Q2. 株式を後継者に承継させて、会社の事業引き継がせたいと考えていますが、どのような方法がありますか?


A. 
生前贈与や遺言があります。

 

1 生前贈与について

077866.jpg生前に株式を後継者に贈与する方法です。

この場合、次の点に注意する必要があります。

 

 

 

①特別受益

特別受益とは、相続人の一部の者が生前贈与や遺贈により、他の相続人と比べて特別の利益を受けている場合、公平の観点から、その特別の利益を相続財産として扱うというものです。

したがって、生前に株式を長男に贈与しても、これが特別受益として扱われると、それ以外の財産を長男が取得できない可能性もあります。

なお、特別受益について、くわしくはこちらからどうぞ

②遺留分減債請求

また、生前贈与や遺贈により受けた財産は、遺留分算定の基礎財産にも参入されることになります。

したがって、生前に株式を長男に贈与しても、遺留分算定の基礎財産として扱われてしまい、それ以外の財産を長男が取得できない可能性もあります。

なお、遺留分減債請求についてくわしくはこちらからどうぞ

 

③贈与税

株式を生前贈与する場合、忘れてはいけないのは課税リスクです。

贈与税の課税方法には、通常の暦年課税と相続時清算課税制度の2種類があります。

【暦年課税】

暦年課税とは、1年間の贈与額に応じて贈与税を計算する方法であり、通常の課税方法です。
この暦年課税では、年間の基礎控除が110万円となっているので、1年ごとに時価で110万円分の株式を贈与するのであれば、課税はされません。

【相続時清算課税制度】

相続時清算課税制度とは、贈与を受ける者(長男)は、贈与により取得した財産の価額につき、累計で2500万円まで贈与税が加算されず、これを超える額について贈与税が加算される課税方式です。
この方式を選択すると、その贈与者からのその後の贈与はすべて相続時清算課税に取り込まれます。

このような贈与税の課税方式を考慮すると、経営者が比較的若いときに株式の承継を決めた場合、しばらくの間は暦年課税で年間110万円の基礎控除を受けながら一部の株式を贈与していき、その後相続時清算課税制度を選択して残りの株式を贈与すれば、節税のメリットを最大限活かせることとなります。

 

④遺言

071277.jpg遺言状により株式を承継させる方法です。

この場合、遺留分減債請求に注意が必要です。

遺留分侵害額請求とは,遺留分を侵害された者が,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求することです。

例えば、遺言により長男が株式を取得しても、妻や他の子が遺留分減債請求を行うことで、経営者の意思が反映されなくなる危険があります。

したがって、遺言を作成するにあたってはこの遺留分にも注意して作成する必要があります。

詳しくは事業承継に詳しい弁護士にご相談ください。

 

 

事業承継についてのQ&A

Q1   社長(経営者)が持っている株式は、社長が亡くなった場合、どうなるのですか? 
Q2 私の株式を長男に承継させて、会社の事業引き継がせたいと考えていますが、どのような方法がありますか?
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Q4 遺留分による紛争を防止する方法がありますか?
Q5 経営承継円滑化法のくわしい内容はどのようなものですか?
Q6 事業承継において相続税はどのように計算するのですか?
Q7 生前贈与を行う場合で、少しでも節税したいのですが、どのようにすればよいですか?

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