IMG_4998開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条に基づくものです。具体的には、プロバイダなどに対して、保有している当該発信者の特定に関する情報を開示するように求めることです。

インターネット上の違法な書き込みにより名誉毀損や誹謗中傷を受けた場合、そのような記事やコメントを掲示板などのサイトに掲載した人(発信者)は、被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負います。したがって、誹謗中傷等の被害を受けた人は、発信者に対して、損害賠償請求をすることができるわけです。

しかし、そのためには発信者を特定しなければ、被害者は誰に対して請求できるのかわからず、結局、賠償を受けることはできずに終わってしまいます。

つまり、開示請求は、発信者を特定し、損害賠償請求を可能にするために必要な手段ということになります。

 

 

開示請求の要件(1)

開示請求の要件は、以下のとおりです。

①特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が
②特定電気通信役務提供者に対して、
③侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであり、
かつ、
④当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある場合に、
⑤発信者情報の開示を請求することができる。

①の要件のうち、特定電気通信とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信を指します(プロバイダ責任制限法第2条第1号)。具体的には、誰もが閲覧することができるウェブサイトや掲示板はもちろん、チャットルームにおける書き込みも特定電気通信に該当します。

ただし、メール送信は、「不特定」の者に受信されることを目的としてはいないので、特定電気通信には該当しないとされています(東京地判平成16年11月24日)。

「自己の権利を侵害された」という要件については、名誉毀損やプライバシー侵害といった法的に保護された権利利益に対する侵害をいいます。

⑤の発信者情報とは、発信者を特定するために参考となる情報をいいます。

具体的には、以下のようなものをいいます(平成14年5月22日総務省令第57号)。

  • ・発信者その他の侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称,住所
  • ・発信者の電子メールアドレス
  • ・侵害情報に係るIPアドレス
  • ・侵害情報が送信された年月日及び時刻

こうした発信者に関する情報の開示を受けることで、誹謗中傷や名誉棄損を行った人物を特定することになります。

③と④の要件の詳しい内容については、次の開示請求の要件(2)で説明します。

 

 

開示請求の要件(2)

Photo Studio-0002.jpgプロバイダ責任制限法第4条は、開示請求をすることができる場合について、

・侵害情報の流通によって開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき

・発信者情報が開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受ける正当な理由があるとき

という2つの要件を課しています。

前者の要件については、発信者に認められているプライバシーや書き込み等を自由に行うことができるという表現の自由と被害者の権利の回復を図る必要性との均衡を図るために、権利侵害が明白であることが必要であるとされています。

この点については,これまで多くの裁判例が出されています。なお、掲示板特有の判断要素として、当該書き込みが事実を適示したものかどうか、その書き込みだけでなく、前後の書き込みと併せて読んで事実を適示したものといえるか、仮に事実を適示していないとすれば、侮辱的な表現により他人を誹謗中傷する内容かどうかを総合的に考慮しています。

後者の「正当な理由」とは、開示を請求する者が発信者情報を入手することの合理的な必要性が認められる場合をいうとされています。具体的には、①損害賠償請求権の行使、②謝罪広告等の名誉回復措置の請求、③一般民事上、著作権法上の差止請求、④発信者に対する削除要求を行う場合などです。

 

 

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