している可能性があります。
その場合、使用者は、労働基準法に基づき、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

(3)刑法上の脅迫罪が成立する可能性

今回のケースでは、店長が「殺してやる」「殺してやっから。」など、男性の生命、身体に対し危険を加える趣旨の発言をしていたことが明らかとなっています。これには刑法上の脅迫罪が成立する可能性がありますので、店長は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

(4)会社の信用性の低下

ブラックバイトの実体が明らかになると、会社の信用性は確実に低下します。優秀な人材の確保が困難となるうえ、客からの信頼も無くし、会社の存続自体が危ぶまれる事態となることもあります。

■ 従業員の労務管理に注意しましょう!

ブラックバイトが横行する背景には、サービス業特有の問題(正社員は1人しかおらず、あとはアルバイト社員で店舗を回すなど、慢性的な人材不足問題)のほか、若年層の貧困があるといわれています。大学の学費も数年前に比べて値上がりしており、それを補うためにアルバイトせざるを得ない学生も多数います。その弱みに付け込み、使用者が過酷な労働条件の下でアルバイトを酷使してしまうのです。

しかし、ブラックバイトを行ったことにより、最終的に不利益を受けるのは、ほかならぬ使用者なのです。

当然のことではありますが、労働基準法に基づいた労務管理をきちんと行うことが使用者には求められます。

この記事について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒ http://www.fukuoka-roumu.jp/2907/09988/

 

今月の書式集・リーフレット集

今月は、秘密保持に関する誓約書をご紹介いたします。

http://www.fukuoka-roumu.jp/292/292005/292005001/
従業員を採用する際、従業員は会社の様々な秘密情報に接することになります。

従業員が秘密情報を社外に漏らさないよう指導するためにも、あらかじめ採用の際に秘密保持に関し、書面で誓約させることは大切です。

会社の秘密情報を守るためにも、ぜひ一度ご覧下さい。

 

弊所セミナー情報

■ メンタルヘルス徹底対処法セミナー

・日時:平成27年10月28日(水) 13:00~17:00
・場所:アクサ生命株式会社 北九州中央FA支社会議室
・参加料:3000円(税込) 顧問先企業様は無料
・定員:28名

【セミナーの概要】
第1部 「メンタルヘルス不調者の法的対応の実務」
第2部 「メンタルヘルス問題防止のためのハラスメント対策」
第3部 「メンタルヘルス不調者相手の雇用契約終了の実務」
第4部 「企業が押さえておくべき助成金」
第1部では、弊所所属弁護士大坪が、第2部では、弊所所属弁護士田坂が、第3部では北九州オフィス所長弁護士西村が、分かりやすく解説いたします。

今年12月からストレスチェック制度が施行されることもあり、メンタルヘルス問題は、マイナンバー制度と並び、今使用者が押さえておくべき重要な課題の1つです。

大変人気のあるセミナーで、満席となることが予想されます。
参加をご希望の方は、お早めのお申し込みをおすすめいたします。

セミナーの詳しい情報については、こちらからもご覧いただけます。
⇒ https://www.daylight-law.jp/138/
ふるってご参加ください。

 

編集後記:秋らしい季節になりました。

9月に入り、早くも朝晩は冷え込む季節となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

ところで、今年のシルバーウィークは5連休と長く、遠くまで足を延ばされた方も多いのではないでしょうか。

5連休となるには、土日と祝日がちょうど連続している必要があります。今回の5連休は2009年以来のことでした。
次回はなんと11年後の2026年とのことです。

秋は、食欲の秋、読書の秋となどと呼ばれるように、楽しいことがたくさん詰まった季節ですが、これからますます冷え込むことが予想されます。
皆様、くれぐれもご自愛ください。

 

 

 

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