デイライトプラス 平成27年3月号



弁護士が教える! 会社経営に役立つ法律情報!
「餅は餅屋」、法律はデイライト法律事務所にお聞き下さい!

『弁護士が教える! 会社経営に役立つ法律情報!』では、企業の皆様へ
法律に関する貴重なノウハウ・情報を配信していきます。法律のプロだから話せる実際の事例や最新の法律にまつわる情報をお届けします!
それでは、今月のメルマガ情報についてご紹介いたします。

 

今月の情報

・過労死問題と会社の法的責任
・就業時間内の全面禁煙化の是非
・今月の書式集
・弊所セミナー情報
・編集後記

過労死問題と会社の法的責任

JR西日本社員の過労死自殺事件で、判決で1億円の支払義務が認められました。

今月20日、長時間労働によるうつ病が原因で自殺したJR西日本社員の男性の遺族が、同社に対し約1億9000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に訴訟を提起した事件で、同社に約1億円の支払いを認める判決が下されました。
判決によると、男性は、2009年4月に入社し、28歳であった2012年10月、勤務先近くのマンションから飛び降り自殺をしました。
男性は、昼夜連続勤務や休日労働が恒常化し、自殺する直前約1年間の時間外労働は月平均134時間で、2012年3月の時間外労働は、JR西日本の調査で254時間に及んでいました。

判決では、「時間外労働が適切な範囲を大きく超えていたのに会社は何の措置も講じず、安全配慮義務違反は明らかだ」と述べられました。

このように極度の長時間勤務による過労死は、近年注目を集めるようになってきています。
今回のJR西日本の件のように、過労死事件では賠償額が1億円を超えることも珍しくなく、有名な「電通事件」で認められた賠償額は1億6800万円にも及んでいます。
従業員のメンタルヘルス問題が会社にもたらす影響

今回のJR西日本過労死事件のように、会社にメンタルヘルス問題を抱えた社員が在籍している場合、そのメンタルヘルス問題が業務に起因するものであれば、当該従業員やその家族から損害賠償請求を受けることがあります。たとえ従業員のメンタルヘルス問題が業務に起因しないものであっても会社は様々な不利益を被ることが予想されます。

≪会社が被る不利益≫
(1)当該問題を抱えた社員の生産性の低下
(2)休職者が出た場合には、医療費や傷病手当見舞金等の負担
(3)従業員が自殺してしまった場合には、世間のイメージダウン、社員や取引先などからも不信感を持たれる原因にも

使用者には、このような様々な不利益を回避するための対策を講じることが必要になります。
会社の対策:まずは会社の就業規則の見直しから始めましょう!

メンタルヘルス問題を抱えた社員は心身ともに健康な社員と比較して生産性が一般的に低いなどの問題が生じるため、使用者としては大きな問題に発展する前にその社員を解雇したいと考えるかもしれません。
しかし、法律上、解雇には(1)客観的合理的理由や(2)社会通念上の相当性が要求されており、厳しい制限が課されています。
そのため、たとえメンタルヘルス疾患を抱えた従業員でも直ちに解雇することは難しく、その社員の取扱いが問題となります。

その際、まず早急に出来る対策としては、就業規則の見直しです。
就業規則の中に私傷病休職制度を置いている会社も少なくないと思いますが、従来の私傷病休職制度は結核などの感染症を想定した内容であるため、メンタルヘルス問題に対応していないこともしばしばです。
この私傷病休職制度をきちんと整備することで、会社はメンタルヘルス疾患を抱えている社員の取扱いが明確になり、様々なリスクを回避することや、また休職期間を経ることで当該従業員の回復による生産性の向上などが期待できます。

会社がメンタルヘルス問題を抱えた社員の対応を誤ると、今回のJR西日本の事件のように、巨額の損害賠償が認められてしまう可能性があります。
会社の規模によっては、1億円を超える損害賠償が認められてしまえば、会社の存続自体危ぶまれるといっても過言ではありません。
メンタルヘルス問題への対策は、早急に講じる必要があります。

弊所では、就業規則の作成や見直しも行っております。
私傷病休職制度に限らず、就業規則はその会社の個別の事情に応じた内容のものを作成しておかなければ、後々トラブルに発展する可能性があります。

厚生労働省のモデル就業規則をそのまま使用しているという使用者様や、ずいぶん前に就業規則を作成してから一度も見直しを行っていないという使用者様は、ぜひ一度会社に備え付けられている就業規則をご確認ください。
メンタルヘルス問題とストレスチェック

今年12月までに従業員が50人を超える事業場では、ストレスチェックが義務化されることが既に決まっているなど、メンタルヘルス問題は現在使用者が重点的に取り組むべき問題の1つです。
平成26年10月号のデイライトタイムズで、ストレスチェックの法改正について詳しくご紹介しておりますので、ぜひ一度こちらもご覧ください。

https://www.daylight-law.jp/1410/1011201410/

 

