離婚後に財産分与ができるか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

離婚した後でも、財産分与の請求は可能です。

ただし、離婚してから2年たつと、財産分与を求めることはできなくなります。

 

財産分与とは

財産分与とは公平の観点から、結婚している間に夫婦が協力して築いた財産を、離婚に際して分け合うことです。

その財産(特に、土地や建物、定期預金、乗用自動車など)の名義が夫婦の一方のみになっていても、分与の対象であることに変わりはありません。

これに対し、自分が親から相続した財産など、夫婦が協力して築いた財産にあたらないものは、財産分与の対象となりません。これを特有財産といいます。

財産分与の具体的な方法は、通常、夫婦間の話合いで決められますが、話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判の手続きを利用する方法もあります。

財産分与の分与の割合は、基本的には2分の1です。

これを2分の1ルールといいます。

一方が会社経営者などで特殊な才能があって高額な資産を形成したような場合、分与の割合が7:3、6:4などになることもありますが、よれは特殊な場合です。

会社社長特有の離婚問題はこちらをご覧ください。

すなわち、専業主婦であっても、通常の場合は2分の1を要求する権利があります。

 

財産分与には請求できる期限がある

離婚から2年経った後は、財産分与を求めることはできません。

これは以下の民法の条文が根拠となります。

(財産分与)

第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

六法全書法律がこのように2年間という期限を設けた趣旨は、いつまでも請求できるとすると、当事者の権利関係が不安定となるからです。

すなわち、離婚後に、何年も経過した後に、財産分与を請求されると、請求される側としては、すでに財産を処分しているような場合も想定されます。

このような不安定な状態を解消するために、一定の期間を設けているのです。

 

 

離婚後の財産分与のポイント

POINT① 手続きを急ぐ必要がある

離婚後に財産分与を行う場合、相手が協議に応じてくれればよいのですが、協議が難航しそうな場合は、2年経過前に、調停を申し立てたほうが良いでしょう。

2年を超えてしまうと、請求できなくなるからです。

なお、財産分与の場合は、時効の中断がないので注意が必要です。

時間例えば、慰謝料の請求の場合は、時効(3年間)が経過する前に、内容証明郵便で慰謝料を請求することで、時効の進行を半年間停止することができます。

これは、慰謝料請求の場合は、期限の性質が時効であり、時効には催告による時効の完成猶予が認められているからです(民法150条)。

しかし、財産分与の場合、期限の性質が除斥期間と考えられています。

そのため、内容証明郵便で催告しても、半年間の停止が認められません。

 

POINT② 相手の財産が不明な場合

財産分与において重要なのは、まず、財産分与の対象となる財産を確定することです。

しかし、相手方が開示してくれない場合があります。

特に、離婚後の事案では、相手方が開示を頑なに拒むことが多く見受けられます。

このような場合、弁護士照会、裁判所の調査嘱託、などの法的措置を検討する必要があります。

弁護士照会は弁護士が所属する弁護士会を通じて、財産の開示を求める制度です。例えば、預貯金の口座内容を確認するために銀行に照会する、などが典型例です。

裁判所裁判所の調査嘱託は、裁判所を通じて、財産の開示を求めます。

例えば、保険の解約返戻金相当額を調査するために保険会社に対し調査嘱託を行う、退職金の額を調べるために会社に対し調査嘱託を行う、などが典型例です。

また、相手が財産の資料を開示してくれたとしても、その資料を読み解くのは、専門家ではない難しい場合があります。

お金さらに、一部しか開示されておらず、隠し資産がある可能性も考えられます。

財産分与においては、このような点が問題となることから、対象財産を適切に把握することがとても重要です。

財産分与の対象財産の調べ方について、詳しくはこちらのページを御覧ください。

 

POINT③ 適切に評価する

対象財産が確定したら、次にそれを適切に評価することが必要です。

例えば、自宅がある場合、その不動産の時価を査定する必要があります。

弁護士宮﨑晃時価は、固定資産税評価額とは異なるので注意が必要です。

また、住宅ローンがある場合は、それを時価から控除するなどして適切な価値を算定します。

不動産のほか、自動車、非上場会社の株式、貴金属、家具等については、評価を巡って争いとなる可能性があります。

 

 

 

まとめ

弁護士以上、離婚した後の財産分与の問題について、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

離婚後であっても、基本的に財産分与は認められますが、期間の制限があるため注意が必要です。

協議が難航しそうであれば調停を申し立てるなどの対応を取る必要があります。

また、相手が財産を開示しない、開示しても内容を信用できない場合は専門家によるチェックが必要でしょう。

さらに、自宅等が対象となる場合は適切に評価することも重要です。

そのため、適切に解決するためには、専門家に相談の上、進めていかれたほうがよいでしょう。

お一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。

 

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

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