就業時間中の全面禁煙化の是非

就業時間中の全面禁煙化が進んでいます。

今年1月、大手光学機器メーカーのリコーが、国内のリコーグループを対象に、「社内及び就業時間内の喫煙を全面的に禁止した」と発表しました。

リコーでは、リコーグループが所有もしくは賃貸する全ての敷地や建物が禁煙の対象となるため、従業員でなく来客者も禁煙の対象となります。また従業員に関しては、社員や契約社員、パートタイマーなどが対象となり、移動中や出張中も禁煙の対象となります。

リコーのほかにも、ユニ・チャームは昨年4月から就業時間内を禁煙としています。このように就業時間中を全面禁煙化する会社は増えており、今後も増加することが予想されます。

■ 全面禁煙化のメリット

リコーによると、今回の全面禁煙化の目的は、「健康障害の防止」と「健康増進」にあるとしています。
喫煙者自身の健康はもちろんのこと、非喫煙者も受動喫煙による健康被害は喫煙者以上とも言われていますので、全面禁煙化とすることで全ての者の健康を守ることが目的となっているといえます。
そのほか、非喫煙者にとっては、タバコの煙(臭い)自体が嫌いな人も少なくありませんので、そのような人が仕事に集中する環境を作ることにもなります。
全面禁煙化の問題点

(1)幸福追求権に反するのでは?

喫煙することも、喫煙者の幸福追求権(憲法13条)の一つと考えることが出来ます。
もっとも、過去の判例でも、「喫煙の自由は、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない」とされています。他方で、使用者は労働者に対する安全配慮義務を負っていること、とりわけ平成15年の健康増進法の施行にともない、使用者には受動喫煙防止の努力義務が課せられていることなどからすると、従業員の健康を守るという目的のために喫煙を制限することを憲法違反ということは難しいでしょう。

(2)労働条件の不利益変更になるのでは?

喫煙について就業規則に定められていたり、また労使間に喫煙に関する慣行がある会社では、全面禁煙化とすることは就業規則の不利益変更に当たる可能性があります。そのような場合には労働者の個別の同意をとるか、あるいは労働契約法10条の要件(注)をみたす必要があります。
※注:就業規則の変更は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものでなければならないという要件です。

■ 全面禁煙か、共存か

今日、喫煙者にとって、喫煙行為は単なる息抜きとして行われるだけでなく、コミュニケーションのツールの1つとなっていることも少なくありません。また、禁煙を強いられることで仕事の集中力がかえってそがれてしまう人もいるでしょう。

喫煙を健康を害するもので「悪」であると決めつけてしまうことは簡単ですが、喫煙者、非喫煙者をまじえて禁煙化の是非について議論することで、全面禁煙化を含め、よりよい解決の方法が見つかるかもしれません。

 

今月の書式集・リーフレット集

今月は、下記のリーフレットについてご紹介いたします。

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
http://www.fukuoka-roumu.jp/293/293004/

うつ病などの心の健康問題により休職した従業員の職場復帰をスムーズにするため、このリーフレットでは事業者にとって望ましい事項が紹介されています。
今月のメルマガでご紹介したとおり、メンタルヘルス疾患を抱える社員の扱いには、より慎重な配慮が要求されます。
メンタルヘルス疾患を抱えた従業員が現在いないという事業主様も、今後の参考にぜひ一度ご覧ください。

 

弊所セミナー情報

弊所セミナー情報についてお届けします。

■ パートタイム労働法改正セミナー

日時:平成27年4月22日(水)18:30~20:30
会場:福岡オフィスセミナールーム
参加料:3000円※ただし、顧問先企業様は無料
定員:15名
(数に限りがございますので、お早めにお申し込みください。)

パートタイム労働法の法改正の内容をいち早くお伝えいたします。

■ 企業のためのマイナンバー制度導入対策セミナー

日時:平成27年5月14日(木)14:00~16:30
会場:弊所福岡オフィスセミナールーム
参加料:3000円※ただし、顧問先企業様は無料
定員:24名

【セミナーの概要】
第1部 「パート職員の雇用に関する助成金の実務」
第2部 「パートタイム労働法改正による影響と対策」
セミナーの詳しい情報については、こちらからもご覧いただけます。
https://www.daylight-law.jp/138/

 

編集後記:体調管理にお気をつけください

最近上着いらずの日も増えてきた福岡ですが、時折冷え込む日もあったりと気温の差の激しい毎日が続いています。
3月4月は、年度末であり、また歓送迎会のシーズンでもありますので、お忙しい時期をお過ごしの方が多いと思います。

一方で、春はお花見等楽しいイベントも多い季節です。
福岡市内では、3月30日から4月2日頃に桜の花の満開予想が出ているようです。

お時間のある際には、リフレッシュの一貫としてぜひ一度お花見に足を延ばしてみられてはいかがでしょうか。
皆様が健やかな毎日を送られることを、お祈りしております。

 

 

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